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【連載版】しっぽのとなり  作者: しっぽと羽
けもの耳の子達とのふれあいとSFちっくな日々
34/138

キラの最後。そしてキラとキララ。種明かし。

「こっちへ来るんだ…」銃を手にしたカザー星系のボスがキラを先導させて歩かせていた。


 キラだけだったら銃があってもなんともないんだけど、ララちゃんを人質にとっていた。


 幼稚園児のララちゃんは、ボスに銃を向けられている。言うことを聞くしかない。


「くっ。失敗した。ララちゃんに目をつけるとは…」たまたま、しばらくぶりにユキ君のいる時代に移動し、ララちゃんを連れてクロのいる時代に来ていたのだった。


 そしてララちゃんがカザー星系の部下によって拉致された。

 そのためキラはカザー星系に救出に向かったのだが、捕まってしまった。


 とある廊下。廊下のタイルが違う色になっている場所が先にある。

「そこを通るんだ。その区画から先は稼働型デバイスは入れない場所になっている。詳しく言うと稼働型デバイスのようなロボットは機能停止をしてしまうんだ。そこを通ればわかる。ところでキラ。

お前は本人か?」


「そうだよ… 本人だよ。何をいまさら…」

 カザー星系のボスに促されて、タイルが違う色になっている区画をキラは通る。


「ふん。普通に通ったな。稼働型デバイスではないし、キラ本人ということも聞いた。よし。その部屋に入れ…」


 キラは部屋に入る。そしてボスのほうを見た。


「どうするの?」


「じゃあ。そうだな。そのTMRを破棄しろ。破棄しなかったらわかるな…」ボスは銃をララちゃんに向ける。


「わかった。破棄すればいいんだね。ところで破棄したら。僕たち二人とも銃で撃つというのはなしと思っていいんだね…」


「ああ。そうだ。私のターゲットはお前だけだ…」

 キラはTMRを破棄するためにボタンを押した。TMRは腕から外れ、床に落ちて空気に溶けるように消えた。


「ほら。TMRを破棄したよ…」

ボスはキラが入った部屋のドアを閉じた。ドアの横についているモニターから中が見える。


「さてと。お前はさようならだ。ララちゃんは約束通りクロのところに帰してやる。その前にキラの最後を見るんだ…」


 ララちゃんはマスクをされて両手を縛られているので逃げることも、抵抗することも、しゃべることもできない…

 むーむーという声しか聞こえない。

 どん。ララちゃんがボスの足を思いっきり踏む。

「痛いぞ… うさ耳っ子よ… お前も死にたいのか… 。でもだめだ。お前はキラの最後を見た証人になってもらうのだ…」


 ボスはキラの入っている部屋の温度を下げていった。10度。9度。8度...-10度。-20度。-30度。-40度。-50度。-60度。

 キラは部屋の中でしゃがみ込み、がくがくぶるぶる震えだした。

 そして15分後。キラは動かなくなっていた。

 

「もう死んだだろう… じゃあ消すか…」ボスは下げていた部屋の温度を一気に4000度まで上げた。

 中にある椅子や棚。その他の物が一気に燃えだしてすぐに炭となった。そしてキラだったものも炭となり何もない状態となった。


 むーむーむと言っていたララちゃんも部屋の中の様子を見た後はぐったりとした感じになった。


「では、ララちゃんを元の場所へ返すためにドアを5秒だけ開けます」と部下の声。

 ララちゃんは、クロのいるところへ返された。


☆☆☆


 ララちゃんはみんなのいる時代にララお姉さんに連れてってもらい、合流した。

「そんな… キラが死んだって本当?」ユキはまだ信じられないという感じでララちゃんを見た。

 だって、キラは将来老衰で死んだって、ララお姉さんから聞いたって…


「キラ… 可哀想に…」

「ほんとよね。信じられない…」

「キラが死んだっていうのはウソよね…」


 その夜からキララはショックだったのか、熱を出した。

 キララ。キラに連れて来てもらってから、物静かであまりしゃべっていなかった。キラと未来で出会い、キラに連れられてこの時代に来た。キラと出会う前から、記憶喪失になっていたらしい。

 自分のこともあまり覚えていない。


「うーん。うーん」うなされているキララ。

 僕ユキもキララの風邪がうつったのか具合が悪くなって二人で寝込んだ。


☆☆☆


 僕は風邪で寝込んでいるキララと同じ部屋で寝ていたんだけど、キララは僕の隣に来た。

「他の人達はみんな学校に行っちゃったね…」キララは言う。

「そうだね。二人っきり…」ユキはキラを見て言う。


「少し寝るかな… ちょっとだるくなってきたし…」


……


 うーん。うーん。うなされているキララ。そしてキララが目をうっすら開けた。

「んーあ。そ。そうだ。ユキ君寒いよね… ぼ。僕の羽にくるまるといいよ。生きた羽毛布団…」

ということを言っている。キララはなんか勘違いしている。キララは狐のハーフだから羽毛はないんだけど…

キララは半分夢を見ながら言う。


『えーと。あれやってほしい。ヒメルとみのるお兄さんみたいなもの…。

えーと覚えているでしょ…

僕が君の頭とか背中をなでてあげたからわかるよね…トリのハーフのなでポイント…』

 と、キララはうわごとで言った。


 あれ。これってキラが言っていた言葉…

「ねえキラ。一緒にくっつこう…」僕はキララに『キラ』と声をかけた。


「んん。いいよ… 抱きついてきて…」とキララは言った。

 でもキララは狐のハーフなんだよな。ユキはキラなんじゃないかと思い始めた。


☆☆☆


 風邪が治って2日後。キラが現れた。

「やーや。ひさしぶり。元気かな? ところでみんななんでそんなびっくりした顔をしているのさ…

何かあったかな?」

 顔がひきつっているミミちゃんやラミちゃん、そしてララちゃんがキラに抱きつく。

「あはは。キラ。キラ…」ララちゃんは抱きついて離れない…


「どうしたんだろ。これ… もしかして僕の将来に何かあるのかな…

ところで僕は、ネコミミっ子がここの家に来てから間もないころの時代からTMRでここに来たんだ…」


「今はもうネコミミっ子達はいないよ。別の町にホームスティしているよ…4人一緒だよ…」

 僕は何も知らないキラに言った。


「そうなんだ。はいミミちゃんこれ。おいしい煮干しスナックが手に入ったから持ってきたんだけど… じゃあ別の町に行ったネコミミっ子達の住所を教えてよ… 持っていくから…」

 とキラが言う。キラはちょっと前の時代から来たみたいだった。今のことは何も知らない。


「ねえ。私が持っていくわよ…ちょうど用事があるし…」ミアお姉さんはキラから煮干しスナック数袋を受け取った。


「実は用事はこれだけなんだよね… あれ? そっちの銀色の狐の子は?」キラは初対面らしいキララを見て言う…


「ああ。この子はキララというんだけど、あれ? この子はキラが連れてきたんだよ… 知らない?」


「えーとそうだね。今の僕は知らないかな。きっと未来の僕が知り合うんだろう… じゃあよろしく…」キラはキララと握手をする。


「あっ」キララはキラと握手して触れ合ったあと、ふらっとキララは倒れそうになる。


「おっと。危ない…」僕ユキはキララの体を支えてあげる。


「ああ。ちょっと立ちくらみをしただけ……ありがと」キララはユキが体を支えてくれたのでお礼を言う。


「さてと僕は行くよ…じゃあね…」キラはTMRを操作して自分の時代に帰っていった。


「あーびっくりした。幽霊かと思った。過去のキラだったのよね…」ミミちゃんは尻尾をピンと立てて言う。


「そうね。あたしもちょっとびっくりしちゃった」ラミちゃん


☆☆☆


 夜。ラミちゃんとミミちゃんは、ミアお姉さんの家に泊まりに行った。ララちゃんは、みのるお兄さんの所に泊まりに行った。おばあちゃんは幼馴染のところへ看病に行った。

 具合が悪くなってしまい風邪で体調を崩しているからお泊りになるかも。と言っていた。


「今日は二人きりだね…」キララはユキに言う。

 食後にテレビを見ながら言う。二人してソファにならんで座っている。


「そういえば体調は大丈夫? 昼間倒れそうになったけど…」


「うん。大丈夫… ところでさ。私の秘密を教えてあげる… 今日。キラと握手したときに思い出したんだ。わたしは一部の記憶を失っていたんだけど…思い出したことがあるんだ…

あの。あのね。私はキラという名前だった…」


「えっ」ユキはキララを見る。


「えーとね。公園で暗殺されそうになったという話は覚えている?

その後に、ララちゃんがさらわれて、キラが死んだことになったんだけど…

あれの種明かしをするね… 誰にも言わないでほしいな…」


「あ。え。うん」やっぱりキラだったんだという思いと、まだ信じられないという感じがある。

それにキラはトリのハーフだったんだよなぁ。と思う。


「実は救出に向かったのは稼働型デバイスなの…とっても未来の型番のものだから本人と見分けはつかない。生体部品も使われているから攻撃を受ければ損傷もするの…


クロの時代での稼働型デバイスの動作が停止する区画でも動くものだし、遠隔操作でキラ本人が操作しているものだから『キラ本人か』とボスに聞かれたけど、本人だと答えたんだよね。そうしたらボスは信じた。

 その後は、ララちゃんから聞いたとおり、稼働型デバイスの僕は凍え死んだことになって、体は燃えて炭になっちゃって後に何も残らない状態になった」


「そうか。やっぱり… キラ本人は死んでなかったんだね…」


「うん。その後にいろいろ準備をして、未来に行って、ちょっと前の自分に連絡をとって、

キララをみんなに紹介した後に、僕自身は西暦4000年代の時代なんだけど、ハーフの転換手術を受けてトリのハーフから狐のハーフになったんだ。

 色が銀色なのはトリのハーフの名残で近い色にしたかったから… 

 そして自分の記憶の一部分を消して…性格もおとなしい子のふりをして… 

 君たちの家に行ってホームスティをお願いしたんだ。

そしていままで一緒に暮らしていた…

で、消していた記憶なんだけどキラと握手したときに思い出したんだ…

全部ではないけど…」


「そうなんんだ。わかった。でもうれしいよ。キラが死んでなかったなんて…」


「いや。もう私はキララという名前だから… いちおうカザー星系のボスはあの後に殺人の罪で投獄されたんだ。

 もうボスは違う人に代わっているんだけど。ねんのため僕が死んだということはそのままにしていてほしい。

 中身はキラなんだけど、今はキララだから… それと言っておくことがあるんだけど…


 僕の秘密を知っているのは、キラとララお姉さん。そしてユキ君だけ。それと…僕の秘密を知っている男の人と将来結婚するって、ララお姉さんと聞いたんだ… わかるよね…」

 といきなりキララは言う。


「えー。け。結婚って…」それって僕のこと…? ユキはキララを見て言うけど… 恥ずかしくなってうつむいた。


「私は今朝。TMRを使って未来に行ってきたんだけど… そうだねあと1週間ぐらいしたら、ハーフの子と人間が結婚できるという法案が可決されるんだよね…だから大丈夫。あと秘密だよ…」


「あ。えー。う。うんびっくりしちゃって… 何を言っていいかわからないんだけど…」


「というわけで。今日は二人っきりだからもっと仲良くしよう… ほら狐耳とか、尻尾とか。ユキ君のものだから… もっとくっついてなでてほしいな… そしてお風呂。一緒に入ろうか…」


「えー。お風呂も…」


「大丈夫だから… 2人だけだし… こんなチャンスはあまりないよ… ほらほら…

ちなみにララお姉さんやミアお姉さんの真似をするけど。拒否権はないから…」

キララはさそってくる。


「うう。そ。それを言われると… 従うしかないというか… その。えーと…」


「ユキ君はおとなしいんだよ… それに仮想現実で、なでなでした時から、私はユキ君を好きになったんだよね…

ユキ君はどうかな…」


 キララに告られた。そうだったんだ。やたらとなでなでを要求されるようになったと思ったんだけど…


 じゃあ。という感じで僕ユキはキララにぎゅっと抱きつく。トリのハーフの体のころのキラとは違って毛並みとか羽毛の感触とは違うんだけど狐耳を手で押さえつけてからなでた。そして尻尾もさわって、なでなでしてしごく…

 ふかふかの銀色のしっぽ。枕にしたい…


「本当にお風呂。一緒に入るの?」


「うん。僕は未来のララお姉さんから聞いていたんだよね… 二人きりのときに一緒にお風呂に入ってさらに仲良くなったと…」


そうか。覚悟をきめて一緒に入るしかないのか…というか。キラが生きていてうれしいのと、キララとお風呂に入るのか。狐のハーフの女の子となったキラ。結構かわいい。実は狐っ子も好きだ。


「じゃあこのテレビ番組が終わったら…」僕はキララのしっぽをなでて、気を落ち着かせながらテレビを見る。


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