11 襲撃
「さて、どうするつもりだ? まさかこんな街中で、やりあうつもりじゃねぇよな?」
スタークは、背中の大剣ではなく、腰のナイフの方に手をかけてヴァッカを見据える。
「冗談だろ? そんな事はしねぇし、そんな事をしたら衛兵に捕まっちまう。だから、こうするのさ」
突然、ボンッと言う音と共に、空に黄色い色の着いた煙が上がる。
これは兵士が部隊に合図を知らせる為に良く使われる道具である。
その煙を目印に衛兵が集まってくる。
「なんだ?」
スタークが状況を見極めていると、先程信号を上げた男が衛兵に向かって叫びだした。
「こいつです! この二人組の男が街に野盗を引入れた男です!」
兵の視線がスターク達に集中する
しまった、嵌められたか!
気がついた時にはもう遅かった。ヴァッカは既に姿を隠し、周りは衛兵に囲まれていた。
「そこの男、私は兵士長をしているロバートと言うものだ。昨夜から野盗の犯行と思われる事件が起きている、貴様が野盗を招き入れたという通報が有ったのだ、話を聞かせてもらいたいのだが?」
ヴァッカ達の狙いはすぐに判った、アルベルト達と引き離して此処に足止めするための時間稼ぎだ。
その為に仲間を一人犠牲にして衛兵を利用したのだろう。
「さて、知らねぇな、俺はついさっきこの街に着いたばかりでね、昨夜に野盗を引き入れる事は出来ないはずだぜ?」
「それが本当なら確認するまでの間、我々と共に行動してほしいのだが」
スタークは心の中で舌打ちした。
野盗なら倒せば済む、しかし今取り囲んでいるのは衛兵だ。
誤解を解くにしても、確認には時間がかかる。
その間に、ヴァッカという男が野盗を引き連れてアルベルト達を襲うだろう。
どうする? 衛兵を倒してアルベルトの元に向かうべきか?
「どうしたのかね? もしそれが本当なら、確認が取れるまで我々と同行しても問題は無いはずだが?」
先程通報してきたという男は、既に衛兵に拘束されている。
確認が取れるまではどちらが間違っているのか判らないので両方拘束するつもりなのだろう。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」
ジリジリと衛兵が詰め寄る中、突如悲鳴が上がった。
人混みの中で様子を見ていただけの男が、いきなり住民を切りつけて逃走を始めたのだ。
「何だ? 一体何が起こっている? これも貴様の仕業なのか?」
状況はどんどん悪化していく。
兵士長のロバートはスタークを睨むようにして詰め寄ってくる。
「おまえさん、俺がアルベルト様の護衛で、この騒ぎがアルベルト様を狙う野盗の仕業だと言ったら信じるかね?」
「貴様! 何を言っている?!」
――――
訓練場には騎士や兵がひっきりなしに出入りしていた。
また、報告を持った兵が士官の部屋を訪れる。
「失礼します、西の門より報告を持ってまいりました」
「今度は何処だ?」
「西門に野盗が襲撃を仕掛けてきました!」
「数はどのぐらいだ?」
「20名以上は居ると思われます、既に商人達など被害が出ております」
此処は城郭都市だ、たかが20名そこそこで攻撃されても、門は落ちない。
しかし被害が出ている以上、兵を向かわせる必要がある。
西門に向かわせる兵の数を試算しているとまた数名の兵が部屋を訪れる。
「報告します、北の貴族街で野盗が暴れています」
「今、南の市場で野盗が住民を切りつけて東へ逃走していると報告がありました」
次々に野盗による被害の報告が寄せられてくる。
たった一人の野盗の為に数人の兵を向かわせなければいけない。
既に街の衛兵だけじゃ足らず、騎士まで出動しているのだ。
「くそっ! 何でこんなに野盗が入り込んでいるんだ?」
街の中と外からの襲撃で混乱の渦は広がっていた。
「西門には騎士にお願いしよう、街の中で被害にあった所はそれぞれ4人ずつ兵を回せ」
――――
ブラス達はヴァルシュタッド家の館に向けてまっすぐに大通りを走っていた。
野盗達は付かず離れず、ジリジリと追い詰めてくる。
何故、この騒ぎで衛兵達はやって来ないんだ?
「何やら様子がおかしいであるな」
「はい、昨夜から街に野盗が入り込んでいるとの情報はあったのですが、まさかアルベルト様を狙うなんて」
所々で野盗が暴れているのを見かける。
これはヴァッカなんかに出来るような大胆な行動じゃない。
指示した人間が別にいるはずだ。
住民に徐々に混乱が起き、逃げ惑う人々で大通りは渋滞してしまっていた。
「むぅ、これでは進めないであるな、少々危険ではあるが脇の道に行くのである」
路地に逃げ込むなど、襲ってくださいと言っているようなものだが、住民に紛れて襲ってくる野盗なんて見分けがつかない。
まだ敵がハッキリしている方が安全だ。
路地に入り、裏道からヴァルシュタッド家の館に向かう。
しかし、路地の奥で野盗に道を阻まれ、背後からはヴァッカが追いついてきた。
「さぁ、鬼ごっこは終わりだ」
同時多発テロです
エロではありません
おっぱいの話が無い時は、文字数が少ないのはきっと気のせいです。
早くおっぱいの話に戻りたい




