↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/22

7 この世界の魔法

「これが胸の大きくなる料理なの?」


 俺が作ったのは大豆とキャベツとベーコンのトマト煮込みチーズ乗せだ。

 大豆からはイソフラボン、キャベツからはボロンと言う栄養素が胸に良いとされている。

 大豆とベーコンとチーズからは動物性と植物性の蛋白質も取れるし、トマトとキャベツはビタミン豊富で腸内から美人にしてくれる。

 とは言え、食べ物やバストアップ法など色々あるのに、実際に成功例は広告などで聞くだけで、身近に大きくなった人は居ない。

 まぁ、胸に必要な栄養素ってだけしか科学的根拠もないし、摂取した栄養素が胸に行くとは限らない、体のどの部分でも必要な栄養素だ、それはもう体内に聞いてくれという話になる。


「一回食べただけで大きくなる物でもないぞ」

「胸が大きくなるんだったら毎日だって食べるよ!」

「そんな事したら、逆に栄養が偏って胸が育たなくなるわ!」


 アーシアは食べるだけダイエットとか、通販器具で胸が大きくなるとか、み◯もんたのテレビなどで影響行けるタイプだな。

 あぁ言うのは1日1回とかで十分なのに、偏ったりするから失敗するんだ。


「ブラスさんって、本当に色々お作りになるのですわね」

「流石はブラスなの……おっぱいの事なら何でも知っている……なの」

「胸だけじゃなく、体の中から綺麗にしてくれて、美肌効果だけじゃなく美白効果もあるぞ」

「何故それをもっと早く作らなかったのですの?」

「明日からの食事は毎日これでいいなの!」

「調子良いな、お前ら!」


 そんなやり取りをしていると皆が食事の匂いに釣られたかの様に皆が集まってきた。


「今日も美味しそうであるな」

「うふふ、ブラスさんが来てから食事が楽しみになったわ」

「それで、吾輩の息子になる決心はついたのであるかな?」

「ならねぇよ! 『専属料理人』から『息子』に変わってるじゃねぇか!」

「むぅ、ただの勘違いなのである、吾輩背中を流してくれる様な息子が欲しかったのであるな」


 もうそれは勘違いですら無い! 背中を流させる為に勝手に息子にしてしまうって、もう我儘の次元を突破してしまってるじゃねぇか!


「では、冷めない内に頂くのである。今日の食事に、女神に感謝を」


 いつもの祈りをして、トマト煮込みに手を付ける。


「食事をしながらで良いから聞いて欲しいのである。腐蝕の勇者に見つかってしまったので今夜からは見張りを増やしたいのである。申し訳ないのであるが……美味いであるな! もぐもぐ」

「仕方ありませんわ、安全を考えれば……この豆が良く煮込まれてて美味しいですわ! もぐもぐ」


 おいセシリア、後半は料理の感想だよな? 意味不明な言葉になってんぞ


「そうだよね、狙われるとしたら今夜か明日だよね、でもなんでヴァッカは……毎日これを食べれば胸が大きくなるんだよね? もぐもぐ」


 いや、毎日食べても、あのバカの胸は大きくならないぞ?


「確かにそうですわ、理解らないのはニーナ様を狙う理由ですわ……トマトなのに酸っぱくないですわ……もぐもぐ」

「ニーナ様に何か秘密がある……なの? それはきっと煮込んだから酸味が無いと思う……なの。それと見張りの順番を決めておく……なの……もぐもぐ」

「それは吾輩にも理解らないのである、しかしベーコンと胡椒の旨味がトマトのスープに溶け込んでいて癖になる味であるな……もぐもぐ」

「キャベツの火の通り具合が絶妙でしてよ、食感も良くさっぱりと食べらますわ! 順番を決めますわよ……もぐもぐ」


 なんと、ニーナが狙われるのはトマトの所為だったのか!

 それでええっと……ベーコンと胡椒が溶け込んでいて、キャベツがさっぱり食べられるから順番を決めるんだっけ? ……って


「そんなわけあるかぁぁぁぁ!」

「ど、どういたしましたの? ブラスさん」

「あぁ、すまん、ちょっと取り乱した。それで一体何を話し合っているんだ?」

「えぇー、ブラスはちゃんと聞いていたの?」


 聞いてたよ! ちゃんと聞いていたから理解らねぇんだよ!


「ヴァッカに見つかって、今夜襲われるかもしれないから見張りを増やして順番を決めようって話してたんだよ」

「ニーナ様が狙われる理由は、アルベルト様にも理解らないと言う話もしてましたわ」


 そんな話してないだろ! いや、していたような気もするが、なんで理解できて当然って雰囲気なんだ?


「理解ったよ、それでどうやって見張りの順番をキャベツが美味しいんだ?……もぐもぐ」

「ブラス…ボク達は真面目な話をしてるんだよ?」

「不謹慎ですわ!」


 俺が悪いのかぁぁぁぁぁ?! 泣くぞチクショウ!




 ――――




 結局、見張りは3人ずつの交代制

 アーシア、ティア、マリアベル。 セシリア、リリス、チャム。 ブラス、アリシア、エイミー。と、3つのグループに別れた。

 おっさんは食後に少し仮眠は取るが、その後はずっと起きているつもりらしい。

 魔法をアリシアに教えて貰いたかったので、見張りを一緒にして欲しいとお願いしてみたら、索敵能力の高いレンジャーのエイミーと一緒にしてくれた。


「それじゃ、私は向こうの方を中心に見張ってるから、魔法の勉強頑張ってね」

「おう、ありがとうなエイミー」


 そう言ってエイミーは見晴らしの良い場所で見張りをして、俺とアリシアは死角になりそうな所を中心に見張りをしながらの魔法の勉強だ。


「それで、聖印は覚えれた……なの?」

「26個、なんとか覚えられた」


 アリシアに二日前から魔法を教わっているのだが、とにかく聖印を覚えなければ始まらないらしい。

 毎日地図記号の様な聖印をしっかりと覚え込まされた。


「まずは、始まりと終(ツイ)の聖印……なの、始まりの聖印から魔法式を組み立てる……なの。女神の聖印を描いてみて……なの」

「創造の女神のクルシュ、生命の女神のリィーべ、変化の女神のトゥールで合ってるよな?」


 そう言って、それぞれの女神の聖印を書いてみる。そう言えば、女神は三人居るんだったか、俺が出会ったのはどの女神様なんだろう?


「それで合ってる……なの、創造の女神クルシュと生命の女神リィーべの聖印は、勇者が女神を殺したのでもう使えない……なの、でも式に組み込む事で安定性が増す……なの」


 勇者が女神を殺したって言う事に驚きであるが、となると、俺が出会ったのは変化の女神のトゥール様って事になるのかな?


「次は女神の眷属、精霊神の聖印を描いて見る……なの」

「光、闇、火、水、地、風、の6つと、精霊王と精霊女王の聖印だったな?」


 更に8つの聖印をスラスラっと書く。


「合ってる……なの。残りの13の聖印も描くなの」

「12人の大精霊の聖印に、逆位置の聖印だったな」


 残りの聖印もスラスラっと描き込む。

 女神の聖印3つ、精霊神が6つ、精霊王と精霊女王、大精霊が12で、始まりと、終、そして逆位置で合計26の聖印だ。


「その26の聖印は基本……なの、魔法は自分の魔力と女神や精霊達の力を借りて奇跡を起こす物……なの、大事なのは精霊達との親和性……なの」

「その魔力や親和性っていうのはどうやって上げるんだ?」

「魔力は単純……なの、使えば使うほど魔力は上がるし、レベルを上げても魔力は増やせるの。でも親和性は普段からの行いが大事……なの。」

「それじゃ、魔力は赤ちゃんの頃から鍛えれば相当強くなるって事か?」

「それは無理がある……なの。未成熟な体で無理をしたら魔力が歪な形に固まって成長を妨げるの。最悪死ぬ事もあるから学院でも6歳以下の子供には教えない……なの」


 魔力を上げるには、使えば使うほど良いが、子供には良くないのか

 それじゃ親和性ってなんだ?


「魔力は理解った、親和性の方はどうなんだ?」

「親和性は、どれだけ女神や精霊達に愛されているか……なの。基本的に女神も精霊も子供好きなので、子供の頃から親和性を上げるのは大事なの。食事の時などのお祈りを欠かさないのも親和性を上げる為でもある……なの」


 あのお祈りにそんな意味があったのか! てっきり、礼儀作法とか宗教上の理由と思ってた。


「親和性を上げるとどうなるんだ?」

「親和性が上がると、それだけ女神や精霊達が力を貸してくれるの、より少ない魔力で此方の意思を汲み取って力を貸してくれる様になる……なの。」


 親和性を上げることで少ない魔力で魔法が使える様になるなら、魔力が上がるに等しいな。


「他にも、親和性の低い精霊に上位の精霊から働きかけて力を借りる事も出来るの、親和性に優れた者は精霊から新たな聖印を授かる事もある……なの」

「26の聖印以外にもあるのか?」

「精霊は沢山居る、そして精霊の数だけ聖印はあるの、新たな聖印を授かればその者だけが使える固有魔法にもなり得る……なの」


 どうやら聖印を授かるっていうのは物凄い事らしい。


「聖印と親和性は理解った。それでその聖印をどうしたら魔法が発動するんだ?」

「まずは見てもらった方が早いの、私が親和性が高いのは水系統……なの、今から起動する術式はこう……なの」


 そう言ってアリシアは聖印を結んで一つの図形を描きあげた。


「今からその起動式で魔法を使う……なの」


 アリシアの体から光の模様が浮かび上がる。先程描いてた図形だ。その術式に沿う様に光が流れる。


「偉大なる水の精霊よ、新たな命を水に宿し我と踊れ」


 アリシアが妙な所にアクセントを付けて呪文を唱えると、桶に汲んである水が浮かび上がり、アリシアの持つ杖に導かれる様に踊りだす。

 光を纏い水を操って踊る様子は、まるで妖精の様だった。

 やがて水を桶に戻し、術式も光を失った。


「これが魔法なの、何か感じた……なの?」

「綺麗だった、まるで妖精が水と戯れる様で思わず見惚れた」

「そうじゃないなの! 魔法を見て何かを感じ取れたのかを聞いているなの!」


 アリシアは顔を真赤にしながら俺の頭を杖で何度も叩いてくる。

 何もそんなに怒る事じゃ無いだろうに……


「痛い、痛いって、そう感じたから素直にそう思っただけだって」

「もう良いなの! やり方を変えるなの!」


 アリシアは後ろから俺の手を掴もうとするが、手が届かない様子で、諦めて俺の前に回り込んで両手を掴んだ。

 俺が背後からアリシアを包んでるような体制になる。


「今からブラスの体を通して魔法を使うなの! 魔力を体で感じる……なの」


 そう言って、アリシアは俺の体を通す様にして、先ほどとは違う術式を描き出す。

 なるほど、これなら魔力の流れも良く分かる。


「我、望むは原初の炎」


 アリシアの手を伝って魔力が流れ込んでくる、テンポよく魔力が術式を伝わり、聖印に流れていく。

 そして、ボゥッ!っと言う音を立てて、焚き火ぐらいの炎が空中で燃え上がった。


「これは火の初歩の魔法……なの、こんなに大きな炎が出るのはちょっと予想外だったの。ブラスは火の精霊に愛されているのかもしれない……なの」


 上目使いでそんな事を言ってくるアリシアはちょっと可愛いっと思ってしまった。


「今度はちゃんと感じ取れた……なの?」

「なんか魔力が流れるのが良く理解った、さっきの魔法の術式はこんな感じかな?」


 先ほど見えた術式を書き込んでアリシアに見せるのだが。


「驚いたの、こんなに正確に術式を読み取られるとは思ってなかった……なの」

「普通は、理解らない物なのか?」

「使っている聖印ぐらいはいくつか理解っても、どんな術式なのかは視える訳でもないから理解る物ではないの。どうして術式まで読み取れた……なの?」


 どうやら術式や魔力の流れが視えているのは俺だけの様だ、今まで視えていた幾何学模様も色々な魔法の術式だったのだろう。


「なんか、視えた……」


 しまった! 術式や魔力の流れが視えているというのを誤魔化した方が良かったか?

 下手に追求されて俺が魔王だという事を知られたくはない。

 アリシアは上目使いで俺をずっと見ている……

 そう言えば女神様に「暫くは隠し事とかバレやすいかもしれませんよ」と言われていたのを思い出した。

 じぃ~っと見つめるアリシアの眼に内心ビクビクしていたのだが……


「こんな時もおっぱいを見ていた……なの?!」

「視えたのはそっちじゃねぇよ!」


 アリシアは自分の胸元を手で覆い隠してしまった

 そもそも服の隙間から素肌は見えてもおっぱいは見えない。

 

「魔力的に相性が良いと簡単な術式なら感じ取れる事もあるの、私とブラスは魔力的に相性が良いのかもしれない……なの」


 何やら納得してくれた様で安堵した。


「その術式とか詠唱は決まっているのか?」

「術式も詠唱も基礎は学院で教えているの、どちらも一定の法則さえ守っていればどんな術式でもどんな詠唱でも問題はない……なの」

「術式はどんな法則があるんだ?」

「要は、必要な聖印に、必要な魔力を、的確に意思を込めて流していけば良い……なの」

「割りと単純なんだな……」

「使う聖印を始まりの聖印から繋いでいくの、私の場合は魔力を強く通したい聖印には幾つも線を繋いだり、変質させて使う場合は他の聖印を通してから繋ぐ……なの、そして終(ツイ)の聖印で締めくくる……なの」


 アリシアは、まるで電気回路の様な図を描き起こしながら説明をしてくれる。

 魔力を強く通したい聖印にはいくつも線を引いて並列繋ぎになっている。


「この線が変な形になっている部分は?」

「こうすると魔力を流れにくくして調節出来る様になる……なの」


 電気抵抗かよ!


「それを使いやすく描き直すと、こんな感じになる……なの」


 出来上がった術式は綺麗な模様を描いていた。

 さっき教わった方法で読み込んでいくと、確かに電気回路ぽい、でも聖印を組み込んでいるから電子回路になるのか!


「これに魔力を通す時に必要なのが詠唱……なの、言葉に思いを込めて魔力に意思を通す……なの」

「決まった詠唱とかは無いのか?」

「詠唱は自分のイメージを魔力に乗せやすいもので大丈夫……なの、問題は聖印によって魔力の性質を変える必要があるの、流す魔力の性質によって力の入る所が違うから詠唱の時にアクセントが入ったりするの、だから詠唱には発声やアクセントの入れ方が重要になってくる……なの」


 そういえば、大人気映画の魔法使い物シリーズでも呪文の唱え方のアクセントとか注意してたのを思い出した。


「魔力は性質の近い聖印に向かって流れていくの、だから魔法式と流す魔力の性質が噛み合ってないと何も起こらないの、最悪暴発してしまう……なの」


 魔法って意外と大変な代物だが、電子回路とかの知識を持っていたのでアリシアの説明は理解りやすかった。

 魔法の詠唱はアクセントや発声が大事と言っていたので、外国語の発音みたいなのをイメージしたが何かが違う気がする。

 色々考えていると、遠く方で何か影が見えた。


「エイミー! 気がついているか?」

「うん、私にも感じ取れたよ」

「何かあった……なの?」

「皆を起こそう! 多分敵だと思う」

今回は魔法の説明回です。

相変わらずブラスは勘違いされますね。

ブクマが徐々に増えており感謝しております。

じっくり進めていきたいので末永くよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。