23話 久々の再会
「トリマエ指揮官、お久しぶりです」
デリーセルは、こぢんまりとした部屋に一人佇む、左手のない老体に向かって挨拶する。
「止せ止せ。今は指揮官じゃないし、そう言われるほどの人間でもない。だが、久しいな」
「だな。いきなり本題に入って悪いんだが、レセニア、そしてトライソートとの戦争を止めさせられないか?」
あの宣戦布告を、トリマエが行ったわけではないというのは、昔の指揮官だったトリマエのことを知っていればすぐに分かることだ。
「私には厳しいことだろう。一応、命令はしてみるが」
「おいおい、そんな弱気で大丈夫か」
「君は、レセニアがいいんだろう。いや、そのもっと先かな?」
「やっぱりお前には隠し事はできないな」
以前とあまり変わらない様子のトリマエを見て、デリーセルは安心する。
「朝飯前だとも。これが終わったら、もう、モンデリアにはこだわらなくていい。自由になりなよ」
「俺がこだわっているのはお前たち、デリアートの方だ」
デリアート。モンデリアの東側の地域の古来からの名称。
「やはり、そうだよな」
「あのときは愚かだったんだよ」
重苦しい雰囲気の空気は、その場の二人以外には決して触れない。
「また、会おう」
少しの沈黙の後に、トリマエが口を開く。
「ああ。必ず」
デリーセルは、自分で扉を開け、廊下に出ていった。
◇◆◆◆◇
脱穀ってどうするんだろう?
「脱穀ってどうするの?」
稲架掛けをしてから一週間ほど経って、そろそろ乾燥は終わったと思う。
次は、稲から籾を取らなければならないはずだ。
「千歯扱きを使います。今日やりますか?」
千歯扱き!聞き覚えのあるワードだ。あれだよ、なんだっけ。江戸時代?
「そうだね。早めのほうがいいんじゃない?」
ルリから説明を受けて、脱穀を始める。
『収納』を使って稲を回収するので、かなり楽にできている。
その後、取り出して稲架掛けに通す。下に大きな木箱を置いて、落ちた籾の受け皿にしている。
千歯扱きの歯の間に稲の穂先を入れて引き抜くのだが、意外にもかたくて、力をかけないと難しい。
作業は順調に進み、夕方までにはすべて終えられた。
後は、木箱に混入してしまっている、葉や藁くずを分別しなきゃいけない。
そろそろ王城に持っていけるかな?




