18話 帰路の街並み
「あ、言うの忘れてたけど、僕カミノっていうんだ。覚えておいて」
はーい。名付けたのは日本人なのかな。
あの後、カミノが街の様子と私の家を見たいってことで、カナメと私の家についてくることになった。
エルさんは忙しいらしいし、シレンもそれについて行った。
エリカは戻ってこなかったので、やはり仕事が残っていたのかな。
異界人の子ってなれば話は聞きたいと思うし、やっぱり忙しいんだろうね。
暇してるのは私達だけだ。
頑張ったほうが良さそう。
「で、何処に住んでいるんだ?」
残念、ちょっと遠いんだ。
「もうちょっと先。結構掛かるけど、良かったの?」
王城からは、意外とあるからね。そのぶん景色も見られるのかもしれないけど。
「いいさ。観光にもちょうどいい」
なら、まぁ。
でも、王城の前に続いている大通りは、お店も何処も開いていなく、閑散としていて人通りも少ない。
きれいな街なのにね。残念に思う。
「いつもは活気があるって感じか」
カミノが呟いた。
「みたいだね」
おそらく、兵役か農業を進めに地方に帰っているか。
戦争なんか他人事みたいな生活を送っていたわけだけど、実際に恐ろしいものだと思い知らされたような感じがする。
起こらないに越したことはない。
でも、完全に無くすのは難しいんだろうね。現に、あっちでもずっと続いていたわけだし。
「街が静かなのがそんなに不思議か?」
「あっちでは考えられなかったよ。どうして争いは無くならないのかな」
「難しい質問だが、やはり人は私利私欲で動いてしまうことがあるってことなんじゃないかな」
まぁ、そうだよね。
「結局、その方向性が違うだけで、自分のために行動するっているのは僕も一緒だし。多少か仕方ないんじゃないかな」
どういう意味だろう。私にはわからない。
「兄貴の言う通り。人は我が身可愛さで動く」
「そっか。やっぱり難しいんだね」
悲しいな。少しの対立が争いを生んでしまうのだろうか。
? モンデリアって何でレセニアに戦争を仕掛けているのかな。厳密にはまだ始まってないけど。
「ねぇ、モンデリアが宣戦布告してきた理由って何?」
率直に聞いてみた。次に王城の人と合うのはかなり先になってしまいそうだし。
「トライソートにも同時に宣戦布告したことを考えると、……」
考えると? 世界史は苦手なんだよ。
「西方の支配……?」
代わりにカナメが口を開いた。
「そう考えるのが筋かな。仮にトライソートとレセニアが陥落し、二国がモンデリアの傘下になれば、世界一位の工業大国の出来上がりだな」
それって恐ろしい。
「ま、そうならないように僕らが来たわけだけど。でも、レセニアにはホワシー、つまり魔王シルブレアがついてるんだから、負けはしないと思うけどな」
おっと、やっぱり強い? ちょっと評価が難しいなあの銀髪。
「必ず魔王が助けてくれるわけじゃない」
「だな」
この二人は結構強そう。この世界で戦闘なんか見たこと無いけど、腰につけた大剣と手で持っている杖が、そう思わせてくる。
「ねぇ、それ」
カミノが腰につけていた大剣を指差す。
「ああ? これか、やっぱ変だよな」
変? 何が? アニメとかでよく見るけど……。
「僕らは、『収納』を持っていないんだ。だから常に所持して移動しているんだ」
あ、そっか。『収納』ってメジャーなスキルだから、武器はむしろ持ってないほうが自然なのか。
「へぇ、大変だね」
「ああ、武器持ちには欠陥的だろ」
やっぱり、『収納』ズルくない? こんな便利なスキルを普通に使えるのおかしいでしょ。
「使えると便利とは思うけど、そこまで不便でもない」
カナメさん、それが普通です。この世界、鞄とか無さそう。
話していたら、やっと私の(借りた)家に着いた。
「あっ、ミカさん、お帰りなさい。すみません、まだ終わってなくて」
玄関を開けると、ルリが出迎えてくれた。
「大丈夫、今から私もやるから」
「その方たちが?」
「うん。レセニアのために戦ってくれるんだって」
「カミノだ。よろしく」
「カナメです。よろしくお願いします」
「ふたりとも、レセニアにようこそ!」
ルリは二人を元気よく迎えた。




