13話 冒険者の調査
3日ほどたった。
トマトは、順調に実ってきている。
でも、ちょっとづつ収穫していて気づいたのは、トマトの実が心做しかちょっと小さくて、生っている数も少ない感じ。
トマトとプチトマトの中間くらいの大きさだ。
今はプチトマトってないんだっけ?
お米の方も順調そうで、スキルの影響でかなり早く生育しているらしい。
ルリが言うには、収穫した後も大変らしいけど。
八十八も手間を掛けているわけではない。実際十もあるか怪しいくらいだ。水精生機と私のスキルによって、ほとんど手をつけていない。害虫などもあんまりいないし、冷害の影響も、スキルによって緩和されているらしい。
「明日には収穫できそうですよ」
「ほんと? 明日は大変かもね」
脱穀や籾殻を取る作業に、選別までしなきゃいけない。
頑張らなきゃね。
◇◆◆◆◇
「あんたらも大変そうだよなぁ」
レセニア王城の応接室で、豪華な椅子に座る、一人の、茶髪の男。
肩や腕に鎧を纏い、腰には探検を装備している。
「デリーセル、貴方には本当に感謝しています」
その男はデリーセル。所謂、『冒険家』で、どこかの国に属しているわけではない。
対面にはシノが座る。品はあるが、表情に余裕は見られない。
「もっと人手がいたらいいんだが」
「仕方のないことです。それで、モンデリアの様子は?」
「混乱してる。戦争賛成派と反対派で国内が割れてて、賛成派の暴走で、文書を送ったみたいだった」
自身の目で見てきた情報を、そのままシノに伝える。
「すると……」
戦争が怒らない場合もある。と、甘い想像をする。
「そう考えたい気持ちはわかるんだが、2週間前、モンデリア王の差し金で、反対派の指導者であるアクスが殺された」
「つまり……」
「賛成派の影響力が更に強くなったんだ。弾圧によって粛清される恐怖は、瞬く間に広まった」
その事実はレセニアにとって好ましくない。できれば、戦争が始まる前に解決したいおのだが、そう上手くはいかない。
「反対派の人間がどう動くかによって変わってくるんじゃないか?」
今まで口を閉ざしていたエリカが言う。
「ちょっと、エリカ!」
「いいさ。俺自身、そこまで偉い御身分じゃないもので」
飄々とした態度で応じる。
「さっき言ったように、弾圧を恐れて賛成派に鞍替えする者や、トライソート側の侵攻を懸念して、亡命する者、この状況でもまだ闘う者、賛成派を打ち倒すべく外部に協力を求める者など、様々だ」
「では、亡命する者を受け入れるべきではないか?相手の兵力を下げるためにも」
「それは無理でしょう?裏切りのリスクもありますよ」
「それこそ、ホワシー魔王国で受け入れたらどうだろうか?」
エリカの提案は的確だ。ホワシー魔王国は、軍人も強く、食料や土地も多くあるので、亡命者を受け入れるのには適している。裏切りのリスクもレセニア王国で受け入れるよりも格段に減る。
「そういえば、魔王シルブレアは他人を“診る”ことができたんじゃなかったか?」
「それは……、シルブレアに迷惑でしょう?」
直球すぎる正論をぶつけられて、仕方なく、了承しそうになる。
「次会ったときに聞くとしよう。デリーセルは、再度状況を調べておいてくれ」
「ちょっとエリカ、度が過ぎてるわ。失礼でしょう?」
「その方向性で行こう。亡命したい者の状況の収集を重点的にしよう」
エリカが完全に会議を掌握してしまっている。
「すみません。くれぐれも、無茶をなさらぬように」
シノは身勝手な秘書に、ペースを乱される。
「言われなくても。じゃあな」
飄々とした冒険家は、その場を立ち去る。戦争を未然に防ぐ、そのことも、念頭に置きながら……。




