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11話 知見の交換

「もともと君がいた世界について、聞かせてくれ」


 王城から出た途端、エリカにそう問われた。


「私も聞きたいです」


 ルリにも言われてしまった。そんなに面白い話ではないと思うけど。


「学校の話からでいい?」


「そちらの世界にも学校があるのだな」


「うん。小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校とか、色々な種類があるよ」


「学校によって学ぶ内容が異なるということか」


「そう。私は、高校までしか通ってなかった」


「通う順番があるのか?」


「小学校、中学校、高校、大学って感じの順番かな。高校からは、行かない人もいるよ」


「逆に言えば、小学校と中学校は多くの人が通うのか?」


「多くの人って言うか、ほとんど全員。小学校は7歳から入学するんだ」


「学の高い世界なんだな」


 学校がなければ、勉強もできないから、学は高いと言えるかもね。


「高等学校はどんな場所だったんだ?」


「高校は小中と違って、行かなくてもいいんだ。自分の将来のために行く場所だからね」


「小学校と中学校は基礎で、高等学校は応用や実践的な内容が多い……ということか?」


「あってるよ。自分の頑張りが将来を左右するんだ」


「ミカさんの世界では、職業を選ぶことができるんですね」


 ここはそうではないらしい。家柄が強いの社会なのかな。


「まぁ、ある程度は」


「いい社会ではないか。自分の意思が尊重されるんだ」


 そうだ。ここの人たちはこっちの世界より不自由な一生を生きるんだ。


「その制度、この国にも導入したいな」


「でも、生徒はその『ありがたみ』を知らない。本気で頑張っている生徒はほんの一握りなんだよ」


 制度が整っていても、待遇を受ける者が本気にならなければ、望める結果は得られない。


 高校生や大学生は特に顕著で、遊びにうつつを抜かす人が多いんだよね。


「その制度は、かなり古いものなんだね。現状に慣れてしまうと、人は『ありがたみ』を忘れてしまう」


『ありがたみ』は忘れても『あたりまえ』だとは思いたくないな。


「だから、今の自分たちが恵まれている存在であることも、教えないといけない」


「また、聞かせて欲しい。この国に活かせることは多くあると思うからな」


「でも、ありがとう。エリカのおかげで私は『あたりまえ』じゃないって気づけたよ。私たちは、日々の生活に感謝し続けなければならない。こっちの世界には、人間に対する脅威があったんだけど、この世界にもあるでしょう?」


 地震は本当に怖いし、台風で停電したこともあった。


「ミカの言うとおりだ。ここの脅威は”魔物”だよ。私たちはあまり脅威に晒されてはいないが、外の村や他国では魔物の被害が顕著なんだそうだ」


「だからこそ、安全な日常に感謝を持って生活しなければならないのですね」


「うん。生きていく上で大切なことだと思ってる」


 できれば、常に安全な生活を送りたいが、いつ何が起こるかはわからない。


 だから、そんな時にも対処できるように『あたりまえ』だとは思わない方がいい。


「じゃあ、私も聞いていい? 魔王シルブレアについて」


「ああ。ホワシー魔王国の王で、五百年以上生きている最近の魔王だ」


 五百年で最近ってことは、もっと長生きの魔王もいるのかな?


「魔王の中では、知名度が高いほうだ」


「自分の国があるから?」


「それもあるが、もっと大きな要因がある。それは、召喚魔法だ」


「召喚……魔法?」


「悪魔や天使を呼び出すのではなく、異界人を呼び出す魔法を、彼は完成させたんだ」


 私は、この魔法で召喚された……?


「どういうことなの?」


「異界人は、時々この世界に、偶発的にやってくる。人々は、その理由を研究していた。だが、あの魔王は、人類がそれを解明する前に、異界人の召喚魔法を作り上げた」


「凄い、ことだったんだね」


「その魔法が他国に知れ渡って、異界人が一気に増えたんですよね」


「ああ。そうだ。強力なスキルをよく持っている異界人を、魔法を使うだけで手に入れられるようになった。シルブレアが魔王になってから、戦争の数は増えた。」


 喜ばれるものじゃないのかもしれないな。


「それが、彼が有名な魔王である、一番の理由だよ」


 そんな凄い魔王が、どうしてこの国に執着しているんだ? 力で従えることもできそうだよね。


「ただ、新しい魔王ということだけあって、彼が魔王になった理由や、その強さまではわかっていないんだ」


 謎多き魔王みたいだ。


「他の国からはどう思われてるの? シルブレアと、ホワシー魔王国は」


「概ね敵対的な国が多いが、一つ、最大の友好国がある」


「それは……?」


神宿国カミヤドルクニ・アストナリア」


 言ったのはエリカではない。ルリだ。


「でしたよね……?」


「ああ。唯一神フォスを信仰する信徒が大半を占める、宗教国家だ」


「何で、友好的なの?」


「なんでも、フォスはシルブレアと仲が良いみたいなんだ」


 そんな神がいるんだ……?


「へぇ…?」


「まぁ、噂ぐらいの信憑性だと思っておいてくれ。実際に会ってみないとわからないからな」


「そうだね」


 魔王シルブレア。一体どんな人?なんだろう……?

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