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天才ラーメン王、全てを失い異世界で無双する  作者: とみた美味いろは
第二章

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48. グルンジ救世神祭り Ⅳ (船弁、三元豚)

天海聖暦771年 秋月1日 夕方


 8ヶ所のラーメン屋台は、全て夕刻前に売り切れになった。想定より早く完売となり夜まで持たなかった。


「凄い行列でしたわ!」

「初日の今日は午後から屋台を開いた短い時間なのにもう売り切れてしまいましたね」


 マリーとサクラがゴウに話しかけた。ゴウは自分達3人の婚約が(おおやけ)になってからは、街中を歩くのが恥ずかしかった。2人の女性との婚約発表をするなど前代未聞だったからだ。しかも国王が直々に発表したのだ。国王お墨付きの女たらしと白い目で見られないかと心配だった。しかし、街中の誰もが優しくおめでとうと言ってくれた。その心配は杞憂(きゆう)だったが、恥ずかしさは残った。


「葱の購入予約も予想以上、驚きの数量だ」

「はい」

「ゴウのラーメンと組み合わせた葱の販売戦略が大成功。兄のアンリも喜ぶ」


 カール第三王子もゴウと同行していた。第二王子から託された輸出強化指定の農産物の葱。特製葱ラーメンとそのレシピを配布したことで世界中に知らしめることが出来た。


【船弁...…船海苔(ふなのり)弁当】


「次の作戦、船で食べる弁当、船弁のPR開始です」


 ゴウは、転生前の郡山駅で売っていた駅弁、海苔弁が大好きだった。ごく普通の海苔弁当に見えるが、材料の一つ一つに対する愛情を感じる。丁寧に基本に忠実に仕上げたおかず。ふっくらと美味しいお米と海苔、おかか、昆布が、口の中で旨さが広がる幸福感。これぞ〈ザ・弁当〉だ。TVの人気番組で取り上げられ全国にも知られ出した。大勢の人達から日本一の海苔弁だと評価を得ていた逸品だ。


 救世主リーナ・アントーニ(転生前のゴウの恋人ナギサ)が郡山の海苔弁当を参考にして作ったレシピがあった。王族が経営している高級レストランで『救世神の海苔御膳』として人気メニューとして存在していたのだ。これを食べたゴウは懐かしさに涙がこぼれた。本家の味とは多少違うが十分に美味しかった。これを船弁にする! 


「これより、『救世神の海苔御膳』を提供する屋台を開きます」


 魔石スピーカーから音声が流れると海苔御膳の看板を見つけた一団が屋台に向って走り出した。それを見た群衆も後に続いた。ここに集う人々は美味しいものには目がない。


 三段重ねの木箱で、上から一段目と二段目には色々なおかず、三段目には海苔ごはんが入っている。2~3人分の量だ。


「お気に召しましたら、是非こちらもどうぞ!」


 屋台では、船弁の予約注文書も渡していた。

〔この御膳をコンパクトにした海苔弁当で美味しさを保証します・帰りの船の出航直前に船内にお届けします〕


【究極の三元豚】


「次、行きますよ!」


 今度は、豚肉だ。これは転生し救世神と崇められた中の1人、マユミ・キョウカ先生の最高傑作の三元豚だ。話はゴウが転生前、富多師匠に凄い豚肉があると教えられた時に(さかのぼ)る。


 これも郡山市の話だ。肉の品質にこだわる食肉販売業者が究極の豚肉を求めていた。豚肉の味の8割は豚の品種で決まるとまで言われている。そこで日本全国各地でブランド豚を何種類か掛け合わせた三元豚のブランド豚が誕生していた。その開発に挑戦した話だ。

……

 郡山市の業者は隣村の養豚業者と一緒に素晴らしい豚肉を完成させた。

 Landrace pig・Duroc pig × Mangalica

 この豚の系譜を分かりやすく、祖父母・父母・子で説明する。

●祖母 ランドレー種…脂肪分が少なく赤肉が多い

●祖父 デュロック種…肉質・脂肪質に優れている

◍母  ( ランドレー種×デュロック種 )

〇父  マンガリッツァ種…ハンガリーの食べられる国宝と言われる豚

◎子  究極の三元豚

 しっとりとした脂身と甘味、豊富なビタミンやミネラルを含み、脂質にはオレイン酸を多く含む。食べられる国宝のマンガリッツァ種の掛け合わせは日本国内では唯一無二だった。

……


 この上品で優しい味の豚肉に、ゴウは夢中になった。しかし、ラーメンに使用するには価格が高く使用は断念した。いつかは使用したいと思っていたが…。

この世界に転生したら、マユミ先生は色々な種の豚を掛け合わせる試験を繰り返し、究極の三元豚を誕生させていた。掛け合わせ情報は王国の極秘情報の1つとなっている。


「次は、『究極の極み 救世神の三元豚チャーシュー』の屋台を開きます」


 この豚肉本来の旨味を味わってもらいたいので味付けは必要最低限にしてある。ラーメンは売り切れているので、厚めにスライスして酒のつまみとして提供した。もちろん説明書きと持ち帰り用の予約注文書も配布した。まだまだ生産量は少なく貴重な豚肉は数量限定とした。予定した本日分のチャーシュー800本が一瞬で売り切れた。


【モッツァレラチーズのたまりしょうゆ漬け】


 これは王立畜産酪農園に隣接している食肉・乳製品加工場に依頼して作らせたものだ。使用した醤油は、今回の葱ラーメンに使用した〘たまり醤油〙と同じものだ。チーズは、この酪農園で飼育している水牛の乳を原料にした逸品だ。モッツァレラチーズは小さめの塊にして、たまり醤油に漬け込んでもらった。醤油にたっぷりの胡椒と小量の隠し薬味を入れ一度火入れをして冷ました醤油に漬込むのがポイントだ。


 明日からは購入者が特製葱ラーメンに自分でトッピングして楽しんでもらう。今日は酒のつまみとしても美味しいと案内した。パンフレットも予約注文書も配布した。


「ゴウ、ご苦労!」「ゴウ、お疲れさま」「お疲れ!」

「長い一日でした! カールさまお疲れさま。みんなもお疲れさま!」


 私服の護衛に囲まれたカール第三王子と別れ、ゴウはマリーとサクラと一緒にアントーニ公爵家に帰邸(きてい)した。


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