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13話

 お、俺は迷子じゃないのにぃぃ。

 そんなことを思いながら俺は女の子に手を引かれ、街の中を彷徨っていた。


 自分は迷子じゃないっ!そう言えばいいんだ。今までも勇気を出して言ってきたんだし、今はもう焦らず…ちゃんと発音できるはず。まえまでの俺とは違うんだ。

 俺は、そう信じて口を開く。


「あっ、あの!!おっおお俺はその…迷子じゃなくて…」


 しかし大事なところで何度も噛んでしまい、思うように言葉を発することができなかった。

 今までの俺とは違うとか言ってたのにこれじゃ一緒だよ…


「え?じゃあ家出?お姉ちゃんそれは感心しないなぁ…」


「ちっ、違います!!迷子じゃないですっ…じゃ、なく…て」


 迷子じゃないってさっき言ったのになんで2回も繰り返してんの…。これじゃ、前と何が変わったんだよ俺…。

 俺はだんだんと焦ってきて、どう対応すればいいのかわからなくなってきた。


「と、とりあえず…大丈夫なんです!」


「うぇ!?じゃあ私の勘違いってこと!?」


 そう言って振り返った女の子は本当に俺のことを迷子だと思っていたのか、ものすごく驚いた表情をしていた。

 そして、その後どうするのかと思った瞬間勢いよく抱きついてくる。いきなりの出来事に頭がついていかなくなり、頭が壊れそうだった。いや、本当に…なんて抱きつかれてるんだろ。…あれ、顔が熱くなってる。


「ごめん!ごめんね…。君みたいな子を見てると心配になっちゃって…」


「え、や…は、はい?」


 な、なんだかいい匂いがする…じゃ、じゃなくて!!とりあえず誤解は解けたのかな…。じゃあ俺との用もなくなったってことだよね…。

 俺が混乱してる中、パッとその女の子は体を離すとなぜか腕を組んで「うーん…」と悩み始めた。


「そういえば、今思ったけど私が迷子なんだよね」


「なんでやねん!!!」


 俺は咄嗟にツッコミを入れると、そのまま前のめりになり地面に倒れた。

 いや、だって…迷子だと思ってた子を助けようとした本人が迷子って…。ダメじゃんそれ。


「実は人を探してて…、それで歩いてたんだけど気づいたらわたしが迷子になっちゃってた」


「え、えぇ〜…」


 女の子は「えへへ〜」と笑いながらそう言うと、体全体をこちらに向け、何か頼むように手を合わせ頭を下げてきた。


「だからさ、一緒に探してくれないかな?振り回しちゃったのは本当に申し訳ないって思ってるけどっ!私じゃまた迷子になっちゃうんだよ〜」


「お、俺は大丈夫…ですけど」


まあ、困ってるってなってしまうと俺も無視してどこか行くなんてそんな酷いことできないし、ここは手伝ってあげないとね。コミュ障な俺で役に立つかはわからないけど…。


「じゃあよろしくねっ♪私はエレナ、お姉ちゃんって呼んでね!!」


「お、俺はザック…です!よよよろしくお願いします…お、お姉ちゃん?」


 俺が言われたようにそう返すと、なぜかエレナは予想外の展開だったのか、顔を真っ赤にして後ろにのけぞった。

 もしかしてお姉ちゃんって呼んだらダメだったのかな…。でもお姉ちゃんって呼んでって言ったよね…あれ?


「ザッくん!もう一回!もう一回呼んでっ!!」


「ふぇ!?え?お、おおお姉ちゃん?」


「ぐはっ…」


 エレナは血反吐を吐きながら仰け反ると満足した表情で俺の方に近づいてきた。

 なんか俺…この人怖い。関わったらダメな感じだったのかな…?


「よし…じゃあお姉ちゃんに任せてねっ!」


「何をですか!!?」


するとエレナは「あ、ごめんねザッくんつい癖で」と言いながら、また「えへへ〜」と笑っていた。

 なんだろ…、お姉ちゃんって自分のことを言ってるはずなのに妹のフランの方が頼りになる気がするんだけど…、お姉ちゃんってこんなに頼りにならない生き物なの!?いや、そんなはずはないよ…俺の知ってるお姉ちゃんって存在はこんな感じじゃないよ…!!

 …と、俺がそんなことを考えてると、いつの間にかエレナは俺の剣を手に取っていて、剣の重さのせいかあっちやこっちに行ったり来たりしていた。


「ざざザッくんっ!!こ、こここれでザッくんを、守ってみせるからねっ!……んわっ!?」


「なっ、なななにしてるんですかぁ〜!!」


「ざっくん…私は、もう…ダメかもしれない…、後のことは…、頼んだ…よ。そして、この剣も…ザッくんに….たく…す…か…ら……」


「エレナさぁぁん!?あとそれもともと俺のですよね!!?」


 俺が慌てて近づくと、エレナは持ち上げれない剣をちょいちょいと指差して俺に拾ってという動作を送ってきた。因みに俺の剣は俺との契約がかけられていて、俺が手に持つときはありえない程の軽さに軽量化されるが、他の人が手に持つと本来の重量に戻るという不思議な特徴を持っている。

 

「じゃあ行こっザッくんっ!!」


エレナは俺が鞘と剣を腰になおしてる間に、次はどこかに行こうと脚を急がしていた。本当に落ち着くというのを知らないのだろうか…。しかもそっち街の外へ行く方向だよっ!!


「エレナさんっ!そっそちじゃないですっ!!!反対ですょ…」


「あ、あれれ!?いや、わっ、わかってたよ!?わっ、わざとだからね!?本当にザッくんで大丈夫か確かめただけだからっ!!」


「うっ…疑ってたんですか…」


「え!?うっ、疑ってるわけないよ!!私はザッくんのこと信じてるよぉ!!」


 俺はあたふたしているエレナを見て、この人なら俺もなんとかちゃんと話せそうだなぁ、と思った。

 そして、そんなエレナを連れて俺たちはその探している人のところを目指して歩き始めた。

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