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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 13 恐れを克服しよう!

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13-3 トルコアイス屋に一度勝ったことがあるのが密かな自慢


 しかし、鬼が笑ったからといって感心してる場合じゃない。



「どれだけ笑われたって諦めませんよ! 教えてくれるまでメンヘラな愛人ばりに鬼ラインするし、サラチューで壁に擬態して待ち伏せするし、学校で有瀬くんに山程お菓子与えて夕飯食べられないようにしてやりますからね!」


「わかったわかった、お前がバカだってのはよくわかったからもう教えなくていい」



 息を整えながら、真央さんが掌を翳して降参のポーズを取る。


 何だ、このオヤジ。失礼だなー。バカって言う人がバカなのに。

 あ、でも私もバカって言ったからバカになるのか……あーもう、有瀬くんのあの頭が捻じれ歪みそうなTシャツ思い出しちゃったじゃん。二度と着てこないでほしい。



「でかい赤子か、確かに間違っちゃいねぇな」



 真央さんは冷めかけたコーヒーを飲み切ると、私に向き直った。



「お前、留佳が怖くねぇのか?」

「は? 怖いに決まってんでしょーが」



 当然のように私は即答した。



「怖いから真央さんに頼んでるんでしょ。私、まだ十五歳ですよ? まだまだやりたいこともたくさんあるのに、デカ赤ちゃんの癇癪なんかで死にたくないです。死んだ後に彷徨う浮遊霊になりたくないから、こうして真央さんにお願いしに来たんじゃないですか」


「そうじゃない。留佳にどうこうされた後の末路じゃなくて、留佳そのものが怖くねぇのかって聞いてんだ」



 あ、そっちか。

 この人も息子とおんなじで、かなり言葉足らずよね。



「そちらの問題は大丈夫です。順調に解決に向かってます。むしろ私の方が有瀬くんを怖がらせてたみたいだから、お互いに協力して頑張ってますよ。ほら、毎晩電話してるでしょ? あれですよ、あれ!」


「…………すまんな。俺にはお前が何を言ってるのか、さっぱりわからない」



 真央さんは項垂れ、こめかみを押さえた。



「えー、叔母はめちゃ共感してくれましたよー? わかるわかるーって超盛り上がったのに……真央さん、年なんじゃないですか? ダメダメ、中学教師なんだから、私達くらいの年齢にありがちな繊細な心の機微というやつをもっと学ばなきゃ。アンテナ張ってても経年劣化で錆びてんじゃ意味ないでしょー?」


「お前……そろそろ心臓ごと黙らせるぞ」



 顔を上げた真央さんの目には、おどろおどろしい殺意が漲っていた。


 ヒィ!? しまった、調子こいて言い過ぎた! 尻子玉の危機再び!!


 私はさっとドリンクを取ってストローをくわえ、自ら口を塞いだ。



「……わかった、教えてやる」



 溜息と共に、真央さんが言葉を吐き出す。



「ほんとに!? やったー! ありがとうございまーす!」



 フルーツアイスティーを一気飲みして、私は大きく万歳してから、その勢いのまま伸ばした腕ごとテーブルに伏してお辞儀した。


 拝礼みたいな形になっちゃったけど、感謝と敬意を示せたんだからいいよね!



「飲み終わったなら行くぞ」



 伝票を取って、真央さんは立ち上がった。



「今から!? でも真央さん、夕飯の支度があるんじゃ」



 そう言って伝票を取り返そうとするも、さっと避けられた。

 呼び出したのもお願いしたのもこっちなんだし、支払いは私がすべきだ。おまけに真央さんは車でわざわざ私の家の近くに来てくれてるんだから、ガソリン代まで負担をかけている。負けてなるものか。



「飯なら作り置きしてきた。志貴(しき)と留佳にも、今日は所用で遅くなると伝えてある。腹が減ったら勝手に食うだろ。長ぇ話になる可能性を考えて、一応準備してきておいて良かったな」



 しかし真央さんは私が何度手を伸ばしてもひょいひょい避けて伝票を譲らず、どこかへ電話しながらレジへ向かっていく。



「私も遅くなるって連絡しといた方がいい感じです? 親にはちょっとお茶してくるって言ってきたんで、夕飯に間に合わなそうなら伝えとかないと」



 尋ねながら私も諦めずに頑張った。が、何とか隙を突けないかと時間差で攻撃するも、あっさり躱される。


 くそー、これトルコアイス屋より難易度高いぞ!



「そうしとけ。だったら、夕飯はいらないと伝えろ。恐らく、食えなくなるだろうからなぁ……?」



 こちらを見て、暗く冷たく目を輝かせて唇をつり上げてみせた真央さんに、私は一気に氷結した。

 私が氷像と化している間に真央さんは会計を済ませ、店外へ出て行った。


 わ、私、もしかしてとんでもない人にとんでもないお願いしちゃったんじゃない……?

 今更だけど、真央さんって、各務(かがみ)真央、なんだよね……? 格闘技は詳しくないし現役時代も知らないけど、今もテレビで特集組まれてるくらいだから超強くて超ヤバい人なんだよね……?



「オイ那由多、何ちんたらしてんだ! てめぇが頼んできたんだろうが! とっとと来いっ!!」


「ハッ、ハイィ!」



 再び店内に顔を出した真央さんにドスのきいた声で怒鳴られ、私はボロ泣きしながら固まる足を叱咤して外に出た。


 レジにいた店員さん、オロオロしてたけど、通報されてないといいな……。いやもう、してくれてもいいよ……。

 命が助かるなら『ヤバい仕事の話に乗って、裏社会のヤバい人に地下帝国へ連行される、ヤバい女子高生』って誤解されてもいいよ……。


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