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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 13 恐れを克服しよう!

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13-2 バカの恋人はバカにしか務まらない


 久月(くづき)くんに託された『身長181センチ体重75キロ(中三時のスペックのため多少の増減の可能性有)の赤子が暴走した場合、恋人として体を張ってでも止める』という最恐の責務を全うするにあたって、どうしたら死なずに済むか、せめて大怪我程度で収められないか、叶うなら傷一つなく健康体で生還できないものか――その方法を探るため、あらゆる知人友人に当たり、近い条件に該当する者達に相談した。


 ほとんどが流れでノロケ話を聞かされるというハズレ案件だったけれど、最大のヒントをもたらしてくれる人もいた。潤奈さんだ。


 彼女の『強くなれ』という言葉。

 そして、睨むに等しいキツい目付き。

 それが結び付いた時、私の中に素晴らしい考えが落雷のように降ってきた。


 そうだ、護身術を身に付ければいいんだ!

 護身術をモノにすれば、バカでかい赤子が癇癪を起こしても殺さず殺されずに鎮圧できるはずだ! ――と。


 要となるのが教えを請う師であるが、それについても同時に閃いたので問題ない。


 この案を思い付いてすぐに連絡した相手――久月くんは数日に渡り渋り続けていたけれど、ついに昨日折れた。理由を彼に問われても曖昧に濁していたから、私がイタズラでも企んでるんじゃないかと不安だったんだろう。

 そんな死に急ぐ真似しませんよ。殺される前に死んでたまるかってのよ。


 久月くんに伝えるのは、きちんと問題が解決してからと決めてるの。

 だから、それまで待っててね。久月くんの不安を解消するためなのに、さらに不安にさせるようなことして本当にごめんね。解決したらお詫びとお礼に食べ放題に行こうね。ワリカンで。




「で…………俺に学びたい、と? お前、やっぱりバカだな。留佳(るか)の恋人だけあるわ」



 久月くんに執拗に連絡先を聞いて、ついに自力で召喚したその人――真央さんは言葉で吐いた通り、人を小バカにするようにはっと冷笑した。


 時刻は午後六時過ぎ。

 相手から指定された場所は、私の家の最寄り駅にあるカフェだった。ミッチーからノロケ話を聞かされたのと同じ個室席で、私は彼と初めて二人きりで対峙した。


 しかしこの男……やはり強い。会って早々に、罵倒で蹴落とそうとしてくるとは。


 何よ、根性試しのつもり? やっぱりただで教える気はなさそうね。


 いいわ、だったら私が本気だと思い知らせてやるのみよ!



「どれだけ貶されても、私は教えを授けてくれるまで引きません!」


「いやコラ待て。お前にとって、留佳の恋人であることはどんだけ不名誉なんだよ? 一応は父親の前だぞ? 少しは取り繕った物言いをしろよ。ったく……空気が読めないところまでお似合いだな」


「くっ……どれだけ尊厳を貶められても! 引きませんからね! 私!!」


「そんなにか!? 確かにあいつは史上稀に見るバカだが、さすがに可哀想になってきたぞ!? ちったぁ聞けよ、人の話を!」



 一方的に黙らされ、私は仏頂面でアイスのフルーツティーに挿したストローを吸った。向こうも、常にガン垂れてるような強面でホットコーヒーを飲む。


 こうも険悪な雰囲気だと、傍から見たら裏社会のオッサンと女子高生が危険な取引で揉めてるように映っただろう。個室席で本当に良かった。



「……ゲーセンでの件は、(こう)から聞いてる。お前に留佳の危うい部分を打ち明けたこともな。あいつ、お前に俺の連絡先を教えろとしつこく言われてる、留佳の件に違いない、自分のせいだって、半泣きで詫び入れてきたぞ。ったく……気持ちはわからんでもないが、少しは友達を思いやってやれよ」



 思いやるも何も、久月くんが真央さんに自首するとは思わなかったもん。有瀬くんのスマホから勝手にデータ盗んだことにして、私一人で全責任を負うって言ったし。


 それなのに久月くんは、先回りして真央さんに伝えていたらしい。もしかして、私が真央さんに連絡を取って何をしようとしているかを察したのかも。

 まぁバレバレといえば、バレバレだったかぁ。



「しかしまさか……護身術を教えろ、とくるとは。お前も大概バカだよな」


「だから! どれだけ罵られても」


「俺も紅も、てっきり留佳の過去について深く突っ込んで聞かれるのかと身構えてたのに」


「は?」


「あ?」



 私の疑問符に、真央さんの疑問符が続く。


 うん?

 真央さんも久月くんも、何か変な誤解してたみたいね?



「ええと、有瀬くんの過去? 何ですか、それ? そんなのに私、深く突っ込む気は全くないですよ? 思い付きもしなかったというか、特に気になる点もないし、元気に逞しく育ってるんだから別にいいんじゃない? って思うだけで。大体有瀬くんって、普段は雑にぼけーっとしてるだけの雑なお菓子大好き雑っ子でしかないじゃないですか。突発的にギャン泣きした時の対処法さえ教えてもらえれば、私にもあやせますよ。図体の大きな赤ちゃんみたいなもんだと思って、生温く見守っとくかーくらいのゆるい姿勢でいましたけど……何か問題あります?」



 真央さんは唖然とした顔で私を見ていた。けれど、肩を震わせたかと思ったら急に噴き出した。



「お、お前……る、留佳を、あやすって……でけぇ赤子……って……ふ、ふざけ……っははははは!」



 え、真央さん、笑うんだ!?

 有瀬くんの時より衝撃的かも!


 ていうか、やっぱり親子だね……笑う時の発音とリズム感がそっくりだ。声も似てるから、二人で笑ったら見事なユニゾンを奏でそうだなぁ。


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