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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 11 ペアになってゲームをしよう!

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11-9 手作りお菓子でゴミ箱とキスしたい系男子


「運じゃねぇだろ。店員さん、お前が並ぶの見た瞬間に揚げてただろーが。有瀬ばっかチヤホヤされてズルい! 俺がモテないのも有瀬のせいだ! 有瀬が有瀬が有瀬が!」


「たまたま在庫がなくなっただけだろ。難癖ばっか付けてくんなよ。いちいちうぜぇな」


「難癖じゃなくて羨んでるんですけどね!? 僻んでるんですけどね!? 妬んでるんですけどね!?」



 やかましく喚きながら、八重樫くんがテーブルにトレイを置く。今回はMを注文したらしいけど、おかげでポテトはさっき以上に多かった。


 ここまでくると、モリモリイモ越えたんじゃない?



「有瀬くん、飲み物も買ってきたんだ。何買ったの?」


「アイスティー。これがほしくて」



 長い指が摘んでいたのは、レモンとガムシロップのポーションだった。

 ふーん、有瀬くんってレモンティー派なんだ。私はミルクティー派だから、好みが合わないなー。


 レモンのポーションの小さな開け口に四苦八苦してやっと開封すると、有瀬くんはそれをアイスティー……ではなく、ポテトにぶち撒けた。



「オイ有瀬! てめぇ何てことしやがるんだ!? 唐揚げのレモンだって、周囲の了承なくかけたら重罪なんだぞ!?」



 八重樫くんが抗議の声を上げるも、時既に遅し。さらにはガムシロップも後を追う。


 これには八重樫くんも、声を失ってわなわな震えるしかできなくなった。久月くんも私も、ぽかーんだ。



「この辺なら甘いな。うん、お菓子になった」



 有瀬くんがポテトの一角を味見し、うんうんと頷く。

 彼の雑行動に慣れ始めていた私も、さすがに息を呑んだ。


 もしや……考えたくないけど……ポテトをお菓子化しようとしてたの!?


 ヤバいじゃん、この人! どこまで雑の限界突破を見せつけてくる気!?



「はい、那由多」


「いや、はいじゃないよ。食べたくないよ。いらないよ」



 ガムシロップでねっとりしたポテトを差し出されたけれど、私は頬を引き攣らせながらお断りした。



「何言ってるんだ? 那由多が食うんじゃない。那由多が俺に食わせるんだ」


「……ナニユエ?」



 すると有瀬くんは眉をひそめ、小さく吐息を落とした。


 こいつ、わかってねーなーみたいな顔されたけど、わかんないものは仕方ないし、何故か薄っすらとわかりたくないな……聞くんじゃなかったな……と問い返したことを後悔し始めてるんですが?



「さらに美味しいお菓子を分け合うためだろ。恋人にだけ開放された魔法みたいな技を、今試す」


「ちょ……ちょっと待って、有瀬くん。まさか」


「那由多の希望のレモン味もちゃんと取り入れたぞ? ごめんなさいもちゃんとできたし、今回は断られる要素は何一つとしてない」



 まさかのまさかだったーー!

 この雑男、まだ『恋生き』のあのエピ覚えてたの!?


 雑ってだけでも取扱い要注意なのに、どうでもいいことに関しての記憶力は無駄にいいとか、そんな邪魔にしかならないオプションはいらないんだよ! ゴミと一緒に捨ててこい!


 ってそうかあ、私がゴミ箱なんだったねーー!!



「な、なぁ、有瀬。何の話してるんだ? 恋人だけに開放される魔法? そんなのあるのか? てか何しようとしてるの?」



 頭を抱えている間に、空気も読まずにいらんことを聞いてくる奴がいた。アホのチョロ樫だ。



「八重樫も知らなかったのか。仕方ねぇな、教えてやる。キスだ、キス」


「キス」


「そう、キス。恋人同士だけに許された魔法の行為だ」



 呆然と繰り返す八重樫くんに、有瀬くんが秘伝の教えを乞われた師のような顔で神妙に答える。



「えっと、つまり留佳は? 今この場で? 那由多ちゃんと? キスしようとしてる、と?」



 久月くんが疑問形だらけで尋ねる。


 やめて!

 状況を冷静かつ的確に整理しようとしないで! 逃げ場をなくして追い詰めるつもり!? 親友優先なのはわかるけど、少しは私にも配慮してよ!


 ダメだ、久月くんなら何とかしてくれるかもって期待した私がバカだった。ここには私の賛同者など一人もいない。こいつら全員揃って、どいつもこいつもキスを甘く見ているに違いない。



 キスというのはね! ただ唇と唇が触れるだけの外的刺激じゃないの!


 心と心が通じ合った上で!

 この胸の熱い想いは言葉なんかじゃ伝えきれないと!

 双方が同じタイミングで感じた時に初めて起こる!

 神秘の営みなのよ!?



「そういうことだ。俺は今この場で那由多とキ」

「言わせねぇよ!?」



 咄嗟に私は掌にありったけのポテトを掴めるだけ掴み、それをぶち込むことで有瀬くんがみなまで言う前に口を塞ぐのに成功した。



「あんえ?」



 何で? と聞いているのはわかってたけど、無視に決まってる。ついでに何か言おうとしていた八重樫くんと笑おうとしていた久月くんの口も同じようにして塞いだ。キスをバカにする奴は、誰であろうと絶許だ。

 さらに残ったポテトを丸飲みする勢いで食い尽くして、私は何とかこの場を凌いだ。


 凌いだはいいとしても……まだらにレモン風味とガムシロップが混じり合ったポテト、最悪の味だったぁぁぁ。うぅ、おかげで余計なカロリー摂っちゃった。また肥えちゃう……。


 私が痩せられないのは、有瀬くんのせいだ! 有瀬くんが悪い! 有瀬くんが有瀬くんが有瀬くんが!!


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