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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 11 ペアになってゲームをしよう!

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11-4 あなたの今夜の夕飯は扇風機


「この辺でゲーセンっつったら、ショッピングモールんとこだな」


「あー、最近行ってないからちょっと気になる。新店舗とか入ってるかな。ついでにスリッパ買ってこっと。那由多ちゃんと茉絢ちゃん用に」


「やったね! これで私と茉絢もチーム久月の仲間入りだ!」


「やったな、那由多。仲間入りだ」



 有瀬くんがこちらに掌を向けてきたので、ぺーんと元気良くタッチする。


 すると、久月くんと八重樫くんが私達の両側から、覗き込むようにしてじっと見つめてきた。



「何よ? 日傘は既に定員オーバーだよ。日陰を求めてるなら他所行って」


「いや、仲良いなーと思って?」



 久月くんが含み笑いで言う。


 事情を知ってるくせに、わざわざこんな発言をするとは……こやつ、実は相当腹黒いな?



「だよなー。あ、相合い傘してるし……? 普通の傘で……っ!」



 八重樫くんがこみ上げる笑いを堪えながら言う。


 こいつ、お願いしても自分が入れてもらえなかったことを余程根に持ってると見える。そうやって小バカにして、嫌というほど紫外線浴びてればいいわ!



「うん。那由多の言う通り、傘の概念が変わった。暑い日でも雨降ってなくても涼しくなれるんだな、傘って」


「ちょ……有瀬くん、人の傘を振り回すんじゃないよ! 壊れる! 歪む! 破れる! うぎゃぁああ、直射日光に肌を刺されたあ! やめてやめろやめーや! そんなにあちこちブラブラさせたら、日傘の意味ないじゃん! 紫外線は乙女の天敵なんだよ!? あああ、何てことしてくれんのよ!」



 有瀬くんが久しぶりに普通の形状の傘を持ってみたいっていうから貸したんだけど、やめとけば良かった。ブンブン振るし、グルグル回すし、八重樫くんを攻撃したり久月くんのパンチ受けたり……ねえ皆、これ私の傘だってこと忘れてない?

 図体ばっかデカい子ども達がこんな遊びしてりゃ、そりゃ傘も大破するわ。



 有瀬くん宅から程近いターミナル駅のすぐそばに、目的地となる全国展開の巨大ショッピングモールはある。


 エアコンの効いた店内に入ると、私はやっと安心して空を仰いだ。


 全く、紫外線の恐ろしさを知らない奴らはこれだから……シミ・シワ・たるみ・皮膚病その他諸々の原因になるのにさ。私みたいな平凡顔は肌くらい綺麗に保ってないと、将来悲しい末路しか待ってないんだからね!



「あれ、新しいカフェ入ってるじゃん」

「こないだ来た時にはもうあったぞ」

「三ヶ月くらい前にはもうあったね」

「あったのかもしれない」



 通路を歩きながら変化を指摘すると、有瀬くん達は事も無げに告げた。



「はーあ、有瀬くん達はいいなぁ。近いから毎日でも来られるんでしょー? この辺って、このショッピングモールくらいしか大きい商業施設ないじゃん。小さい頃はここに連れてってもらうのがご褒美だったよ」



 季節の品々が出迎える雑貨店やらサマーセール中のファッションショップやら面白グッズが並んだ催事スペースやらを眺めていたら、あの頃の自分にとってもここはキラキラした場所だったと思い出す。

 月日が過ぎても、同じ場所を同じ気持ちで感じられる……って何かいいよねぇ。


 ああ、でも、昔とは違うところが一つ。



「特に何も買ってもらえなくてもここに来られるだけで嬉しかったんだけどさ、来る度にほぼ必ずといっていいくらい迷子になってたんだよねー。楽しかった記憶と泣いてた記憶、半々だわ」



 今も迷いそうなほど広いけれど、案内図を見れば現在地はわかる。だから気付けば取り残されて一人ぼっちになってしまう不安もなく、伸び伸び楽しめる。

 嗚呼、成長って素晴らしい!



「……青飴、持ってたか?」



 新作コスメが気になって立ち止まっていたら、有瀬くんの小さな問いかけが耳に入った。



「ちっちゃい時のこと? 今より持ってたよ。家に山程あったし、迷って飢えても非常食代わりにもなるしって言って、親に無理矢理バッグに詰められてたから」


「…………そうか」



 それきり、有瀬くんは黙ってしまった。

 何だろ? 幼い頃から青飴食べてたことが羨ましいのかな?


 そこで、疑問に思った。有瀬くんはどこで青飴を知ったんだろう?


 名産っていうほど全国に浸透してないし、特産っていうほど地元で推してるものでもない。

 味だって超美味ってほどじゃないし、パケも見た目も地味だし、取り立てて目立つところはない。単に地元でしか生産してないっていうだけの飴だ。

 青い色してるのに何故かレモン味ってとこはちょっとだけ面白いけど、感動するレベルには程遠い。


 あんな知名度の低い地味な飴に、どこで出会ってどこを気に入ったんだろう?


 少し気になったからこの際聞いてみようと思い、しかし隣を見ると有瀬くんは既に消えていた。


 慌てて探したら、久月くんと八重樫くんと三人で、催事スペースに置かれてた扇風機の前で真剣にオアーとかホゲーとか言いながら遊んでたよ。小学生男子か、あんたらは!




「食えないものの前でいつまでも突っ立ってた那由多が悪い」


「へーえー、じゃあ扇風機は食えるものだと? だったら食ってみなさいよ。言っとくけど、食えなかったら閻魔さんに舌抜かれるからね? 一番お安いやつなら、私にも買えそうな値段だったなーあーあー? 仕方ないから、一台買ってあげるよー。だから余さず食ってね。有瀬くんの今夜の夕飯、扇風機で決定ね」


「く、食える。食ってみせる、八重樫が。八重樫が食えば閻魔さんも許してくれる。だから俺の夕飯はパフェで変更なしだ。八重樫、後は頼んだ」


「俺かよ!? 俺、扇風機が食えるなんて言ってねぇよ!? とばっちりにも程があるんすけど!? え、俺の夕飯、扇風機になんの? まじで? でも奢りか……いやいやいや、奢りに釣られてる場合じゃねぇわ! 奢りでも扇風機は食えねぇよ!」


「まあまあ、那由多ちゃん、そろそろ勘弁してやってよ。置いてっちゃってごめん、申し訳ない。でもあんな女の子ばっかりのお店、僕らには居心地悪くて仕方なかったんだよー」



 久月くんが片眼ウインクで謝る。控えめにいって可愛い。

 例のコスメショップ、私なんかよりあなたの方が似合ってたような気がしますよ……?


 しょーもない話をしながら道草をむしゃむしゃもりもりたらふく食ってようやく、我々はお目当てのゲームセンターに到着した。


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