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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 9 勉強会をしよう!

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9-7 自分よりビビってる人見ると怖さ激減する説


「あ、ナユ。ついに八重樫くんが現れたよ」


「中学生になると、四人共今の姿に近いね。でもまだ幼さがあるね。皆、可愛いね……可愛いねぇ……」


「ナユ、まだ泣けるの? 眼球強すぎない?」


「自分、それだけが取り柄なんで。ねえ、次行こ次。これ以上見てたらまた泣きそう」



 茉絢と私は隣り合って、それぞれ感想を言いながら軽口を叩いては先を促した。



「これは宿泊研修ね。男子と女子は別々の宿舎だったから、留佳の寝顔を見られなくてつまらないったらなかったわ」


「おっ、球技大会だ。懐かしいな。俺、バスケだったんだぁ。得点MVPになったのに……女子は誰一人として祝ってくれなくて……寂しかったな……」


「僕がお祝いにジュース奢ってやっただろ? 過去を引きずるなよ、鬱陶しい。体育祭の写真は父が撮影したから見やすいでしょ。白組、負けて悔しかったよね」


「これ、何だっけ? まあ何かあったらしい」



 同級生の四人は私達の向かいに座り、解説係を務めていた。一人、全く解説できてない奴がいるけど。


 カオスから一時間後、正気に戻った私達はアルバムで巡る過去の軌跡旅行を再開した。


 城咲さんはどんどん綺麗になっていくし、どう見ても美少女だった久月くんはゆっくりと可愛さから脱皮して大人びていくし、チビッコだった八重樫くんはずんずん背が伸びていくしで、写真を見ているだけで皆の成長が感じられて、胸がいっぱいになる。


 もちろん、有瀬くんもますます美貌に磨きがかかっていくんだけど――それよりも目を引いたのは、表情だった。



「有瀬くん、ちっちゃい時に比べてかなり雰囲気変わったねぇ」


「うん、大きくなった」



 私が言うと、有瀬くんが自慢気に胸を張る。まるでおばあちゃん家に来た小学生男子みたいな反応だ。



「そうじゃなくて、幼稚園の頃とかぼーっとした顔ばっかだったじゃん。ちょっとずつ表情筋が活動開始した感じがするよ」


「そうか? 大体同じだろ。目鼻口の数は変わってないし。俺には俺の違いなんかわからない。でも大きくなった」


「わかったわかった。おーおー留佳くんやー、おーおきくなったねぇーえ」



 二回言われたので、仕方なく私はおばあちゃんに成り切って孫の成長を認めた。

 有瀬くんがうんうん頷く。満足したらしい。


 ラストは、卒業証書を手にした四人を中学の校門前で撮影した写真だった。


 八重樫くんが左右の腕で久月くんと有瀬くんの肩を抱き、城咲さんは有瀬くんの胸元に身を寄せている。

 八重樫くんは口を開けて元気いっぱいに、久月くんは困ったように眉をハの字にして、城咲さんは肖像画みたいに美しく、有瀬くんは薄っすらと口角を上げて――それぞれ違いはあるけれど、皆笑顔だった。こうして久月くんが誕生してから十五年余りを振り返る旅は終わり、現実へと帰ってきた。


 はぁ……写真を見ていただけなのに、大河ドラマを全話一気観したような心地だわ。一人の人間の半生を追うって、こんなに素晴らしい感動に満ちたものなのね。

 スタンディングオベーション不可避!


 感動の涙と共に、感謝の拍手をする。茉絢も一緒になって立ち上がり、スタオベに加わってくれた。


 そんな私達二人を見て、八重樫くんは何か思い出したらしい。はっとしたように慌ててスマホを取り出す。



「悪い、ちょっと放送観させて。推しの誕生日なんだわ。記念生放送あんの忘れてた」


「推し? アイドルか何か?」



 久月くんが隣から覗き込もうとする。

 が、八重樫くんは体の向きをさっと変えてそれを回避した。



「久月は観ない方がいいぞ。心霊系のユーチューバーさんだから」



 さっと顔色を変えて、久月くんが飛び退く。


 久月くん、オバケ苦手なんだ……可愛いところもちゃんとあるじゃん。まぁ私も死ぬほど苦手だけど。

 オバケ苦手要素は共通でも、私には可愛さとして働かないけど。



「エーセン、何て言ったの? 心霊……?」


「心霊ユーチューバーだよ。ユーチューバー、知らない? ユーチューブで番組作って活動してる人達。俺の推しのユーチューバーさんは幽霊が出るって評判の廃墟探索したり、心霊写真募って紹介したり、とにかくそういうことやってんの。ちょっと静かにしててくれよ! イヤホン持ってくるの忘れたから!」



 城咲さんが今日初めて話しかけてくれたというのに、八重樫くんは気にも留めず、むしろ邪魔臭そうに言い捨てて懸命にスマホを操作している。多分スパチャしてるんだろう。

 えー……城咲さんすら放置とか、ものっすごいハマッてるやん。


 ぽかんとしてその様子を見ていた城咲さんだったけれど、音声が流れてくるとささっと八重樫くんの背後に忍び寄った。続いて茉絢も足音を殺して城咲さんの隣に並ぶ。さらには有瀬くんも、八重樫くんの横に移動してスマホに視線を落とす。


 そして、チーム八重樫の四人は一緒になって生放送を観始めた。


 私? もちろん部屋の一番奥の隅に移動した久月くんグループに加入したよ!



「那由多ちゃんも、ダメなんだね……」


「うん……オバケは各務真央より怖いよ……だって呪うんだよ? 祟るんだよ? 封印しても油断した拍子にブチ抜いて襲ってくるんだよ?」


「ひぃぃ! やめてやめて、僕そういうのほんと無理なんだって!」



 久月くんは頭を抱えて震えている。時折漏れ出て届く音声にも体をビクつかせる始末。


 わあ、自分よりオバケ耐性低い人、初めて見たかも。



「ここから移動する? あ、ついでにアルバム片付けよっか? 私、集めてくるね」


「う、うん……お願い」



 可哀想になって助け舟を出すと、久月くんは蹲ったまま頷いた。あちら側には一歩たりとも近付きたくないらしい。


 四人は動画に夢中になってるようで、私と久月くんは無事気付かれずアルバムを抱えて避難することに成功した。


 良かった、引き止められなくて。

 チラッと聞こえてきた内容によると、誕生日記念にこれまで体験した恐怖シーンの総集編やるみたいなこと言ってたもん。


 いちいち何が出てきてどうなったか解説されたら、私まで動けなくなってたかもしれない。


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