6-1 目指せ、雑名返上!
ヘイヘイヘーイ!
激動の四月も終わりに近付いて参りました!
さて、四月から五月にかけての大イベントといえばぁぁぁ? そうっ、春の大型連休! ゴールデンウィーク! ですよねーー!!
たかが一月、されど一月。大きく環境が変わる新生活は、一日一日を乗り切るだけで精一杯。休む余裕もなく、常に全力疾走してるみたいな状態だ。全速力で走り抜けた一月の疲労を、こうして癒せる期間が設けられているなんて……最高だよ、日本! 私、日本に生まれて本当に良かった! 日本、なんて優しい国! 日本、とても誇らしい!
パパが部下さんの結婚式のスピーチに選ばれちゃったり、ママは体調不良の同僚さんのサポートでお仕事を休めなかったり、恒河は生意気にも所属しているバスケ部レギュラーに抜擢されて試合があったりと皆それぞれ予定が合わなかったから、今年の柊家は協議の結果、家族旅行はなしとなった。といってもここ数年は、ゴールデンウィークの家族旅行は行きたいねー程度で済まされちゃって、決行にまで至らないパターンが続いてるんだけどねー。
茉絢はお姉さんと一緒に声優さんのイベント遠征、梨奈ちゃんはパパとママ両方の祖父母の家に顔を見せに行くのが毎年の恒例なんだって。二人のお土産、楽しみだな。
私も同級生の子達とお泊まり女子会するイベントがあったんだけど、お流れになったんだよね。一泊させてもらう予定だった家の子が、気になってる彼と遊園地でグループデートすることになったんだって。
フッフゥー、早くもアオハルじゃーん! そういうわけで、女子会は彼女の結果報告の時しようって話になって延期が決定した。友よ、朗報を待つ!
で、暇人にジョブチェンジした柊那由多、昨日に引き続き本日もゴロゴロ中でーす。
女子会が延期になったのは残念無念とはいえ、食っちゃ寝ホリデーも実に良し。あー、休日ってほんと幸せ。明日も明後日もこの休日が続くってほんと喜び。寝たい時にいつでも寝られるし、食べたい時に何でも食べられる。春休みの至福のぐうたらタイムが大好評につき再び登場したって感じ。
また太っちゃうかなぁ、ま、いーや、明日の那由多が何とかしてくれるっしょ。
「那由多ー、ママお仕事行くから、戸締まりお願いねー」
ママの声で、私は慌てて自室を出て階段を下りた。玄関で靴を履いていたママは振り向いて私を見ると、大きく溜息を吐いた。
「もう、だらしないカッコして。出かけなくたって着替えくらいしなさいよ」
「出かけないなら着替えなくたっていいじゃん。洗濯物を無駄に増やさないためのエコ活動だよ。むしろ褒められるべきだと思うな」
そう言って、私は寝間着兼用の芋ジャージを誇示するように胸を張った。が、ママはもう一度深々と息を吐き出し、さらにお小言を上乗せしてきた。
「そんなにエコ活動したいなら、環境にも配慮した方がいいんじゃないの? あんなに部屋を散らかしっ放しにして……掃除機が入る隙間もなさそうだったわよ」
黙ってやり過ごそうと思ったけど、これは聞き捨てならない!
「ちょっとママ、勝手に部屋に入ったの!? ひどい、プライバシー侵害だよ!」
「あんたがドアを開けっ放しにしてたせいでしょうが! 見たくもない汚部屋を見せつけられた、ママの方が被害者よ! 精神的苦痛を与えられながらも、パパと恒河に被害が及ばないようにドアを閉めてあげたんだからね! 感謝されこそすれ、ひどいなんて言われる筋合いはないわよ!」
ひぇぇ、ちょっと抗議したら百倍返しの勢いで超ブチ切れられたぁ……。やっぱ言い返さずに黙っとくべきだったなぁ……。
「いい? ママが帰るまでに部屋の掃除しとくのよ。全く、ドアは開けっ放し、服は脱ぎっ放し、教科書やらノートやらは出しっ放し……あんた、高校に入ってから雑になったんじゃないの? いつまでも新入生気分でいないで、そろそろ気を引き締めなさい!」
「ザッツ!? そそそそんなことないよ! 雑になんかなってないよ! やるやる、すぐやります! あっ、もう半過ぎてるよ! いってらっしゃい、ママ!」
「やだ、ほんと!? 急がなきゃ! 遅刻したら那由多のせいだからね! 行ってきます!」
最後っ屁とばかりに人に責任を押し付けて、ママはバタバタと出かけていった。
私はほっと脱力してへたり込み――かけたものの、すぐにシャキッと立って、精神的苦痛を与えるとまでママに言わしめた自室へと駆け込んだ。私は雑じゃない、私は雑になってない、私まで雑オールライト精神に染まりつつあるだなんて認めない!
それから二時間かけて、部屋を綺麗にした。ついでにリビングには掃除機をかけたし、洗濯機も回した。
よし、これで私は雑じゃない! ママだって雑名返上してくれるはず!
やることは全てやったけど、このままゴロゴロするのは何だかもったいない気がする。やる気スイッチも入ったことだし、本屋にでも行こうかな。たまには表紙買いするのもいいかもしれない。
なぁに、ハズレてもいいさ。この頃はネットの試し読みに頼ってばかりだったけど、己の手で好み作品を発掘するなんて燃えるじゃない?
せっかくだから新しく買ったスカート履いてこっと!




