↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 18 好きだと伝え合おう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/134

18-2 バ先で開催される、密やかなる珍動物鑑賞会


 この時間帯には似非恋人達の他に、もう一人顔見知りの常連が襲来する。



「オイ、ガッチョンプリンがねぇぞ。ちゃんと切らさず置いとけよ。志貴(しき)の好物なのに、何てことしやがる。志貴が可哀想だろうが」



 舌打ちして苦情を申し、渋々といった感じでビッグポットンプリンを四つレジ台に置いたのは、仕事帰りの真央(まお)さんだ。


 初めてスーツ姿を見た時は、耐え切れず噴き出しちゃったよね。七五三かよって大笑いして、アイアンクロー食らったよね。

 面白すぎて、笑いが止まらないやら痛すぎて涙が止まらないやらで死にかけたよね。



「はいはい、オーナーに発注数増やしてくれるようお願いしときますね。それより真央さん、あなたの息子、どうにかなりません? 九時まで檻か何かに閉じ込めといてくれると助かるんですけど」


「ああ? どうせ秒で蹴破られんだろうが。そんな無駄なもんに金使えるか。お前が買ってくれるなら別だけどな」



 最低だ!

 有瀬の男は皆、いたいけなJKから金を毟ろうとする! やってもいない既成事実で陥れた志貴さんも含めて、有瀬の一族は揃ってひどい奴らだ!


 にしても真央さんが毎日毎日家族団欒のひとときのためにスイーツ買って帰ってるなんて、知らなかったよ。真央さん、いい旦那さんでいいパパちゃんで……城咲さんにとっては何だろ? いいおっさん、になるのかな? 城咲さんサイドからは悪口しか聞いたことないけど、あれだけ好き放題言えるのは仲良しの証だよねー。



 そして、いよいよ問題の八時台に突入した。



「いらっしゃいませー……」



 本日も私の覇気のない挨拶をテーマソングに、超絶イケメン様のご入場だ。


 戦場帰りなのかと問いたくなるほど傷み切ったロングのモッズコートを羽織った有瀬くんは、何故か小さく頷いて、真っ直ぐにお菓子コーナーへと向かった。

 下に着てるスウェットは、例の息子専用のロゴ入りのやつだ。コートである程度隠れていれば、真央さんも部屋着での外出を許可してくれるらしい。

 ちなみにあのモッズコートは、去年の十二月から今年の三月まで使ってたんだって。何をどうしたらたった数ヶ月であんなにズタボロになるんだよ……買ったばかりのあのチェスターコートも、いつまで保つやらだ。


 夕食と入浴を済ませて八時過ぎに来店すると、有瀬くんはお菓子コーナーで五分、スイーツコーナーで二分、ホットドリンクコーナーで二分、レジで一分、そしてイートインスペースで五分、計十五分のコースを四回繰り返す。

 悩んでるフリして店内をうろついてるけど、購入する品はほぼ決まっていて、一口サイズのチョコかミニボトルのラムネか棒付きキャンディか小袋のグミをローテーションしている。レジ初回限定で、ホットココアを買う。


 ほんとこの人、毎日一時間も何やってんだろね? いくら何でも暇すぎん?

 お迎えが恋人の役目だっていうのは百歩譲って理解できなくもないけど、一時間も前からスタンバイする意味はないと思うの……。



「柊さん……本当にあんなのと付き合ってるの? あれ、どう見たって観賞用でしょ? 宝石は食べられないんだよ? 宝石眺めててもお腹は満たされないんだよ? いつか餓死しちゃうよ? 大丈夫?」



 有瀬くんがイートインスペースに消えると、坂口さんは毎度恒例となる謎の疑問を口走った。


 どんなお客様にも冷静に対応する大人レディまで混乱させるとは……有瀬留佳(るか)、おそろしいこ!



「確かに実用性には乏しいですね……でも餓死はしないと思いますよ……私、帰ったら夕飯たらふく食べるんで」


「宝石はどうするのよ!? 宝石は食べないの!?」


「宝石は食べませんよ……坂口さんだって、婚約者の人を食べないでしょ? それと同じですって……。あんなもん、食用でも食べたくないですよ……食べたら血糖値急上昇して、秒で動脈硬化間違いなしじゃないですか……」



 オーナーの門倉さん以外、どの人とシフトを組んでもこの一時間だけは皆、何かおかしくなるんだよね。

 人外レベルのイケメンってだけでも人の心を乱すのに、そいつが摩訶不思議な行動を取り続ける上に、その奇妙奇天烈複雑怪奇な存在の恋人は普通すぎるほど普通のJKで一緒に仕事してるんだもん……逆の立場なら私だって脳が歪んでSAN値削られるよ……。


 異常行動を繰り返す謎珍動物のせいで、この時間帯は観察目的のお客さんが増えた。しかし誰一人として、レジに来ない。細々とした作業やら補充やらが捗るからこちらとしては楽なんだけど、なかなかに異様な光景である。


 代わりに私が帰った後、ドバッとレジが混み合うそうだよ。皆、有瀬くんと同じ商品を買ってくんだって。

 おかげで駄菓子の売り上げがすごいことになったって、門倉さんが苦笑いしながら教えてくれたよね。


 中には勇気を出して話しかけた人もいたけど、有瀬くん、綺麗に無視してたわ。

 ちっちゃい頃から志貴さんに『お外で知らない人に話しかけられても答えちゃいけません、知らない人から何ももらってはいけません』ってキツく言われてるそうだし、それ以上に興味ないものには視覚も聴覚もほぼ働かないみたいだからなぁ……本当に推し甲斐のないイケメンだよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。