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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 17 体育祭でアオハルしよう!

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17-9 真の可愛いパンツを誰か教えて


 体育祭も終盤に近付いてきた。


 ラストのリレーがそろそろ迫っていたので、私は念を入れて有瀬くんをグラウンドの隅に連れて行って、もう一度柔軟運動をやってもらうことにした。


 だってリレーだよ、リレー。

 ただでさえ超盛り上がる種目なのに、今のところ紅白の点数はギリギリを競り合ってる。リレーの結果次第で、勝敗が決まるかもしれない。

 となればこの体育祭で最もアツいシーンとなることが大いに予想される。そんな中で、走者が肉体爆散なんてしたら台無しじゃん。


 アオハルにはホラーもグロもお呼びじゃないのよ!



「へー、結構しっかりやるんだね」


「うん。父が教えてくれた。昔よく怪我してたから」



 腕を背面に回して肩関節周りを伸ばしながら、有瀬くんが答える。足だけじゃなくて全身を解すらしい。


 そっか、走るって全身運動なんだ。言われてみると、背中を傷めたら走るなんて無理だし、腕振らないとスピード出ないもんね。

 手を怪我してたって走る気にならないし、私なら指先切っただけでも歩くことすらしたくなくなるわ。



「那由多、背中押して」

「はいよー」



 グラウンドにぺたんと座った有瀬くんに声をかけられ、私は広い背中に手をかけて体重を乗せた。おお、面白いように沈んでいくじゃないの。



「うわー、有瀬くん、筋肉あるのに体柔らかいんだね。ぺったんこになるじゃん」


「那由多はならないのか? 俺が背中押してみようか?」


「勘弁して。背骨折れて、上半身と下半身が泣き別れになる未来しか見えない。柊と那由多に別れちゃうじゃん」


「だったら頭の方が那由多で、足の方が柊なんじゃないか?」


「下半身だけ発見されたら、柊になるってこと……? いや、そんなことない。下半身にも那由多成分はあると思う」


「主にパンツにな……んぐっ」



 背中に乗せた手に、有瀬くんが噴き出した振動が伝わる。

 こいつ、また私のパンツを笑い者にして!



「貴様、いい加減にしとけよ!? 泣いて履きたくないって土下座して詫びるようなやつ、選んでやるからな!? 必ず後悔させてやるからな!?」



 全体重かけて乗っかっても、有瀬くんはぺったんこにされた状態で声を殺して笑っていた。


 ふん、もう幾つか見繕ってあるんだからね。どれもこれも私ですらねーわって引くやつなんだからね。笑ってられるのも今の内だよ!



「後悔しないから公開する。父にも選んでやれよ。多分気に入るぞ。二人でまた布着るから、那由多が開幕して……ぶふっ」


「やめろおおおお! あの日の話はするなああああ!! 後悔と公開をかけたつまんないギャグのことは私も忘れてあげるから、そっちも忘れて! 忘れるんだ、いいね!?」


「…………楽しそうにしてるところお邪魔して悪いけど、そろそろリレーの走者集まってるわよ。順番決めなきゃならないみたいだから、留佳も早く行きなさい」



 思い出し涙が溢れたところで、城咲さんが呼びに来てくれた。


 救世主の到来に私は有瀬くんの背中から飛び降りて、彼女に駆け寄った。



「聞いてよ、城咲さん! また有瀬くんが私のパンツをバカにした! ねえこの際だから教えてよ、『テレビ。』の何がダメだったの? 私、可愛いと思って買ったんだよ!?」


「ぐふっ! あ、あれを……可愛い……可愛い、けど……ぶはっ! あはははははは! やめて無理、思い出させないで!」



 しかし、城咲さんまで笑い出す始末。


 何よ何よ、皆して私のパンツもセンスも笑いのネタにして!



「笑ってちゃわかんないよ! 真の可愛いパンツって何なんだよ!? もうパンツの迷宮から抜け出せないよぉぉぉぉ!」


「あ、明日香も選んでもらえよ……っく、ぐふっ」



 立ち上がった有瀬くんがまた余計なことを言う。ついでにまた噴き出しやがった。



「うるさい! 順番決めるっつってんだから早く行くよろし! 一位取ってくるまで戻ってきちゃダメだからね!」



 我ながら子どもじみた当たり方してるなーと呆れたけど、腹が立ったんだから仕方ない。



「わかった、自力で三個取る。おまけの一個があるからって手抜きしない」



 そう言って有瀬くんはジャージの上衣を脱いで、白の半袖の体操着姿になった。


 多分私がこれでもかとビッチャビチャにしたやつだろう。有瀬のネームの刺繍のほつれ方に見覚えがある。綺麗になってて安心した。



「留佳、持ってようか?」



 城咲さんが進み出て、有瀬くんが雑に丸めたジャージを受け取ろうとする。


 おー、気遣い上手だなー。自分で席に置いてくもんだと思ってスルーしてたわ。



「ううん、那由多に着せとく。手冷たかったから寒そう」


「え」


「背中、触った時」



 昨今のイケメンは目に体温が見える機能を搭載してるのかと驚いてたら、有瀬くんは平然と種明かししてくれた。


 まじすか、確かに指先まで冷え切ってはいたけど、服二枚通しても感じるくらい冷たかったのか。ヒヤッとしてうわってなっただろうに、文句も言わずに我慢してくれて……何ていい子なの。


 私が逆の立場だったら、ビックリして跳ね除けて、触るんじゃねー! ウィンディゴめ! って暴言まで吐いちゃうかもだよ……。



「うぅっ……ありがとう、有瀬くん。ひどいこと言ってごめんね、一位取れなくても戻ってきていいからね……!」


「今の流れで泣くとこあったか? 大丈夫、一位取るから。じゃ後でな」



 私にジャージを押し付けると、有瀬くんはさっさとリレー選手の待機場所へと駆けていった。



「ふはっ、ひ、柊さん、私達も応援席に行きましょ……ぐふっげふっごほっ!」



 私の顔を見たら思い出し笑いが復活したようで、城咲さんがおかしなトーンで告げる。おまけに変なとこに入ったらしく、軽く咳き込んでる。


 でも、どうしても聞かずにはいられなかった。



「ねえ……『テレビ。』がダメなら、やっぱ『れいぞうこ。』と『こたつ。』もダメかな?」



 次の瞬間、城咲さんは咳き込みを吹っ飛ばす勢いで盛大に噴いて、汚れるのも構わずグラウンドに転がって大笑いした。笑って笑って笑い続けた。どうやら『れいぞうこ。』と『こたつ。』もダメらしい。


 本当にどうしてなのよ、どこがどうダメなのよ。理由が知りたい。


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