↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 17 体育祭でアオハルしよう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/133

17-7 悪魔ママ特典はお菓子三倍


「トイレは済ませたね? 貴重品は持ってきたね?」


「うん」


「いい? ここね、ここだよ。この席にいるんだよ?」


「うん」


「おとなしく待てるよね? 有瀬くんはいい子だもんね?」


「うん」


「戻ってきたら青飴あげるからね。そうだ、コンビニでもう一個多く買ってもいいよ。ちゃんとお留守番できたら、ご褒美一個増やしてあげる」


「本当か。やった」


「お留守番できたらだよ。さっきみたいに追っかけて来たら全部取り消すよ。わかった?」


「わかった。ここで待つ」



 有瀬くんが頷くと私も頷いて、仕上げに指切りした。それを見て、茉絢が呆れたように笑う。



「ナユ、すっかり悪魔のママやん。略してアクママやん。わたしも今のナユにはちょっとバブみ感じたわ……ってオイコラ! わたしが行くまでお菓子は出すなっつったろ!? ほんと人の話聞かねーのな! 貴様はウンコなのか? ウンチなのか!?」



 有瀬くんが袋からお菓子を取り出したのを目にした茉絢が、優等生の眼鏡っ子の皮をかなぐり捨て、狂犬に豹変して吠える。



「キラキラにも一つやろうか?」


「うおお! よりにもよって『またぎの焚き火』のハロウィン限定パンプキン味かよぉぉぉ! ちくしょぉぉぉ……一ついただきます!」


「那由多にもやる」


「わぁい、あざっす!」



 何故か私には三個くれた。恋人特典かな、得しちゃった。


 茉絢と声を揃えて有瀬くんにお礼を言うと、私達はもらったお菓子を仲良く頬張りながら集合場所に向かった。



 次のプログラムは、いよいよクラス対抗ダンスだ。


 今度という今度こそは大縄跳びのような失態を犯すわけにはいかない。そのため有瀬くんにはしっかりと待機を言い聞かせ、最前列の茉絢達の席で荷物番を兼ねてお留守番をさせている。またヤッホーのノリで飛び入り参加されて、皆の心を乱されたらたまったもんじゃない。


 来年になればクラス替えがある。

 何人かとは同じクラスになれるかもしれないけれど、全員で一緒にいられるのは残り四ヶ月。皆と同じクラスで体育祭に参加できるのは、今日だけ。クラスTを踊れるのは今だけ、これが最後なんだ。

 そう思うだけで、こみ上げるものがあった。



「ナユ、泣くの早すぎ。今からそんなに泣いてたら、出番来る前に干涸らびるよ。ちょっと控えとこうか」


「うん……うん、茉絢。クラスが替わっても、お願いだから友達やめないでね……ずっと友達でいてね……!」



 背面にユニフォームっぽく出席番号とローマ字の名前を入れたオリジナルのTシャツ姿となった親友を抱き締め、私は咽び泣いた。



「えらい気が早いなー。クラス替わるくらいで廃れる程度のやっすい友情なんざ、わたしは持ち合わせてないよ。わたしの心にそんな余計な容量あるように見える?」



 20センチ近く身長差のある私に覆い被さるように包み込まれ、茉絢がはぁと私の肩口で吐息を吐く。



「だって、だって」


「中学の時のことを根に持ってるなら、ごめんって。あの時はわたしも素直じゃなかった。今だから言うけど、クラスが違っても友達になったよ。ナユと友達でい続けたのは、ずっとクラスが同じだったからじゃないよ」



『クラスが同じになったら、友達になってもいいよ』



 小学校を卒業し、中学入学を控えた丁度合間の時期に、茉絢は私にそう言った。


 死ぬ気で勉強して千極高校に入ったのも、離れ離れになったら茉絢と友達といられなくなると思ったから。

 将来のことを考えて、だとか、こういった環境で学びたくて、だとか、そんな高尚な動機は私にはない。

 ただ友達と一緒にいたくて、受験しただけ。私はそんな薄っぺらくて何も持ってない子だ。


 だけど茉絢は、こんな私をとっくに受け入れてくれてた。こんな小さい体で、全力で受け止めてくれた。



「ぶひぇぇん、茉絢ぁぁぁ! うぉぉぉん、大好きぃぃぃ!」


「うわ、まじか。さらに号泣加速した。えー……ナユもう泣き止も? Tシャツ濡れたら寒いじゃん。いくら毎日青汁牛乳飲んでるわたしでも風邪引くって」


「吉良ぁー、何やってんだよ。柊がナイアガラになってんじゃん」


「なっちゃん、深呼吸しよ深呼吸。まーちゃんも一緒に」


「はー、もー面倒臭いなー。ほらナユ、深呼吸だってよ。吸ってー吐いてー……オイ、ちゃんとやれよ。友達やめんぞ」



 最強の脅し文句は効果てきめんで、おかげで涙はシュッと引っ込んだ。



 泣き止んだところで、やっと他の学年と他のクラスのダンスを見学する余裕ができたけれど……どのクラスもアツい! 上手いとか下手とか、そういうのを超えて、一期一会のラストダンスって気迫と熱意に満ちてるの!

 特に一年五組のラインダンス、綺麗に揃いすぎてて溜息出たよ……さすが美尻運動始まりの地だね。足腰尻の鍛錬あってこその動きだったわ。


 有瀬くん、良かったね。走りでは失望させたみたいけど、密かに貢献できてるとこもあったみたいだよ。


 クラス対抗ダンスは三年生の六組から始まるから、一年一組はトリだ。全クラスのダンスの後だから、当然ハードルが上がる。だけどこのプレッシャーが、今は心地良く感じる。


 よっしゃー、やったるぞ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。