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アオハル of the Dead End! ~平凡女子高生、顔面チートで頭赤ちゃんな超雑男子とラブコメ(ほぼコメ)する~  作者: 節トキ
LESSON 16 ハロウィンに仮装しよう!

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16-9 顔は異次元、頭は低次元


 ホラー雑誌を立ち読みしてた城咲さんと、料理雑誌を立ち読みしてた真央さんと、漫画雑誌を立ち読みしてた志貴さんに声をかけてコンビニを出ると、我々は有瀬家に帰った。


 あのコンビニ、外から見たら怖かっただろうなぁ……顔だけ美人のプレデターと、殺意の塊な強面のオッサンと、黒布蝶々仮面が横に並んで夢中で立ち読みしてるんだもん。あの時間帯だけ、客単価下げちゃったかもしれない。


 帰ったら、真央さんの命令によって夕飯前に先にお風呂となった。衣装を脱いだらサッパリしたいだろう、とのことで。


 有瀬家のお風呂、すんごく快適だった!

 首の傷が少し心配だったけど、しみたのは最初だけだったから安心して浴槽に浸かれた。

 それにしても、ウチの風呂とは大違いのラグジュアリー空間だったなー。浴室が広くて浴槽が大きいのはもちろん、壁にズラッとマグネット式のボトルが並んでるの、圧巻だったわー。皆それぞれ髪質と肌質に合わせた品を使ってるんだって。高級サロンかよってビビって泣いたよ。どれ使っていいのかわかんなくて、迷いすぎて泣いたよ。

 髪質とか肌質とかわかんないけど、『明日香専用』ってラベル付いてるのをお借りしたよ。香りから少しでも美少女に近付けるよう期待を込めて!

 あと、こっそり『息子専用』をちょこっと出して匂いだけ嗅いでみたんだよね。シトラスの香りの源は、やっぱりボディソープだった。シャンプーとトリートメントもシトラス系でいい匂いだったなー。専用ボトルに移し替えられてるせいで、商品名はわからなかったけど。


 志貴さんが卸してくれた真新しいスウェットを着てリビングに戻ったところで、トリの城咲さんが入浴している間に真央さんと夕食作りを始めた。


 任されたことは簡単だった。炒めるか火加減を見るかオーブンを使うか、ほんとそれだけ。あとは洗い物くらい。



「こんなことでいいんですか? 大して役に立ってない気がするんですけど」



 完成した蒸し餃子に、オバケの顔をデコレーションしながら尋ねてみたところ。



「この家には、こんなこともできねぇ奴しかいねぇんだよ。カップ焼きそばを作れる明日香が勇者扱いされてんだぞ? 察しろ……」



 カボチャの器に入れた具沢山クリームシチューを飾り付けしていた真央さんは、死にそうな声で答えた。


 真央さん以外の家事不能率の高さ、想像以上だった。初めて真央さんに同情したよ。オカン、大変なんだね……。



「那由多ー、まだー?」



 有瀬くんがキッチンに顔を出す。



「まだだよ。いいから向こう行っててよ。邪魔だよ」



 シッシッと追い払うと、すぐに顔はすっ込んだ。

 このやり取り、もう何回目だよ。暇ならまたあのスマホゲームでもやって、楽しくゲームオーバーしまくってればいいのに。



「……すっかり機嫌が直ったみたいだな」

「え、気付いてたんですか?」



 ハンバーグに乗せるチーズの型抜きをしていた手を止めて、私は目を丸くした。



「は? 気付かねぇ方がおかしいだろ。あんなわかりやすいガキ。何が気に入らなかったんだか、どんどんご機嫌斜めになりやがって。志貴も明日香も早々に察して、なるべくあいつに触れないようにしてただろうが」



 えぇ……自分、全然わかんなかったっす。有瀬くんの様子にも皆様のお気遣いにも気付いてなかったっす。



「まぁ機嫌が直ったなら良かった。お前に食らいついた時は、いよいよ殺すしかねぇかと覚悟したわ」



 おいおい、殺すなよ。気絶させりゃいいっつったの、あなたでしょ!



「お前、本当に無理してないか? 倒すとか言ってたがあんな目に遭ったんだ、やっぱり怖くなったんじゃねぇのか? 気を遣わなくていいから、帰りたかったら帰っていいぞ」



 真央さんが心配そうに言う。ノリノリでパパやっといて、今更何言ってんだか。



「いいえ、大丈夫です。むしろ呆れました。お子様すぎて」

「那由多ー、まだー?」



 私の答えに被って、また有瀬くんが顔を出す。



「あーもう、うるっさいな! まだだっつってんでしょ!」



 シュッと顔が引っ込むと、真央さんと私は盛大に溜息を吐いた。




「留佳! どうしてそっちも独り占めするのよ!? 私にも寄越しなさい!」


「イヤだ、これも俺のだ。寄越さない」


「ズルいわよ! 私が柊さんと約束したのに! あなた、約束してないじゃない!」


「手料理は恋人ならではの行為だって、明日香が言ったんじゃねぇか。だから那由多が作ったのは全部俺のだ」


「そんなの暴論よ! ねえ柊さん、恋人の定石より友達との約束が優先よね? 卵焼きだって作ってくれたものね?」


「那由多、明日香の話なんか聞かなくていい。明日香の友達歴より俺の恋人歴の方が長いんだから、俺優先で間違ってない」


「はいはーい、仲良く半分こしてくださーい。できたら真央さんと志貴さんにも分けてくださーい」



 左右から訴える『息子専用』と『明日香専用』の二人に死んだような目で答えて、私は笑い転げてる『母専用』スウェットの人に話しかけるのは諦め、『父専用』スウェットで何もかも諦めたように二人がとっ散らかした食物の欠片やら皿やらを片付けている真央さんに尋ねた。



「いつもこんななんですか……ウチの姉弟喧嘩よりひどいですよ……」


「今日は三割増しひどいな……間違いなく、お前のせいだ……」


「勘弁してくださいよ……手伝った上にこんなのの責任引っ被されたら、やってらんないっすよ……」


「やたら様子を見に来ていたのが、お前がどの料理を作ってるかを確認するためだったとはな……くっだらねぇ頭の使い方しやがって……」



 雑だからね……と声の代わりに溜息で吐き出し、私は真央さん作のお料理を堪能する作業に戻った。

 有瀬くんも城咲さんも、真央さんの料理の方は既にきっちり完食している。二人共、たくさん食べる子で何よりだ。


 よく食べ、よく遊びよく学べ、そしてすくすく育て、子ども達よ!



「おい、ふざけんな、明日香。これ半分じゃねえだろ。見るからに量が違う、そっちの方が多い、おかしい。貸せ、俺が分ける」


「はあ? 貸すわけないでしょ。留佳が分けたらボロボロ落としてなくなっちゃうじゃない。渡したが最後、どうせ全部横取りするつもりでしょ? あなたの魂胆はミエミエなのよ!」



 うん……体はすくすく育ってるのに、心はちっとも育ってないのは何故なのでしょうね?


 この人達、ほんと雑と変が過ぎるよね。どっちも次元歪みそうな超絶美形なのに、やってることは小学生の給食の取り合いとか……こんなに美形が仕事しないシーンって、なかなかないと思うわ。

 あと私のスウェット、何故か『娘専用』って書かれてるんだけど、もう突っ込むのも疲れたからスルーでいいや。


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