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「……疑ったほうがいいね。こんなの、簡単すぎるよ。素直に宝探しをしていたら、ボク達の運命は……あの石像達だ」
ファントム・アイに変じているヨアは、右手に拳大の宝玉を握りながら左手を耳に当て、ラゼとの通信を行っている。
その言葉がユウに伝えらるのを確認しながら、ヨアは言葉を続けた。
「まだ時間はたっぷりある。久遠晶は残り4つ……。あと2つ以上見つければゲームクリア。……そうだな、あと2時間。このまま手分けして久遠晶を探そう」
『あ……ああ。ユウに伝えておく。それで、2時間経ったらどうするんだ?』
「とりあえず合流しよう。さっきの地点までの目印はしっかりシールしてあるよね?」
『おう、ばっちりだぜ』
「オッケー。引き続き、迷わないように慎重に歩いてね。はぐれるのが何よりもここで気をつけなくちゃいけないことだから」
ラゼとの会話を終え、ヨアは軽く久遠晶を上に投げてキャッチする動作を繰り返しながら、考え事をする。
(ボクがコレを拾ったのは、森の小川の川辺。ユウが拾ったのは枝の隙間だっけ。……木の葉の中とか、川の中に入り込みさえしなければコイツが放っている光ですぐにでも見つけられる。ファントム・アイの力を使っていれば余計に発見は早くなる。……やっぱり、どう考えても簡単すぎる)
残り時間は11時間ほど。この広大な森の中で、1時間を経たずして2つの宝玉を見つけた事が、ヨアの感じる大きな違和感となっていた。
(……クロガラス達は、わざとコイツを見つけさせたんじゃないか?……簡単な場所に隠された、光を放つ2つの宝玉を……)
そしてヨアは、小さな違和感の一つ一つを脳内で整理していく。
(……『旋毛の森に必要なものは、知恵』。あの看板。……3匹のクロガラス。6つの宝玉。……クロガラスがわざわざボク達の前で見せつけるように久遠晶を放り投げ、その後に姿を消した理由。……そして、制限時間と石化……)
ヨアはぐるりと辺りを見回す。
相変わらず、鳥の声も虫の声もない、静寂の森。木々のざわめきがまるでヨアを取り囲むように聞こえ、あざ笑うように聞こえる。
「……なるほどね」
ヨアはファントム・アイの仮面の奥で微笑みを浮かべた。
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「あ、おーいっ!ヨア!」
開けた場所で、倒れた大木を椅子にして座るユウはイヴァレックスの変身を解いていた。
それは先ほどヨアからの通信で指示されたことで、ヨアも同様に変身を解いてユウの方へと歩んでくる。
「おつかれ。ラゼットもいるね?」
「あー、いるぜ。……無事に合流できたな」
木の枝を抱き枕にするように横たわっていたラゼットが、リスのようにそこから駆け下りてきてユウの肩に乗っかった。
「だね。本当に宝探しだけで、制限時間以外にこのゲームに危険はないみたいだ」
ラゼットとユウに表情を緩める。
変身を解除するのは咄嗟の戦闘に対処できない事やファントム・アイの視界能力が使えないというリスクがあるので、危険を伴うというのは全員理解している。
だからこそ、こうして全員で集合ができたことに二人と一匹は少なからず安堵しているのだ。
「でもさ、ヨア。どうして変身解除するんだよ。久遠晶を探すのならファントム・アイの能力が使えたほうがいいわけだろ?」
「フレームシステムの変身時間には多少なりとも限界があるんだよ。何もしなくても消費をして、能力を使ったり戦闘をすれば強制的に変身解除になる。大事な場面で変身ができなくなるより、地道に宝探しをしているほうがずっといいんだ」
「大事な場面、って……?」
「それはここから。まあ、危険がないってわかったわけだから、変身をしている意味は最早ないに等しい。……で、ユウとラゼ、見つけた久遠晶は?」
「あ、ああ……コレ」
ヨアに言われて、ユウは持参したショルダーバッグにしまっておいた久遠晶を取り出し、地面に置いた。
それを見てヨアも同じようにバッグから久遠晶を出して並べる。
「ヨアもこれ以外には見つけてねーのか?」
「うん。2時間、ファントム・アイを使って探索をしたけどダメだったよ。そっちも同じだね?」
「ああ。っても無駄に広い森だからな……。多分全体の10分の1も回れてねーと思うぜ。隅から隅を探すんじゃ、12時間じゃ足りるわけねーよ……」
怒ったような、疲れたような表情を浮かべてユウの肩で項垂れるラゼ。
「お前は俺の肩に乗っかってるだけだからいいだろ……。もー、足の疲れまで現実世界とリンクするんだからさー……太股が痛いよ……」
そのラゼットの額に軽くチョップをするユウ。
一方のヨアはその様子を見て肩をすくめて笑顔を見せた。
「……?なんか、結構余裕そうだな、ヨア。すっきりしてるっていうかなんていうか……」
「うん。なんとなくね。えーと……残り時間はあと8時間と少しってところかな」
「そんなところだな。どうするんだ?また二手に分かれる?」
「いや、ここからは合流して一緒に探そう。二手に分かれる意味がなくなったし」
「……?どういうことだ?」
「そのうち説明するよ。……あとは予定通り、クロガラス達がボク達の前に現れてくれればいいんだけど……ま、そのうち来るか、嫌でもね」
「……??」
ヨアの独り言に首を傾げるばかりのユウとラゼ。
「少し休憩したらゆっくり宝探しを再開しよう。変身はなし。森林浴する気分で、のんびりとさ」
「え……オイオイ。ヨア、聞いてたのかよ……。制限時間を過ぎるとオレ達は石にされて、ニューレアルに二度と……」
「勿論分かってるよ。ま、焦りは禁物。見つかるものも見つからなくなっちゃうよ?」
「……はあ」
頭後ろで両手を組み、倒木を枕にして気持ちよさそうに横になるヨア。
言った通りに森林浴を満喫している感じのヨアを、ユウとラゼは目を点にしながら見ることしかできなかった。
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