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張燕と沖田

「隊長たち何をしているんすかね~?」


「分からない。もうあのまま一刻立つ・・・・・無事だといいが」


「争っている様子はなさそうですが・・・・・」


誠華たちは吹雪のいる小屋を見てそう話す。小屋の外では新選組と黒山衆が対峙し、いつ斬り合いが始まるかどうかの緊張感があった。


「(隊長は・・・・張燕と一体何の話をしているのだろうか・・・・)」


副隊長である誠華は隊長である吹雪がいるであろう小屋を心配そうに見るのであった。すると


「隊長のことが心配っすか?」


隣にいる桜花が訊くと


「当たり前だ。桜花。お前はどうなんだ?」


「そりゃ心配に決まっているっすよ。今私がいるのは隊長のおかげだし、何よりこの場にいる隊士たちみんながそう思っているっすよ。それに私たちが隊長を信じないで誰が隊長を信じるんだ誠華?」


「そうか・・・・・そうだな」


そう微笑み誠華たちは吹雪と張燕が会談をしている小屋を見るのであった







「どうしたのかしら沖田君?気難しい顔をしているが?」


黒山衆の頭目である張燕とあった吹雪は今小屋の中で酒を飲みながら話す張燕と話しをしていた


「遠慮せず、君も飲み食いしたらどう?別に毒なんかいれていないよ」


「そうは思っていない。ただこれは何処から持ってきたものだ?」


そう言い吹雪はさらに盛られた料理と酒を見る。どれもただの賊が用意できるほどの高級な物ばかりだったからだ

俺が何を思っているのか分かったのか張燕は


「ふっ…安心したまえ、天の御使いさん。これは村から略奪したものでも貴族共から巻き上げたものではない。ちゃんと自分のお金で買い集めたものさ。私はいい酒や香料を集めるのが趣味でね」


「・・・・・・」


「その顔は疑っているね?まあ無理もない。私は大盗賊集団のお頭。なぜそんなのを買うお金があるのにこんなことをするのか?」


「ああ・・・・それともう一つ。今回の乱。お前たちは周辺の村を襲わず、漢王朝の兵だけを撃破している・・・・・・お前たちは一体何をしたいんだ?お前たちの目的はなんだ?」


そう・・・今までの戦いの中、雪風の調査で黒山衆は漢王朝の軍勢を撃破はしても一度も村を襲っていない。一部では襲った連中もいたが、それは物資を奪っただけで村人には死人が出ていなかった。

なぜそんなことをしているのか俺は彼女に訊くと彼女は


「ふふっ・・・・目的?目的ね・・・・・」


と、小さく笑う


「沖田吹雪・・・・それは愚問という物だ・・・・目的とはね」


そう言い小さく笑った後、俺を見てニヤっと笑う


「極論としていってしまうのであれば沖田君。私には目的など存在しないのだよ」


「何?」


「覚えておくといい賢い少年よ・・・・世の中には手段のためなら目的を選ばないというどうしようもない連中が存在するのだよ・・・・そう我々のようにね?だが・・・強い目的を作るとすれば……君の存在だ」


「なに?まさか池田屋事件の復讐か?それで最終目的は洛陽放火か?」


「あんな連中と一緒にするな。私は洛陽放火には反対派だった」


「じゃあ、池田屋事件での洛陽放火作戦は・・・・」


「あれは牛角が勝手にやり始めたものだ。私は町を放火してのやり方が気に食わなかった・・・・・・だからあいつと袂を別った。私の手段は無駄な血を流すのは極力避ける方なんでね。まあ手段を実現するため犠牲はやむを得ないのだがな」


と冷ややかな笑みで酒を飲みそう言う張燕


「矛盾だな・・・・・ならなぜこんな騒動を起こした?」


「だから言ったろう?強いて理由を作るのであれば君の存在だ」


「俺の?」


「そうだ。今この漢王朝という国は腐りきり、金持ちや権力を持つ者は贅沢にそして裕福に生きる反面。そうでないものは貧困や差別により苦しむ。そう。今の状態がそうだ。我々がする手段とはその腐りきった連中を消毒することなんだよ」


「そして・・・・新たに国を立ち上げると?」


「それに近い形だ。」


「張燕。お前は破壊活動をして新たな世界を作るというが民衆はどうだ?急な改革で民衆がそれを認めると?」


目を細めそう言う吹雪に対し張燕は


「こんな話を知っているかい沖田君。カエルを熱湯に入れるとカエルはすぐに飛び出す・・・・だが、普段の水の温度より少しだけ温かい水に放り込んでもカエルは自ら出ようとしない。そのまま水をどんどん上げていくとカエルは水の温度が上がったことに気づかず、茹で上がってしまう」


そう言い肩をすくめ


「ようは慣れということだ」


「人間はカエルとは違う」


「そう祈っているよ・・・・・話がそれたね・・・・それでこの大陸には二人の『天の御使い』と呼ばれる存在がいる。一人は調べたところまだまだ青く脅威ではない・・・・だがもう一人。つまり君だ。私にとっては厄介な存在だよ。『天の御使い』と呼ばれ短期間で天水の治安を改善させ、そして荒くれ者たちを率い漢軍ですら倒せなかった定軍山に布陣させた我が同胞を少数で打ち取った。池田屋と言い定軍山と言い非常に厄介な相手なんだよ君は。だから今回の乱はこの騒ぎを起こせば必ず君が出ると踏んでわざわざ同胞たちを天水近くまで進行させたのだ」


「つまり・・・俺を抹殺するためか?」


「それだったら天水の街に暗殺専門の同志を送り込み君が寝ている隙にその首を掻き切っているさ…要は池田屋の奇襲以外での君たちの実力が知りたかった。結果には満足しているよ」


「それは光栄だな?で、どうする張燕。ここでやるつもりか?」


吹雪がそう言い腰のホルスターのふたを開け14年式拳銃のグリップを持つと彼女は両手を上げ


「いや。よそう…今は食事中なうえ。食事中に暴れるのは礼儀に反する。言ったろ結果は満足していると・・・・・今回は私の負けということで我々の方から引こう」


そう言い張燕は指をパチンと鳴らすと、そばにいた女中が食器と食事を片し、そして張燕は先ほど自分のまとっていたフードを取り


「さて・・・・なかなか楽しい話だった。今回は私の負けだが・・・・・」


そう言い彼女はフードの中に隠していた長剣を俺の首筋に当て


「次は負けないよ・・・・私は決して君に打ちのめされない。君にもし私を破滅させるだけの知力と武力があれば、私にもまた君を破滅させるだけの知力と武力があるのだよ沖田君」


そう言い、不適の笑みで言う張燕に対し沖田は


「その挑戦はいつでも受けてやるよ張燕。だが俺からも言っておく。俺は君を確実に破滅させることが出来るならば、公共の利益の為に俺は喜んで死を受け入れよう」


と不敵の笑みで返すと張燕は少し驚いた顔をするが


「ふふ・・・・期待通りの男だな君は。君のご高説承ったよ。それに君の覚悟もね」


そう言った瞬間、あたりから黒い煙が立ち込めた


「っ!?」


吹雪が驚いた瞬間


「また会おう。沖田君」


そう言い彼女は煙に紛れて消えるのだった。そして煙が晴れた時にはそこには誰もいなかった。すると・・・・


「隊長!大丈夫ですか!!」


と、誠華たちが入ってきた


「誠華・・・・ああ。俺は大丈夫だ。それより表はどうなったんだ?」


「はい。奴ら黒い煙を出して、私たちの目をくらませてその隙に逃げられてしまいました・・・・隊長。張燕は?」


「ああ、誠華たちと同じように逃げられたよ」


「くっそ!せっかく敵の親玉を捕まえると思ったのに!」


桜花が悔しそうに言うと


「大丈夫だ。また捕まえればいいだけの話だ。さて・・・・俺たちも戻るぞ」


そう言い吹雪は帽子をかぶり小屋を出た


「(あの張燕・・・・長い付き合いになりそうだな。それにしてもまるでモリアーティー教授のような奴だったな。侮れない)」


そう思うのだった。そしてその後、定軍山の戦いを最後に黒山衆は突如と姿を消し、黒山衆の乱は終結するのであった。

そして初陣を飾った吹雪たち新選組も華雄軍とともに天水へと帰還するのであった




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