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黒き飛燕、その名は張燕

更新遅れてすみません。何とかかけました

定軍山の戦いの後、沖田の所属する董卓軍討伐隊は定軍山の勝利を皮切りに、次々と戦地を転々とし、黒山衆を撃破していった

特に吹雪率いる新選組は黒山衆の戦い後、常に最前線で戦いその地にいる黒山衆を撃破するなど獅子奮迅の活躍をした

そして吹雪も常に部隊の先頭に立ち、黒山衆の賊を切り伏せたり、または持ってきた九九式小銃で後方にいる敵の指揮官を狙撃して倒した。

そしていきなりの狙撃に倒れた指揮官を見て、取り残された賊たちは瓦解し、そのうちの多くは逃散した。そしてそれを追尾し打ち取る新選組の幹部や隊士たちの抜刀部隊はその烈火のごとく敵の各地に点在している小規模部隊を各個撃破していった。

だが、それは簡単にできる行動ではない。可能な限り素早く敵部隊を倒し、素早く次の敵部隊にむかわねばならない

言うは易し行なうは難し

ではなぜ吹雪たち新選組がそれを可能にしたのか?


その理由は『指揮系統の細分化』と『後方援護部隊』にあった

先ず『指揮系統の細分化』だが、これは皮肉にも武勇の将が少数であった事が原因である

つまりは将が居ないのなら、将に頼らない部隊を作り出そうという訳だ

この時代の軍隊というのは、率いる将の資質に大きく左右される

成る程、有能な将に率いられた軍勢は確かに強い

しかし、それは個人の資質に依存する物であり、ある意味で非常に不安定な物であるのも事実だ

新選組は、誰が率いても同じ程度の戦果を期待出来る、言わば近代的システマチック軍隊の整備を急いでいた

戦闘状況をパターン化し、司令部が指示を下す

場合によっては軍師による修正が加えられて、それを前線部隊が実行に移す

遅延無く正確な指示を下すために、偵察部隊を無数に放ち正確な情報を入手、そして各部隊への伝令を増やし、太鼓や銅鑼、あるいは手旗信号による通信手段も確保する。

そして複雑で有機的な運用を可能にする為、末端まで目の届く指揮系統を設立

つまりは、将→佐官→尉官→下士官→兵といった具合に吹雪は指揮系統を細分化したのだ

人間1人が直接指揮を取れる人数には限界がある

だからこそ細分化する事によって、命令が届かなかったり過ちが起こったりする事を防ごうという訳である

当然ながら1人が1000人に指示を下すよりも、10人に指示を下す方が簡単だし錯誤も少ない

これによって新選組は幹部士官が少ないにも関わらず、驚くほど正確で素早い用兵を可能にしていた。そしてなにより兵卒がきちんと作戦内容を理解していたのが大きかった


次いで『後方援護部隊』だが、この重要さは言わずもがなだろう。新選組隊士の半数は出撃をしているが、残りが遊んでいる訳ではない

主力軍に絶え間なく補給を繰り返し、場合によっては疲弊した兵と入れ替わるといった仕事を黙々とこなしている

後の時代の補給部隊と違い、後方援護を主任務とする部隊であっても、半分は戦闘部隊として運用が可能なのが強みである

言うまでも無いが十分な補給がある軍隊と無い軍隊では、勝敗は始めから決まっている

その上、兵士達は適度に後方援護部隊と入れ替えを行っているから士気の低下も抑えられる

これは吹雪が元の時代の軍事知識から考えたやり方をアレンジした結果である

他にも他の軍勢に対して董卓軍の十八番の騎馬の比率が高かったり、輸送を専門部隊に任せてしまう等の細かな改良点も多い。そして何より雪風率いる偵察部隊の正確な情報が新選組を無駄なく動かすことができた

こういったこの時代には無かったシステムを多数取り入れた新選組の近代戦法は見事に成功し、新選組は現時点で世界最高の機動力を有する部隊であった


そしてその電撃戦さながらの行動力と攻撃力に何時しか黒山衆からは董卓軍。漢王朝の官軍よりも強くそして華雄軍とともに戦場を駆け巡るその黒い軍服姿から『黒い狂狼集団』と呼び恐れるようになった

そしてその隊長である吹雪も修羅さながらに敵を倒すその姿から

『人斬りの沖田』と呼ばれていた




黒山衆を次々と撃退する董卓軍だが、討伐している黒山衆の中に、肝心の黒山衆の棟梁である張燕の姿は何処にもいなかった。


「ここにもいなかったか・・・・・どうするか」


黒山衆の乱が始まって数週間。みんなが寝静まった夜に天幕の中で俺はそう呟く、いくら、討伐部隊である華雄軍や俺たち新選組の快進撃が続けど。長期戦になれば、物資も不足するし兵や民も疲弊する。だから吹雪はそろそろ決着をつけたいとそう思っていた。


「う~ん・・・・いったん外の空気でも吸うか」


そう呟き、俺は天幕を出た。俺は陣営から少し離れた場所にある少し大きな石に座り星空を見る


「ここにきてもう半年以上か・・・・・」


俺は小さく呟く。すると・・・・


「あの・・・・」


「ん?」


振り返ると、そこには女性が立っていた。服装からして一般市民のようだが・・・・


「あの・・・・新選組の人ですか?」


俺はその女性を見る。いや、女性というよりは少女だ。見た感じの年齢は俺と同じか一個下のような感じだ


「ああ・・・・そうだけど…君は?」


俺は少し警戒しながら彼女に訊くと


「あ、私近くの村の者でございます。実は黒山衆のことでお話ししたいことが・・・・ここではなんですので私の家に来ていただけませんか?」


「それならうちの天幕で話した方がいいんじゃないですか?」


「それはそうなんですが・・・・皆さん寝ていますし、何より大勢の前では言えないことが・・・・」


「なるほど・・・・それでお宅の村は?」


「はい。ここから少し歩いてすぐです」


「・・・・そうか。わかった。案内してくれ」


そう言うと彼女は俺を村まで案内し、俺はその場を離れるときある場所を見て小さく頷く。するとその場所にあった草がカサカサと揺れ、俺は村娘の後をついていくのであった










村娘は俺を連れ出し、着いた場所は確かに村だったがそこはだれも住んで言うようには見えない荒れ果てた廃村だった


「なあ、そろそろ教えてくれないか?なんでこんなところに・・・・・」


連れて来たんだ?と続けようとした所、周りの建物から武器を持った集団が現れた。


「なるほど・・・・どうやらこの人の言う通り、黒山衆はここにいたようだな」


と、そう言い彼女を見ると


「はい。驚きましたか?枯草の御使い基新選組の隊長さん?」


「ああ・・・・まあ、うすうすはわかっていたんだけどな?」


「どういうことですか?」


「こんな夜中に村の娘がやってくるわけないだろ?それに黒山衆が潜伏しているという情報があったしな。まさかと思ったが当たっていたか・・・・・・それであんたが張燕さんか?」


「いいえ。私はその同志の于毒といいます。張燕様は多忙なお方・・・・ですので私たちが変わっておもてなししましょう」


そう言い指をパチンと鳴らすと、周りにいる黒山衆は剣を抜き弓を俺に向ける


「なかなかの歓迎だな?」


「随分と冷静ですね?自分の置かれている状況分かっていますか?私が黒山衆の一人と知っておきながら一人でここにきてそして今、無数にいる我が同志たちに殺されようとしているのに?」


「ああ。わかっているつもりだよ。でもおかしいと思わない?」


「何がです?」


「なぜ俺が一人で来たと思い込んでいるのかな?」


「何ですって?」


宇毒が俺の言葉に怪訝そうな顔をした瞬間・・・・


「う、宇毒様!?ま、周りを見てください!!」


「何ですって?」


一人の黒山衆の言葉に宇毒は周りをよく見ると囲んでいる黒山衆の背後一面、誠華以下、新選組の隊士たちが取り囲んでいた


「い…いつの間に」


「あんたに連れられる直前に、雪風に伝え隊士たちを誘導してもらったんだよ」


そう、先ほど吹雪は宇毒についていく前に草むらに潜んでいた雪風に連絡し、隊士たちを起こし、そして吹雪は自分から囮となりここに仲間を誘導したのだ


「それで・・・・宇毒さん。ここでやるつもりか?」


そう言い吹雪は刀を抜き構え、そして新選組隊士たちも剣や弩を構える。そして黒山衆も新撰組隊士に剣や弓を構え膠着状態になる

すると・・・・


「失礼します・・・・」


「「っ!?」」


いつの間にかフードをかぶった女性が立っていた。恐らく彼女も黒山衆の仲間だろう。するとその女性は


「張燕様があなたにお会いし話したいといっております。むろん話す相手は新選組隊長であり天の御使いである沖田吹雪殿ただ一人。二人きりで向こうの小屋で話をしたいと・・・・・」


「張燕が?」


「はい。よろしければ来てもらえますか?無論その間兵たちは動かしませんとおっしゃっています」


「わかった・・・・にここで睨みあうのもつまらん。話を聞きましょう。誠華、みんなすまないが少しだけ待機してくれ何かあれば合図する」


「わ・・・わかりました」


「では、こちらへどうぞ・・・・・」


俺が誠華にそう言い、その少女についていこうとすると・・・・


「お、お待ちください!!」


「?」


宇毒が少女を呼び止める。だがその時俺は彼女の言葉に何か違和感を感じた。すると少女は


「・・・・・・張燕様に逆らうおつもりですか?」


「うっ・・・」


少女に睨まれ、宇毒は顔を背ける。そして俺は少女に連れられ小屋の中に入る


「張燕様・・・・お連れしました」


とそう言う。小屋の中は火が灯してなく薄暗かったが、部屋の中に誰かいるのはわかった。そして俺のもとへ近づくとそこには女性がいた


「ごくろう・・・・・・で、あなたが、沖田吹雪か?定軍山に陣取らせた精鋭部隊を蹴散らし、宇毒のたくらみを暴くとは・・・さすがは池田屋で我が同志の幹部を打ち取っただけのことがあるな・・・・」


「ああ・・・・で、あんたが張燕か?」


「いかにも・・・・・」


「なるほど・・・・・つまりここに呼んだのは話し合う前に俺を試そうとしているんだろ?」


「・・・・どう言うことかしら?」


張燕を名乗った女性は目を細めると俺は


「だって、あんたは張燕じゃないよ。そろそろ下手な芝居はやめたらどうだ?あんたは張燕じゃないよ・・・・本物の張燕は・・・・あんただろ?わざわざ影武者使ったつもりだけど俺にはわかるよ」


そう言い俺は先ほど俺を小屋に案内したフードの少女を見る。するとフードの少女は小さく笑いだした


「ふふ・・・・・ふふふふ・・・・・まさか見抜かれていたとわね・・・・なぜわかったのかしら?」


そう言いフードを取るとそこには白髪の長髪の少女…黒山衆頭目の張燕が俺の顔を見てにやりと笑いそう訊く


「さっき、宇毒があんたに対して『お待ちください』と言っていた。敬語を使うのは黒山衆の頭目であるあんただけだと思ったからさ。それに雪風の情報では張燕は身長が少し低いということが分かってな。だからさっきの女性が張燕じゃないって言うのが分かったのさ」


「なかなかの推理力ね・・・・・まあ、いいわ。あんた。明かりをつけてくれる?それと私の秘蔵の酒とそれに合う肴も用意して」


「畏まりました張燕様」


と、張燕は先ほどの女性に言うと女性は明かりをつけ始める


「さて・・・・・それではさっそく話を聞こうじゃないか張燕?」


俺がそう言うと彼女はにやりと笑うのであった

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