詠と吹雪、兵器について語る
「今夜仕事が終わったら僕の部屋に来て」
そう昼間に政務をこなしている時に詠に呼ばれた俺は詠の部屋の前まで来ていた。
「(・ ・・何かまずったのか?大きな失敗をした覚えは無いんだがなぁ?)」
そんな風に考えながら目の前の扉を軽く二回ほど叩く、その音に対して中から
「吹雪?入っていいわよ」
そう呼ばれて部屋の中へと足を踏み入れた。
「それで、詠?何か用事なのかな。最近失敗は無かったと思うんだけど」
「第一声が説教の心配なわけ!?・・・安心していいわよ、吹雪は警邏とか役職とか文官の手伝いとかよくやってくれていると思ってるし、ここの文官は基本的に皆信頼しているけど、それでも絶対に月を裏切らない文官だしね、吹雪は。今日はそんなんじゃなくてね・・・天の国だっけ?吹雪がいた世界の事を聞きたくて呼んだのよ」
そう呆れた風に言われてしまう。
「俺の世界?母さんじゃなきゃダメ?」
「確かに前に恋に天の国のことを訊いたけど恋は『吹雪のほうが滞在時間とその時代の常識が私より詳しい』って言われてね。で、あなたを呼んだわけ」
母さん・・・・・面倒くさかったのかな?
「まあ、答えられる範囲だけどそれでいいか?」
「ええ、別にいいわよ。お礼っといってはなんだけど。町でいいお菓子が手に入ったから、一緒に食べない?」
「うん。頂こうかな?」
そう言い俺は彼女の言葉に甘えて席に座り、詠はお茶菓子とお茶を持ってきて、湯呑にお茶を注ぐ
「いい香りだな?」
「でしょ?これは僕のお気に入りのお茶なのよ」
そう言って笑みを浮かべ
「さぁ、貴方の世界を聞かせて頂戴?」
「聞かせてといわれてもな・・・」
お茶を注いでもらいそれで香りを楽しみながら俺はこう答えた
「漠然としてまとめ切れないからな・・・詠が質問をしてそれに俺が答えるという形式じゃダメかな?」
「そうね、そのほうが僕も知りたいことを絞れそうだしそれでいいわ。・・・随分前に警邏の設備や区画整備の時に聞いた程度だったし・・・そうね、まずは政治関連ってどうなっているの?」
そんなまじめな問いに対して俺は自分の持っている知識で受け答えをしていく。
法整備に関しての法律、学校のこと、どのようなものが売れていたか、農耕はどうなっていたか。農業道具ではどんなのが使われているのか
自分が知りえる限界の答えしか出せないことを少し歯がゆく思いながらも答えていった。
「そう、やっぱり天の国はかなり進んでいるのね。あ、僕もお茶貰っていいかしら?」
「ああ。俺が注ぐよ」
「ありがと」
そう言い俺は詠の湯飲みにお茶を注ぐ。」
「それでね。吹雪・・・・聞きたいことがあるのよ」
「なに?」
「あんたの持っている。銃ってやつなんだけど」
「ああ・・・・量産するかどうかって話のことだろ?」
詠は俺の九九式小銃について聞いた。理由は以前。その銃の性能を見たいって言われ広場で射撃試験をした時だ。的は500メートル離れた鎧の中で一番固いやつを標的にして俺は撃った。
結果は俺の放った九九式小銃の7・7ミリ弾は見事に貫通。その威力にその場にいた詠たちが驚いていたのを覚えている
それで詠はその銃を生産しようと考えていたのだ
因みに母さんは『吹雪の判断に任せる』と言っていた。だがそれはちゃんと決断する時は責任を持てと言う意味も俺にはわかっていた。
「うん。実際のところどうなの?」
「正直言って九九式ほどまでの銃は難しいと思う。それ以前なら何とかなりそうだけど。少し危険かな?」
「危険?」
「強力な武器は次の戦の引き金になると思うし、何より他国がまねして生産する可能性がある。そうすればそれを超えるために新たな強力な兵器を作ることになる」
「キリがないわね・・・・それ」
「ああ、とある人が言っていたよ『血を吐きながら続ける悲しいマラソン』・・・・追いかけっこだって」
「じゃあ、吹雪は反対?」
「侵略のための使用目的なら大反対だ。それに銃とは無縁のこの世界で強力な兵器はいわば核兵器と同じだ」
「何それ?」
「65年くらい前に俺たちの国に使われた兵器。人口35万人の大都市がたった一発で灰燼に帰した。それを考えればを殺す方法については俺達の世界は一流だろうなぁ、大国二つが戦争すれば文字通り人類は絶滅するしな。20年くらい前まで二つの大国がその対立状況にあってね。直接戦わないことから冷戦って呼ばれてたよ」
「恐ろしい話ね・・・・・じゃあ、その銃も」
「ああ、この時代ではそうなりかねない・・・・けど」
「けど?」
「もし、月やこの町の人々を守るためだったら・・・・・侵略じゃなくて守り・・・・・自衛のためで使用するなら。俺はその兵器を作っても構わないと思う」
「・・・・・矛盾ね?」
「言った俺もそう思うよ。まあそれ以前に銃を製作できる技術者…鍛冶屋がいないからな。できたとしても時間はかかるよ」
「吹雪。もし、その銃が生産することができたら作ることのできる人がいるならどうするつもり?」
「・・・・・・」
詠の言葉に俺は少し黙ると。俺は一冊の書簡を出した
「吹雪。これは?」
「俺が考えた『近代国防軍事理論』つまり天の国の軍事についてそして国防についての資料だよ」
詠は俺の書いたその資料を見る
「正直俺は人殺しは嫌だしやりたくもない。だけど大切な人や家族を守るためなら俺はどんな手でも使う。銃も製造する。だがそれは侵略ではなく専守防衛・・・・自衛の時のみ使用。運用も俺の部隊で運用しようと思う」
俺が話す中、詠は
「吹雪。この書簡の件とあんたの意見。考えてもいい?」
「うん。ありがとう詠」
俺は少し軽く笑うと詠は少し顔を赤くし
「か、勘違いしないでよ。あんたのためじゃなくて月のため・・・あんたの言う家族のためだから!そこのところ勘違いしないでよね?」
「うん。わかってる……お茶無くなっているね。注ぐよ」
「・・・・・・・ありがとう吹雪」
俺は彼女の湯飲みにお茶を注ぐのであった
翌朝。俺は今日は非番で今日は俺の軍刀を研ぐため鍛冶屋に向かっていた。刀のメンテナンスは祖父ちゃんに教わり一通り出来たが研ぐとなるとやっぱり専門家に診てもらった方がいいと思ったからだ
俺が町の中を歩くと
「あ、隊長。お疲れ様です」
「ご苦労様です」
「なんだな」
と俺たちはパトロールをしている警邏隊員にあった腕には白い腕章をしている。
因みに警邏服も変わった。服装は黒い軍服風のいわば銀魂の真選組みたいな隊服になっている。まあ明治時代の警官も黒服だし。同じか
因みに黒色の理由は町の人への印象付けの他『何色にも染まらない』という強い意志を象徴してその色にした。
ああ・・・それと、俺の目の前にいる3人は前にねねに手を出そうとした3人のチンピラだった。
因みにあの3人組は半月前。
この日は朝から町へと繰り出していた。目的は特に無い。ただの散歩。しかしそこで意外な顔に再開する。それが彼ら3人組だった。
今度は物取りとして現れた彼らだったが、相手が俺と気付くとその場で土下座。
「見逃してください」と。
しかし、別に俺は彼らをどうこうする気は無かった。というか、今の今まで忘れていたのだから。そこでふと疑問に思ったのだ。
「あんたら、他に働き口ないのか?」
現代では無くこの世界なら。他にやろうと思えばいくらでも仕事はありそうな物なのだが。話を聞くと、どこかで畑を耕そうにも良い場所には既に人が。元手となる金も無し。兵をやろうにも、自分達は所詮街のチンピラ。戦争なんぞできるハズも無く。文字も書けず、計算も出来ず。どこか遠くの寒村なら暮らせるだろうが、そこまで行く路銀も無し。とまぁ、そんな状況だ。
そこまで聞いて、流石に俺も同情。そこで、俺は力になる事にした。
と言っても金を与えるのではない。それでは一時しのぎにしかならず、根本の解決にはならないからだ。俺は警邏隊に入らないかと誘って、彼らを警邏隊に入隊させた。今のあいつらの顔を見ると前と違って生き生きとしている。
「それじゃ、隊長。俺たちはまだ警邏の続きがあるんで」
「おう、頑張れよ!」
「「「はい!!」」」
そう言い俺たちは3人組と別れた。
「さて・・・・俺もいくか」
「ここか・・・・」
俺は目的地である武器屋に着いた。武器屋はこの街で4つあるのだが俺の持っている軍刀(分解して銘を見たらあの有名な「中曾根虎徹」だった。これはびっくり)をメンテナンスできるところは4軒中ここだけだったったのである。
「お邪魔しま~す。おっちゃんいる?」
俺は店に入り此処の主人であるおっちゃんを呼んだ。するとそこには・・・
「あ、すみません。親方なら今、陳留に旅にでてるよ」
椅子に座って何か設計をしているのか、何かを作っている少女がいた。
髪は少し緑がかった銀髪で前髪がぱっつんでセミロングをポニーテールにして大きな緑のリボンで留めていた。
「あ、あの何か用か?」
「え?ああ、この剣を研ぎなおしてもらいたくて・・・・」
「ふ~ん。変わった形ね見せてくれる?」
「え、いいけど・・・・」
そう言い俺はその子に刀を渡した。しばらくその子は俺の刀を見ていたが・・・
「・・・・なんなのこの剣・・・・どうやって作っているの‥‥これ折り返しかしら‥‥何層あるのこれ。それに鋼も研ぎも、いったい何がここまでさせてるのすごいわ!!ねえ!ちょっとあんた!!」
「え、はい?」
「これは何なの?どこにあるものなの?」
「え・・・・あ、あのこれは日本刀って言って俺の国の剣だよ」
「二ホントウ!?すごいわね・・・・でもどんなにすごい剣でもいずれ技術の進歩で剣と弓の戦いはなくなるわ」
この人、剣の戦いがいずれ終わることを読んでいる・・・・
「はぁ・・・そうですか・・・・・あのそれでお姉さんはいったい何を書いていたんですか?」
そう言うとその人はふふんと鼻を鳴らし
「弓に代わる新兵器を考えていたのよ。私は火薬のことを調べていたんだけどね。その火薬を使って弓よりも高性能な武器の設計図を描いていたのよ。これがそうよ」
そう言いて彼女はその設計図を俺に渡す。
「名前は決まっているの名付けて「火薬弓」火薬の爆発する力を使って玉を飛ばし相手を瞬殺するという兵器よ」
俺はその設計図を見る。その「火薬弓」の姿は戦国時代の火縄銃に似ていた。
「すごい・・・・でもこれって構造上1発撃つと次の装填に時間がかかるんじゃないか?」
「あなた・・・話が分かるわね今まで誰も聞く耳も持たなかったのに。そうよ、それが問題なのよ。しかもこれ火縄だから雨とか風の日なんか火が消えちゃうし・・・・あなたとは気が合いそうね。あなたの名前は?」
「ああ、俺の名前は沖田吹雪だよ」
「・・・・・・え?ごめん聞き間違いかな・・・・今沖田って言った?”あの”沖田吹雪?」
「ああ、”あの”かどうかはわからないけど。沖田吹雪は俺だ」
「ええぇぇぇぇぇ!!!!」
その人は驚きの声を上げた。
「沖田吹雪って言ったら、雷鳴轟かす武器を持つ枯草色の御使いじゃないの!!そういえばあなた枯草色の服を着てるわ!!」
そう言ったとたんに彼女は顔を近づけた。てか近すぎる!
「ねえ!あんたそのうわさで聞いたその武器持ってるの!?あったら見せてくれる!!」
キラキラした目で言い寄る
「あ、あの落ち着いてください・・・・・」
「あ、ごめんね。つい‥‥あ、そういえば名前を名乗っていなかったわね‥‥コホン」
そう言うとその少女は一度深呼吸を置いて名を名乗った。
「私は馬鈞。性は馬、名は鈞、字は徳衡よ」
「え?」
馬鈞ってあの馬鈞か!?三国一の発明家の!? でも生まれてくるの早すぎじゃないか?
馬鈞て言ったら曹操の孫の曹叡に仕えていた人じゃなかったけ?
彼女が馬鈞と聞いて驚く吹雪であった。




