天水の狼集団
桜花が隊に入ってから一週間がたった。俺はいつも通りに書類仕事を一通り終えていた
「西地区の治安は以前より改善して町の道路整理もよくなったけど、まだ端っこのあたりはスラム街やら仕事を無くしたホームレスがいっぱい知るな。警邏隊士の人材が増えてはいるが、やっぱり予算のことを考えると考えることは山積みだな・・・・・」
治安は以前より良くなってきている。最初の事件数が一週間に50件以上だったのに対し、今は一件か二件ぐらいまで減少した。
だが、それでも事件が出る。強盗やら空き巣やらなんかだ
警邏隊も逮捕しようと奮闘するのだが、従来の鎧のせいで動きにくいという話もある。かといって鎧を外しても服装は一般市民と同じだから、警邏隊士という感じがない。なるべく民衆が警邏隊だと印象付ける衣装とか必要だな。
「う~ん・・・・・デザインはどうするかな・・・・」
俺がそう考えている。一応候補としては幕末の新選組みたいな服装。もう一つは明治時代の警察官の服装とかだ
「う~ん・・・・・ここで考えてもしょうがないな。パトロールしながら考えるとするか」
俺は軍刀と14年式拳銃を持ち部屋を出た。
部屋を出て俺が向かった場所は西地区だ。前は治安は悪かったが、今は改善され、歓楽街とか料理の店が多くできている。まあ、それでもごろつきとかが多くまだまだ改善するところが多いいけどな。
だが・・・・
「あ!隊長さん。こんにちわ!」
「こんにちわ皆さん元気で何より。どうだ?この頃の様子は?」
「ええ。前に比べて。いいっすよ!」
俺が西地区に行くとガラの悪い連中が笑顔で俺に話しかけてくる。
「そうか。それはよかったよ」
「とんでもないっすよ。俺たち結構隊長さんにはよくしてもらっているっすから」
「そうっすよ。それだけじゃなく割と厄介な時には相談に乗ってもらったり、仕事を紹介してくれたり」
「そうそう。今の俺たちがいるのも隊長さんのおかげですよ」
「アハハ・・・・買い被りさ」
「隊長さん!俺たちあれから心を入れ替えて、風紀やら治安を守るようにそれなりに努力しているんですよ!今日だって道に落ちているごみの清掃とかしているんですよ!」
「俺たちも今月はまだ違反とかしていないっすよ!!」
「おっ!すごいじゃないか!」
俺に話しかけたのは以前ここいらの治安を荒らしていた奴らだ。その時は斗志たちとともに鎮圧したのだが、すぐには牢には送らず、なぜ治安を乱すのかどうか聞くと、理由としては職がない。お金がないという理由だった。俺は彼らを解放し、代わりに職を紹介した。場所は従業員が足りない店とか土木工事とか役所の警備員とかだ。中には警邏隊に志願する奴もいた
それもあってか彼らも少しは心を入れ替え、慈善活動とかしている
「隊長さんは町の警邏ですか?」
「ああ。お前らも頑張れよ」
俺は笑顔でそう言い、彼らと別れる。すると
「隊長。お疲れ様です」
と、そこへ誠華と桜花、と雪風がやってきた。彼女たちは俺が来る前の警邏隊。つまり初代のころからの仲のため、古参からは「天水三羽烏」と呼ばれているらしい
「おお、お疲れ。三人揃ってどうした?」
「えっとー、これからお昼に行こうと思うんだけど、隊長も誘おうと思って」
「ん、そうなのか?」
「そろそろお昼の時間なので、もしかしておじゃまでしたか?」
誠華が申し訳なさそうに言うと俺は首を横に振り
「いや、全然気にする必要はないぞ」
「そうですか。よかった」
俺の言葉に誠華は安堵の笑みを浮かべる。
「で、お前らはなんか食いたい物とかあるのか?」
「「「朱雀屋で」」」
「即答だな・・・・まあ、俺も同感だ。じゃあ朱雀屋に行くか」
「「「はい!!」」」
因みに朱雀屋とはこの西地区にある小料亭であり、警邏隊士がよく使用する料理屋。安くておいしい。そしてその店の店長は客に会った料理を出したり、異国の料理とかも挑戦して作るという。
掻くいう俺もそこの店長と仲が良く、よく俺に俺の国の料理とか聞いてきているため店には俺の知る西洋料理や日本料理なんかもメニューにある
そして俺たち4人は朱雀屋でご飯を食べることになった
「「「「いただきます!!」」」」
料理が運ばれ俺たちは食事を堪能した。ちなみに今日のメニューは餃子と麻婆豆腐と言った中華料理だ
「悪い、誠華。酢醤油取ってくれないっすか?」
「もぐもぐ・・・・・・んぐっ、ん・・・・・・はい」
「ありがとうっす。雪風はいるっすか?」
「いただくわ。お礼に餃子。一個あげるわ」
「お~すまない雪風!」
「目が欲しいって言っていたからね。はい。どうぞ。誠華もいる?」
「いただくわ」
と、仲良く食事をする中、俺は白ご飯の上に麻婆豆腐をかける
「ん?隊長何をしているんすか!?ご飯の上に麻婆豆腐をかけるなんて!?」
桜花は驚き、雪風も少し唖然とした表情をし、誠華も珍しい物を見るような目で見ていた
「ああ。丼ものの文化は日本だけか・・・・・これは麻婆丼って言ってな。俺のいた国じゃいたって普通なんだ。ご飯と同時に食べられるしお手軽だぞ?」
「そ、そうなんですか?私にはちょっと抵抗がありますけど?」
雪風がそう言うがその反面桜花はというと
「へ~ちょっと一口良いっすか?」
「桜花。それ食べる気なのか?」
「食の探求を忘れるな・・・・てやつっすよ斗志」
「そうか・・・・なら私も試しに」
「私もいただきます
と、そう言う桜花。ちなみに彼女の趣味は料理で、俺の作った鉄板ナポリタン以来、いろんな料理を暇があれば俺の国の料理。特にナポリタンを作ったりして研究とかしている。
そして桜花、誠華、雪風はレンゲで俺の麻婆丼をすくい上げそれを口に入れる
その瞬間彼女たちの目は見開き
「旨い!うまいっすよこれ!!」
「本当だ美味しい・・・・」
「意外な組み合わせですね…でも美味しい」
桜花がそう言うと誠華も雪風もどうやら気に入ったみたいだ。
「気に入ってもらえて何よりだ」
俺は黙々と食事を始める。と、その時。
パリン
と皿の割れる音がした
「どうしました?」
とこの店の主人が居た
「どうしたんだ店長?」
俺が店長に訊くと店長は
「隊長さん!」
「はい?」
「君のおかげでさらに新しい料理ができそうだよ!ありがとう!!!」
「あ・・・ああ。どういたしまして」
店長はそう言うとすごい勢いで厨房に戻った
「店の料理が増えそうですね隊長」
「ああ。そうみたいだな」
誠華の言葉に俺はそう答えるのだった
そして大体の話が終わった後俺と誠華たちは軽い小話をしていた
「そう言えば隊長。聞きました?私たち天水警邏隊の別名」
「ん?別名なんてあったか?」
「はい。「天水の狼集団」とか「野良犬隊」と呼ばれています」
「そんな仇名が・・・・・まあ、うちらの隊士はガラの悪そうで血の気の多いい奴が多いいからな。仕事は真面目にやっているけどな」
「はい。元盗賊出身もいますので。私も昔はいろいろと問題児でしたので」
「あ~そう言えば私も昔は喧嘩ばっかりだったな~」
誠華と桜花が言うと雪風も二人と同じく無言で頷いていた。実際天水警邏隊の隊士は女性隊士も多いいが、それ以前に血の気の多いい連中が多いい、いわばヤンキー集団ともいえるほどだ。普通の家柄の隊士は数名だが、ほとんどが元盗賊だったり問題児な子が多い。だが民間人に暴力や脅して金を巻き上げようとする奴は一人もいないむしろ仕事は真面目にやる奴がほとんど、この時代当たり前の賄賂とかそう言う不正をしようとする役人相手でも問答無用で捕まえるほどだ。
理由は彼らが真面目なのもそうだが警邏隊の隊規。つまりルールを守っているからだ
そのルールはこういったものだ
一、士道、人道ニ背キ間敷事(武士道、人道に背く行為をしてはならない)
一、緊急時以外デ民間人ニ暴力モシクハ恐喝スルベカラズ(緊急時以外で一般市民に暴力を振るう事を厳禁とする)
一、勝手ニ金策致不可(無断で借金をしてはならない)
一、私ノ闘争ヲ不許(許可なく個人的な争いをしてはならない)
一、賄賂を受け取るべからず(賄賂、不正をしてはいけない)
一、敵と内通せし者これを罰する(敵と内通してはならない(戦略的な意味では例外とする))
以下略
これを破りし者、厳罰とする
となっており、この隊規を作ったのは俺と誠華が話し合って決めたものだ。当初、誠華は隊規を違反したら死罪という考えをしたみたいだがさすがにやりすぎと思い俺は却下した。
この隊規ができて以降隊士たちは真面目に仕事をしている
「ま、、大丈夫だろう。今のところ乱暴狼藉はおろか職務だってちゃんとしているし、町の人と仲良くしている。言いたい奴は言わせておけ」
「ですが・・・・」
「大丈夫だ。今は野良犬なんて言われているがいずれは猛犬部隊まで言われるようになるよ。のらくろみたいに」
「はぁ?なんですかそれ?」
「こっちの話だ」
俺はそう言う。それにしても天水の狼か・・・まるで新選組の壬生狼みたいだな
「さしずめ今の俺は近藤勇ってことか?」
「隊長。何か言いました?」
「いいや。なんでもないよ。さて仕事に戻るか」
「はい」
「了解っす」
「御意に」
そう言い俺たちは店を後にした。その後天水の狼集団と言われる天水警邏隊が大事件を解決するのはまだ先の話・・・・・




