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天水の狂桜

郭汜こと桜花が最後に俺に挑んだ勝負は剣術での試合だった。

無論断る理由もなかったため俺はそれを受け、彼女と試合をすることにした。

しかし外は大雨だったため、試合場は隊舎内の道場でやることになった

そして見届け人は誠華。そして道場内では剣と刀を持った桜花と俺が対峙していた


「剣を持つのは久しぶりだな・・・・」


彼女は剣を振りまわしてそう言う。彼女の剣は片手直剣で、柄も刀身も真っ黒だった


「それが…君の剣なのか桜花?」


「おうよ!やっと質屋から取り戻して、剣の手入れが終わって戻ってきたんだ?」


「え?どういうこと?」


「あ~いや。なんでもない昔の話っす。いや本当に何もないっすよ?昔、やけ酒して酔っているところを騙されて剣を売られて、それでやっと質屋に入れられてたのが分かって、やっと取り戻したと思ったら刃がボロボロだったからこれじゃあ勝負できないから鍛冶屋で修理を頼んでようやく今、終わって私の手に戻ったんすよ」


「ん?と、言うことは、今までの勝負で剣術が出てこない理由はそう言う理由なのか?」


「え!?なんで隊長!知っているんすか!?超能力者っすか!?」


いや、さっきべらべら自分でしゃべってたろ?誠華も俺と同じこと言いたいのか呆れた顔をしている


「まあ、いいっす!これで隊長さんと勝負できるんすからね!!」


そう言い彼女は構える。


「そうか・・・・じゃあ、俺も遠慮なくいくよ」


そう言い俺は刀を突き刺さした構え・・・家に伝わる流派の構えを取る


「奇妙な構えっすね?」


「天然理心流・・・・・俺の6代前の先祖の使っていた流派だ」


俺は祖父ちゃんから、俺の先祖は幕末の京都で活躍した新選組の一番隊組長沖田総司って言われている。それが本当かどうかはわからないが、天念理心流は新選組がよく使っていた流派だ。沖田総司じゃなくても先祖が新選組の隊士の可能性がないわけでもない

まあ、今はそんなことは言い。今は目の前の試合に集中しなければならない


「誠華・・・・・試合の合図を頼む」


「分かりました」


そう言い誠華は右手を上げ、そして振り下ろした


「始め!!」


「っ!!」


そう言い終わるや否や、桜花は物凄い息酔いで俺の方へ飛びそして


「おりゃぁーーー!!」


剣を振り下ろし俺はそれをよける。だがすかさず桜花は横薙ぎで俺の首を狙う


「うわっ!?」


俺は少し驚き、俺は急いでよけるが、彼女は


「もらった!!」


そう言い刀を俺の頭めがけて振り下ろし俺は間一髪で刀で受け止めるのだが


「(くっ!すごく重いな!!)」


彼女の剣の一撃はあまりにも重かった。下手をすれば刀を折られるんじゃないかと思ったくらいだ


「へ~すごいっすね隊長の剣。あんまり薄いから私の一撃で折れると思ったすけど意外と頑丈なんすね?」


「まあな・・・これでも強度は世界一と言われているくらいだからな」


「そうっすか?でも隊長の顔は余裕ない見たいっすけど」


「それはどうかな!!足が留守だぞ!!」


「うわっ!」


俺は彼女の足を払いのけ、彼女のバランスを崩し倒れそうになったが、彼女は俺にめがけて切りかかり俺は刀でそれを防ぐ、そして体勢を立て直した桜花は俺から少し距離を取り構える


「いや~少し油断しちゃったっすね~」


「今のは卑怯とは言わないんだな?」


「これは競技じゃなくて、実戦を想定した試合っすよ。真剣の勝負にましてや戦いに卑怯云々はないっす。戦いは常に強いものが勝つ。かっこつけ行儀よく負けても勝者によって真相は捻じ曲げられ、あるのは負けたものは悪者になるだけっす」


「なるほど・・・・」


意外と彼女は戦・・・戦争についてよく知っていると俺は正直思った。そうあらかじめルールが決められた競技やスポーツとは違って、戦いは常に強いやつしか生き残れない。歴史が常にそれを物語っている。いかに行儀よく負けても勝者によって捻じ曲げられ、負けたものは悪とされる

いわゆる『勝てば官軍、負ければ賊軍』ってやつだ。

だから勝負は使える手は何でも使い全力でぶつかりつつ相手には敬意を表す

それは俺がガキの頃から教わったことだ。無論ルールがあるのであればそれに従う

だが、今回の桜花の試合はルール無用の一本勝負。だから俺も全力で彼女と戦うことにしているのだ


そして俺は再び天念理心流の構えを取り、彼女もまた構えなおす

緊迫の中、またも先手を打ってきたのは桜花だ。彼女は素早さで俺に斬りかかる。斗志のような川のような滑らかな斬撃ではないが、まるで暴風のような狂った太刀筋でしかも、その一撃ちに重みがある。誠華が静の剣であるなら桜花は剛の剣ってところだな


「隊長…なかなかやるっすね?」


「君もな桜花・・・だがそろそろ決着をつけるぞ!!」


「おうよ!!」


そう言い俺と桜花はたがいに距離を取り剣を構える。そして俺は左肩手平突き・・・・牙突の構えを取り、彼女に向かって突進する。そして桜花もまた全力でこっちに突進し向かう。そしてその瞬間


「おりゃっ!!」


「っ!?」


桜花は俺に向けて剣を投げる。俺は咄嗟に刀でそれをはじき返し桜花を見るが彼女は飛び上がり、懐に隠し持っていた短剣を抜いていた

そして彼女は俺はいきなりのことに倒れ、その上に彼女が立ち首筋に剣を立てていた


「・・・・あたいの勝っすね?」


桜花が二カっと笑ってそう言うが誠華がやってきて


「いいえ・・・・引き分けよ。自分の腹を見て見なさい桜花」


「え?」


そう言い桜花は自分の腹部を見るとそこには三十年式銃剣の切先を彼女の腹に向けていた俺がいた


「いつの間に・・・・・」


桜花が驚く中、俺は


「どうだ?俺の実力は?」


俺は立ち上がり桜花に訊くと桜花は剣を鞘に納め


「強いっすね・・・・あたしが知る中で呂布将軍や華雄将軍と同じくらい強いっすよ」


「そうか。君に認めてもらってよかったよ」


俺がニコッと笑うと桜花は若干顔を赤くする


「ん?どうした桜花?」


「な、なんでもないっす」


俺が訊くと桜花は恥ずかしそうにそっぽを向いて答えると・・・・・


「それで・・・・三人とも何をしているの?」


「「「っ!?」」」


どこから現れたのか、母さんが立っていた


「「りょ、呂布将軍!?」」


「母さん!?」


俺と桜花と誠華が驚く中、母さんは


「吹雪に用事があって・・・・隊長室に行ったら居なかった。それで警邏隊士の人に訊いたら・・・・ここで桜花と斬り合いをしているって聞いたからここに来た・・・・・それで何しているの?私闘は・・・・禁止のはず・・・だけど?」


「それはその・・・・・」


俺と母さんが話す中、桜花は


「なあ誠華」


「なんだ?」


「さっき。隊長。呂布将軍のこと『母さん』とか言っていたけどなんでだ?」


「なんでもかんでも、隊長は呂布将軍の息子さんだ」


「え?マジっすか!?そう言えば確かに似ているっすね・・・・でも呂布将軍若すぎじゃないっすか?お姉さんて言われても信じちゃうくらいっすよ?」


「そこは深く考えるな。いろいろと事情があるんだろ?」


と、二人が小声で話す中


「つまり・・・・・桜花と一緒に剣の稽古をしていた・・・・?」


「うん。そうだよ」


「・・・・・・・」


俺の言葉に母さんは俺と桜花を交互に見て


「分かった……そう言うことにしとく」


と、小さく頷いていう


「それで母さん。俺に用事って何?」


「詠が・・・・・警邏の予算表・・・・・夕方までに持ってきてッて」


「ああ、分かった。」


俺が返事をすると母さんは桜花を見て


「吹雪・・・・・問題は解決・・・・した?」


「うん。無事に」


「そう・・・・・・なら安心」


そう言い母さんは去っていった


「さてと・・・・早速仕事にかかるか」


「予算の書類まとめですか?隊長。まだこの国の文字。不慣れですよね?」


「ああ・・・・まあ、何とかなるよ。そう言う斗志も計算苦手だろ?」


「それ、言われると痛いですね」


俺はまだこの国の文字を完璧に覚えていない。だが計算はできる方だ。だから俺が計算し誠華が書類に書くという仕事でやっているのだが、それでも時間が掛かる。正直言って夕方までに終わるかどうか・・・・・


「ん?隊長たち予算の書類をするんすか?」


「ああ。そうだよ夕刻までに詠に渡すことになってな」


「そうなんすか…計算なら私の得意分野っすよ!私に任せるっす」


「・・・・え?」








警邏隊長室


パチパチパチパチパチパチ


警邏隊長室で桜花は素早い指さばきで算盤玉をはじき、予算書類をチェックし、書類を書き込む


「すごい・・・・書類がどんどん減っていく」


「そう言えば桜花は計算が得意だったな」


「人は見かけによらないものだな・・・・・」


俺と誠華が驚いていると


「終わったすよ」


「はやっ!?」


桜花が警邏室に入り、まだ30分も経っていないのに山住の書類を特に計算をする必要のある書類を終わらせた


「はい。予算案を簡潔にまとめた書類っす。隊長。確認をお願いするっす」


「あ・・・ああ」


俺は桜花の書いた書類をチェックする。内容は文句なしに全部合っている。しかも警邏の予算部分も余計なところを切り崩し、優先すべき装備など効率よくまとめられていた


「全部合っているな・・・・・すごいな」


「へへ!これくらい朝飯前っす!・・・あ、いまは昼だから昼飯前・・・・いやおやつ前っすかね?」


「いや…そこはわからんけど。まあおかげで助かったよ桜花」


「お役に立てて光栄っすよ隊長」


俺の言葉に桜花はニッっと笑う


「じゃあ、俺はこれを詠に提出してくるよ。あ、あと桜花の復帰の件も報告もな。二人ともありがとう」


俺は二人に礼を言い部屋を出た。そして部屋の中で二人は



「・・・・・・・・それでどうだ桜花。隊長と戦ってみて?」


「正直燃えたっすよ。あれほど血がたぎったのは久しぶりだったす。正直言って退屈はしなさそうっすよ。むしろ隊長と一緒にいると面白いことが置きそうっす。誠華の方はどうっすか?」


そう言うと誠華はふっと笑い


「私も同じ気持ちよ。あの人のそばにいると落ち着くわ」


と、そう答えるのであった






その後、桜花は警邏隊に復帰し、その後、警邏隊の副長助勤及び勘定方という役職に就くことになるのだった


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