第7話 真実の扉
いつも読んでいただきありがとうございます。
美織は大学の図書館から借りてきた本を開き、
ノートパソコンの電源を入れた。
美織は1つ決心していた。
自分の振り返りたくない過去や自分を誤魔化してしまう悪い癖、
全てを受け入れて、小説にまとめよう…
高校の時は、自分を隠すのに必死だった。
周りの人達は、一生懸命に生きていて、
私はその事実ですら、受け入れなかった…
そう、寸君は悪くなかった…
嘘をついた私の方が、よっぽど悪い…
なのに、私は勝手に寸君を遠ざけ
自分の殻に身を隠した。
だから、全てを受け入れて小説に書く…
ストーリーをまとめて、
寸君に読んでもらおう…
もう一度、寸君に思いを伝えよう…
ノートパソコンに、中学時代
卒業式の出来事を思い出すように書きだしてみた…
そう、あの日
喜田くんが寸君を呼んでくれた。
3年B組の教室で、私は待っていた…
教室は掲示物は無く、
黒板には、卒業おめでとう!の文字
賑やかだった、
教室がまるで時間が止まったかのように静まり、
冷たい空気を感じていた。
しばらく待ったが、谷本君は来なかった…
やっぱり…と、諦めて立ち上がった時。
教室の扉が開いた。
ガラガラと音を立て谷本が入ってきた。
「伊東さんだよね?」
美織の鼓動はMAXに高鳴り、
額から汗が流れたのを感じた…
「ごめんなさい、急に呼び出してしまって…
私の事、覚えてるかな?」
谷本は伊東の隣りに座った。
美織も、ゆっくり腰を下ろした。
「覚えているよ、伊東美織さんだよね…」
「そう、良かった…
突然で驚いたと思うけど、私…
谷本君の事が、昔から好きで…」
そこまで話して言葉に詰まった…
「ありがとう、そうだったんだ…
僕、伊東さんの事よく知らないから…
なんかそんなに思ってもらえているなんて…
申し訳ないよ。」
「実は僕も、好きな人がいて…
憧れてる人なんだけど…先週フラれちゃってさ…なんか、
中学卒業したら会えなくなると思って焦ったのかな…」
「そっか…谷本君にも好きな人がいたんだ…」
「うん、今は傷心中…」と、笑った。
「一つ聞いていいかな?」
「何?」
「小学校の謝恩会覚えてる?」
谷本は笑顔になって
「覚えてるよ、隣りの席だったよね?すごく楽しかったの覚えているよ…」
美織が嬉しそうに、
「私もすごく楽しかった!」
谷本が思い出すように、
「伊東さん…4年生の写生大会で、
校舎裏で話しかけてくれたよね?」
美織は口に手を当てて驚いた…
「覚えててくれたんだ…」
瞳から涙が溢れた…
「実はあの頃…精神的にやられてしまって、
人と一緒にいるのが怖かったんだ。」
「うん、そうだったんだ…
ごめんね何も知らずに話し掛けてしまって。」
「イヤ…あれが凄く嬉しくて、感謝してるよ。
何度かお礼を言いたくて、話し掛けたかったんだけど…なかなか接点なかったものだから…
あの時は、ありがとう。」
「え…いいよ…辞めてよ、泣きそうだよ私…」
「あの後、また友達とも話せるようになったし、
絵画教室に行くようになって、少しずつだけど嫌なイメージが薄れたんだ、」
「知ってるよね?僕が東堂さんを怪我させてしまった事…凄く後悔してるんだ…」
「伊東さん、ありがとう
今日は話しが出来て嬉しかったよ」
そう言って、教室を出て行ってしまった。
しばらく美織は教室で、考えてしまった。
私はフラれたの?…
はっきり断ってくれないと…
「は〜」とため息を吐いた。
立ち上がって、教室を出ようとした時。
廊下に数人の人影があり、
見ないように、通り過ぎようとした時
急に口を塞がれた。
美織は何が起こっているのか、
わからなかった…
教室に連れ込まれた時
森田千恵の姿が見えた。
あとは、男子が3人が美織を押さえていた。
顔を隠していて、誰かわからない…
森田は男子に
「好きにしていいからね…」と、
教室を出て行ってしまった。
美織は必死で抵抗するが、
男子のチカラは強く、
制服のスカートが引き裂かれる音、
一瞬の悲鳴が、漏れた。
その時、一人の男子が
「やっぱりヤバイよ…辞めようぜと2人を静止した。」
美織を押さえていた手が緩んで、
美織は必死に叫んだ、床しか目に入らなかった…
「助けて!!」
その声を聞いて、一人の男子生徒は教室から逃げた、
非常ベルが鳴り、廊下のガラスが割れる音がした。
下の階から、先生の声がする
それを聞いて、残りの2人の男子も逃げて行った。
その後、廊下に先生達が集まっている声がした。
美織は教室から出られず
うずくまって泣いていた…
一人の先生が、
教室の扉が開いているのに気づき
美織を発見した。
「大丈夫?!何があったの?」
美織に着ていたジャケットを掛け、
抱きしめてくれた。
それが、美術の池田先生だった。
その後、学校の体操服を借りて着替えた。
美織はまだ、恐怖で声が震えていた…
美術の池田先生が女性で、
昨年教師になった事もあり、
歳が近い事もありずっと一緒にいてくれた…
しばらくして、お母さんが学校に来た…
学校の先生から、警察に連絡する方が良いと言われたが、
誰に襲われたか追及される恐怖もあり、
警察には言わないで欲しいと美織が懇願した。
母はかなり怒っていたが、
私は周りが騒げば騒ぐほど、
感情が冷めて行った…
もう忘れたい…、何も言わないで欲しい…
それが、正直な感情だった。
それから、1ヶ月…
自分の部屋から出られず、ずっと部屋で本を読んでいた…その1ヶ月
寸君の事を考える余裕は無く、
本の物語の中に、逃避して過ごしていた。
そうか…
私が、本を読むようになったのは、
これがきっかけか…
ノートパソコンに、事件の感覚を文字に起こしてみると、
何か吹っ切れたような感覚になった。
私は忘れたかった過去を、
見ないようにしてきた…
寸君に見られたような感情は、
寸君を遠ざけて、また見ないようにしてきた。
文字で見ると、
大切な感情は、そこに無い事が分かった…
小説のアイデアノートに、
ストーリーの構図を描いた…
ノートパソコンに、
描き始めた…
記喪転我意…第1章
今日も読んでいただきありがとうございました。
また、次回も読んでいただけると嬉しいです。




