第52話 帰れる場所
いつも読んでいただきありがとうございます。
美織から遅れること1ヶ月、谷本が帰国した。
再来年のオリンピック代表に選出されたが、
来年の最終選考に選ばれるかは…わからなかった。
前回は最終選考で外されたが、今回は身長を理由に外すなら最初から選ばれる事もなかったはずなので残る可能性が高いと、噂されていた。
「今日ね…パパ帰ってくるよ、」
アミに説明する美織、1ヶ月ぶりに会うパパに、
嬉しそうにソワソワしていた。
谷本は、東京羽田空港から新幹線で移動する事になっていて、美織の家に到着するのは、19時頃になると連絡が入っていた。
「寸くんはもうすぐ到着するの?」
愛もソワソワしていた。
「もう来るよ…」美織がニコニコして答えた。
その時、玄関のチャイムが鳴った…
「帰って来たよ!!」
愛は慌てて玄関に走って鍵を開けた。
「待ってたよー!寸…」
玄関前に立っていたのはひろえだった。
「なんでひろえさんが来るのよ…」
「来ちゃった…」
申し訳なさそうにひろえが立っていた。
「お姉ちゃん!ひろえさんだった〜」
愛が叫ぶと、美織が玄関まで来て…
「おかえりなさい…」
「ただいま!」
と、ひろえの後ろに谷本が荷物を持って立っていた。
「わー!谷本選手だ〜凄ーい!本物だ〜」
ひろえが騒いでいた…
「寸くんおかえり!この人はもう帰るから、気にしなくていいから…」
愛がひろえを揶揄った。
「美織ちゃん、また愛ちゃんが意地悪な事を言うんだよー」
「はいはい、ひろえちゃんも来たのね…」
美織は優しく、ひろえを上がるように誘導して
谷本に紹介した。
「寸くん、大学時代の親友、ひろえちゃん」
谷本は笑顔で、
「美織から聞いてます、いろいろお世話になったみたいで…ありがとうございます。」
そう言って、ひろえに握手を求めて笑った。
「きゃー!春高バレーの時から、大ファンなんです〜」と、嬉しそうに喜んでいた。
「聞いたよ、ひろえさん…池田先生と暮らしてるんだって?」
「はい!とっても気が合っちゃって…毎晩一緒にワイン飲んでるんです。」
ひろえが嬉しそうに説明してくれた。
愛が谷本に小声で
「ちゃんと池田先生からも、聞いた方が良いと思うよ…池田先生…迷惑してるかも…」
「愛ちゃん、変なこと言わないでよ〜…私達めっちゃ仲いいし〜、最近は絵だって教えてもらってるんだから…」
「ありがとうね…ひろえさん、美織も池田先生も凄くお世話になってるみたいだね、それから愛ちゃんとも仲良くしてくれて…」
ひろえは谷本に言われて、嬉しそうだった。
「パパ〜」と、アミが抱っこをせがんだ、
谷本に抱えられて、満足そうに笑っていた。
この日は、みんな盛り上がり、
ソファーで、寝てしまったひろえとアミを見ながら、美織の母と父、愛と美織と谷本は遅くまでイタリア生活について話していた。
そんな時に美織が急に…
「寸くん、明日一緒に図書館行かない?借りた本を返したいから。」
「いいよ、久しぶりだね…図書館…」
「見せたいモノが有るの…」
「何?見せたいモノって…」
「明日のお楽しみ…」そう言って笑い合い、
そんな2人を両親が嬉しそうに見ていた。
翌日、目が覚めると
ひろえは愛を連れて、池田先生に呼ばれたからと齋藤絵画教室に戻って行った。
何でも、美術館に籠原元彌の作品が展示されているらしい…
それを見に行くから、愛に運転してくれと、
半ば強引につれていかれた。
谷本と美織はアミを連れて、谷本の実家に顔を出してから、昼過ぎに図書館に向かった。
図書館で、借りていた本を返却してからアミと絵本を見て過ごした。
「そろそろ帰ろうか?寸くん」
「あぁ、もうそんな時間?」
そう言って、読んでた絵本を片付けた。
「見せたいモノがあるって言ったでしょ」
「あ〜…言ってたね…今から見せてくれるの?」
「寸くんが見つけられたらね。」
美織はアミを抱き上げて、出口の方に歩いた。
いよいよ、次回最終話になります。
是非お楽しみください。
読んでいただけると嬉しいです。




