第51話 借り暮らしのひろえちゃん
いつも読んでいただきありがとうございます。
「ひろえちゃん…どうしてここにいるの?」
「美織ちゃん…ごめんね〜」
美織に近づき、ひろえは美織を抱きしめた。
「ずっと美織ちゃんに会いたかったんだよ…」
「きっとまた会える、そう信じてた」
二人は泣きながら、抱きしめていた。
「ひろえちゃん…大丈夫なのか?
DV保護で逃げてたんじゃ…」
ひろえは少し柔らかい表情になって
「ごめんね…美織ちゃん、心配掛けたよね…DV対象加害者死亡で、保護観察対象から外れたから、シェルターから出てきたんだけど…」
「住む所がなくなってしまったから…美織ちゃんしばらく泊めて…」
「え!?ウチに…」
美織は少し考えたが、今考えても進まないと思い、
「ひろえちゃん…とりあえずウチに入ろ!」
美織はひろえを連れて、
家の扉を開けた。
「ただいま〜」
母が「おかえり〜!アミちゃん…」と、言いながら玄関に出迎えに来ると…
「え?…ひろえちゃん?…嘘…」
と、母も言葉を失った…
「どうも…ご心配をおかけしました…」
「ひろえちゃん…今までどこに行ってたの?
心配したんだから…」
美織が、
「一旦、中に入って話しましょ…」
ひろえが言うには、神戸の三ノ宮に住んでいたとの事で、大学も編入したとの事で大学も卒業したらしい…
今は介護の仕事をしていたらしいが、
その仕事も辞めて、美織の元に来てしまったようだ。
3日前にDV保護観察官から連絡があり、
ひろえのお父さんが亡くなられた事を知った。
それにより、ひろえは保護対象解除となり、
自由になった。
「この近くで、住む所を探すの?」
「そのつもりなんですが、見つかるまで泊めてください…頼れる人が居なくて…」
「それはいいけど…美織の部屋しか無いよ…」
「うーん…」昔と違って、アミも居るから…
美織は閃いた!
「明日の土曜日、いい所に連れてってあげる。」
そう言って、晩御飯の準備を手伝った。
アミもすぐに慣れて一緒に遊んでいた…
夕飯の準備が出来た頃、
「ただいま…」と、愛が帰って来た…
部屋に入るなり、ひろえと目が合うと、
「なんでこの人がいるのよ…」
「愛ちゃん…が、大人になってる…」
ひろえが嬉しそうに笑った。
愛はひろえに抱きついて、
「ひろえさん…死んだかと思ってた〜良かったよ〜無事〝釈放”されたんだねー。」
「釈放じゃないよ…解放だよ…愛ちゃん」
「どっちでもいいよ…」
「良くないよ…私が逮捕された感じになってるから…」
二人は泣きながら、戯れ合っていた…
〜翌日ひろえを連れて齋藤絵画教室へ…
「いい所って…ここか〜」
ひろえは昔を思い出していた…
美織がチャイムを鳴らすと、
池田先生が出てきた…
「いらっしゃい、久しぶりね…美織さん…ひろえさん…」
「すみません…急に連絡してしまって…」
「あら、嬉しかったわよ。こちらこそ急に来させてしまって、ごめんなさいね…」
朝、池田に電話を入れると、午後から絵画教室で時間が作れないと言う事で、午前中にお邪魔させてもらう事になった。
夕方は由依が来る予定でもあり、
美織も忙しく動いていた…
アミは母と愛が見てくれると、夕飯の買い出しついでにアミを連れて出掛けてくれている。
「美織さん…今日はお子さんは一緒じゃないの?」
「ハイ、今日は母と愛が見てくれてます。」
「そう…残念、会いたかったわ…」
池田が残念そうに言った。
「また、連れて来ますね。
…今日はお願いがあって…来たんです。」
「あら…楽しみ…どんなお願いかしら?」
美織はひろえを見て、
「実はこの清水ひろえちゃん…」
池田が思い出したように
「昔、谷本くんの記憶について美織さんと一緒に聞きに来た方よね…」
「はい!そうです…思い出していただけて嬉しいです…」
「で?…その、ひろえさんがご相談なのかしら…」
ひろえが立ち上がって、
「私…住む所が無くなってしまって…
住む所が見つかるまで、こちらに置いていただけないでしょうか?」
池田は少し首を傾げて、
「住むところが無いの?…」
ひろえは、DV保護観察でしばらく神戸市に居た事や、美織達の前から突然消えなくてはいけなかった事情…今の現状、を説明した。
池田は静かに全てを聞き
「そう…大変だったわね…ひろえさんはお仕事は何をされるの?」
「今から就活になります。今は何も家財も無くて…」
池田は少し考えて、電話を掛けた…
齋藤あかりに電話しているようだ、
しばらく話をして電話を切った。
「かまわないわ、来てもいいわよ…」
ひろえが嬉しそうに笑って
「ありがとうございます…」
池田は
「そのかわり、ウチの絵画教室も手伝ってね…」
「私、なんでもします。」
そう言って、池田先生の手を握って喜んでいた。
その日の夕方、ひろえは美織の家に持ってきていた、大きなボストンバッグ2つを持って池田先生の家に向かう事になった。
「送って行くよ、ひろえさん」
と、愛が車のキーを見せた…
「え〜、愛ちゃん運転できるの?…」
「ありがとう〜…ホント助かる…」
美織の家を出ようとした時、
チャイムがなった…
「お客さんだよ、美織ちゃん」
美織は、
「由依が来たんだ〜」
と、ドアを開けた。
「こんばんは〜」と、由依が入ってくると…
「こんばんは…」ひろえが、挨拶して
家を出ようとした時…
「え!?…美織ちゃん…私、この人知ってるかも…なんで美織ちゃんのウチに?…」
「由依の事知ってるよね?…実は高校の同級生なんだよ…」
「美織はサラッと言うけど…由依と知り合いで、旦那さんが谷本くんって…羨ましい」
「え〜、私も由依さんとお話ししたい〜」
ひろえがいつものわがままを言い出して、結局
この日は、美織の家のリビングのソファーで、
酔っ払って寝てしまったひろえ…
由依も美織も、ひろえを見て…
「ひろえちゃんはとっても素直な感じなんだね…」
ソファーで、爆睡するひろえを見ながら、
由依と美織は、楽しく話しをした…。
次回も読んでいただけると嬉しいです。




