第50話 リブート・ザ・メモリー
いつも読んでいただきありがとうございます。
美織は久しぶりに来た図書館だった
アミを連れて来られて少し気分が良かった。
美織はアミと絵本を読んで過ごし
数冊の絵本と自分の為の本を借り
図書館を出ようと出口に向かう壁に掛かる
1枚の絵に目が止まった…
美織は図書館の司書の方に声を掛けた。
「あの、すみません…あの絵ってどうしたんですか?」
司書の方は、
自分が図書館に勤め出した頃には、
すでにあの場所にあったとの事で…
昔からいる司書がいるからと
呼びに行ってくれた。
しばらくすると
年配の女性司書が連れられて来た。
「佐々木さん、あの方です…」
「こんにちは、
あなたがあの絵に着いて聞きたい方かしら?」
「はい、私の知り合いの絵に似ていたのでつい、」
「あら、そうなの…それは残念ね…
あの絵はね、今から10年前のこどもの日に、
図書館の机に置き去りになっていたのを、
私が見つけてね…」
「誰が描いたかはわからないのよ…
だって、ほら…名前とか書いて無いでしょ…」
「あまりにも素敵だったから、額に入れて飾ったのよ…一応、館長にも了承もらってね、持ち主が現れたら額縁ごとプレゼントする約束で飾らせてもらったの」
年配の司書さんは、壁の絵を外して持って来てくれた。
そのまま館内を誘導してくれた…
その司書さんは、私達を絵が置いてあった場所に案内してくれた。
「ほらこの席…」
案内された席は、
昔し愛と3人で座った場所だった…
寸くんが、その席に座って描いていた後ろ姿を10年前に見て私は声をかけなかった…
司書さんは、とてもこの絵が好きなようで、
絵について楽しそうに説明をしてくれた。
「多分ね…ここから描いたのよ、ほら見て、絵と同じでしょ…」
「この席からあの席を描いたんだろうね、光の入り方が綺麗でしょ?…」
そう言って司書さんは、笑いかけた…
美織は、
「私の知り合いはいつもスケッチブックいっぱいに絵を描いてくれました。
その絵はいつも素敵な絵だったので…」
美織はアミを抱えあげて、「素敵な絵だねー」と話し掛けて、
「絵の裏は無地でしたか?」
と、聞いた。
司書さんは、思い出すように
「描きかけのラフな絵だったような…開けてみるかい?」
「お願いできますか?」
司書さんは裏側を向けて、ピンを回し裏蓋を持ち上げた…
その瞬間…美織の瞳に涙が込み上げた…
出て来た絵は、
私と愛の後ろ姿のクロッキーだった…
薄い下書きのような線で明らかに未完成だが、
美織には、自分と愛の後ろ姿だとわかった。
その時、美織が抱っこしていたアミが、
「ママ…」と、指をさした。
その瞬間、美織の脳裏にフラッシュバックのように、谷本と過ごした時間が蘇った。
「…ありがとうございました。」
美織は、必死で平静を保っていたが、
溢れる涙は止められなかった。
司書さんが優しく慰めるように言った、
「あんたこの絵を持って行くかい?…」
美織は首を横に振って、
「いや、作者が来た時に返して上げてください。」
「あのー…1つお願いがあるのですが、
よろしいでしょうか?」
美織は鞄の中にそっと手を入れ、
1通の手紙を取り出して、
「額の中に手紙を入れさせていただいても、よろしいでしょうか?」
司書はニッコリ笑って
「なんだかドキドキするね…」と、手紙を中に入れて絵を元の場所に戻してくれた。
アミは司書さんにバイバイして、
ベビーカーの定位置に座わらせた。
美織は、思い掛けない出会いに懐かしい記憶が蘇っていた…
『寸くん…驚くだろうな…』
帰りも来た時と同じ電車に乗って帰った。
夕日が綺麗なオレンジ色で、昔…
寸くんと一緒に過ごした日々が車窓と一緒に流れていく…
駅から家まで歩く道は、
車のベッドライトが川の流れに反射して
キラキラと輝き、アミも喜んでいた。
家の前に来た時、
一人の女性が家の前に立っていた。
美織の目から涙が溢れ出して
…膝から崩れ落ちた…
「何やってたのよ…ひろえちゃん…」
次回も読んでいただけると嬉しいです




