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記喪転我意 〜美織Side〜  break my memory  作者: Spumante Rock


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53/53

第53話 最終回 break my memory

いつも読んでいただきありがとうございます。


本日で最終回になります。



「美織!もう帰るの?…そっちは出口でしょ…」

美織が少し歩いて、立ち止まった。


「寸くん…あの時はごめんなさい…」


「え?…あの時って…?」

谷本は一瞬、美織が何を言ってるかわからなかったが…、

「あ〜…5月5日の約束?」


美織は頷き

「ごめんなさい、私…図書館には来てたんだけど…声を掛けられなかった…」


谷本は微笑んで、

「美織が来てたのは気が着いてたんだ…」


美織は驚いて

「え!知ってたの?…」


「僕は昔座った席に居たでしょ…」


「うん…」


「実は、美織が来る前僕は朝早く来過ぎてしまって…

図書館がまだオープンしてなかったんだ…

だから…

入口の横辺りから、図書館を見て絵を描いて待つ事にしたんだ…

そしたら美織が歩いて来るのが見えて…

急いで片付けて、美織を追いかけるように図書館に入った…」


「そしたら、美織の姿は無くて…以前座った席に向かったんだ…ホントは館内を探そうかと思ったんだけど…待ことにしたんだ…」


美織は少し恥ずかしそうに、

「そうだったんだ…私ね、しばらくお手洗いに隠れて考えてた…なんて声を掛けようか…」


「時間も伝えてなかったしね…」

谷本が明るく笑い、美織からアミを受け取った、アミは少し眠たそうにあくびをした。


その時、谷本が気がついた。

「あれ?…美織、見つけたよ…美織が見せたかったモノ…」

と、指を差した。


美織はニッコリ笑って…

「そう。私もこないだ見つけたの…」

そう言って、


近くにいた司書さんに声を掛けた。

「佐々木さんいらっしゃいますか?…」

話し掛けた司書さんは、何だか嬉しそうに

どこかに歩いて行った。


しばらくすると、

年配の女性が近づいて来て、

「あら…この前の…」


「ハイ、この前はお世話になりました。

実は…絵の作者を連れて来ました。」


「そうですか…あなたがこの絵の作者…」


「あれ…あんたどっかで見たような…」


「ハイ、昔図書館でよく絵を描かせてもらいました…その時に一度声を掛けていただきましたよね?…」


「あー…思い出した。」

美織は、バレーボール選手として…知ってたわけではないのね…


「ハイ…そうです、」


「え?どうゆう事?」美織が聞くと、谷本は中学時代に人物クロッキーのモデルを求めて、よく絵を描きにきてたそうで、その時、司書の佐々木に注意されたそうだ。


ただ…注意と言っても、

「立って描いてるとあやしいから、座って勉強してるフリして描きなさい。」

そう言われたそうだ…


「あなたの絵だったのかい?」

司書の佐々木は聞いた。


「ハイ、すみません…」


「今、外すね…」

そう言って、谷本に額縁ごと渡した。


谷本はしばらく、その絵を眺めていた…


美織が

「裏に私と愛が描いてあるよ…」


谷本が佐々木を見て

「開けても大丈夫ですか?」


佐々木は笑顔で頷いた。


谷本は額縁の裏蓋を開けた…

中から、一通の手紙と美織と愛の描き掛けのクロッキーが出てきた…


「え?…、この手紙…」


「その手紙は私から…」美織が

開いて…と、ハンドジェスチャーをしてみせた。


美織は、谷本のうでで、すっかり寝てしまったアミをもう一度、受け取った。


谷本は額縁の中にあった、手紙を手に取り

手紙を開いた。


《 寸くん、誕生日おめでとう! 》

28歳 happy birthday

私が寸くんを好きになって、もう20年近く…

長かったようで…ホントにあっという間でびっくりします…

寸くんが、記憶を無くした空白は

きっと私を受け入れる隙間を作ってくれたんだと私は考えています。

寸くんの描く絵は、いつも私を引き寄せて私の未来を明るく照してくれました。

今まで、何万枚の絵を描いて見せてくれた寸くんに、私から1冊の本をプレゼントします。



「え…これは?…」谷本が顔を上げ美織を見ると、

美織が一冊の本を差し出した。


「寸くん、誕生日おめでとう…

ホントはこの本を渡すつもりで書いてた手紙なの…」と、微笑んだ。


「ありがとう…これ…美織の本なんだね…」


「ごめんね、寸くんの絵を勝手に表紙に使ってしまって…」


「嬉しいよ…でも、この絵…」


「東堂さんのお母さんに借りたの…いろいろ考えたんだけど…この桜の花がどうしても…忘れられ無くて…」


「この桜…中学の卒業式、美織と話した後に描いた絵なんだ、自宅に戻って近くの神社でこれを描いたんだ…」


「実はこの絵…美織に送るつもりで、描いた絵なんだよ…」


「あの日、好きと言われて嬉しかったけど…自分から美織に気持ちを伝えたくて…」


「記憶を無くしてしまったけど…昔も今も、美織が僕を支えてくれたんだと思うよ…」


美織が涙を浮かべた時…

隣りで、司書の佐々木が号泣していた…

「若いって良いわね〜…私こーゆーの弱くて…

ごめんなさいね…その絵持って帰って良いからね…」と、立ち去ろうとした時…


谷本が、

「あの…、もし良かったら、この絵このままこちらに飾っていただけませんか?」


司書の佐々木は

「良いのかい?…」


谷本は優しく微笑み

「是非…」


「実は私、この絵が大好きでね…

司書をこんな歳になってもやっていられるのは、この絵を見ると旦那が生きてた、この時代に戻れる気がしてね…図書館で働く気力が沸くんだよ!」…そう言って、

絵を元の場所に戻すと、


「ありがとうね…」と、頭を下げて帰って行った。


美織と谷本は、顔を見て

アミをベビーカーに乗せて歩き出した。


「ネェ!さっきの話し…寸くんも私が好きだったって事?」

美織が少し嬉しそうに聞くと…


谷本は

「僕は今も昔も、美織が好きだったよ。」

そう言って、美織の手を繋いで歩きだした。


赤い夕焼けが、図書館から帰る3人を染めていた…。



それから1年後…

谷本はオリンピック代表に選ばれた…


美織は、由依と一緒に国内ドームツアーに向けて活動を続けていた。


そして、愛は ミラノ・マルペンサ空港

に、来ていた。


「愛ちゃーん」手を振る蒼太。


「あんた恥ずかしくないの?」


「恥ずかしいわけないじゃん…イタリアでは愛情表現が大切なんだよ!」


「蒼太…元気だったか?」


「もちろん元気だったけど…愛ちゃんがいないとやっぱり寂しいね!」


愛は少し微笑んで、

「何…蒼太、奥手で人見知りのあんたが…大変だった見たいね…」


蒼太が

「そりゃあ〜…大変だったよ…でも、沢山成長できたと思うよ…」


「愛ちゃん!沢山見せたいモノがあるんだ…行こう!!」と、

愛の手を引き歩き出した。


愛は嬉しそうに、歩く蒼太の姿を見て


微笑んだ…



記喪転我意 〜美織Side〜  break my memory


〜 完 〜

いかがでしたでしょうか?


本編 記喪転我意 (きそうてんがい)―Lost Memory― の続編として、

今回の〜美織Side〜  break my memory を、執筆しました。


本編で見えなかった部分や感情を書ければと考えました。

結局、美織と谷本は結ばれたんだと…本編では図書館では出会えなかった…


どんな未来があるんだろう、本編を綺麗に終わらせて、

続編で回収しようと、本編を書いている途中で思いつき、

続編で美織の視点重視で書いてみようと思いました。


続編終了 いかがでしたか?


私自身、描いていて楽しかったです。


来週 エピローグを前編後編の全2話の短編で掲載させていただく予定です。


愛 ・ ひろえ ・ 荒木のお話しがメインです。

特に事件はありません、、、その後です。


また、読んでいただけると嬉しいです。




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