第48話 蒼太の夢
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齋藤絵画教室に愛と蒼太は、新年の挨拶に来ていた…
そのまま、書き初めと池田先生に言われるがまま、二人で石膏像に向かっていた…
「蒼太、あんた就職活動して無いけど…どうするつもりなのよ…」
「愛ちゃんは教員試験合格して良かったね…
4月からは学校の先生なんだね…」
「私の事はいいのよ、蒼太はどうするのか?聞いてるの…」
「愛ちゃん…実はもう決めてるんだ…」
「えー!そうなの?どうするつもり?」
愛は少し笑みを浮かべて蒼太に聞いた。
「ミラノに行こうかと…考えてる…」
愛の表情から笑いが消えた。
「あんたふざけてるの?…」
「いや、ふざけてないよ…実はもう1年くらい前から、谷本さんに相談してて…」
「そんな話し聞いて無い!なんで勝手に寸くんに連絡してるのよ!」
「ごめん…だけど、絵の知識もあって今イタリアに住んでる知り合いなんて…中々居ないでしょ」
「それで、私に秘密にしてたの?」
「イヤ…谷本さんが、まだ誰にも言うなって…
最初は、谷本さんからも反対されたんだ…」
「で…なんで、寸くんが協力してるのよ…」
「実は、最近になって、アリアンツ・ミラノが、テスト的にチームアーティスト契約を結んでくれそうなんだ…」
「え…?何よそれ…」
「ほとんど谷本さんのおかげなんだけどね、試合中の選手やを描いたり、会場でお客さんを描いたり…イベントアーティスト的な要素が強いんだけど…」
「とりあえず1年…頑張ってみて、個展開いてスポンサー募り、絵画を売ったり…ミラノならどこ描いても絵になるだろ…」
「確かに…よくわかった…
蒼太は私より、寸くんの近くを選ぶんだね!」
「そんなんじゃないよ…」
「もちろん、谷本さんの存在は大きい…でも、愛ちゃんと一緒にいる事も大事…でも…日本に僕の働ける環境が見つからなくて…」
「そんな事無いでしょ…蒼太は頭も良いし、絵も上手いし…」
「日本は芸術で食えない…それはわかってたけど…僕のやりたい事はこれしか無いんだよ…」
「確かに…サラリーマンでも、公務員でもないか…」
「谷本さんやお姉さんを見てて…子供の頃、漠然と考えていた夢…叶えてみたいって思ったんだよ…だから、イタリア語も勉強したんだ…」
「なるほど…完全に寸くんに影響されて、いつか旅行に行くつもりで勉強してるんだと思ってた…」
「ごめん…谷本さんがアリアンツの契約が決まらない場合は、日本で頑張れって言われてたから…でも…可能性が見えた。」
「来週、イタリア行ってくるよ…それが上手く行ったら大学卒業後…ミラノに行く。」
「もう…好きにすれば…」
愛が素っ気なく言うと、
「だから、1年後に僕は帰ってくるか…愛ちゃんを迎えに来るよ。」
「勝手な事言わないでよ、私だって先生になったばっかりなんだから…3年は頑張れよ!」
「ハハッ…、確かに…頑張ってくるよ。」
そう言って、笑った…
「蒼太、全然描いてないけど…私はもう完成するよ!!」
「へ?!愛ちゃん…僕はもう完成してるよ…」
「嘘…」愛は立ち上がって、蒼太の後ろに周り込んだ…「どんなスピードで描いてんだよ…」
愛は蒼太を後ろから抱きしめた。
…「あら仲が良いわね…」と、池田先生が紅茶を入れて教室に入ってきた。
「わ!!違うんです…」
愛が慌てて池田に言うと…
「違わないよ…」蒼太が言って微笑んだ。
〜 うどん屋の晩餐
「蒼太くんの事、聞きたいんでしょ?」
美織は愛を見て…
「安心して…愛。」
「蒼太くんは順調に頑張ってるよ…
アリアンツのAllianz Cloudって会場でお客さんの似顔絵描いたりしてるの…でね、蒼太くんのスケッチブックには、アリアンツの選手が事前に描いてあってね…隣りにお客さんを並べて描いてくれるの、名物みたいになってて、いつも長蛇の列…」
「休みの日は、観光名称の絵を描いて、アリアンツクラウドで販売したり…クラブに頼まれて会場内に壁画を描いたりしてて、結構、有名人になりつつあるんだよ…」
「そうなんだ…いろいろInstagramのDMで毎日連絡もらったり、写真も見るんだけどね…」
「お姉ちゃんから、そう聞くと安心してしまうね…ありがとう。」
「そうそう、会場で私も並んで描いてもらったのよ…」
美織はスーツケースの中から、
1枚の絵を出した。
美織とユニフォーム姿の谷本
いつもの二人だけど、谷本が選手の顔で並んでいる為、少し違和感を感じたが…
懐かしい、蒼太の絵だと…愛はすぐにわかった。
アミちゃんは
その絵を見て「パパ…」「ママ…」と、
指を指して教えてくれた。
「頑張ってるなら、それでいい!」
愛はアミちゃんを抱き上げて、膝に乗せた。
次回も読んでいただけると嬉しいです。




