第45話 移籍の理由
いつも読んでいただきありがとうございます。
「ご無沙汰してしまってすみません。」
谷本がお母さんに、手土産を渡しながら部屋に入って来た…
「お母さん、適当に寸くんと、近くでお寿司買って来たの、皆んなで食べましょ」
美織が入って来た。
「あれ?愛ちゃんの彼氏?」
谷本が嬉しそうに蒼太に声を掛けると、
蒼太は立ち上がって
「福原蒼太といいます。宜しくお願いします。」
美織が
「愛からいろいろ聞いてるよ、寸くんの大ファンなんでしょ…」と、微笑んだ。
「そうなの?嬉しいなー」
愛が谷本に向かって
「ちょっと驚いちゃうと思うよ…」
「そうなの…」
「でも、今日は2人…なんか話しがあるのでしょ…わざわざお父さんも早く帰って来たんだし…話したら。」
美織が話し始めた
「実は今日、話しに来たのはね…
私達の結婚生活について、話しておこうと思って…」
お父さんとお母さんは顔を見合わせて…
「2人の事だから…私達はね〜」
谷本が美織に軽く合図して話しだした。
「実は今、所属しているチームを退団する事になりまして、来月からイタリアのセリエA アリアンツ ミラノと言うチームでプレーする事になりました。…」
「イタリアに行くの?」母が不安そうに聞いた…
「言葉は大丈夫なのか?…」父が被せるように問いかける…
「寸くん、オリンピック選考に外されたから?」
母は聞き辛そうに聞いた。
「そうですね…僕も自分が思っていた以上に、オリンピックを意識してしまっていたんだと思います…だから、その問いは〝そうです“なんですが…、それだけでも無いんです。」
「僕が、未だにバレーボールが出来ている事自体、感謝しています。今回…選考から外れて一番納得していたのは僕だったんです。なのに…、」
「チームメイトや監督、コーチが協会に直談判までしに行ってくれたり、ファンが署名を集めてくれたり…SNSでの応援メッセージを読み来れないくらいいただいたり…。」
「何だか…自分自身が、その思いや行動に答えられていないな〜、って感じてしまって…」
「自分の為に動いてくれた人達を納得させるには、自分自身が行動するしか無いって思ったんです…」
「もちろん、美織と相談して…行く事を決意しました。結婚式当日から別居婚になりますが…」
「向こうで、生活が落ち着いたら美織を呼ぶつもりです。イタリア語はチームサポートで通訳がつきますし、もちろん勉強して話せるようにします。」
「美織はそれで良いのか?」父親は美織の顔を見て問いかける。
「私もそうして欲しいの…
私も今の仕事が好きだし、頑張りたい…
だから、寸くんにも後悔はして欲しくない。」
「わかったよ…谷本くん、美織を頼む。
何かあれば、私達の事も頼ってくれて構わないから…」
「ありがとうございます。」
「ありがとう、お父さん、お母さん」
蒼太が
「谷本さんが移籍する、報道はまだ出て無いですよね?」
「もちろん…まだ、チーム首脳陣にしか話していないから、明日チームのホームページとSNSで発表する事になっているのと、明後日の試合で退団と移籍を直接僕の口から発表する時間をもらってる。」
「じゃあ、日本でプレーするのはそれが最後になりそうですね…」
「愛ちゃん一緒に東京まで応援しに行こうよ!」
「明後日、応援に行って…来週結婚式で…
そんなに長く、東京に滞在出来るわけ無いでしょ…宿泊費いくら掛かると思ってんのよ!」
「じゃあ、ウチ来る?」美織が声を掛けた。
「え、いいの?…」
「寸くんの引っ越し準備や、いろいろあるから
手伝ってくれるなら、丁度いいかも…」
「是非、行きたいです!!
大学は単位余裕あるんで…1週間くらい問題ないです。」
「助かるよね?寸くん…」
「そうだね…クラブハウスから荷物も運びたいから、蒼太くんに手伝ってもらえたら助かるよ。」
「チカラ仕事は任せてください!ガンガン運びますから…」
「頼りにしてるよ。」
次回も読んでいただけると嬉しいです。




