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記喪転我意 〜美織Side〜  break my memory  作者: Spumante Rock


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43/53

第43話 挑戦の意識

いつも読んでいただきありがとうございます。

レコーディングはじめます!

スタジオに声が響く…


スタジオの中で由依がOKサインを出した…


「いよいよですね…」

「ハイ!私…レコーディング見るのはじめてで…緊張してます。」


美織がガラス越しに、手を振った…


曲が流れる…由依は全ての力を声に乗せて歌っている…

昔から由依が聞かせてくれた歌は、


いつも素敵で、美織の心を温めてくれた…


それが、今…

由依が聞かせてくれてるのは、私が書いた詩…


私の思いを、歌ってくれている…


寸くんに伝えたかった思い…


愛に伝えたかった思い…


池田先生やあかりさん、

それに荒木さんに伝えたい思い…


沢山の気持ちを、詩にした…


そして、ひろえちゃんに向けた詩…


全ての詩に込めた気持ちや、

事実上の出来事も全て由依には共有した…


それが一番伝えたい気持ちが、

理解してもらえると…思ったから…


重たい事実もあったけど…

気持ちに正直になれたと思う。


ひろえちゃんには、いつかきっと会える…


そんな気持ちになれた…


1年前、由依に作詞を頼まれて、

書いてみたけど…

中々由依の歌にはならなかった…

噛み合わないのは、

意識が共有できてないから…


私は会社を辞めて、東京に来た…

みんなに反対されると思ったら、

全然反対されなかった…寸くんですら

「いいじゃん、やってみなよ!」って言った…


私が東京に行きたいと言ったら、

寸くんもしばらくして東京に来た…


私は幸せなんだと思う…

今まで、小さな不安を自分から大事に育てていたんだと思う…その不安を温めて大事にしてた。


自分の力で進む努力はしなかった…


周りの才能を羨んで、自分にはその恵まれた武器は無いと諦めていた…


由依を見て、違うと感じた…

才能もあるけど…他の誰よりも努力して、


行動していた…

寸くんだって、私の知る限り…


誰よりも走っていた、高校生の時はじめて会った時も…確かに走っていた…

それを私は、才能と言う言葉で済ませていた…


今は違う…彼らの努力を認め、私もそれに応えて行きたいと考えている…


全力で向かう…そんな気持ちで今は取り組んでいる…ようやくそれがカタチになった…


レコーディングは順調に進んだ。

その時、スタッフの1人が、

「美織さん…来月、結婚式ですよね?」


「あっ…ハイ そうなんです。」


少し恥ずかしそうに答えた。

「谷本選手ですよね…僕、ファンなんです。

彼のプレー見るとやる気が沸いてきます。」


美織は笑顔になって、

「ありがとうございます、本人が聞いたら喜びます。」


「オリンピック選考は、残念でしたね…

僕は代表に選ばれると思ってました。それが…なんで外れたのか…」


「本人は、最初から選ばれないと思っていたみたいです…残念がってはいましたが…」


「でも、Vリーグでは得点ランキング1位か2位を維持してたのに、絶対おかしいですよ」


美織は谷本の気持ちを思うと、

何も言えなかったが、

「ありがとうございます、

応援していただき喜ぶと思います。」

と、伝えて


スタジオの中で歌う由依に目を向けた。


谷本は、今年はプレーも調子が良く、

チームでも、日本代表の試合でも活躍していた…


それなのに、最終選考で選ばれなかった。


本人から聞いた訳じゃない…

日本代表の試合を応援に行った時の事…


後ろの席の2人の会話が聞こえてきた…

「谷本はスパイク決定力上がったよな…

あのジャンプ力が凄いよ…」


「オリンピックでも活躍しそうだな…」


「多分…選ばれないよ…」


「え?なんで…」


「身長が低いからだよ…」


「プロフィールを見ると、182cmとある…

選考基準は185だから…」


「3cmなら、何とかならないの?」


「それは難しいと思う、バレーボールは近年高身長化が進み、海外チームは平均身長が195cmを超える選手も多いから…」


「高く飛ぶと、滞空時間が長くなるだろ…

つまり、セカンドプレーが遅れるんだ…」


「谷本選手の武器は、弱点でもあるって事」


…そんな話しを聞いてしまった、

美織はそれを谷本に話した事があった…


谷本は

「そうだね…その解説は間違ってないよ…」

そう言うばかりで、

話しにはならなかった…


それから数日後…

美織と谷本は一緒に暮らしはじめ

半年程が経過していたが、

谷本から一つの提案を受けた。


「美織…ちょっといいかな…」


「どうしたの?」


「オリンピック選考から外れたの知ってるよね…

僕はずっと、選ばれないと言っていたけど…」


「いざ外されると、ショックも大きかった…」


美織も頷き…

「私も残念だよ…寸くんが頑張ってたの知ってるから…」


「それで…」

谷本の言葉が止まった…


美織が首を傾げて…

「ん?…それで…?」


谷本は顔を上げて

「僕は、セリエAに挑戦したい。」

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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