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記喪転我意 〜美織Side〜  break my memory  作者: Spumante Rock


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第42話 奇跡のスケッチ

いつも読んでいただきありがとうございます。

愛と蒼太が付き合い出して1年が経った頃

「愛ちゃん今日は、

荒木さんのお店行くんでしょ」


「蒼太、今日は愛ちゃんさんのお店で

お花を買って、各務台病院に行くんだよ…」


「それから齋藤絵画教室に行って、

池田先生とタクシーに乗って行くんでしょ…」


慌ただしく、大学を出る二人…


〜荒木の花屋


愛と蒼太が店に到着し

頼んでいた、花束を受取りに来ていた。


「愛ちゃんさん…頼んでた、お花出来てますか?」


「もちろんだよ…

私も行きたいだけど…お店、閉められないから…

齋藤さんによろしくいっといて…」


「ハイ!私、赤ちゃん見るのはじめてなんで、

めちゃくちゃ楽しみなんです。」


荒木が花束を紙袋に入れながら、

「谷本達は帰ってくるの?」


「ちょっと、難しいみたいです…

姉が東京に行ってもうすぐ1年…

まさか姉が転職するなんて、以外でした…」


「寸くんまで、Vリーグに移籍して東京グレートベアーズに行くなんて…お姉ちゃんの転職が影響したんだと思います。」


「結局、蒼太くんは谷本に会えてないんでしょ…」


「ハイ…でも、いつかは必ず会えると思うんで…」


「愛ちゃん、写真撮って送ってね」

荒木は手を振っていた。



〜 齋藤絵画教室


「池田先生!行きますよ〜」

蒼太が池田に声を掛けると、


奥から池田が現れた…

「蒼太くん、お花買って来てくれた?」


蒼太は花束の紙袋を持ち上げて、

「完璧です!」


「あら、素敵ね。」


「先生!タクシー来ましたよー」

愛が玄関で叫んだ!


「急ぎましょう、先生。」

3人は、急いでタクシーに乗りこんだ。


「各務台病院までお願いします。」


「池田先生は産まれた時、

病院に行ったんですか?…」


池田は首を横に振った。

「行けて無くて…今日はじめてなの…」


愛は、それであかりから

池田先生を連れて来てって、

連絡が来たのかと理解した…


それ以上、池田が病院に行かなかった理由を聞かなかった。


病院に到着して、タクシーを降りた3人は

あかりが待つ病室に向かっていた。


すると池田が、ベンチに座りこんでしまった…


「先生…大丈夫ですか?何かあったんですか?」


「大丈夫よ…少し貧血気味で、ごめんなさい…」


愛が池田に

「先生…、ひょっとして行きたく無いんですか?」


池田は微笑んで

「ごめんなさい…怖くて…」


「赤ちゃんが怖いんですか?…」


「不思議に思うでしょ…

愛ちゃんは、美織さんから私の事を聞いてないのね…」


「お姉ちゃんからですか?…」


池田は愛と蒼太に、

昔…赤ちゃんを流産した過去を話した。


「池田先生…に、そんな過去があったなんて…」


「どうします?…あかりさんに私から伝えましょうか?…」


池田は首を横に振って…

「あかりちゃんには、私…話ししたの…

産まれる前も、産まれた後も電話くれたから…」


「それでも…気が乗らなくて…

明後日にはもう退院するでしょ…」


「愛ちゃんと蒼太くんが誘ってくれなかったら、

凄く後悔する事になったと思う…」


「今日、ここに来られて良かったと思ってる…」


「でも…少しだけ待って…」


愛と蒼太は、池田を真ん中に座った…


10分くらいが経った時…

池田が立ち上がった。


「行きましょうか…」

そう言って、歩き出した。


愛と蒼太は、

池田に着いて行った!


あかりの病室に来て…

「入ります!」池田は覚悟したように、

掛け声と合わせてドアを開けた…


あかりがベッドに座っていた…

「先生…やっと来てくれたね…」


池田は微笑んで

「中々来られなくてごめんね…」


あかりの隣りに、

小さな赤ちゃんが寝ていて、

愛と蒼太は、起こしてしまわないか…


息もしないくらい、

静かに病室に入ってきた。


「愛ちゃん…今日はありがとうね…

来てくれて嬉しい…」


「小さい赤ちゃん…かわいい…」


愛と池田は、

ベッド横の椅子に座って、

蒼太は窓際に立っていた…


「あかりさん…これ、」と、荒木の店で買った花束を差し出した。


「綺麗…ありがとう…」

花瓶に移し替えて、窓際の棚に飾った。


あかりは赤ちゃんを抱きあげて、

池田先生に差し出した。


「先生…抱いてあげて…」

池田は微笑んで受け取った、


「赤ちゃん…こんな感じなんだ…」

赤ちゃんを抱き、

静かに見つめていた…

「ホントにかわいいわね…」

池田とあかりの会話をしばらく愛は聞いていた。


「蒼太…あんた何やってるのよ…」

愛が言うと、


「ごめん…あまりに素敵だったからつい…」


スケッチブックに、赤ちゃんを抱く池田を

サラサラと、描き写していた…


あかりがスケッチブックを覗き込むと、

「嘘…、」…と、口に手を当てて座りこんだ、


「あかりさん…大丈夫ですか…?」

蒼太はあかりを支えて、ベッドに座らせた。


「蒼太くん…この絵…知ってたの?」


蒼太は不思議そうに…

「え…この絵が何か…」


蒼太の描いた、池田のスケッチ…

それを、池田が見た瞬間…


池田は泣き崩れた…

優しく抱いた赤ちゃんを

今までよりも、優しく包み込むように…


涙が溢れでた…

「この絵素敵…」愛が言うと、


あかりが、

「蒼太くん…これ、池田先生の恋人が昔…

描いた絵、そのもの…

今も先生の部屋に飾ってあるの…」


「蒼太…あんたその絵見たことあるの?」


蒼太は首を横に振って

「知らないよ…今、見て描いた先生そのもの…

それ以上でも以下でも無いから…」


あかりが、

池田先生を抱きしめて、

「先生の事…元彌さんは愛してたんですね…」


愛と蒼太は、

蒼太の描いた絵が、どれほど奇跡的な絵だったか…知るのはもう少し後だが…

この日は、池田先生の心が解放され、

あかりと池田は、まるで親子のように

見えていた…


歳の差は、姉妹ほどの二人だが…

愛には二人の関係性が今まで以上に

親密になったように見えた…

そんな一日だった…

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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