第40話 教室のあかり
いつも読んでいただきありがとうございます。
「伊東さん…今日もバイト?」
「私は今日はお休み…
蒼太はバイト無いの?」
「僕も今日は、休みなんだ…ホントは今日
お祖父ちゃんの家に行く予定だったんだけど…
都合悪くなったみたいで…」
「そうなんだ…残念ね…
それじゃあ、いい所に連れてってあげる…」
愛は福原を連れて電車に乗った。
「どこに行くの?行き先は言ってもらわないと…」
不安そうに聞いてくるのを楽しんでいた。
「蒼太、絵葉書の教室行きたがってたでしょ…」
福原の表情が、一瞬で明るくなった…
「えっ…いいの?…」
嬉しさが隠しきれない福原は、
電車の車窓をキョロキョロと眺めて、
落ち着かない。
そんな姿を愛は嬉しそうに見ていた。
「次で降りるよ!」
「うん!」
と、素直に着いてくる福原…
「蒼太、スタバでお茶でもしてく?…」
「え〜…早く行こうよ…」
と、もう待ちきれない状態が愛には、
面白くて仕方ない…
「わかったわかった…行きましょ。」
そうやって、
面白がっていた…
駅から15分くらい歩いて、
ようやく到着した、齋藤絵画教室…
愛はチャイムを鳴らした。
「あっ…今日、平日だった…」
「え?何…どういう事?」
「先生、普段は中学校の美術の先生なの…
居ないは、今日は。」
「え〜!!酷いよ〜めちゃくちゃ楽しみにしてたのに〜…」
「愛ちゃん?…」と、後ろから声がした。
齋藤あかりが立っていた。
「やっぱり…愛ちゃんだ、久しぶりね!」
「あかりさん!!良かった…」
「どうしたの?上がってく?」
「はい!ありがとうございます。
あの…教室を見せてもらいたくて…」
「何?忘れモノ?」
「違うんです…この人がどうしても
寸くんが描いた教室をみたいって…」
齋藤が嬉しそうに
「あら…いいわね、彼氏?」と、聞くと
福原が
「福原 蒼太と言います。」と、名乗った。
愛はすかさず
「イヤ…違います、友達です。」
齋藤は福原の表情をチラッと見て、
「蒼太さん、私は永野あかりと言います、
あかりって呼んでね…
教室を開けたら良いの?」
「お願いします!」
と、福原が頭を下げた。
齋藤が、鍵を開けてくれた。
「今日はどうしたんですか?あかりさんが居るなんて…」
「そう?結構来てるのよ、
先生と晩御飯食べる約束してて…だったほら、
先生、寂しがりでしょ…」
「確かに…」愛は微笑んで頷いた。
「愛ちゃん、これ教室の鍵
私は晩御飯の支度があるから、
キッチンにいるから何かあれば呼んでくれる。」
「ありがとうございます、
見るだけなんで…」
そう言って、教室の鍵を開けた…
中に入ると、福原の声が漏れる…
「わ〜、凄いな…」
「どう?満足した?」愛が福原に声を掛けて
近くの椅子に座った。
福原は教室の隅に立って、教室を眺めていた。
おもむろにスケッチブックを開いて、
ペンを走らせた。
それを愛は、黙って見ていた…
真剣な表情で、スケッチブックに向かう
福原は集中すると、まわりが見えなくなるタイプで愛もそれを知っていた…
しばらく、スケッチに夢中になる福原を見ていたが、愛はいつのまにか、睡魔に襲われて眠ってしまった…
目を覚ました時
まだ、福原は絵を描いていた、
「あ…ごめん。寝てしまった…」
福原が優しく愛に、
「よく寝てたね…だいぶ、
疲れてそうだけど…大丈夫?」
「ごめん…すっかり遅くなっちゃったね、」
「いいよ、全然問題無いよ…」
そう言って、福原は荷物をまとめた。
「ちょっとあかりさんに、挨拶してくるから、
ちょっと待ってて」
愛はそう言って、母屋の中に入っていった。
その時だった
「あら?何かご用?」
玄関前に立つ福原の前に、池田京子が現れた。
「あっイヤ…伊東さんに教室を案内してもらって…福原 蒼太と言います。」
「伊東さん?美織さんのお知り合い?愛ちゃんのお知り合い?」
「あっ…伊東 愛さんです…」
「あらそう、よく来たわね…
私は絵画教室で指導させてもらってる、
池田京子です、どうぞ入って…」
そう言って、福原を招き入れようとすると、
奥から、愛が戻ってきた。
「あっ!池田先生…おかえりなさい」
「愛ちゃんいらっしゃい、さぁさぁ入って…」
「あ…先生、今日は帰ろうかと…
今あかりさんにも挨拶してきた所で…」
「伊東さん池田先生が谷本さんの師匠なの?」
池田がその問いかけに反応した、
「あら、谷本くんもお知り合い?」
「イヤ、蒼太は寸くんに憧れて絵を描き始めたみたいで…教室が見たいって…」
奥からあかりが出てきた…
「玄関で何やってるの…中入ってゆっくり話したら?」
愛が、福原の顔を見て
「どうする?時間大丈夫?」
福原は目を輝かせて
「是非…お話を聞かせていただきたいです。」
愛は そのモードだよね…蒼太…
今日は遅くなりそうな予感…
次回も読んでいただけると嬉しいです。




