第39話 東京メモリー
いつも読んでいただきありがとうございます。
福原 蒼太は、
愛が、熱心に聞いてくれるから、
嬉しくなって話し過ぎていた。
「あっ!ごめん僕ばかり話してしまって…
伊東さんも、あの美術館でこの絵を見たの?」
愛は頷いて
「私もあの絵を見て、絵を習いはじめたんだ…
でも、私の場合は絵を習いはじめたのは、
もう少し後なんだよね…」
福原は偶然同じようなタイミングで、
絵を習いはじめた愛の話を、興味深く聞いていた…
「蒼太くん…私が絵を習ったのは、
その絵葉書の教室なんだ〜」
「へ?そ…そうなんだ…
凄いね…じゃあ谷本さんの事も知ってたりして…」
福原は冗談のつもりで聞いた。
「よく知ってるよ…」
福原の目が輝いて
「え?っ…会ったことあるの?…」
「あるよ…もうすぐ義理の兄になるから…」
愛は嬉しそうに話した。
福原の表情が、少し変わったのを感じた…
「なんか、ずっと憧れてた人に近づけたような感じがして…
今、震えが止まらないよ、」
愛は福原が嬉しそうにしてるのが、
面白かった…谷本がこんなにも影響力があるなんて…
「でも、私紹介するって言ってないよね。」
「え〜…聞かなきゃ良かった…」
本気で落ち込んでる、福原を見て
ちょっとからかうのを楽しむ愛だった。
「まあ、機会があればね」
そう言って、お弁当を片付けて…
「さあ、午後の講義は?…出ないの?…」
福原は歓喜から落ちた、絶望が重たいようで、
中々、立ち上がれなかった…
「待ってよ…一緒に行くよ…」
愛に忠実な、子分ができた瞬間だった。
〜 東京赤坂
美織は東京に来ていた。
ラウンジのある、ホテルの2Fで由依と待ち合わせしていた。
「よく来たね〜美織…
せっかくのお休みにわざわざ呼び出してごめんねー」
「全然いいよ、こちらこそ新幹線代まで払わせちゃって…ごめんねー」
「今日、このホテル取っておいたからゆっくりしてって〜」
「うん!ありがとう…」
「谷本くんも連れて来たら良かったのに…」
「実は今ね、オリンピック強化選手に選ばれたみたいで、沖縄に行ってるの…」
「あ〜、凄いね…」
「でもね…バレーボールの選手としては、身長が小さい方だから、
いろいろ厳しいみたい…」
「谷本くんが弱音を言うなんて…珍しいな…」
「イヤ…寸くんは、そんなことは心配して無いんだけどね…
試合の応援行くと、応援席の人達の声が聞こえてきちゃって…」
「まーまー…多分、美織が心配するほど…
谷本くんはハンデに思って無いと思うよ…
美織は他人のネガティブを拾いやすい体質だから…」
「で…、頼んでた歌詞は?」
「うん。書いてみた…
自分の今までの経験や寸くんの記憶…」
「絵画のイメージを詩にしてみたり、
時間の流れみたいなの大事にしてみた。」
「OK…ちょっと見せて…」
しばらく、由依はタブレットに送ったデータを、眺めていた。
美織は向かい側の席で、
珈琲を飲んで待っていた…
しばらくして、由依が立ち上がって
「ちょっと…一緒に出られるかな…?」
「私は由依の為に来てるから、問題無いよ」
由依と美織は、タクシーに乗って広尾にある音楽スタジオに来た…
「今まで、自分で作詞してたから感覚が掴めなくて…
歌いながら、歌詞を整理しても大丈夫かな?…」
「もちろんだよ…」
「一応、音に残したいから…録音するからね」
「わかった…大丈夫だよ。」
2人はこの日、しばらくスタジオに籠る事になり、
美織がスタジオからタクシーに乗ってホテルに着いたのは、
13時近かった…
…由依はいつもこんなに頑張ってるんだ…
美織はホテルに着くと、
シャワーも浴びる事なく、ベッドに倒れ込んだ…
〜翌朝…
美織の携帯が鳴り、美織が電話にでると、
「美織〜おはよう!」
由依だった。
「ホテルのロビーで待ってるから、来て〜」
「あ!私シャワー浴び…」
プツリ!ツー…ツー…
切られた…
美織はスマホに時間を見ると…
6時を過ぎたばかり…
「早っ!!」
急いで顔を洗って、ノーメイクで
荷物は開いてなかったから、
そのまま持って出た…
「お待たせ〜」
由依が立ち上がって、
「めちゃくちゃ早いじゃん!大丈夫?」
「え〜大丈夫じゃないよ…
メイクもしてないし…」
「とりあえず、荷物を持って来たって感じね…」
そう言って、由依が笑った。
「もう…」
そのままチェックアウトして、
由依に言われるまま、タクシーに乗った。
「ねーまた、スタジオ行くの?」
「行くわけ無いじゃん…
どんだけブラック企業だよ…今日はオフだから…」
「え〜休みなの?…」
「そうだよ、せっかく美織が東京来たのに…
スタジオ漬けにして、ホテルで寝落ちするだけでは返せないでしょ…」
「じぁ…どこ行くのよ…」
「サウナ!しっかり疲れを取ろうよ。」
「へ〜…、私はじめてかも…」
「でしょ!!凄く良いから…」
すっかり、旅行気分になっていた。
「ねー…曲はまだ完成して無いでしょ?」
「そうだね…でも、焦っても仕方ない。
もう少しだよ…行き抜きしたら、
いい曲できそうな気がするよ。」
次回も読んでいただけると嬉しいです。




