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記喪転我意 〜美織Side〜  break my memory  作者: Spumante Rock


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35/53

第35話  夕焼けの告白

いつも読んでいただきありがとうございます。

少し間があいてしまいました・・・ごめんなさい

美織は大学を卒業して、

街の百貨店に就職していた、

主な仕事はPR文章の作成や、広報誌の作成などだ。


その傍らで、自己の小説を書いていたが、

何度もストーリーを書き直すばかりで、

人に見せる事は無かった。


谷本とは、休みが合った時に一緒に過ごしている…


何も不自由も無い生活…


谷本とも良い関係を保てている…


なのに…何かが欠けている実感があった。


そんなある日…

東京の由依から電話がかかってきた。


【もしもーし!美織、元気?…】


[元気だよー、由依忙しいんじゃないの?

…最近、テレビでもよく見てるよ!]


【ありがとう〜美織は仕事はどんな感じ?

楽しくできてる?】


[私は…どうかな、]


【なーに、またネガティブモードに入ってるの…

美織は幸せになると、ネガティブを探すって言うか、

素直に幸せを受け入れない所があるからな…】


[そうかな…私は贅沢な悩みなのかな…?]


【贅沢とは言わないけど…

神経質になりすぎだと思うよ…

今は谷本くんと上手くやってるんでしょ…】


[それは…そうなんだけど、

周りの人達は凄く頑張っている人ばかりで…なんだか、

当たり障りなく生きてるんじゃ無いかって…]


【美織は自分の事より、他人に優しいんだよ…

昔から…私も谷本も頑張ってるようで、

自分の事しか考えてないと、言えば聞こえは悪いけど…

そう言う事でしょ…】


[そんな事ないよ…私だってわがまま言うし…

由依や寸くんも優しいじゃん…]


【じゃあ、優しいって言う意味じゃなくて、

周りの人を良くみてる…って事かな…

私や谷本はそこまで、周りを見てないから…】


[そうかな〜、?]


【美織は自分の為…じゃなくて、

誰かの為に動いている事が多いんだよ…】


[そんなことないと思うけど…そうなのかな…?]


【美織に自覚なんてないと思うけど、

多分…それだよ…昔から自己肯定感が低すぎるんだよ、

回りの人が良く見えてるだけで、

私から見て、谷本くんとの関係性は羨ましいわ〜】


[うん…そうだね…私も不満は無いんだけど…

なんだか、寂しくて…]


【まあ、考えすぎないで!来月そちらのホールで、

サマーフェスがあって私も参加するの!

チケット送るから谷本くんと来てよ!】


[ありがとう〜絶対行くよ!]


【美織さ〜お酒飲む人?…

せっかくだからさ…夜一緒に飲もうよ!】


[私、芸能人と飲むのはじめて]


【その変わり、夜泊めて〜

タクシー代出すから…お願い…】


[凄い〜、大歓迎だよ…

ウチの両親とか由依の大ファンだから、

喜んじゃうと思う]


【じゃあ、私の演奏終わったら連絡するね!】


[谷本くんも一緒にいいんだよね…?]


【美織の好きにしていいよ!】


[わかった。楽しみにしてるね…]


美織は電話を切った時…


なんだか、こんなに幸せなのに…


なんで、こんなにも寂しく感じているのか…


贅沢な自分に腹が立ってきた。


少し、電話を見つめてから、

谷本に電話した。


「寸くん!凄いんだよ…

来月……***」



嬉しい気持ちを素直に認めて、

喜んでみよう、それが一番!!


すると谷本が、

「週末、一緒に水族館に行かない?」


「楽しそうだね…高校の時以来だ、」

と、美織は嬉しそうに笑った。


「楽しみにしてるよ。週末は昔みたいに

電車で行ってもいいかな?」


「もちろん!電車…好きだよ」

そんな電話で、週末の予定が決まった。



〜週末の水族館…

昔、愛ちゃんと3人で行った水族館は、

少し新しく増築され、綺麗なマリーナが併設されていた。


それでも、昔…一緒に歩いた水族館は、

思い出の断片を残していた…


「なんか懐かしい〜」

谷本が言うと、


美織が、「私達、はじめて一緒に来た場所だもんね…」と、

微笑んだ。


「あの時は、必死で美織に着いて来たのを覚えているよ…

愛ちゃんに頼み込んだのを覚えてるよ。」


そう言って、笑った。


「めちゃくちゃ警戒されてたよね…

今考えても、そりゃあ怪しいよ…

ランニングしてたのにいきなり一緒に行くなんて…」


「確かに…愛も少し怖がってたもんね…」


「ランニングウェアで、そのまま水族館に行ったの覚えてるよ…

懐かしいな…」


美織が白熊の前で、

「この白熊は、寸くんが昔描いた白熊だよ…」


「嘘〜、なんでわかるの?…」


美織が白熊の写真を指差して、

「あそこに名前書いてあるんだよ…」


白熊の写真の下に〝アイス”と、書いてあった…

谷本は少し吹き出した。


「あ〜、あの白熊アイスって名前なんだ…

もう忘れないね…確かに…」


2人はイルカのショーを見たり、

ペンギン村を歩いたり、楽しい時間を過ごした。


海に夕焼けが染まる頃、

谷本が、1枚絵を描いてくれた。


美織の絵を描くのは、久しぶりだった。

「美織、小学生の頃からずっと僕を支えてくれてありがとう。

美織の気持ちに気づかなかった昔の僕は馬鹿だったよ…」


「そんな…私は何も…」

美織は恥ずかしくなった。


「美織…記憶を無くした僕を、

救ってくれてありがとう!ホントに感謝してる。」


「私はただ、昔を思い出して欲しくて…

それって、私の勝手な都合だよね?」


「勝手なんて思わないよ、

美織がいなかったら…僕はもちろん、

池田先生や齋藤あかり、

荒木だって今の幸せはなかったんじゃないかな…」


「そんな事ないよ…何もできて無いもん…」


「小学生の時に、美織がいなかったら、

僕は潰れてたかも知れない…

中学生の時、美織に告白されて無かったら、

僕は自分に自信を持てなかったかもしれない…」


谷本は美織の手を取って、

「高校の時、美織と出会えて

一緒に過ごした時間は、記憶を無くした僕の

唯一の支えだった。」


「それから、今…

僕の記憶を取り戻してくれてありがとう。

忘れて良かった時間なんて、無かった。

全ては、人との繋がりや出会いが、

少しずつ誰かに影響を与えていて、繋がってる。」


「美織…僕には美織が必要です。

これからの人生も、一緒にいて欲しい。

結婚してくれないかな?」


美織は嬉しすぎて、

目に涙が溢れた。

「ありがとう…嬉しいよ。」


谷本は美織に、そっと指輪を差し出す。


「凄い…私…嬉しい。」美織は

言葉に出来ない…感情が大きく溢れた。


「美織、これもプレゼント…」

谷本はさっき描いた、美織の絵を渡した。


夕焼けがとてもきれいなプロポーズだった。

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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