第33話 信頼と感謝
いつも読んでいただきありがとうございます。
荒木は薔薇の花で、花束をアレンジしていた。
少し小さめにまとめられたアレンジは、
緑の葉がコントラストになり、
可愛かった。
「お待たせしました。こんな感じで良いですか?」
「ありがとうございます。
素敵ですね…」
男性客に花束を渡すと、
嬉しそうに帰って行った。
「愛ちゃんさん店長、今の花束素敵でしたね。」
「そう?ありがとう…
プロポーズに使うらしいわよ…」
「へー…素敵。」
愛はアルバイトをはじめて、
3ヶ月くらい経ち、お客さんがいつも笑顔で、
素敵なお仕事だなーと、思う反面。
荒木が朝4時に起きて、毎朝の仕入れから
開店前の準備をしている事を知っているので、
大変なお仕事だと言う認識もあった。
重い荷物を運んだり、花に付いた害虫駆除したり、
水上げしたりで手荒れも酷い…
アルバイトの私でもわかる。
それから最近は、夜になると
彼氏の源三さんが迎えに来る。
「愛ちゃんさん店長!
今日も源三さん来るんですか?」
「来るよ…明日は仕事休みなんだって…
だから、トラック置いて来るから飲みに行こうだって…
愛ちゃんも来る?」
「行くわけないじゃないですか…
恋人同士のデートに私は何枠なんですか…」
「今日はちょっとネ…
二人きりじゃないから大丈夫よ…」
「そうなんですか?…」
荒木が笑みを浮かべて
「谷本の記憶が戻ったんでしょう…
私のアイデアなんだから、
報告してもらおうと思って誘っておいたの…」
「じゃあ…ひょっとしてお姉ちゃんも来る感じですか?…」
荒木は首を横に振って、
「美織さんは誘って無いの…」
そう言って、愛を見て内緒だと、
人差しを唇に当てた…
「そうなんですか…」
「それには、もう一つ理由があってね、」
荒木が愛に向かって、ウィンクした。
「大丈夫、谷本が奢ってくれるから…」
愛は少し気が乗らなかったが、
昔は谷本の横で、いつもくっついていた事を考えれば、
大丈夫なんだろうか…
結局、荒木に押し切られるカタチで、
一緒に行く事になった。
バル風居酒屋で、待ち合わせして
荒木と愛は、少し早く店に着いてしまい、
待つ事になった。
しばらくして、谷本が来た。
「あれ?愛ちゃんも一緒だったんだ…」
「久しぶりだね、荒木…元気だった?」
そう言って、愛の隣りに座った。
「若林は?まだ来てないの?」
「さっき連絡があったから、
もう来ると思うよ…」
愛が谷本の隣りに座るのは、何年ぶりだろう…
少し恥ずかしさが、交じる…
「源三さんって、若林っていうんだ…?」
愛が呟くと、
谷本が笑った…
「荒木…なんだよ、源三って…」
愛が少しキョトンとして、
「どういう事?寸くん…」
谷本が笑って、
「若林 光が本名なんだよ、源三はキャプテン翼だろ…
荒木がふざけてんだよ…」
「えー!私普通に源三さんって呼んでたよ…」
荒木が笑って、
「だって光って顔じゃないでしょ…
源三がしっくりくる。」
愛も笑って
「じゃあ、私も源三さんって呼んでて大丈夫なのかな…?」
谷本が頷いて、
「たぶん本人は、喜んでるよ…」
「喜んでるよ〜俺は…」
若林が入ってきた。
「谷ちゃん久しぶり、元気だった?」
「若林も相変わらずだな…」
「俺は全然変わらない!
今日は愛ちゃんも来てくれて嬉しいよ!」
愛は恥ずかしそうに笑って
「すみません、デートにおじゃましてしまって…」
「いいよいいよ〜、人が多い方が楽しいし…」
そう言って、荒木の横に座って
「すみません生大下さい!みんなはもう頼んだ?」
「私達は早く到着してしまったから、
もう飲んでるから…谷本は何飲む?」
「じゃあ、生中下さい!」
愛が、谷本の顔見て、
「へー、飲むんだ…」
谷本が、
「飲むよ…少しだけね、一応アスリートだから、
飲み過ぎないようには注意してる。」
若林が谷本に聞いた
「最近は全日本メンバーにも招集されてないんだろ…
調子はどうなの?」
「そうだな…全日本メンバーに招集されたのは、
もう2年前くらいだったか…もうピークは過ぎてるな…」
「…そこに、選ばれた過去がある事がもう凄いんだから、
良いんだよ!」
生大と生中が運ばれてきた。
「じゅあ、乾杯だ!乾杯〜」
カチンとグラスを合わせた。
荒木が早速
「谷本…記憶が戻ったんだって?どんな感じ?」
谷本は少し真面目な顔になって
「不思議な感じだよ…、忘れてた記憶なんだけど…
思い出し感じは無いんだ…自然って言うか…
思い出そうとすると、思い出せる感じ…」
荒木は
「高校入学した時は、記憶に無かったのに、
今は記憶にある思い出は、谷本の感情を変化を与える物ではなかった?」
「そうだね…大きな変化はなかったと思うよ、」
「中学時代に好きだった先生に会いに行ってきたんでしょ…」
「そうだね…会って来たよ。
いろいろ、曖昧だった記憶が繋がったよ…」
「愛ちゃん…美織から聞いた?」
愛は小さく頷いた。
「うん!たぶんだけど一通りは聞いたと思う」
谷本は
「中学時代の僕の恋は、憧れと責任が大きくなっていた恋心だった…
実際に先生もそれに気が付いていたみたいで、気恥ずかしかったよ…」
荒木は谷本に
「良い思い出になったなら良かったね…
美織さんも、もう大丈夫そうなの?」
谷本は少し首を傾げて
「大丈夫…って、どういう事?」
荒木が呆れて
「ふ〜、谷本はなんで、あんたの記憶が戻ったと思ってるの?
美織さんが何年も動いていたからだよ…わかって無いでしょ…」
若林が、
「美織さんって誰?谷ちゃんの彼女?」
愛が、
「私のお姉ちゃん!」
若林が少し驚いて
「愛ちゃんのお姉さんと、谷ちゃんは付き合ってるの?」
荒木は少し若林を睨んで黙らせると、
「谷本はどうするの?」
「どうするって…何を…?」
「あんたね、プロポーズに決まってるだろ。
あんたが諦めた記憶を、何年も追いかけて…
ホントに記憶を戻してしまうなんて…」
「もう奇跡でしょ!ファンタジーの世界だろ…
もうプロポーズするしか無いだろ!」
谷本は荒木の勢いに押されていた。
「ありがとう…荒木…確かにはっきりしなきゃな…」
愛が、
「駄目…ちょっと待ってよ…」
また次回も読んでいただけると嬉しいです。




