第23話 ロストメモリー
いつも読んでいただきありがとうございます。
電話の向こう側…
間違いなくひろえの声
『美織ちゃん…ごめんなさい、心配掛けたね…』
「心配したよ…大丈夫?どこにいるの?」
『美織ちゃん、今から話す内容はいろいろ制限されていて、
全ては話せないから…ごめんね…』
「どういう事…?」
美織はもう涙が止まらなかった。
『美織ちゃん、私ねDV保護プログラムで
今は違う街で生活してる…』
「え…」
『池田先生の話し聞いたから、
だいたいわかるよね…
あまりにもタイムリーな話しで、
私自身がとても驚いてしまったんだけどね…』
『私は父親からDVを受けて、この街に逃げてきたの、
それが最近になって私が住んでた付近で父親を見たと、
保護観察員が教えてくれたの…』
『それで、美織ちゃんの家に泊めてもらってたってわけなんだけど…
もう住んでた部屋も特定されたからと…美織ちゃんと別れたあの日、
支援の車に乗って街を出たの』
「そんな…」
『車の中で、新しい携帯電話と新しい名前をもらった…』
『ひろえって名前、気に入ってたんだけどな〜』
「そんな…嫌だよ…ひろえちゃん」
『池田先生みたいに、
新しい人生を送れる日がきっと来ると今回の経験で前向きに思えた。』
「ダメだよ…ひろえちゃんがいなきゃ…」
『また会えるよ…美織ちゃんと過ごした日々は、
私のくだらない人生の中で、ダントツ最高の時間だったよ!』
「イヤ!ちょっと待ってよ…切らないで…」
『美織ちゃん、頑張れ!!
私も頑張るから…ありがとう…』…プツ!!…
「イヤー!ひろえちゃん!!ひろえちゃん…」
そのまま…美織はパニックになった…
ひろえは生きていた…でも、
それは他人から受けたDVに苦しめられて…
逃げていた…
池田先生の話しを聞いて、
どう思ったんだろう…
なんで、ひろえちゃんのお父さんは
そんな事するんだろう…
自分の子供が可愛くないんだろうか…?
「なんだか…私の回りの人…
私が不幸にさせてないかな…」
「そうか…私が不幸の原因か…」
フラっと、横断歩道によろめいた時…
頭に衝撃が走った…
車の大きなブレーキ音と、衝撃…
美織は、アスファルトに倒れていた…
「だれか救急車を呼んでください!!」
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美織ちゃん…
私は永野くんと付き合うから…
ひろえちゃん…
それは永野くんの気持ちもあるから…
いいの、いいの…
私が好きならそれが全てさ〜
笑い声が響いている…
お姉ちゃん
私、春高で優勝したよ…
だから、寸くんに告白してもいいよね…
凄いネ〜愛は…ホントに凄い…
羨ましいよ…
美織さん
私は今の谷本くん好きよ…
OKしちゃおうかしら…
池田先生…
寸くんには昔の記憶が無いんだから…
いいの、いいの
私が覚えているから…
美織さん
2回も谷本との約束をすっぽかしたんだから、
もう二度と谷本の前に現れないでよね!
荒木さん…
違うの、違うの…
私…寸くんが好き…
ひろえちゃんも池田先生も、愛も荒木さんも、…
みんなが、私や寸くんの為に
動いてくれていたのに…
それを、身勝手に無視して…
みんなの優しさが私なんかより、
素直で綺麗…
私は最低だ…
助けてください…
助けてください…
****************
明るい、窓から差し込む光…
白いベッドの上
美織はゆっくりと目を開けた。
窓の外から聞こえる鳥の囀りが心地良い…
起き上がろうとすると、右腕と右足が痛い
大きなギブス…
あぁ…あの日…私は事故に遭ったのか…
生きてる事を喜ぶべきか…
死んだ方が良かったと悲しむべきか…
美織は大きく息を吐いた。
「やっと目が覚めたね…」
ベッドの横に、谷本寸が座っていた。
そろそろストーリーの全貌が見えてきています。
次回の展開も、読んでいただけると嬉しいです。




