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魔法学院の留年生、基礎を学びすぎて最強です  作者: 雨合羽


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ep,2 元素魔法

「ここが俺の研究室だ。これから毎日ここに通うようにしろよ」


そう言うと、半ば強制的に連れてこられたのが不満なのか、彼女は嫌そうな顔でこっちを見た


「私に何を教えるっていうのよ。今更、基礎魔法をもう1度教えるつもり?」


少しは嫌そうな顔を隠せないもんかね


「俺が教えるのは、基礎魔法であって基礎魔法じゃない」


「……は?」


「もし理解して、使えるようになったら――」


すごいことになるぞ


そう言いかけて、俺は口を閉じた


「まぁいい。アーク、こいつに研究室の説明をしてやれ」


『かしこまりました』


「何、この声!? 誰!?」


「こいつはアークだ。俺の助手みたいなもんだ」


彼女は不思議そうに周囲を見回している


まぁ、初めて聞けば驚くのも無理はないか


さて、学長が提示した卒業条件について、少し説明しておこう


この学院を卒業するための条件は、基礎魔法を応用し、独自の上級魔法を生み出すことだ


自作された魔法には、便利なものもあれば、実用性に乏しいものもある


それでも、魔法を自作できれば卒業は認められる


この学院に集まるのは、選ばれたエリートばかり


そんな学院を卒業できれば、その後の人生も安泰というわけだ


そして俺は、すでに卒業条件を満たしている


この『アーク』によって


俺は基礎魔法を学び、習得した


だが、研究を続けるうちに、ある疑問を抱くようになった


きっかけは、火の基礎魔法を研究していたときのことだ


この世界で基礎魔法とされているのは、原則として8種類


火、水、風、土、雷、氷、光、闇


それぞれが独立した魔法として扱われ、異なる原理によって成り立っていると考えられている


だが、本当にそうなのだろうか


火は光を生み出す


そして光があれば、その反対側には影が生まれる


影――すなわち、闇


少なくとも、完全に無関係なものとは思えなかった


もちろん、これだけで何かを証明できるわけじゃない


だが、もしも


基礎魔法の間に、今まで見落とされてきた共通点があるとしたら?


俺は、そんな仮説を立てた


基礎魔法は、それぞれ独立した8つの力ではない


すべての基礎魔法には、どこか通じるものがあるのではないか、と


そうして研究を始めて1年


俺はついに、すべての基礎魔法を融合させた新たな魔法――『元素魔法』の発明に成功した


すべての魔法は、基礎なくして生まれない


そして、基礎を理解せずして扱うこともできない


俺にとって、それは当たり前のことだった


もちろん、これで卒業できると確信していた


自分の研究成果をまとめ、意気揚々と学院に提出した


だが、返ってきたのは期待していた評価とは程遠いものだった


俺以外の人間には、元素魔法を扱えなかったのだ


理論を理解できない以上、まともに使うことすらできない


そして、後日届いた上層部からの手紙には、たった一言


『そのような魔法は認められない』


そう書かれていた


それを読んだとき、俺は思わず笑ってしまった


こんなにも素晴らしいものを理解できないなんて


……かわいそうだ


そうして留年し、さらに研究を続けること1年


出来上がったのがこいつ


『アーク』だ


元素魔法を基盤に生み出した人工知能魔法


あらゆる魔法を解析し、その構造を組み立て直す


必要な情報を取り込み、状況に応じた答えを導き出し、魔法として出力することさえできる


我ながら、とんでもないものを作り上げたと思う


そして、こいつの存在を知っているのは学長だけだ


まぁ、当然だろう


何も理解できない上層部に知られれば、危険だの禁忌だのと騒ぎ立てられるに決まっている


最悪の場合、俺自身が消されかねない


……自分たちが理解できないものを、あいつらは簡単に危険と決めつけるからな


「ってな感じで、こいつは俺が作った魔法だ」


俺はアークの説明を切り上げ、彼女に向き直った


「そして、お前に今から教えるのが『元素魔法』だ」


「元素……魔法?」


「そうだ。既存の基礎魔法を学ぶんじゃない。基礎魔法そのものを理解し直すんだ」


俺は彼女の目を見た


「既存の理論に疑問を持てるお前なら、こいつを扱えるはずだ」


彼女は一瞬、目を輝かせた


だが、すぐにこちらへ向き直る


「……お前お前って、不快なんだけど」


そういや、こいつの名前を知らないな


「俺はレイヴン。お前は?」


「だから、お前って呼ぶなってば」


そう言いながらも、さっきまでの嫌そうな顔は少し和らいでいた


「私はリシェル。よろしくね、師匠」


……切り替えが早いやつだな

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