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魔法学院の留年生、基礎を学びすぎて最強です  作者: 雨合羽


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3/3

ep,3 因果関係

「まぁ、簡単に言えば、元素魔法が扱えるようになれば、どんな魔法でも作れちまうってわけだ」


「……どんな魔法でも?」


リシェルが疑わしそうに聞き返す


「そうだ。火だろうが、水だろうが、既存の魔法に縛られる必要はない。基礎魔法を理解して組み合わせれば、今まで存在しなかった魔法だって作り出せる」


「そんなこと、本当にできるの?」


「できるから、俺が作ったんだよ」


俺はそう言って、研究室の机に置かれた資料を指で弾いた


「ただし、何でも思いどおりに作れるわけじゃない。仕組みを理解していなければ、魔法は組み上がらないからな」


「……なるほど」


リシェルは考え込むように視線を落とした


その顔を見て、俺は少しだけ期待した


こいつなら、案外早く理解するかもしれない


♢


「いいか? 基礎魔法について学んだことは全部忘れろ」


そう言うと、俺は指先に小さな火を灯した


「さて、これを見てどう思う?」


リシェルは少し困った顔になった


「えっと……火の魔法、よね?」


「そうだ。じゃあ、これは?」


俺は部屋の明かりを消した


指先の炎だけが、薄暗くなった研究室を照らしている


「明るい……」


「そうだな。じゃあ、今この部屋を照らしているのは何だ?」


「何って、火でしょ?」


「本当にそうか?」


俺は指先の炎を消した


研究室が暗闇に包まれる


「火が消えたから、暗くなった。そう考えるのは自然だ」


再び指先に火を灯す


「だが、火の魔法と光の魔法は、完全に別のものだと教わったはずだ」


「……うん」


「なら、どうして火は光を生み出せる?」


リシェルは炎をじっと見つめた


「それは……」


「今すぐ答えを出す必要はない。教科書に書いてある答えじゃなく、お前自身が納得できる答えを考えろ」


俺は指先の炎を消した


「それが、俺の授業だ」


そう言うと、俺は暖炉にくべられた薪に火をつけた


小さな炎が薪を舐め、やがてゆっくりと燃え広がっていく


俺は風魔法を使い、炎を煽るように風を送った


パチパチと薪が弾け、炎が勢いを増す


「火が燃えるには、空気が必要だってことは知ってるな?」


「うん。それくらいは知ってるけど……」


「じゃあ、今の炎を見てみろ」


俺は風を止めた


勢いを増していた炎が、少しずつ落ち着いていく


「風を送ると炎は強くなり、止めると勢いが落ちる。どうしてだと思う?」


「空気が送られたから……?」


「そうだ。じゃあ、風魔法は火の魔法と無関係だと言い切れるか?」


リシェルは答えず、暖炉の炎を見つめていた


「火を生み出すのは火の魔法。風を生み出すのは風の魔法。学院ではそう教わる」


俺はもう一度、ゆっくりと風を送った


炎が揺らめき、薪の隙間から赤い火の粉が舞い上がる


「だが、実際にはこうして互いに影響を与えている。なら、その関係を調べることにも意味があると思わないか?」


「……確かに」


「すべての基礎魔法は、互いに何らかの関係を持っている」


俺は暖炉の炎を見つめながら続けた


「火と風だけじゃない。水と氷、光と闇。別々の魔法として教えられているものにも、共通する部分があるんだ」


「でも、それって……」


「学院じゃ、教えられたことを覚えて、使えるようになればそれでいい。誰も、その先を考えようとしない」


俺はリシェルに視線を戻した


「基礎を覚えることと、基礎を理解することは違う。理解して初めて、今まで思いつかなかった魔法を作れるようになるんだ」


「だから、師匠は元素魔法を作れたの?」


「そういうことだ」


俺は小さく笑った


「疑問を持て。自分で考えろ。教えられたことが正しいとは限らない。俺が教えたいのは、そういうことだ」


さてと


「この研究室は自由に使っていい。自分で魔法を使いたくないなら、アークもいる」


俺は部屋の隅に置かれた魔道具を指さした


「お願いすれば、基礎魔法の1つや2つ、見せてくれるだろう。あれが、アークの魔法を出力するための魔道具だ」


「魔法を出力する……?」


「ああ。詳しい仕組みは自分で調べてみろ。今日1日は好きに研究していいぞ」


俺は机の上の資料を片づけながら、リシェルに告げた


「何か分かったら教えてくれ。俺も楽しみにしてるからな」


『意外と熱心に教えていましたね』


「おい、余計なことを言うな」


『事実を述べたまでですが』


……はぁ

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