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奴隷から始まる異世界旅行記  作者: 三之山勝
《 第4章 振り回される年季奴隷 》
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<4-7>  「年季奴隷と幼女と教師?  (後編)」

最新の本文修正日は2015年1月15日です。

 魔人王まびとおう王女殿下の旅支度を手伝っている時、箱に詰まっていた金貨の山を見て腰が抜け掛かった俺ですが、その千倍の価値があるという白金貨なる物が詰まった箱を見て言葉が出なくなる。


 だって、こちら物価からいうと、白金貨一枚10億円だよ?! ジョルジョネ大尉が言っていた国家予算がどうとかいうのも何故だか納得してしまう。


 それに新たに俺の仕事が増えたようで一緒に旅をする魔人国領事館の主である王女殿下の世話をしないといけないそうです。


 しかし、四六時中ではなく町や村に寄った際、彼女の従者としてお供をして彼女が食べ散らかした店の御代を払うという役回りらしい。王女殿下というぐらいなので金銭感覚が無いのか?


 それとも現金自体、直に使った事が無いのかもしれない。従者というよりはお財布係のようだ。


 その役職にはそれなりに約得な事もあるようで、その王女殿下に付き合って町見物をする際には俺の癒し係のプイホンさんが付いて来るので文句は無いです。



 そんな王女殿下の旅支度が終わって外に出てきた姿はある商家の娘と家庭教師といった出で立ちで、その家庭教師に連れられて商家の娘が俺等の奴隷旅団所属中隊に便乗してこのアラレスティ大陸を旅するようです。


 これからは四六時中、心を読まれて突っ込まれたり訓練と称して彼女達の暇つぶしのネタになるようです。それを考えると頭が痛くなってくるのは気のせいだけでは無いように思える俺であった。






 早く目的地に着かないかなと思いながらも、心に隙を見せると王女殿下、今はシャムネアお嬢様やそのお付のラシャネスさんに不意を衝かれてしまう。


 それに考え事をすると、その考えていた事も読まれてしまう。その考えを読まれてしまう事に依然読んだ話を思い出してしまう。


 そのある妖怪の話だ。ある旅人が山の中で野宿していると突然目の前に現れてその旅人の思っている事を口に出して話し出すところから始まる。


 旅人は何とか撃退か追っ払おうとするのだが、その妖怪は旅人の心を読んで全てかわしてしまう。そんな時、偶然焚き火の火が跳ねてその妖怪を襲う。その偶然に起きた事によって旅人が助かった話だったと記憶している。



 俺が考えている事とは全然違う行動をすれば俺の横に居る彼女達にも対抗というか心の中、その思考を読まれる事は無いのかもしれない。


 しかし、言うは易しなんとやらでそんな事が出来るのかと考える。何処かの偉い人はエッチな事を考え、心を読まれた相手に攻撃をしたような‥‥‥。そんな訓練もしないといけないのか?


 そもそも思考を読むという事が問題なのであってその話しは論外のように思えてくる。すると、思考、思考、‥‥‥。俺の頭から今にも煙が出てきそうになった時に閃いてしまう。


 ジャミングという言葉である。レーダ波なんかを邪魔する干渉波なんかを出して邪魔する行為で、俺の思考なんかを読めないように邪魔をする思考波なんか出せばいいんじゃね?


 さすが俺と一瞬大発明のように思えて小躍りしそうになるが、更に考えると生身の人間がそんな事出来るかよと突っ込みを自分に入れる。



 そもそも、思考する人の何を読み取って彼女達は感知しているのであろうか?

脳波? それとも生体電流?


 ある種の魚なんかは餌になる生物の微弱な生体電流を感知して捕らえる話を聞いた事がある。あれは水の中で電気が通る話であって超高圧電流で無い限り空気中を伝う事は無かったような‥‥‥。


 そういえばこちらでは魔素とかいったかな? いや、そもそも魔素が電気とは限らないし‥‥‥。ひょっとしてその魔素が俺の思考を彼女達に伝えている張本人か?


 まさか? それにそもそも魔素ってなんだ? ダークマターのようなものかそれとも素粒子のいまだ見つかっていない物の中の一つか? またもや頭から煙が出そうになってくる。



 これはこれからの命題になりそうで引き続き考える余地はありそうだ。彼女達が俺の思考を読めなくなれば、あのハルーツン閣下のように普段も俺の思考は誰にでも読めなくなるのであろうか?


 それはそれで何か凄そうで思考バリアとも呼ぶべきか。なにか中二病臭くなってくるが‥‥‥。この世界自体、中二病の世界のような物であってファンタジーな世界だから不思議な事でもない。



 話がそれてしまったが、思考バリアというか思考結界と言った物が存在するなら今度デウシー先生にでも聞いてみようか?


 すると、突然幼女が話し出す。




 「そんなものが妾に効くとでも思っているのかえ?


 先程も言った通り、一々そなたの考えている事に意見はしないが、この地で妾の目の届かない場所は無い。当然そなたの考えている事も含まれる‥‥‥。


 諦めろ‥‥‥。しかし、探究する心根は感心するに値する。そんな事が出来た暁には賞賛するに値すると言ったことか」




 そうすると、考えていた事はひょっとすると可能かもしれない。一瞬、俺の別人格という言葉が頭をぎったが直ぐにかき消す。実態はまだ解っていないし、その実験というか訓練のお陰で別人格が活発に活動しても返って薮蛇になりかねない。


 万が一、そのお陰で俺がサブ人格に陥ってしまうのは本末転倒である。でも、考え方は合っていたのかもしれない。その魔素を読むという考えは‥‥‥。



 探査術の水面を思い浮かべる。あれはひょっとして水ではなくこの世界に充満している魔素では無いのか? そうか、そうなのか? 魔素が揺れる、何らかの力が加わってこの周辺に充満している魔素が揺れて、その探査術によってそれが分かるという事か?


 疑問が次々出てくるが答えを導く事は今は出来なかった。そもそも、俺はそんなに頭が良い訳じゃない。嗚呼、そうですとも。そもそも優秀でもない。そんな自暴自棄になっていると馬車が急に止まって、暫くする動き出す。そして、馬車は完全に止まってしまう。



 どうやら色々と考えている内に目的の場所に着いたようだ。ジョルジョネ大尉が「着いたぞ」と言ったので、幼女は本を抱えたまま指揮車を降りる。俺は彼女の荷物を持って降りる。ラシャネスさんも手荷物があるようで自分の荷物を持って降りるようだ。


 相変わらず澄ました表情で彼女が一体何を考えているのかは窺い知る事はできない。それに彼女に油断した所を見せると何時あの閉鎖空間のような所に連れて行かれるか分からない。



 外に出ると車庫のようで似たような指揮車のような箱場車が並んでいて、荷馬車のような馬車も並んでいる。不思議そうにきょろきょろしていると大尉に「置いていくぞ!」と、促される。



 歩きながらも大尉の話を聞くと奴隷組合のゴルムディア支所兼宿舎となっていて、今も他の奴隷旅団所属中隊が逗留して、休息や仕事の為にここを利用しているという事であった。


 それに大尉の中隊はまだここには着いていない。それまでここを中心にこれからの旅支度というか王女殿下の旅支度の時にも話した通り、明日町見物の実地訓練をするそうです。今日は大人しく部屋に篭っていろという事であった。



 晩飯は部屋に運んでくれるそうで俺は先に帰ったプイホンさんと同じ部屋だということらしい。先に王女殿下の個室というかビジネスホテルで言えばダブルの部屋に連れて行き、彼女等の荷物を部屋に置いて行く。大尉が王女殿下に明日の朝まで大人しくしていてくださいと懇願していたのは目を瞑る。


 最後に俺は一般の三段ベットが複数ある部屋に連れて行かれる。ベットの上に俺の着替えと、懐かしい俺の道具袋が置いてあった。大尉が言うには手短な物はそれに突っ込んできたので明日の朝まで大人しくしていろといわれてしまう。



 ジョルジョネ大尉が部屋の扉を締めると部屋の中を見回す。プイホンさんはいないし俺一人のようだ。仕方なく道具袋を漁るとメモ書きが多数出てくる。日付が打ってあり順番に見ていくとどうやら俺の変わりにプイホンさんの勉強を見ていたデウシー先生かペルジャーネ先生のメモ書きのようで、何日にどんな問題をプイホンさんに出したという内容であった。


 それを参考に自分の日誌を久々に開くとプイホンさんは後、10個ほど花丸を貰うと、俺が約束した100個の花丸に到達するらしい。


 約束では100個花丸を貯めるとあの色鉛筆のセットを彼に進呈するという事だったよね? まあ、よくもまあ100回近くも諦めずに続いたもんだ。最初ジョルジョネ大尉にプイホンさんに勉強、算術を教えていると話すと驚いて無駄な事と口には出していなかったが態度で示していたような‥‥‥。


 この地の常識なんだろうか? そんな事を最初は大尉の行動というか態度に対してそういう事かと思っていたのだが、今やプイホンさんは二桁の計算をするネコさんである。それに掛け算の九九も出来るのだ!


 今一誰に対して言っているのか分からないが‥‥‥。気が付くと赤い空の西日がこの部屋に入ってきていて今が夕方だとまるで知らせてくれるようだ。



 外の夕焼けに黄昏ていると、部屋の扉をノックする音がして誰かが入ってくる。配膳台を押したプイホンさんであった。そういえば考え事を巡らしていたので忘れていたが彼は先に帰っていたのだよね?


 そうか俺が宿舎に入る姿を見て彼は飯を貰いに行っていたのか。その彼は配膳台を押して、ベットに座って日記を見ていた俺の所にやってくる。日記を封印して彼と一緒に晩飯を頂く事にする。



 メニューは何時もの馬車村に止まった時と同じようなものであった。新鮮な野菜サラダがついていてメインに肉料理が付いていた。パンを千切ってそれらを食べながらプイホンさんを観察する。何時もと変わりなく肉に真っ先にかぶり付いて美味そうに咀嚼する。


 こういったものを食べている時は食事に集中していて何を話しても駄目なので、眺めるだけにしておく。晩飯を食べ終わると配膳台を下げに行くというのでついでに風呂に行こうと誘うがなしのつぶてで良い返事は返ってこない。そこで一計を案じる。


 「プイホンさん、明後日にはゴナベル奴隷長達と合流するそうですから今の内に風呂に入って身奇麗にしておかないとゴナベル奴隷長に会ってから嫌というほど風呂に突っ込まれますよ?


 それに明日は町見物をしないといけないそうですから身奇麗にしておかなと一緒に町を見物する雇い主に対して失礼に当たりますよ?


 ささっ、風呂に行きますよ?!」



 半ば強制的にゴナベル奴隷長と同じように彼を風呂に連れて行く。半分納得したのかそれとも明日仕事で人に会うと聞かされたせいであるのか、彼は納得して大人しく配膳台を下げた後に風呂に着いてくる。


 「明日、町見物をする相手は女性なので綺麗にしましょうね!!」


 初めての俺主体のアワアワタイムである。少し鼻息が荒くなりそうであったが、逸る気持ちを無理やり抑えていざ風呂に突入!!


 何時もの馬車町や馬車村の風呂とは違い支所だけあって風呂まで馬鹿でかい。何百人入っても問題ないような広さであった。いえ、誇張しすぎました。


 まあ、倍の広さと言った所か。先程配膳台を下げに行った食堂も何時もの倍ぐらいであったので精々200人ぐらい、中隊が2個ぶん泊まれるぐらいなのかもしれない。


 もしかしたら交代制でそれでも精々4個中隊が止まれるぐらいの宿なのかもしれない。だってだだっ広いアラレスティ大陸中を旅している奴隷旅団所属中隊が一箇所に4個中隊も集まるとはとても思えない。



 そんな事を考えていたので自分で体を洗い始めたプイホンさんに気が付いてテンションが下がってしまう。何時もゴナベル奴隷長に体を洗って貰っていたので自分では上手く洗わないと思っていたが、そういえばプイホンさんの歳は16か17だったような。


 考えれば高校生と同じ年齢なんだよね。彼を見ていると隅々まで泡沫石、石鹸を直にこすり付けて泡立てるとゴシゴシ自分で洗って行くではないか。まったく俺が洗う隙すらなかった。だったら最初から進んで風呂に入れと突っ込みたい。


 仕方がなく自分の体を洗って彼と共に大きな浴槽に浸かる。周りにも他の中隊かそれとも旅人か、まばらに人が居て皆何処かほっとしていて和んだ雰囲気であった。湯船に浸かると落ち着くというかリラックスするよね?



 結局幻のアワアワタイムとなってしまい、がっかりな結果となってしまう。いや、俺が数日彼に会わない間に、彼が成長したと思えば少しは気が晴れる。


 大人になったプイホンさん。シャンプーというか頭を洗う時には目をしっかり瞑っていてどこか可愛かったですよ!!


 そんな風景を見れたのでよしとするか。久々に癒しをマックスまで補充できたような気がして満足する。



 風呂上りに食堂に行くと先程道具袋の中身を漁った時に見つけた木札を出して一杯の今日のお酒を貰う。紫色をしていたのでワインかなと首を傾げてそれを頂く事にする。プイホンさんにも分けて飲ますと三口ほどで出来上がる。


 酔っ払ったプイホンさんにからまれながら酒を飲み干すと、お互いにフラフラになりながらなんとかベットまで辿り着く。残念なのは彼を抱っこして歩く事ができなかった事だけだ。



 気が付くと夢の世界ではなく、窓から心地よい空気が流れて来て何処かで訓練をやっているような声がしてくる。久々にぐっすり眠る事ができたようで、何か体を自由に動かしたくて訓練をしている広場まで様子を見に行ってしまう。


 ジョルジョネ大尉らと同じような赤い上着を着た尉官を先頭に行進や隊列の訓練などが終わると自由に組手をする様で、俺が使っていた同じ片手用木剣と丸盾を装備して組手を始めだした。


 暫くそんな風景を眺めていたのだが、そういえば朝起きた時にプイホンさんが居なかったような‥‥‥。また厩舎にでも入り浸っているのかもしれない。



 すると、何をトチ狂ったのか俺に組手の相手をしてくれと、声を掛けてくる人物がやって来る。色々と断る理由を捜すのだが、そんな暇を与えてくれるほど悠長な人達ではなかった。


 頼んでもいないのに盾を装備させてくれて木剣を渡してくる。久々なので体が覚えているか疑問ではあるが仕方がなく彼らに付き合って盛大に負けて笑われる対象にでもなるかと考える。たかだか半年素振りして彼らに勝てるとは思えない。



 ところが何時も見ているドルバン車長らの組手とは違い、何処かドン臭いというか彼らはそんなに強いという印象が無くなる。今も彼が振っている剣先を見切るというか今対戦している相手の剣を振るのが遅くて見えてしまう。


 なんとなく彼が振り回している剣を交わしている内に相手の息が上がってくるのが分かる。今も肩で息をしていて俺が上手く彼の剣をかわすので大振りになって来る様子まで何となく分かってしまう。



 近くにメルディム護衛分隊長が居て俺の体を動かして、いや武器を動かしているのかと最初は疑っていたが、どうやら彼は俺より弱いというのか?


 そんな疑問まで浮かんでくる余裕まで今はある。嗚呼、そうか。あの中隊の皆さんが強すぎなんだ。彼らの素早い剣先に慣れてしまって普通の中隊の軍事訓練程度の彼らでは遅く見えてしまうのかもしれない。


 そこで困ってしまう。ここで勝ってしまうとひょっとして彼らが勝つまでここに居る人達が順番に列を作って俺に対戦を持ちかけてくるのではないかという事だ。


 それは非常に困るのだが‥‥‥。仕方なく負ければいいのかと思ったが、今更こんなに彼の攻撃をかわしといて急に負けるのも怪しすぎるよね?



 そんな困惑している内に対戦相手がいい加減剣を振り回し過ぎて地面にへたり込んでしまう。まあ、これは御互い負けた訳じゃないから引き分けで良いよね?


 今一俺が強くなった実感が持てない。今も実際は彼の攻撃をかわしていただけだし、攻撃は全然していなかったので俺が勝ったという実感も無かった。


 彼がへたり込んだ所で集合の合図がして道具を彼らに返す。何かモヤモヤした気持ちで部屋に戻るとプイホンさんが配膳台の横で俺を待っていたようだ。




 「兄ちゃん凄いな!! 部屋から見ていたけど相手の攻撃を全てかわしていたよ? 何で攻撃しなかったの?」




 「う~ん、何でかな? 分からないよプイホンさん。それより朝飯を食べてしまおう」


 何か誤魔化した感じであったが、本人が一番驚いていたので仕方がない。朝飯を食べながらも先程の攻撃をかわしていた自分を思い出す。


 俺ってあんなに強かったのか? それともあの中隊で一番弱い奴が自分の中隊では敵うやつが居なかったので見かけが弱そうな俺を相手にしたのかもしれない。きっとそうだよね?


 多分賭けをして一番弱い奴が俺と戦わさせて賭けをしていたのだと思うよ? 残念ながら彼らの思惑通りに行かなかったようだけどね‥‥‥。そうなのか? 分からない。


 きっとまた中隊に戻ると何時ものように一番弱い存在なんだよ。そうだ彼は一番弱い存在だったのだよね? なんだ俺が強くなった訳じゃないのか。そう自分に言い聞かせると急いで朝食を片付ける。



 いつもの馬車村での朝食と同じ物を平らげると配膳台を下げにプイホンさんと向う。洗濯袋が無かったのでプイホンさんの洗濯物の中に入れて貰い受付に洗濯物を預ける。


 外に出てジョルジョネ大尉を待っていると王女殿下。いや、昨日から彼女はシャムネアお嬢様である。その彼女とお付の。いや、彼女も昨日からシャムネアお嬢様の家庭教師のラシャネスさんか。嗚呼、彼女はそのままだからラシャネスさんで良いのか。その彼女達が外に出て来る。




 「あ~、暇だった。それで今日はジョネの謀に協力する日なのに、奴はまだ来ていないとは一体なんたることかえ?」




 「はあ、俺。いや、私に文句を言われましても困りますよ、お嬢様? それにその謀とか言うのは辞めてください。大尉は確か実地訓練というか演習といっていましたよ? っと、いう事はもうその演習が始まっているのかもしれませんね」




 「そうかえ? 妾はまた違う命令を貰って困惑しているジョネの顔が浮かんでくるがの! 今も顔を引きつらせてこちらに向っている頃だともうがの!」




 そんな事を言われても貴方みたいに何でも見渡せる能力なんか無いので予想すら出来ませんと言いたいのだが、途中までそんな事を考えていたがその思考を止める事にする。彼女達は俺の考えが分かるからだ


 かといって頭の中を空っぽにして惚けているとまたラシャネスさんが‥‥‥。以下省略。そんな堂々巡りの思考を巡らしていると指揮車が俺等の目の前で止まる。御者親子に朝の挨拶をすると扉を開けて中にジョルジョネ大尉が向かえてくれる。



 指揮車の中に入ると見た事ある人物が前の席に座っている。紺色に上着にその顔の口元に生えているカイゼルに少し白髪が混じった髪を見て思い出す。確かジョルジョネ大尉の上司のザルツベ大佐とかいっていたような。


 軽く挨拶というか会釈をすると彼は王女殿下に話があるようで俺とプイホンさんは大尉と共に後ろの席に座らされる。まあ狭い空間なので話し声は丸聞こえなのだが‥‥‥。仕方がなく大尉にこれからの予定を聞く事にする。


 しかし、何時ものように先の事は未定だと言われてしまう。仕方がないよね。中間管理職は上の命令で。嗚呼、この場合はあのザルツベ大佐によって決められてしまうのだからね。


 きっと大尉も明日の予定なんかは分からないのかもしれない。命令書一つでその日の予定なんかが決ってしまい、ウムを言わせず彼はその命令を実行するしかないはずである。それが軍人だからね。


 それにしても前の席では決まりきった挨拶となにか軍や組合の話に協力してくれて感謝するといった社交辞令的な話ししかしていない。


 いったい何の為にあの大佐が乗り込んできているのか分からないが、一行に進まない話の内容に思わず聞き耳を立てていた自分にはっとなる。


 ジョルジョネ大尉がじっと俺を見ていて他人の話に聞き耳を立てるなと言ったような表情をしていたからだ。


 仕方がなく席の背もたれに寄りかかり、ついでにプイホンさんの頭を撫でながら彼と会話する。


 「そういえばプイホンさん、あと十個花丸が溜まると百個になりますよ?!


 頑張りましたね!!」




 「ん? もうそんなに貯まったのか?


 へ~。じゃあ次は二百個貯めなきゃね。これでおいらの日記に色が付いて綺麗になるな~‥‥‥」




 そんな喜んだ彼に癒されながらも、やっぱり前の席の会話に聞き耳を立ててしまう俺であった。




 次話へつづく

次話は3/30日曜日に投稿する予定です。

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