<3-27> 「気が付くとゴルムディア? (前編)」
最新の本文修正日は2015年1月12日です。
一日ぶりに自分の夢の中に現れた貿易都市ゴルムディアに住むといわれている魔人族の王女様に早く来いと言われてしまう俺ですが、年季奴隷である俺にそんな事を言われても困惑するだけだ。
その困惑してしまう状況は夢から覚めても続くようです。確か昨晩デウシー先生と一緒にマッサージを受けてミリクナ医務長のベットで一緒寝てしまったのだが、朝起きてそのまま一緒に同じベットで目覚めるとは思っていなかった。
なんだかマイネンスさんが何かを企んだようで、朝指揮車に乗り込むとその事についてお叱りというか、一緒に寝た女に手を出さなかった事を責められる。
いやいや、そのまま一緒に寝るとは思っていなかったので心の準備が出来ていなかったというか‥‥‥。まあ、チキンな俺にそんな事を言われてもただ困惑するだけだ。
その会話を既に指揮車に乗り込んでペルジャーネ先生と話をしていたボフボーニャさんに聞かれてしまう。その話を聞いた彼女は怒りに満ちた表情で俺の前に聳え立つ。新たに俺の障害になるのかと困惑する俺であった。
そのなんともいえない空気というかその閉鎖空間に今日は夕方まで閉じ込められるのかと思うと、なんだか気が重くて嫌になってくる。
しかし、指揮車が動き出してから30分もすると止まってしまう。指揮車が泊まるとミリクナ医務長から「今日は作業日だから外に出て作業してくれば?」と、言われてしまう。
ああ、これこそ天の助けと心の中でつい踊ってしまう。すごすごと道具袋を持って勢いよく外の世界に飛び出してしまう。もう、あの閉鎖空間いは戻りたくない。
そんな事を考え外に出たのはいいのだが、久々に太陽というか。ここではサラム様がもうそれはギンギンに照っていてもう夏真っ盛りといったような感じであった。
この真夏のような状況で今日は何の農作業をするのかと眺めていると向こうのほうから鋤が付いた馬具を着けてた農耕馬が5組ほどやって来る。
畑には所々雑草が生えているが盛上った何列も並ぶ土の上には枯れてかけて緑色から茶色になりかけた草のような物が横たわっている。
他の年季奴隷の皆様が桑や鋤を片手に持って農耕馬がその畑を起すのを待っているようだ。鋤でその盛り上がった土を起して行くと、茶色い大きな塊がゴロゴロと土と一緒に転がってくる。
どうやらゴダ芋の収穫の手伝いを今日はするらしい。鋤で起されなかった部分をワラワラと皆で鍬等で土をどけていく。
その後は小型の荷台を付けた馬車が後を付いていき、他の皆が集まってその荷台にサッカーボール大の芋を荷台に乗せていく。ある程度満杯になると何時ものように何号車か分らないけど俺らが乗っている馬車に横付けして荷台から直接あの倉庫直通の魔技箱を作動させて送るようだ。
俺も腰ベルトを巻いて皆に混じりながら芋を掘り起こしては荷台にそれを積む作業に明け暮れる。今日は日差しがきついので、皆は麦藁帽子のようなものを被って汗だくになりながら作業をする。
後ろから俺の頭に麦藁帽子を被らせて来たのはドルバン車長であった。日差しが強くなって来ているから帽子を被れという事らしい。
その横をプイホンさんが天秤棒に冷たい水が入ったつぼを二つ担いで歩いて行く。声を掛けられればそのつぼから柄杓に冷たい水を入れて皆にそれを振舞っている。
程よい冷たさにそれで喉を潤して一息つく。周囲を見渡すと、ここでもやはり畑との境界線というかまっすぐ線を引かれた様に畑の隣が草叢になっていた。転作の話を聞いていたのであそこは今年というか今回は牧草地なのかなと首を傾げる。
ふと、気が付くと俺らというかこの中隊以外にもこの畑に来て作業しているようで見慣れない集団も同じような作業をしている事に気に付く。
向うも獣人が混じっているようで明らかに人族ではない者が俺らと同じように鋤や鍬で農耕馬が起した所から同じようにゴダ芋を掘り起こしている。
向うの獣人さんは犬のようで舌を出しながら今にもワンワン吠えて来そうでなんだか怖い。そうである俺は犬恐怖症で過大に犬に対しては恐怖を覚えてしまう。
しかし、そのお犬様が向うのネコさん達と共に芋を掘ってはあちらの荷馬車の荷台に芋を積んでいる。そういえばゴダ芋の収穫の時は周辺の村人総出で収穫するといっていたような‥‥‥。
それにしてもあのお犬様以外はあそこはパラダイスのようで小さい子猫さんもいるではないか!! ‥‥‥。俺もあちらに言って作業したい!! もうはたから見たら完全に不審者である。そんな自分に首を横に振って作業の続きを始める俺であった。
足元の影が短くなってそろそろ昼の休憩かなと思っていると、ゴナベル奴隷長の休憩の声がする。果実なんかの収穫の時は収穫していたものなんかをご相伴に預かっていたのだけど、種蒔きの時やこの生で食べられない物はさすがに無理だよね?
そんな事を考えながら道具袋の中から朝貰ったパンを口に入れもぐもぐと食べ始めるとバスケットというか籠を抱えて子猫さんが俺らのほうにやって来る。他の年季奴隷達の集団の方にも同じように籠を持って行くではないか。
俺はその愛らしいその姿を必死に目に焼き付ける為に思わず身を乗り出す。皆に籠から配っていたのはチーズのようなものであった。皆から大きさを聞いては切り分けて配っている。
どうもみみっちいと言うか、皆は一様に一欠片とか二欠片とかそんな感じである。それをパンに乗せては挟んで食べ始める。
初めて見る食べ物なので俺も一欠片と言って皆の後から一番最後にパンに乗せて貰う。食べてから分ったのだがそれはちょっとしょっぱいバターであった。
よく見るとバスケットの下には氷のようなものが置いてあり水が滴っている。まあ、よくもこんな重いものをこんな小さな子猫さんに持たせてと文句を言いたいが俺の近くまで子猫さんを寄越してくれたので文句は引っ込んでしまう。
体の大きさは1mぐらいでプイホンさんよりも小さい。耳はちょっと垂れていてスコッティーみたいだな。ああ、スコティッシュホールドの事ね。
その時は暢気にそんな事を考えていた。俺のパンにバターを乗せた後、何故だかまだ俺の前から離れないそのスコッティのネコさんは俺に微笑むよな口角が上がった表情をする。
パンを食べながらも不思議に思っていたがじっくりネコさんを観察できるから問題ないと思っていると、何かバスケット越しに俺の足というか下腹部に硬く尖った物がチクチク当たってくる。最初はバスケットのささくれ立った繊維か何かだと思ってなんだろとバスケットの下を覗いて冷や汗が出る。
その内、子猫のはずなんだがドスの効いた声がしてきて口角が上がったまま「黙ってそのまま俺に着いて来い!」と、言い始める。
いやいや、このまま付いていって行ったら皆に不振がられるでしょ? と、モジモジしてるとチクッと俺を刺してくる。思わず「痛っ」と言ってしまい、皆が俺に注目するのかと思っていたが皆は不思議に一様に横になって寝ているではないか。
いびきをかいていたり、むにゃむにゃとか寝言を言っているものまでいる。ああ、一服盛られたかと何か冷めたようにその状況に納得してしまう。
今は対面なのでさっと後ろに華麗にバックステップを踏めば良いかなと考えたり、こいつを蹴飛ばせば良いかなとか考えるのだが周囲を見渡すとまるで時代劇のように俺から少し離れて農作業をしていたと思われる村民の皆様が荷馬車から武器を出してこちらに向ってくるではないか。
え~、何。この状況? 小さなこのネコさんも俺がバックステップでもし下がっても獣人のばねを生かして追従してくるよね? 獣人の身体能力はこの中隊にいるクワビムさんやボグフムさんで懲りている。あ~、メルディム護衛分隊長達は何をやっているのかな? ‥‥‥。肝心な時には彼女らはいなかった。
そうやって時間稼ぎというかこれからどうしようかと考えていた俺に対して号を煮やしたこのスコッティーのネコさんは俺を小突いて「言う通りにしろ」というと「歩け」と命じる。仕方なく歩き始めて、とうとう武器を装備した集団と合流してしまう。
「へっ、簡単な仕事だったぜ! 奴隷旅団所属中隊と言っていたからどんなに難しい仕事かと思ったが簡単な仕事だったな!」
「おい、油断するな! まだ森人を誘導して引張り廻している奴等がそろそろ捕まるかもしれねぇ! 早く、その黒い頭の奴を荷馬車に乗せろ!」
そういったかと思うと俺は狭い荷馬車の荷台にうつ伏せに寝かされ、その上から茣蓙のようなものを掛けられ上からゴダ芋を乗せられる。
結構重たくて大変なんだが‥‥‥。しっかりと俺が暴れないように芋の隙間から刃物をわき腹に突きたてられる。なんだか手際が良いのかお粗末なのか分らない。
俺に外の様子を見られるようにしたら逃げられた時どうすんだろ? うつ伏せのままであるのだがぼろな荷馬車の荷台は隙間だらけで芋と荷台の煽りの隙間から外の様子が丸分かりである。
それにしても陽動をしてメルディム護衛分隊長等を誘導するとは少しは頭が回るらしいけど、周囲の人間に顔を見られたら駄目駄目だよね? まあ、下っ端というかいざとなったらこの人達は消されるのだと思うけど‥‥‥。そんな事考えていないのだろうね。
それにしてもこの前とは違ってなんともお粗末な誘拐だよね? そう思っていたのだけど、どれだけ荷馬車に揺られたか分らない。土の道を行ったかと思うと石畳に道に入ったりと、色々と道を変えてまるで追跡者を撒くというかそんな感じであった。
その為なのか林のような所に入ったかと思うと別に用意したぼろな荷馬車の荷台に乗せられ、同じように荷台にうつ伏せに寝かされたかと思うとまた上から茣蓙を被せられて重い芋を乗せられる。
いい加減、非常線を張って街道筋なんか封鎖するのが普通だよね? 手紙ハトゥーなんかの伝達方法があるのに、それに魔素術の探査術とかもあるようだから俺が何処かに連れて行かれても直ぐばれると思うのだが‥‥‥。もしかしたらそういうものに対しての封魔素術や結界のようなものでもあるのか?
それとも、そういうもので俺が探査できないような魔素術がこの荷馬車なんかに仕掛けられていて俺の居場所が分らないのかもしれない。
まあ、今迄何かあっても直ぐに助けに来てくれたのであんまり心配しないのだが。いい加減、日が傾いてきて回りが暗くなってくるとそんな暢気な事を考えられなくなってくるチキンな俺である。
相変わらずわき腹にチクチクとはものような物を突きつけられていて余り動くことは出来ないのだけど。その、生理現象だけはどうにもならない。思わずモジモジしてしまい外で俺に刃物を突きつけているだろうと思われる人物から怒られる。いやいや、そんな事を言われても生理現象だけはどうにもならない。
「すいません、その申し訳ないのですが「セイリゲンショウ」あ、う、「トイレ」違う、「便所」に行かせてください!!」
「うるせっ!! ごちゃごちゃいってねぇで大人しくしてろ!! もう直ぐ付くからそれまで大人しくしてろ!!」
ああ、誘拐犯を怒らせてししまったらしい。余りしつこいと酷い事されかねない雰囲気なので股間を押さえて我慢をしようとすると何故だか荷台の底板に穴が開いている事に気が付く。丁度良いのでもぞもぞして我慢していた物を思わず全て出してしまう。スッキリした所で外にいる連中が「臭い臭い」と騒ぎ出して馬車が急に止まる。
「こいつ小便漏らしやがった!! 折角、馬車を変えたばかりなのに!!」
「いや、丁度良い。ボロ布にその小便をつけてプイに縛って解き放て!! そうだな十匹もいればいいだろう」
そんな声がして暫くするとキィキィと小さな音がして草叢がごそごそする音がする。
「よし、行くぞ!! あと一つ時で次の荷馬車が待っている。そうすれば約束の金が貰えるぞ!!」
そういうと何人か分らないが数人の声が返事する。「幾ら貰えるか知らないが君達良いのかな? 秘密の為に口封じされちゃうぞ~」っと思わず声に出てしまう。
「俺等の心配よりてめぇの心配しろ!!」
ご尤もな意見です。何故だか頷いてしまう。確かに人の心配をするよりは今は自分の心配をしないといけないよね?
嗚呼、これならば少しは攻撃系の魔素術でも習っておくのだったな~と、呟いてみたのだけど本場の魔素術を使う人々に対して付け焼刃の俺の魔素術なんか通用する訳が無いかと諦める。
せめて筆記用具と紙か羊皮紙があれば覚えたての手紙ハトゥーなんかをジョルジョネ大尉等に飛ばせるのだが‥‥‥。道具袋はパンを取り出してから自分の魔技箱に仕舞ったままだった。
そんなあほな事を呟いていたのでまたうるせぇとか、静かにしろと怒られる。荷馬車が止まるといよいよ降ろされるのかと思ったのだが、何か外の様子がおかしい。様子を探る為、聞き耳を立てると何か揉めているようだ。
「先に約束の金を渡してくださいよ、旦那! おっと、今の俺等にはその魔素術は効きやせんぜ! この辺りにも結界は張っていやす! それに不用意に魔素術を使いやすと、追っ手に探られやすぜぇ?!
最初から黙って金を渡せば素直に渡しやしたのに! これじゃ足りやせんぜぇ?! もうこれの倍を明日用意して下せい! その後にこちらから連絡して例のものは追って連絡しやす」
「‥‥‥」
「おっと、そんな間抜けに見えやすか? 大事な商品をこんな所に持ってくる訳無いだろ!! 途中色々と細工しやしたからそちら手下も知りやせんぜ!!」
そういって荷馬車の荷台の隙間から何故だか外の様子が見て取れた。それに頭に布袋を被せられて、縛られた獣人があちらというか取引相手に渡されるようだ。
そいつが縛られたまま頭の袋を取られると俺を最初に脅してきたスコッティーのネコさんであった。口には猿轡をされていてモガモガ言っている。やはり他人の心配より自分の心配をしたほうがいいらしい。彼らも悪党の一味である。悪党が考える事を考えないはずが無い。
変な事に感心していると、取引相手の集団というか相手は乗って来たと思われる馬に跨りなんだか悔しそうにこの場を去って行く。二、三後から何か言っていたのだが馬のいななきや蹄の音で思わす聞きそびれてしまう。俺を攫った人達は彼等が遠くに去るまで馬の集団を見送っていた。
「上手くやりやしたね兄貴!! 金額を倍になんて出来るはずも無いと思ってやした! 見てください! こんなに金貨が沢山ですよ!!」
兄貴と呼ばれた男というか人物の姿は今見ている隙間からは見る事が出来ないが声だけは聞える。ちょっとしわがれていて、若いというよりは結構歳を取っていて兄貴というよりは親分だと思うのだが。
「おい、これを一応調べろ!!」
「‥‥‥。兄貴? 何か一枚変な物が混じっているぜ?」
「チィッ、やはり仕組んでいたか。そいつとその入れ物の革袋を小さな皮袋に入れてこのプイに縛って野に放て! そいつは魔素道具だ! 持っていると後をつけられる。
おい! 奴から何か異変があったと連絡は来たか?
‥‥‥。そうか、じゃあまた暫く追っ手を撒く様に手筈通りにやるんだぞ!!」
一斉に返事をする仲間というか手下の声がする。へぇ~、結構大掛かりな人数を集めたものだね‥‥‥。暢気にそんな事を囁いていると俺が乗せられているような荷馬車が俺の覗き穴の前を3台通って行く。
用心深い人達なのかどれも同じようなボロな荷馬車に芋が山積みされていて、一見どれが俺が乗せられている荷馬車なのか分らないようになっていた。すると、俺の乗っていた荷馬車も動くようで御者が乗る音がして馬車が動き出す。
一体俺は何処まで連れて行かれるのか分らないがいい加減お腹が空いてきて腹の虫がなる。荷台に積んでいるものが果実ならばごそごそ漁って食べるのだがさすがに生の芋は食うことは出来ない、出来ないよね?
それに皮を剥くのにもナイフは無いし‥‥‥。そこまでひもじい物じゃないし馬車が付くまで待つか。暫く荷馬車に揺られてウトウトとしてきた頃に何処かの納屋なのか、建物の中に入る音がして木戸が閉まる音がする。暫く何かごそごそやっていた音がしたのだが、何時まで立っても俺を下ろす気配がしない。声を出そうかとすると何か話し声がする。
「どうだ? 追っては来ているか? 少しでもおかしな影は見逃すな!」
「兄貴~、そろそろ腹減って背中とくっつきそうなんですが?!」
「ったく。あ~、確か、そこら辺に何かあったはずだぞ?」
そういってガサゴソ音がしてきて暫く経つと良い匂いが充満してくる。なんだか味噌汁のような感じに俺の腹が急に大きな音でなってしまう。それにしても良い匂いで一層お腹の虫が本格的に鳴る頃、急に背中に乗っていた芋がなくなり軽くなる。
上に載っていた茣蓙が取られると彼等はお面のような被り物をつけていた。俺に顔を見られないようにだと思うのだが俺に目隠しをすれば良いと思うのは素人の浅知恵なのであろうか?
そう思って余り動かせなかった体を解す為に背伸びをして頭をかく。今日は朝から肉体労働をして汗をかいて泥だらけであるが、そんな事はお構い無しで俺に木の皿というか小鉢というか、そんな器の中にこれまた懐かしいオジヤが入っているではないか。その俺の表情に何か勘違いしているのか俺に文句を言ってくる子分?
「俺等が食べている物に不服があるのかこいつは? 俺等農民が毎日食べているものだぞ? ‥‥‥」
そんな事を言って後ろにいた兄貴分のような人物に頭を叩かれる。そうだよね~、俺に身分というか普段何の仕事をしているかばらしちゃうとか、あほな子分でだよね。
「いや、その、なんていうか故郷の食べ物に似ていたもので懐かしいというか匂いを楽しんでいたのですが?」
そういって出された物を恐る恐る口にするとやはりオジヤであった。味噌風味で米の他に具は芋の切れ端に人参らしき物まで入っている。肉は入っていないがお腹が空いていた俺にはご馳走であった。
昨晩に米の飯を食ったばかりだが、オジヤはこちらに来てから初めてなので問題ない。ランプを持って俺の仕草を観察している彼等を他所にぺろりとそれを平らげると木のジョッキに水を入れた物を渡される。
それを飲み干すと便所に行きたくなる。モジモジしていると便所に連れて行かれる。まあ納屋の隅にタライというか桶が置いてあってそこに出せといわれたのだけど‥‥‥。
スッキリすると何をやるというか何もすることが無いのでぼんやりと俺が乗せられてきた荷馬車の荷台に腰掛けていると、竜巻の時に感じた凄まじい魔素力を一瞬感じて身震いがしてくる。
周りの空気が振動して肌に刺さるような感覚がしてくる。それにまるで津波が押し寄せてくるように何度も何かが押し寄せてくる気配というか何かが地面を伝うといった方が良いのかもしれない。そんな気配が周囲を通り過ぎていく気がして思わずキョロキョロしてしまう。
「フンッ、探査魔素術使ったってここは分らねぇぜ! こちとらその対策はばっちりだ!!」
そんな呟きというか俺に言い聞かせているのか分らないが、ずいぶん自身ありげにそんな言葉を吐いたのは兄貴と呼ばれていた人物であった。すると、あれが世に言う魔素術による探査なのかもしれない。空気の波と地面の振動が押し寄せてくる感じだったので土と風による属性の魔素術なんかなのかなと一人呟くと、さてどうしたものかとこれからの事を考える俺であった。
次話へつづく
次話は3/4火曜日の夕方に投稿する予定です。




