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奴隷から始まる異世界旅行記  作者: 三之山勝
《 第3章 平穏な日常に飽きてくる年季奴隷 》
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<3-26> 「年季奴隷と傷付いた乙女?  (後編)」

最新の本文修正日は2014年12月26日です。

 この地にやって来た時から現実に色々と試練というか試験というか、そんな事にうんざりしていた俺ですが、まさか夢の中でも試練というか試験というか、そんな事をされるとは思ってもいなかった。


 彼等というか彼女達の言い分では何が起こるか分らないので心の防御力というか、精神力を勝手に鍛えてくれたようです。


 まあ、俺自身が頼んでいない事を勝手にやってくれたようで、確かに俺は年季奴隷で彼らに文句を言える立場で無いので何時ものように貰える物は貰っておく事にします。だって、抵抗出来る訳無いからね。



 その為、夢の中に出てきた魔人族まびとぞくの王女様はどれが本物か分らなくなる。どの彼女が本物でどの彼女がペルジャーネ先生かデウシー先生が演じていたのか気になっていたが、ここ何回かの前半の王女の記憶があいまいなのでもしかすると前半が本物で後半の王女が偽者なんかもしれない。確かそういっていたよねペルジャーネ先生は。


 それに魔素術はそんな事「他人の夢にも干渉出来るのかよ」と、突っ込みたいのを我慢する俺であった。






 宿舎に向うのを躊躇しているデウシー先生の背中をマイネンスさんがニヤニヤしながら押して行く。マイネンスさんが小さい声で何か囁いて、デウシー先生が一瞬頬が赤くなったのは気のせいであろうか?


 会話の内容が聞えなかったので気にはしないのだが、その囁き声に頷いた途端に嫌々ながらも彼女は宿舎の中に入って行く。


 そんな彼女らの後姿を確認した俺は昨晩漉いて干していたわら半紙を回収して、何時ものように厩舎を覗きに向かう。


 厩舎の入り口に近づくと誰かが首根っこをつかまれて厩舎の外に出てくるではないか。嗚呼、そういえばここにも風呂嫌いがいたよね? プイホンさんであった。


 彼はゴナベル奴隷長に首根っこをつかまれて宿舎の方へ連行されて行く。その状況を中に居た猫種の獣人達が眺めては直ぐにまた自分の仕事に集中し始める。



 ここら辺のネコさん達はすっかり鯖模様で、白黒のネコさんは見かけない。彼らは性格的に他所者を受け入れるので、はたから見ていても不振がられる事は無かった。


 一頻ひとしきりネコさん達を堪能した俺は一人風呂に入り食堂に向う。途中ここ二、三日で溜まった洗濯物をフロントというか受付に預ける。


 誰かのお陰で寝る度にぐっしょりと汗をかかされたお陰である。そんな事に文句をブツブツ言いながら食堂に行くと、どうやら俺が一番最後のようで独りテーブルに着いて晩飯を食べ始める。


 すると、厨房の中に居た女性年季奴隷達が食堂のテーブルの一角に出てきて自分達の晩飯の準備を始めて同じように食べ始める。そんな中、俺の顔を見たギムネーヤ料理長が俺に話しかけてくる。




 「おや? リョウジ、なんだか疲れた顔をしているね。ちょっと待ってな!」




 そういうと彼女は厨房に戻って器の中に入った何かを俺に差し出してくる。俺は恐る恐るそれを眺めるのだが一体何なのか分らない。




 「これは子沢山こだくさんという草の根で、これを食べると元気になるよ!」




 子沢山? 良く分からない物を出されても困るのだが‥‥‥。そういってその白い何かの上に卵を割って茶色いなにかの汁をそれに掛けるとかき混ぜる。そして、徐に丼に入れられたあの懐かしいものの上に、その混ぜた粘り気のあるものを掛け、俺に渡してくる。


 ああ、懐かしいというか久々の米の飯である。ひょっとしてこれは山かけご飯か? 恐る恐るそれをスプーンに取って口の中に運ぶ。そこには何か懐かしいというか久しぶりというかカツオのような出汁が効いていて、贅沢言うと醤油味が無かったのが残念だ。


 それでも久しぶりの米の飯に思わず唖然とする周りの女性達を無視するが如く一気にそれを食べつくしてしまう。やはり米の飯は腹にガツンと来る。食べ終わってから呆然としている彼女達に気付いて思わず「ご馳走様でした!!」と、言い放つ。


 「そんなに俺の顔は酷い顔をしていますか、ギムネーヤ料理長?」




 「その目の下の黒いのは寝不足か何かだよね、結構酷いよ? まあ、毎日とは行かないけど偶に手に入ったらまたその食事を作ってやるよ! まあ、紙のお礼だから気にしないでおくれ!!」




 嗚呼、そうか。何時も俺が紙を定期的に渡しているものだから、彼女なりに心に引っかかっていたらしい。確かに俺でさえ貰ってばかりだと心苦しくなる。追加の紙を置いて食堂から立去る事にした。一応デウシー先生とペルジャーネ先生が漉いた紙は別々にして在ったので問題ない。



 部屋に戻ろうとするとミリクナ医務長に声を掛けられてしまう。早く自分の部屋というかベットに入って眠たいのだけどいったいなんなんだ?




 「一応、今日も私に部屋で寝なさい!! また変な夢を見るかもしれないでしょ?」




 「いやいや、今日のは貴方がたが仕掛けた夢というか悪夢というか‥‥‥」


 後半ははっきりと言葉には出来なかった。それというのも何時ものように強引というか、強制的に俺の背中を押したミリクナ医務長のお陰である。


 彼女の部屋に行くと何故だかバスローブのような寝巻きのような姿に頭の上にバスタオルというか大きめの手拭を巻かれたペルジャーネ先生かデウシー先生が椅子に座っていた。その横には白衣を着ているマイネンスさんが立っている。


 あ~、今日も俺の心を鍛える為に俺の夢に侵入してくるのかと、一瞬身構えて入り口で部屋に入るのを躊躇していると、後ろからど突かれたように背中を押されて部屋の扉が閉まる。もうこうなったらまな板の鯉宜しくどうにでもなれであった。


 「なっ、なんでマイネンスさんはいいとして、デウシー先生がこの部屋にいるのですか? まさかまた俺の夢の中で暴れるのですか?」




 「いや、なに。その、なんだ。事前に顔見せると夢の中になんか上手く潜り込める訳ないじゃないか。お前のその疲れを取ってもらう為にな施術を施す」




 「いやいや、マイネンスさんがいるのは分るのですが何故にデウシー先生がいるのか分らないのですが?」




 「まあ、いいからそこに横になれ!!」




 そういうと結構大きいベットの上にうつ伏せに寝かされ、俺の背中をマッサージするように撫でてくるのはマイネンスさんであるが、うつ伏せになる前に見た何か何時もと違う雰囲気のデウシー先生が何故かモジモジとしていたのが気になってくる。


 しかし、初めてマッサージをして貰うと、意外に気持ちのいいもので段々目蓋が重くなってきてうつらうつらしてくるのだが、急に俺の横にドンと寝転がってくる気配で折角の眠気が邪魔される。


 仄かに石鹸というか泡沫石の良い匂いがしてきてうつ伏せになりながらも横を向くとデウシー先生であった。一瞬ドキッとしてしまったが別に一緒に添い寝する訳じゃないので考えを改めるが「理由というか何故?」と、いう疑問が浮かんでくる。



 その間もマイネンスさんは俺をマッサージしているのだが、同じようにミリクナ医務長がうつ伏せになったデウシー先生の上に乗りかかり同じように彼女をマッサージし始める。その光景をまじまじと眺めていたのでミリクナ医務長が話し始める。




 「別に一緒に添い寝させる訳じゃないのよ?! ペルジャーネさんというかデウシーさんが久々に夜寝てみたいと話していてね。その、久々なもので()()寝方を忘れたようなの。それでね、お風呂に入れて体を解してやれば眠り安くなるので、今やっているところよ!!」




 そんな事を言いながら汗だくになってくる彼女を見ると、俺の背中の彼女も結構力を入れてくる。結構痛いのだがこれが気持ち良くなってくるものでいつの間にか寝てしまう俺であった。




 気が付くとここ二、三日御世話になっている空間というか真っ白な場所に座っている。


 「ああ、はいはい。またですね。いい加減、嫌になってくるのだがもう諦めました。で、今日は誰がお出ましになるのかな」と、少し冷めた感じにため息をする俺の後頭部を叩く奴が現れる。もうそれは良い音がこの空間に響いてしまう。




 「なんじゃそのため息は!! 折角、わらわが一日ぶりに登場したのに!! そなたが言った通りに時間を空けて来たのじゃぞ?!」




 「いやいや、時間を空けるといったって1日だけじゃ足りませんよ? せめて十日ぐらいは空けないといけないでしょ? それに、もう少ししたら貴方に俺は会いに行かされるのですが? それほど待てないとはよほど暇なのですね?」




 最後に確信を衝いてしまったのか、猛烈に不機嫌になってくる。もうそれはなんともいえないほど頭の上に湯気が立って怒る人物を始めてこの目の前で拝むとは思わなかった。


 しかし、その彼女の後ろの空中にフワフワ浮かんで寝ている人物を目撃してしまってそれどころじゃなくなる。もうそれは気持ち良さそうにいびきをかきながらフワフワ浮いている。


 その内、怒っている彼女の目の前をフワフワ浮いて通り過ぎる。何故に俺の夢の中に寝ているデウシー先生かペルジャーネ先生が出てくるのは良くわからないのだが‥‥‥。まあ、気持ちよさそうに寝ているので好しとする。


 寝ている彼女を邪魔に思ったのか浮いている彼女を突こうとする先程まで怒っていた最初の彼女を俺は慌てて抑えて止めてしまう。


 「折角何年ぶりかに熟睡している人を起すには()()()じゃないですよ? それに用があるのはこの私にですよね? え~と‥‥‥」



 そこで初めてこの人が誰なのか分らなくなる。確か起きていた時には覚えていたのに、それに何回か会った事があるのまでは覚えているのに何故だかこの彼女が誰なのか分らない。俺が必死に考えている仕草がおかしいのか急に先ほどまで怒っていた彼女が笑い出す。


 「まあ、もう誰でも良いですから、私がゴルムディアまで行くまで待てませんか? 確か『楽しみは後にしたほうが良いですよ』と、言ったのは貴方だったような?」




 「それもそうじゃの~‥‥‥。あ、もう終わってしまったのか?! 折角、妾自ら鍛えてやろうと思ったのに~。こりゃ当分は無理ぽいな!


 仕方がない、今宵はこれまでとするかの! じゃあ、ゴルムディアで待っているからさっさと来いよ?!」




 そういうと急に辺りが静かになって気が付くと朝の心地よい空気が充満する空間というか部屋で目覚める。なんだか久々にじっくり寝たというかスッキリした目覚めであるが、若干何故だか体が動きにくいのは良く分らない。


 頭を持ち上げて周りを見渡し冷や汗が出る。俺を抱き枕のようにして寝ている人物がいたからであった。


 それはもう心地よさそうに熟睡しているようなので起すのは気が引けるのだが‥‥‥。人生で初めて他人というか他所の女性と添い寝してしまった。


 まあ、確かに悪い気はしないのだが、若干腕に当たる柔らかい何かが気になってくるのだが‥‥‥。ドギマギしているとパチリとオレンジ色の瞳が俺を凝視する。




 『なっ、な、なんでおめぇが俺の横で寝ているんだ?!』




 そういってガバッと起きたデウシーさんは何か普段とは違ってオロオロしていて面白い。いやいや、ちょっと間違えば殺されない勢いである事に気が付く。慌てて言い訳めいた言葉をいうのだが言葉になっていない。



 「あの、その、ですね。驚いたのは私のほうでして、気が付いたら私に抱きついていたのはデウシー先生ですよ?


 それにまた、俺。いや、私の夢の中に入ってきましたよね? 


 それは気持ちよさそうにいびきをかいて寝ていましたけど?!」




 不思議な事に今朝というか夜中に見ていた夢の事を覚えている事に驚いてしまう。夢では思い出せなかった人物、王女様の事まで覚えているのも不思議な事だ。


 「そういえば今朝はあの王女様の事を覚えているのですが、それにゴルムディアに早く来いとか何とか。そういえば折角王女様が俺を鍛えるとか行っていたのはいったいなんだったのでしょうね?」



 ぎゃーぎゃー言っていたデウシー先生が急にまじめな顔をし始める。




 「あ~、先に耐心魔素術を仕掛けたから、ちとへそを曲げちまったかな、あの王女様。それにしても夢の中でもあの威圧感は半端なかったわね~」




 そんな事を言ったのはペルジャーネ先生であった。銀色の瞳がきらりと光る。




 「それでデウシーの抱き心地は良かったかしら? まあ、私の体でも在るのだけど! 医者の先生方も困ったものよね!


 それに私達は見た目ほど若くは無いのよ? 貴方より三つは上かしら」




 そういってウインクするペルジャーネ先生は何処か大人の女性の余裕というか‥‥‥。少し睡眠を取ったおかげなのか今朝は肌つやが昨日よりは良いように思える。


 それに三つも年上となると28歳か~、俺の感も当てにはならない。「女性の見た目年齢なんて分るはずも無いじゃないか」と、一人突っ込みを自分に入れた後、俺はため息を付いて言い訳を始める


 「はあ、その抱き心地とかいわれましても、実際には寝ていたので分りませんよ?!」



 周りを見渡すと部屋の中には俺とペルジャーネ先生の二人だけであった。外の方からいつもの訓練の掛け声がして来たので慌てて俺は床に置いてあったサンダルを履いて紐をしばり窓から外に出てしまう。


 別に入り口から出ても良いのだけど、なんだか悪い事をした訳じゃないのだが気恥ずかしいというのが正直な所であった。



 何時ものように他の年季奴隷の訓練に紛れ込んで素振りや、組み手の真似事をして今朝あった事を頭の隅のほうに追いやる。


 別にデウシー先生と一緒に添い寝しただけだし。あっ、エッチな事なんかして無いし。それにやましい事なんかこれっぽっちもしてないし‥‥‥。確かに胸の感触は楽しみましたがそれだけですよ?


 それに、直に触った訳じゃなく腕伝いですからセーフですよね? 誰に言い訳をしているのか分らないが、何故だか自分に言い訳をしてしまう。



 そんなものなのでしっかりした素振りが出来なく、腰が入っていない状態になる。初期の頃の素振りのように剣に振り回され、今日はなんだか剣を振り回しているというよりは剣に振り回された状態になってしまう。


 何時ものようにドルバン車長に「病み上がりなんだから無理するな!!」と、声を掛けられてしまい、愛想笑いをして頭をかく俺ははたから見たら情けなく見えていたと思う。



 訓練が終わって朝飯を食べる為に食堂に行くと配膳の列に並ぶ。すると、俺の番になってゴダ芋を切り分けるギムネーヤ料理長に開口一番にこんな事を言われてしまう。




 「おや、今朝はなんだか疲れが取れたようだね?! また作ってあげるからね!!」




 そういわれて何時ものように十六分の一の大きさのゴダ芋を木皿に載せられ汁をかけられた物を渡される。俺はお辞儀をしてお礼をギムネーヤ料理長に言うとテーブルに着いて何時ものように朝飯を食べて食後の薬を飲む。


 部屋に戻って道具袋や洗濯されたものを取りに行こうかとすると俺の道具袋を持ったミリクナ医務長がやってきて俺に道具袋を渡してくる。




 「今朝は気持ちよさそうに二人とも寝ていたわね~。あっ、二人は何も無かったわよ?! 一応見ていたから。その顔を見ると体調は好くなったようね!」




 そう言って俺の肩を叩いて廊下ですれ違って行く。まるで何処か近所のおばさんである。本当にあの子は16歳なのかと言いたいが面と向って言える訳も無い。彼女が軽く流したように俺もそのことを軽く流してその場を立去る。


 俺が泊まる予定の部屋には俺の洗濯された衣類が入った袋が置いてあった。それを持って一度自分の馬車に行くと皆が久しぶりだなと声を掛けてくる。まあ、確かにそうなのだが‥‥‥。中には俺の事を心配して体は大丈夫なのかとか体調は良くなったのかと聞いて来る。


 まあ、確かに今日はすこぶる体調が良いんで笑顔で答えると、何時ものように「指揮車に行きます」と、言い残し道具袋を持ってその場を去る。「体はごついが皆は割と良い人ばかりだよな~」と、そんな事を呟いて指揮車の扉を叩いて中に入れて貰う。



 指揮車の中に入ると何時ものように後部座席にはペルジャーネ先生かデウシー先生、その横にボフボーニャさんが座っているのでペルジャーネ先生が座っているのだろう。


 前の方にはマイネンスさんが座っていたがミリクナ医務長はまだここには着ていなかった。いつもなら皆は俺が来る前には座っているのにと首を傾げながら一番前の三人掛けの席に座ると道具袋から日記を出して夢の話や今朝の出来事、昨晩の事など事細かく書き始める。


 すると、俺の真剣な表情をニヤニヤしながら見ている視線というか。まあ、正面に座っているので半強制的に彼女の表情が見えてしまう。彼女の出鼻を挫く様に日記を閉じると昨晩のお礼を言う。



 「いや~、昨晩は御世話になりました、そのお陰で今朝はすこぶる調子がいいですよ! この国にも『マッサージ』。あ、う。いや『整体』? ああ、整体があるのですね。初めて受けましたけど、凄く気持ちがよかったです!!」



 俺がそんな事を言ったので拍子抜けと言った感じにマイネンスさんはガッカリしたようにため息をする。その、何に対してため息をしたのかは分らないのだが‥‥‥。




 「折角、一緒に寝かせてやったのに何もしないとは‥‥‥。台無しだよ!!


 お前はそれでも男か?!」




 「いやいや、そういうのは御互い同意の上で行うものですよ?!


 行き成り二人で添い寝したからといって‥‥‥」



 つい昨晩の事を口走った為、思わず後半の部分に口を噤んでしまう。その俺がつい口走った言葉を聞いたボフボーニャさんが前の座席、俺の座っている目の前にありえない軌道でやって来てそびえ立つ。その聳え立った彼女を眺めると若干わなわなと体が震えていて今にも爆発しそうではないか。



 彼女が我慢できずに口を開こうとするとこの指揮車の中にミリクナ医務長が入って来て、一瞬何があったのか怪訝な顔をしたが場の雰囲気というかそういうものを察知して口を開く。




 「あのね~。別に一緒に整体をしている内に眠ったのでそのまま二人を同じ寝具の上に寝かせただけよ?! それに私が見ていたから別に疚しいことなんかしてないし、貴方が全身の毛を逆立てて怒るような事は無かったわよ? それにもう少しで出発するから早く席に着きなさい! 危ないわよ?」




 あ~、なんか火に油を注いだ感じなんですがとはいえない。僅かに握り拳をギュっと握ると「私だってまだ一緒に寝た事無いのに! ‥‥‥」と、小さな声で呟きがら奥歯で何かをかみ締める様な表情をする。


 そして、何かを我慢するように後ろの席に大股でどかどかと歩いて行くと、ドカッと座る時にも俺をギロッと睨むではないか。ああ、完全に敵対する眼差しですよね?


 まるでメルディム護衛分隊長が俺に話しかけた時にクワビムさんに睨まれた時のようだ。でも今回は彼女の憧れの人物に対して一緒に添い寝をするという状況を知られてしまった。クワビムさんの時よりは状況は悪いかもしれない。そういえば、最近クワビムさんを見ていないな~‥‥‥。




 この状況に、なんだか一難去ってまた一難で、うんざりしてくる俺であった。





 次話へつづく

次話は3/2日曜日の昼頃に投稿する予定です。

一応3月の投稿予定なんですが活動報告に書いてあるのでそれを読んで見てください。

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