<3-18> 「年季奴隷と竜巻女 (後編)」
最新の本文修正日は2014年12月20日です。
海の方向から巨大な竜巻が自分のいる場所に向って来た時はさすがに肝を冷やした俺ですが、その竜巻を打ち消す前に光のイルミネーションに見とれてしまい、それが魔素術という事に気が付いたのは竜巻が消え去ってからであった。
外に居たジョルジョネ大尉に親しそうに近寄って来た女性がその魔素術を使ったのだろうか?
それに大尉は明らかにこの女性が苦手のようで俺に話し相手を命ずると、そそくさと自分の指揮車に戻ってしまう。
しかし、その女性は一つの体に二つの独立した人格が住み着いていて、所謂二重人格とは少し違う症状の女性であった。俺はその事より大尉が一体どちらの人格に何をされたのか気になってしまう。
ミリクナ医務長の指揮車に乗った俺はその彼女の中の一人のペルジャーネさんという人に手を握られて色々調べられたらしい。
それに、この人があの筆頭宮廷魔素術使い補佐のばあ様が言っていた俺の師匠というか俺に魔素術を教えてくれる人物なのか?
そんな疑問が浮かぶ俺であった。
指揮車の中でマイネンスさんに茶化されたデウシーさんは自分の殻に引き篭もったらしい。両方の人格が引き篭もった証拠のどちらの人格でもないことを表すように瞳が全体的に白く濁った状態になってしまう。
しかし、俺らが話している事は両方の人格に筒抜けのようで悪口を言うと仕返しをするとマイネンスさんは俺に教えてくれる。
「マイネンスさんは彼女達とは古い付き合いなのですか?」
「ああ、こいつが七歳の時。学院に預けられる前に奴隷組合関係の療養所にいた時にね。おかしな症状の娘がいるから見て欲しいといわれて、こいつを診たのだけど。まあ、当時は手がつけられないほどの猛獣でね。良い娘の場合は至って平穏なのだけど、悪態をつくほうはもうそれは酷かった‥‥‥。
偶々、こいつを風呂に入れた時に人格が変わっちまって、驚いた私はこいつを湯船に落としてしまってね。危うく湯船で溺死しそうになってさ、それ以来嫌われている。しかし、こいつを大人しくさせる時は『風呂に入れるぞ!!』っと、脅すと効果覿面で、学院に定期健診で行った時は良く使わして貰ったな~」
「風呂が嫌いなのですか?」
「ああ、だから逸早く魔素術が使えるようになってからは風呂に入らなくても良いように、体や服を浄化させる術を自分で考えてね。まあ、それはそれで面白い見世物なんだけど。そのお陰か知らないけど、今では筆頭宮廷魔素術使いという宮廷の魔素術使いの頂点なんだから、人生って分らないものだね~」
「はあ、じゃあ。その宮廷魔素術使いの時にジョルジョネ大尉と何かあった訳ですか」
「それは分らないね~。でも、確かこいつが平の宮廷魔素術使いになった頃に王都の療養所に若い新任の少尉候補生が寝具の上で全身包帯まみれで唸っていたような。時々そこでこいつを見かけような記憶があるね~」
「そういう事ですか。それでは大尉が嫌がるはずです。今は性格的に落ち着いているのですよね?」
「さあ? 最近は会っていなかったから分らないけど、口の悪い方は変わらないと思うよ」
「良い師匠のほうは完璧な方です!!」
突然、俺とマイネンスさんの会話に入って来たのはボフボーニャさんであった。彼女は平宮廷魔素術使い筆頭なのにこの筆頭宮廷魔素術使いに弟子入りしたので、多分良い師匠とはペルジャーネさんの事だと思う。
「このお方は完璧なんです!! 生誕属性が二つもあって、更に5属性を自在に操り完璧にまで高めたお方のですから!! もうこれは王国の宝です!! それに私はこの方を目指して宮廷魔素術使いになったのですから!!」
何だかペルジャーネさんを崇拝する感じで、もうこれはペルジャーネ教の教徒のようだ。彼女の悪口を言ったらあのクワビムさんのように命を狙われるに違いない。
『誰がおめぇを弟子にした? 俺は反対したぞ!』
「悪い師匠は黙っていてください。私は良い師匠の弟子です。まあ、ついでに悪い師匠の技術も盗みますけど!!」
『けっ! 俺がお前なんかに盗めるようなヘマをするか!』
「あの~、デウシーさんは女性ですよね? その言葉使いは癖ですか? それとも何かあるのでしょうか?」
『へっ? 見たら分るだろ! 俺は女だ。ほれ、見ろこの胸を。そこのまっ平らな不毛の大地と違って山あり谷ありで、これを見ても女ではないと抜かすのか?』
「もう!! 悪い師匠は黙っていてください。これはまだ発達する途中ですから、今に見ていてください! 悪い師匠を抜いて見せます!!」
「いや、中身が違うだけで外見は変わらないでしょ?」と、ボフボーニャさんへの突っ込みは置いといて。ふむ、デウシーさんは女性の自覚はあるのか。という事は性格というか彼女の弱い所を隠すような鎧と考えれば良いのかな。だから、男口調で威嚇する感じになるのだろか?
いやいや、その場合は普通の二重人格の場合でしょ? この人は明らかに違う人格だよ?
「見ていて飽きないだろ? 私もこいつと知り合ってからは学院に通いつめて研究したもんさ!」
「はあ、面白いというか。私の国にもこういった症状で悩んでいる方がいたのですが。大抵は思い込みだったりでして、ここまで完璧に別人格が同居している話は物語ぐらいでしか聞かなかったですよ?」
「ほう、それは興味深い話だね。リョウジは医学の心得があるのかしら?」
「なっ、そんな訳ないですよ。一応、工事現場の監督をしていましたから作業員が万が一の時、応急処置を学んだ程度でそこまで頭は良くないというか出来はよくありません」
「ふ~ん。まあ、追い追い話を聞いてみるかね。だってこれからは毎日こちらの馬車に乗るのだから。御互い良く見知って仲良くしないとね。ミリー先輩はだんまりで何時も寝ているから暇で~、暇で~」
そういって俺を舐めるように見回すマイネンスさんから逃げるように視線をずらす。舌打ちしたのは気のせいだと自分に言い聞かせる。
「あー、でも。この私は一応3名に算術を教えていまして、それはどうなってしまうのでしょうね? ‥‥‥」
「プイちゃんをこちらに呼べば解決するじゃない?! それに彼女らはもう一人で計算できるようになったのでわ?」
そういったのは今まで目を瞑っていてこちらの会話に無関心だと思っていたミリクナ医務長であった。
「そうだって~、リョウジ! これから毎日が楽しみだわ~」
『おい! 藪医者! こいつは俺が貰った玩具だぞ! お前に触らすか!!』
「あら、そんな事言って良いのかしら。明後日は馬車村に戻るからたっぷりお風呂に入れて説教しましょうか?」
「あんまり苛めないでくださいね、マイネンス先生。デウシーがいじけてしまいましたわ~」
「あっ、良い師匠おかえりなさい! お待ちしていました!
ちょっと、リョウジ殿。そちらに詰めてください!」
そういうとボフボーニャさんは無理やり俺とペルジャーネさんの間に割って座ってくる。まあ、小さいお尻なのですんなり入ったようだが‥‥‥。何このハーレム。
しかし、殆どが俺に興味無しという状況で、興味があっても俺の体に興味がある人やこの珍しい黒髪等であって、決して俺に対して純粋に興味がある人物はこの指揮車の中にはいないよね?
ボフボーニャさんは俺を無視するように、何かペルジャーネさんと話し込んでいる。彼女に代わった時も唐突であった。そんな状況に良く分らない人達がこの奴隷旅団所属中隊の入ってきたなと、俺は思ってしまう。大尉が嫌がるのはなんだか納得できた気がするよ。あ~、俺の教え子の彼女達はきちんと計算をやっているのかな?
そんな後部席の状況を前の二人掛けの座席から振り返ってニヤニヤ見ているマイネンスさん。ミリクナ医務長はまた腕を組んで一番前の席の端っこに座って目を瞑ってしまった。
何気なく孤独感を感じる俺は足元に在った自分の道具袋から日記帳を取り出して今までのあらましを書き記す。光った魔素陣の事や、竜巻の事。それに二人の宮廷魔素術使いの事である。ついでにプイホンさんへの算術の問題を作っていつでも渡せるようにする。
良い師匠の時はボフボーニャさんが積極的にペルジャーネさんに話しかけるので俺はどうやら黙っていて良いのかもしれない。問題は気性の荒い方?
そんな事を考えると馬車が速度を落として何処か荒地に入った感じになって馬車が大きく揺れだす。野営地に着いたのか? それとも馬の休憩かな?
すると、外がなんだか騒々しくなって話し声が聞えてくる。この指揮車から誰も降りようとしないので、俺は自分の道具袋に日記やプイホンさんへの問題を仕舞い外に出る。
外は何時ものようにテントを張って野営をする準備に入っていた。慌てて自分の馬車の場所に行って皆の手伝いをする。すると、なんだか潮風の匂いが感じられて周囲を見ると少し歩いた所に浜辺が見えた‥‥‥。海だ。
太陽、こちらではサラム様がもう少しで海の中に消えるような情景が見える。嗚呼、海なんか何年ぶりかな‥‥‥。
そんな海に見とれていた俺は服を引張られて体がよろけてしまう。俺を引張ったのはプイホンさんであった。
俺は道具袋から彼への問題を渡そうかと袋をごそごそやっていると、また彼は俺を引張る。
「兄ちゃん!! 海は危険だから近付いたら駄目だ! 足を引張られて海の底に連れて行かれるぞ?!」
「へ~、誰が引張るのかな?」
すると、プイホンさんが海の彼方を指差して海原に浮かんだ大きな島を指差す。はて、どう見ても島なんだけど‥‥‥。そんな島を眺めていると、僅かだがその大きな島が動いている事を発見してしまう。
「あれは島鯨だって、ゴナベル奴隷長が言ってた。だから海に魚を取りに入ったら食われちまうって言ってたよ!!」
あれだけ魚を拾い集めたのにまだ足りなかったようだ。今度は海に入って魚を追いかけようとしてゴナベル奴隷長に怒られたらしい。
でも、まあ。この地に来てから巨大な何かに慣れたのか、そのプイホンさんの言っていた「島鯨」に対して、俺はただ感心するしか出来なかった。今はそんな事より晩飯のほうが優先だ。
「じゃあ、先程プイホンさんが拾った魚料理を食べに行きますか?」
俺がそういうと、プイホンさんは嬉しそうに返事をし高と思うと、俺の事など忘れたまま仮設食堂の場所まで走って行くと、配膳の列に並んでしまう。
まあ、ネコですから。これは愛嬌です。それにもう慣れましたよ。
配膳の列に並びながら美味しそうな魚のスープの匂いが充満してくる。「先程の鯖のような魚の刺身が食いたいね~」っと、独り言を呟きながらお盆に料理が入った皿を貰う。
嗚呼、プイホンさんは美味しそうにハフハフいってその晩飯を食べていた。もう、それは幸せそうな感じに‥‥‥。
俺もその美味しいスープをすすり、中に入っていたぶつ切りの魚を頬張る。まあ、割と美味しい味であった。俺はグルメじゃないのでそんな感想しかなかった。
少し贅沢言えば刺身が食いたかったけどね。皆が美味しそうに晩飯を食べている途中にジョルジョネ大尉がやって来て明日の予定を話し出す。
「え~‥‥‥。明日はここから馬車で一刻程行った場所の海人族の村で資材を搬出するのと、海産物を近くの倉庫に移送する。明後日の朝にまた今朝の馬車村に戻ることになると思う。以上、何か質問はあるかね? ‥‥‥」
皆は黙って大尉の話しに耳を傾けていた。俺はどうなるのか分らなかったので、つい手を上げてしまう。
「嗚呼、そこのリョウジは後で私の馬車に来るように」
嗚呼、やっぱり俺は別の仕事があるようだ。何を言われるのか分らないが晩飯を食い終わった後に指揮車を訪れる。指揮車の中には大尉しかいなかった。
「どうだ、あの竜巻女? 上手くやっていけそうか? 私はどうしてもあのくるくる変わる性格というか人格が駄目でな。まあ、あいつらから聞いていると思うがあの彼女達に若い時酷い目に合わされたのもある。11歳の子供にめちゃくちゃにやられてみろ?! もうそれは猫種の獣人の子供が狩りの練習をする時のようにプイを弄ぶ感じでな。半殺しにされたな~‥‥‥」
そういって大尉は遠い過去を思い出すように遠い目をする。
「まだ私も士官学校を出たばかりでな。学校では負け無しで自惚れていたのかも知れない。こんな小さい子供の少女にやられて自信が無くなってな。それで当時入ったばかりの儀仗隊を辞めて今の奴隷旅団に転属したのだ。まあ、己を鍛え直す意味も有ったが、実際は恥じを掻いた王都に居られなかったと、いうのが本音かな。
後で、聞いた話だが、その幼い少女は10歳で宮廷魔素術使いになった才女でな。俺が敵う相手ではなかった。丁度、その時は宮廷魔素術使いの査定年。まあ、定期的に成果を試される試験のような物があったそうで、彼女は優秀だったがまだ時期尚早という事でその試験を受けられなかったそうだ。それで儀仗隊の練習所で暴れたようだ。偶々そこに居た俺が犠牲になったがな。
その後、無事に次の査定年に見事平宮廷魔素術使い筆頭の地位に上ったのが16か17歳だったかな。18歳の時に当時の筆頭宮廷魔素術使いがご病気で倒れられて、具合は良くなったのだが引退してしまって空位になった。そこで紆余曲折あって見事あの彼女達がその座に納まったという事だ。まあ、そこまで行けば私も逆に誇らしいよ。そんな奴にやられたのだからな。
その後は定期的に仕事をこなしながらこのアラレスティ大陸を旅して回っているという話だ。今回は偶々国王陛下の命令で我等と同じゴルムディアに向う。その後はどうするかは彼女次第かな」
「はあ、そういう事があったのですか。でも、マイネンス医務長補佐とは何か折り合いが悪いようですが?」
「よく言うじゃないか仲が良いほど喧嘩するって。本質は似た者同士だからな。マイネンス医務長補佐も普通ではないし、ペルジャーネもそうだ。表面では嫌っているが、本当に嫌いならこの奴隷旅団所属中隊には居ないだろ? すぐ何処かに行ってしまうと思うよ。
まあ、君はそんな事お構い無しのようだから彼女達に好かれているのかもな?」
「はあ、そう見えますか?」
「ああ、私はそう見える。まあ、それで暫くは移動する時は、ミリクナ医務長の指揮車に同乗してくれ」
「あの~、俺はプイホンさんと貴方の部下の二人に算術を教えていますよね?」
「嗚呼、その事か。彼女達はしばらく様子見で計算をやらせているが最初の頃とは段違いに計算できるし、今は君のお陰で集計は算盤まで使えるようになったから当分は必要ない。もう涙が出てくるほど俺は嬉しい。この前も君に感謝の言葉を送ったが改めてもう一度言わせて欲しい。君の教え方を今の士官学校に広めるようにするからな」
何だか良く分らないが、頭の良い人達が集まりそうな学校なのに俺が教えた計算方法ぐらいで皆が計算を覚えるのか? そんな事に不安になってくるがジョルジョネ大尉は喜んでいるのでよしとしよう。
「嗚呼、後はプイホン君だったね。彼を馬車に同乗させようか?」
「いえ、朝一番に問題を渡せば彼は勝手に問題を解くので、移動日の最後の馬の休憩の時に、一号馬車に乗って彼を指導したいのですが」
「う~ん、いや、反対にしよう。彼を最後の馬の休憩の時に指揮車に乗るようにする。
後は、作業日は通常通り皆の手伝いをすれば良い。馬車が動いていない時は彼女達は勝手に歩き回る。まあ、その。好き勝手に動き回るので付き合いきれないというのが本音だ。
あっ、そうそう。彼女達は魔素術の専門家であるから不思議に思った事は私より詳しく実践で指導してくれるからよく相談しなさい」
「そういえばプイホンさんから聞いたのですが海では泳ぐ事は出来ないのですか?」
「はあ? お前は死にたいのか? とんでもない!!
絶対夜の海に、近寄るなよ! これは命令だ!」
「はあ、分りました。ここの海は危険という事ですね」
最後に命令までされてしまい、まるで先程のプイホンさんのようにしょぼんとしながら俺は指揮車を出る。外はサラム様がすっかり隠れて、欠けた双子月が丘のほうから海を照らしているのが見えた。
先程プイホンさんが指し示した島のようなものはすっかり何処かに行ってしまったようで海の上には何も居なかった。
夜風は最近生暖かくなって来て、春になって来たからというよりは緯度が上がって南国特有の季節になって来ているのかも知れない。砂浜も灰色や黒というよりは白っぽい色で珊瑚の死骸による石灰質系の砂浜であった。
本来ならば海といえばここでフラグが立って皆でキャッハウフフといった海水浴を楽しむはずであるが、この王国では海水浴を楽しむ習慣がないようだ。いや、未だに海は危険で入ったは良いが無事生きて海から地上に戻れるか分らない存在なんだよね? そうでなければ大尉やゴナベル奴隷長が命令する訳は無い。
さて、寝ようかと寝床に向おうとすると、白い砂浜で花火をやっているのかと思うような光のイリュージョンが白い砂浜を照らす。
黄色い光の線が砂浜を伝わって1mほどの直径の円を描いて青や赤、黄緑や緑そして黄色があちこちに出現して光りだす。すると、水柱や火柱。色ごとにそれぞれの属性なのか属性ごとの柱のようなものが聳え立つ。
光の主の正体を見ると月明かりと魔素陣と魔法術の光に照らされて癖っ毛の金髪と緑のローブ、バーゼナを引っ掛けたペルジャーネさんかデウシーさんであった。
彼女達は寝ないのか? そんな疑問を持っていると、波打ち際からイカか、タコの足のようなものが彼女に向って食指を伸ばしてくるのを目撃してしまう。
思わず俺は声を上げようとするが、彼女は難なくそれらの何本もの触手をかわしてしまう。俺は恐ろしくなって震えてしまうのだが、月明かりに移った彼女の表情は微笑んでいた。
そう、そのやり取りを楽しむようにかわしているのだ。暫くかわして遊んでいるようであった彼女達は、もう遊びに飽きたとばかりに左手から黄緑色の何かを放つ。それに触れた触手は次々と切断されて行き、砂浜に転がってしまう。
やがて8本ほど大きな触手が転がった頃、海から本体が顔を出すかと思われた時に空恐ろしい威嚇というか殺気のようなものを感じてしまう。
もう、それは絶対捕食者の威厳というか気配のような物で、海が盛上って頭を出したそれは直ぐにその気配を感じたのか深い海のほうへと逃げていくではないか。俺はその黒い影を目撃してしまう。
あんなタコの化け物が砂浜を歩いている間抜けを食いにやってくるとは‥‥‥。あ~~、調子に乗って砂浜に行かなくて良かった~。
一応イベントの前には必ず「海だ~」と、掛け声をかけて砂浜でジャンプするのだけど。ここでは通用しないらしい。ジャンプした途端に先程の触手が俺を海の中に引きずり込むよね? 死亡フラグになってしまう所であった。
彼女達は先程の切り取った足を風属性なのか黄緑色に一瞬光ったように見えた魔素術で俺の所まで吹飛ばしてくる。俺は危うくその大きな触手の下敷きになる所であった。
しかし、そんな事お構い無しで彼女は俺の立っている場所まで歩み寄って来る。
嫌な予感がして、青くなる俺であった。
次話へつづく
次話は2/11火曜日の昼頃に投稿する予定です。




