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奴隷から始まる異世界旅行記  作者: 三之山勝
《 第3章 平穏な日常に飽きてくる年季奴隷 》
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<3-17> 「年季奴隷と竜巻女  (中編)」

最新の本文修正日は2014年12月18日です。

 馬車に揺られながら王都を去って行く少女の事など何も知らない俺ですが、その同じような揺られた箱型の指揮車の中で目が覚める。昨夜の出来事をぼんやり思い出しながら急に止まった指揮車の外に出て、その異変に驚愕する俺であった。






 外はなだらかな丘を下る道であった。後ろはこんもりした丘のようで、前方には地平線だと思っていたが蒼い海を見て水平線だと考えを改める。


 いやいや、それどころでは無いでしょ!! 風速50から60mクラスの竜巻の時速は100km以上のはず。分速1.7km~~。嗚呼、計算している場合じゃない~~!!


 俺があたふたして周囲をキョロキョロしていたのが不振に思われたようでミリクナ医務長が俺に話しかけてくる。




 「何、やってるのリョウジ? 少しは落ち着きなさい。自然に発生した物が簡単にこちらにやってくる訳ないでしょ?」




 「いやいや、あの『竜巻』。あっ、竜巻の海に引いている足跡を見てください!!


 まっすぐこちらに向ってきますよ?!


 急いでここから立ち去らないとあと5分も掛からないでこちらに来ますよ?! 


 ほら、そのせいで周囲に強い風が吹き出しています。嗚呼、急がないと~」



 そういって俺は何処か退避できる場所を探してキョロキョロしてしまう。一番良いのは地下にもぐってやり過ごすのが良い。樹木や建物なんかに逃げ込むのは愚作でそんなもの簡単に吸い込まれて吹飛ばされてしまう。ふと、この馬車の気象結界は風速何mまで耐えられるのか気になってミリクナ医務長に聞いてみる。



 「あっ、あの、ミリクナ医務長?


  この気象結界ってどれくらいの速さの風を防ぎますか?


  例えば一瞬で60メト((m))ぐらいの吹く風を防ぐとか。それ以上とか‥‥‥」




 「え~と、そんなに保たなかった様な気がするけど‥‥‥。えっ? あの竜巻はそれくらいあるって事?」




 そうしている間にも外の風がますます強くなって、なだらかな斜面の空気が海側に吸い込まれていくように吹いて来る。まだ風速10m未満だがそれ以上になるとヤバイ。嗚呼、どうすればいいのだ~。そうやって、俺独りだけオロオロしてしまう。


 すると、丘の上の方向から只ならぬ気配を感じてしまう。なんていっていいのか分らないけど、強いて言えば俺が魔素術動作をやった時、最初の魔素を集める動作をした時の感じに似ている。周りの魔素を根こそぎ集まるような感覚である。



 そんな感覚を感じた所で、丘の上から草が所々生えた地面に金色に輝いた一筋の光りが走ったかと思うと、半径100mはあるかと思われる円状の何かが浮き上がる。


 まるで魔素陣を書くというよりは地面を浮き上がらせる感じに地面が盛上り魔素陣を完成させる。そこに斜面の上から一筋の黄緑色の光りがその陣の手前で放射状になって魔素陣に降り注ぐ。なんて綺麗なイルミネーションなんだと、俺はつい見とれてしまう。


 周りが竜巻によって薄暗くなっていたので尚その光りが冴え渡って綺麗に光って見える。呆けた俺を他所にその魔素陣は黄緑色により一層に輝く。文字のような物が順に輝いて行き、用意が出来ましたと訴えかけるように周囲の円が輝く。


 すると、魔素陣の中心付近から最初は小さな空気の渦が段々上に行くにしたがって巨大になって来る。ところがその渦に吸い込まれる事は無い。かなり高速で巨大な渦なのにだ。


 その次第に大きくなっていく渦はまるで目の前の竜巻のように成長すると、空に集まっていた雲を蹴散らしてしまう。頭頂部はもう何キロあるか分らないほど巨大になって行き、あの海からやってくる竜巻目掛けて頭その頂部が勢い良く伸びて行くではないか。


 その頭頂部が海からやって来た竜巻に達すると、途端にその海から来た竜巻が霧散してしまう。先程の自然現象が嘘のように無くなってしまい。同時に俺の近くで発生した渦が消えてしまい、魔素陣までも消えてしまう。



 空の雲が霧散して行き、雲の切れ目から所々光が漏れてくる。次第に周囲が明るくなって、俺は一体何があったのかと理解するのに少し時間が掛かってしまう。


 あの巨大な魔素陣があった所に歩いて行くと、ジョルジョネ大尉も同じように様子を見に来たようだ。周りをキョロキョロして、地面の土を掴むとさらさらと、土というか砂が手の平から落ちて行く。その様子を見ていた俺は大尉の異変に気が付いてしまう。


 斜面の上の方向に顔を向けたジョルジョネ大尉は何かに怯えるように自分の指揮車の方に走って行ったかと思うと、指揮車の陰に隠れる様子を目撃してしまう。


 変なおっさんだと思っていたら、斜面の上のほうから土煙がまっすぐジョルジョネ大尉の方に向って来るではないか。まるで漫画のようだねと呆れてしまう。


 だが実際走っていたのではなく、地面すれすれを猛スピードで浮いて飛んで来たといって良い。まるで‥‥‥。あ~、いやいや。その土煙が収まるとジョルジョネ大尉に擦り寄る人影が現れる。



 ミリクナ医務長はそれが誰だか知っている風で、我関せずといった感じで自分の指揮車に戻ってしまう。マイネンスさんも同様に戻るかと思ったが違ったようだ。




 「あらら、おひさ~。私の可愛い研究対象ちゃん!!」




 『げっ、妖怪婆~!!』




 「それよりジョネちゃん!! お久しぶり~、元気にしてた? もう痛い所は無いの? まだあるようだったら慰めてあげましょうか?」




 『‥‥‥と、言うとでも思ったか、ジョネ公!! ここで会ったが100年目だ!! たっぷり可愛がってやるぜ!!』




 あれ~、俺の目と耳の錯覚であろうか。そのジョルジョネ大尉に擦り寄った人物が瞬時に入れ替わった感覚がする。それに最初の『ゲッ』っと、言った時の顔と声が次に優しい口調になった彼女とは違いすぎる。直ぐにまた最初の顔つきに戻って口調が男前になった。なんなんだ? ‥‥‥。分らない。


 確かに最初はオレンジの瞳で話していたのに優しくなると銀色に変わって唇の色まで変わってしまう。燃えるような真っ赤な色の唇が普通のピンクに変わったかと思うとまた真紅に変わる。俺が不思議そうにその変な彼女を観察していると、マイネンスさんが俺に話しかけてくる。




 「面白いだろ~、先程の竜巻のようにくるくる表情や細かい所が言葉と一緒に変わる。変な生き物でね~、少し前までは私の玩具だったんだよ。ウフフ、今はね、私の玩具はあ、な、た。だからやきもち焼かないでね!」




 「はあ、それはいいのですが最後の言葉看過できません。私は貴方のものではないですよ? まあ、国王様の所有物ではありますが」


 マイネンスさんいそんな反論をした所で、鬱陶しいといった表情でジョルジョネ大尉が叫びだす。




 「あああああ、もう鬱陶しい!! リョウジ!! 君の新しい仕事が向うからやって来た。後は頼むぞ!!」




 ヘッ? もう、なんか投げやりな雰囲気のジョルジョネ大尉だ。しかし、相変わらずくるくる目まぐるしく彼女というか人格? それが入れ替わってジョルジョネ大尉に引っ付いたり離れて悪態をついたりしている。すると、またもや斜面の上の方向から誰かを呼ぶ声がして、先程と同じような土煙がこちらに向ってくる。


 土煙が収まると、陸ハトゥーを研究に来たという人達に付き添って来たあのばあ様の介助をしていた魔女っと同じ服装をした少女がくるくる人格が変わる彼女の横に立っていた。




 「お師匠様~。もう、探しましたよ~。ほら、相手を待たす訳には行かないですから、あの馬車に乗ってゴルムディアに行きましょ~よ!! はやく~」




 『てめえは、俺の弟子じゃねぇって、いってんだろ!!


 さっさと消えやがれ!!


 そうしないとさっきみたいにあの海まで吹飛ばしてやんぞ!!』




 「え~、そんな事言っていいのですか?


 私は国王陛下からお師匠様をゴルムディアに連れて行けと命令されているのですよ?


 それに国王陛下の命令はお師匠様も受けていますよね?


 特に悪いお師匠様の方も?!」




 『チッ』




 「あらあら~、ボフボーニャさんもなかなかデウシーを扱う事に慣れてきたわね。すねて引っ込んじゃったわよ。私はジョネと一緒に行くから貴方は帰って良いわよ?!」




 どうやら、この魔女っは目まぐるしく変わる彼女を追っかけてきたか、確保しに来た人物らしい。そんな彼女達に反論が有るのかジョルジョネ大尉は目を丸くして話し出す。




 「はあ? 何を言っているのですか。え~と、そちらの場合はペルジャーネ筆頭宮廷魔素術使いでしたよね? 貴方は国王陛下の命令を執行すべきです。それに俺らも貴方が行きたくないといっているゴルムディアに向っているのですよ?!」




 「え~、そんな話聞いていないわよ~ジョネ!! 折角懐かしい気配があってこちらに来て見れば面白い物にも会えて喜んでいたのに~。


 ねえ、ジョネ? あちらは何方? 初めて見入るのだけど」




 「あ~、今日から貴方のお話し相手になるアサガ・リョウジと言って、リョウジと呼び捨ててこき使ってくれ。こいつは俺の専属秘書だから俺の代わりだ」




 なんだか乱雑な紹介であるが、この人は筆頭宮廷魔素術使いと言ったよね。と、いう事はあのばあ様の上の人?


 それにペルジャーネさんといってもう一人はデウシーと言ったよね。二重人格?


 ‥‥‥。良く分らない。


 そんな俺はもじもじしながらもジョルジョネ大尉に紹介されたので挨彼女に拶をする。すると、彼女は俺の目の前にづかづかと近寄って来たかと思うと、俺の襟首を掴み目線を合わせといわんばかりに引張り下げられる。今、目の前で銀色だった瞳がオレンジ色に変わったのを目の前で目撃してしまう。




 『おもしれ~、ジョネ!! 気に入った!!


 これと話していいの? 黒髪だぞ、ジョネ!!


 まあ、顔はちんちくりんだがな』




 あ~、初対面でちんちくりんは無いと思うが、俺は何か彼女の圧倒的な何かに怖気付いてしまう。そんな俺に厄介払いが出来たといった風にジョルジョネ大尉は情けない事を口走るではないか。




 「あ~、だから、俺には近寄らないでね!!


 そのマイネンス医務長補佐と一緒の指揮車に乗りなさい!!


 それにそこの平宮廷魔素術使い筆頭のボフボーニャさん。上からは話を聞いているので馬車を速やかに帰し、こちらに合流して下さい。


 これは国王陛下からの命令です。今朝、私の所に来ました」




 「はあ、そうなんですか? 国王陛下のご命令とあらば仕方がないですね。あの丘の上に特急馬車を待たしているので急いで処理してきます」




 そういうと、魔女っは先程と同じように少し浮いて勢い良く斜面の上のほうに行ってしまう。そんな様子をまたもや目撃してしまった俺は思わずジョルジョネ大尉に聞いてしまう。


 「ジョルジョネ大尉!! あれは何ですか? 地面から浮いていましたよ?!


 空を飛ぶものは無いといっていましたよね?」




 「あ~、私は非常に忙しい。そこの彼女に聞いてくれ。一応は筆頭宮廷魔素術使い様であるからな!!


 俺より遥かに魔素術に詳しいし、俺なんかは彼女の足元にも及ばないからな!!」




 そんな何か冷たい物言いのジョルジョネ大尉であるが、彼の表情は少し引きつっていて、おまけに額に汗が薄っすら浮いていた。もう、一刻も早くこの場から逃げ出したいといわんばかりの表情であった。もしかしたら過去にペルジャーネさんかデウシーさんのどちらかの人格と何かあったのか?




 「あぁ、皆聞いてくれ! 落ちている魚は拾えるだけで良いぞ!! 切が無いからな!! ゴナベル奴隷長!! 皆の点呼と樽がなくなり次第切り上げさせろ。後は先程の平宮廷魔素術使い筆頭が戻ってきたら出発するぞ!!」




 「分りました!! おまえら、聞いた通りだ!! 適当にして切り上げろ!!


 こら!! そこ!! プイホン、そっちまで拾いに行くな!! 置いていくぞ?!」




 周りが騒がしくなってきたので仕方なくジョルジョネ大尉が言った様にミリクナ医務長の指揮車に乗り込む。まあ、渋々だけどね。


 でも、腕に持ちきれないほど魚を集めて、口にまで魚を咥えたプイホンさんの姿を拝めたので、それはそれで満足してしまう。久々に良い物を拝む事ができた。



 ミリクナ医務長の指揮車の中に入るとペルジャーネさんはどんと一番後ろの席に座る。簡易ベットをマイネンスさんが壁の魔技箱に仕舞うと、ペルジャーネさんの横に俺が座れと指差す。


 余り良い気分じゃないけど仕方なくそこに座ると、横に座った彼女はニコニコして俺の顔を見る瞳は銀色であった。と、いう事は今はペルジャーネさんか。


 その彼女が唐突に俺の左手を両手で握る。俺が驚いて跳ね除けようとするが何処にその力があるのか思い切り引張られてしまう。


 すると、彼女はシーッと人差し指を立てて口に当てる。仕方なく彼女の言う通り、平静を保って大人しくされるままに座る。


 こんなシーンが何処かであったような‥‥‥。デジャブ?


 「いやいや、あの筆頭宮廷魔素術使い補佐とかいうおばあさんがこんな事やっていたでしょ」と、自分から突込みが入る。


 その事を思い出して少し彼女の方に体を向けて左膝を彼女の右膝に当ててしまう。そんな些細な事はお構い無しのようで静かに俺の左手を握る彼女が徐に目蓋を開けた時にまたもや驚いてしまう。銀色であった瞳が瞳孔ごと白く濁っていたからであった。それに彼女は固まったようになってしまい微動だにしない 。



 一体何が起きたのか分らなくなってしまい、俺はおろおろして手を放そうかとした時にギョロリとオレンジの瞳になって俺に文句を言う。




 『てめぇ!! 走査している時に動くなと言ったろうが!! 黙ってそこに直れ!!』




 つい、彼女に怒られてしまうではないか。今のは確かデウシーさんであったかな‥‥‥。ややこしいな~、もう。仕方なく大人しくしていると、またもや瞳孔まで白く濁ってしまい、どちらの人格か分らなくなってしまう。


 嗚呼、そうか。今はどちらの人格でもないのか。そう考えた所で疑問が沸いてくる。二重人格って確か、一つの人格に対して別人格が現れる事だよね?


 それに別人格の時にはもう一つの人格にはその記憶が伝達されなくて別人格が何をやっていたのか分らないはずでは? ‥‥‥。分らない。



 ひょっとして肉体一つにそれぞれ独立した人格が二つ同居しているという事か?




 『ご名答!! その通りだぜ!! 良く分ったな。なかなか賢いようだな。


 分ったから後は黙って何も考えるな!!』




 忘れていた。あの時もばあ様には何か心の中を覗かれていたよね。俺は暫く彼女が話しかけてくるまで大人しく何も考える事はしなかった。どれだけ時間が経ったか分らないが指揮車にもう一人訪問して馬車が動き出した事までも気が付かなかった。



 ようやく、何かを納得したのか銀色の瞳に戻った彼女はため息を付く。




 「結構難しいわね~。これはあの補佐も分らないはずだわ。彼は私と同じ匂いがする。今はそれだけ。後は魔素術は簡単な所から教えるわ。難しいと思うけどやってみるわ」




 『おめぇも面倒な奴だな!! ペルは疲れたから寝ちまった。今度は俺が相手してやる! あいつは俺の監視をしているボフ公だ。まあ、魔素術は多少使えるが、それ以外は馬鹿だ! 俺より世間を知らねぇぜ!』




 いきなり人格が変わって、また驚いてしまう。何か兆候のようなものがあれば心の準備が出来るのだが‥‥‥。小心者なんだからね!!




 「悪い師匠、少し黙ってください。私はボフボーニャと名乗っています。本名は無いというか消したので聞いても無駄ですから。一応は平宮廷魔素術使いで一番の成績で筆頭の位を貰ってます。そちらの良い師匠の弟子にして貰って今は魔素術の修行をしている所です」




 「はあ、この前会った人といい、皆若くして頂点を極めるとはどういう事なんでしょうね? 実力があるから頂点なのは分りますが」




 「ゲッ、あいつに会ったのですかリョウジ殿? あの馬鹿、調子に乗って何かやらかしませんでしたか?」




 ああ、このは少しまともらしい。一応は俺に殿をつけてくれた。彼女はこの前の魔女っと同じ服装をしていた。金髪でショートボブ? 被っていた帽子は例の魔女っ子三角帽子でつばが馬鹿でかい黄色の目立つ色だ。


 服装はジョルジョネ大尉らと同じように赤の学ランのようで詰襟が付いているが大尉らとは違い金ボタンがついている。下は良く見えないが黒い短パン? キャロットスカート? それに白いストッキング? いや、ここにそんなものはないと思うからニーソ、ニーソックス?


 でも、ゴムは無いからどうやって留めているか分らないがキャロットスカートの中にまで伸びている。それに革製のハーフブーツを履いている。それらの上に羽織っているのが黄色というか、カラシ色のローブ。ああ、こっちではバーゼナというのだったかな。そんな姿であった。



 隣の彼女は至ってシンプルで上は銀色の貫頭衣のようなチャイナ服のような上着に中には麻色というかやや薄いピンク? その薄いピンクのジンベを上下身に着けている。ジンベのズボンの足首のほうは紐で絞っていてそれに革製のハーフブーツを履いている。


 それより銀色のチャイナ服の方なんだが、大きな魔素陣が何個も金刺繍されていてチャイナ服に見えるのだが何か違う。腰の所で紐で縛っていて脱いだり着たりするのは簡単そうだ。それに生地がなにか特殊なのか見たことが無いというか。今まで服装に興味が無かったので、分らないというのが正解かもしれない。


 頭は肩まである金髪で天パのようなくせっ毛で、その頭には帽子が嫌いなのかそれらの上に羽織っている草色のローブ、バーゼナのみで何かある時には後ろのフード部分の生地を引張って頭を覆うのかもしれない。彼女はそんな姿であった。



 座っているのでどちらとも良く分らないがそんな姿だが、俺がじろじろ見ていたように二人の魔素術使いの女性も俺を観察していたようだ。




 『おい、この髪は全部本物か? すげ~、初めて黒髪なんて見たぜ! 本当に真っ黒だな!


 それにしては顔が平らだな! おっ、眉毛も真っ黒か! へ~‥‥‥。


 おい、ボフ公! お前もこっちに来て見てみろ! 珍しいぞ!』




 「悪い師匠、少し黙ってください。リョウジ殿が困っていますよ?


 ‥‥‥。どれどれ~」




 「って、結局お前も触るのかよ!!」と、突っ込みたいが余程この黒髪が珍しいいのか御互い触ってじっくり観察されてしまう。いい加減ウザクなってくるがここは我慢だ。なんだか俺に魔素術の使い方を教えてくれるようなので彼女達の機嫌を損なうのはまずい。


 そんな事を思っていると、呆れたような感じに前の席に座っていたマイネンスさんが振り返って話し出す。




 「おいおい、デウシーより目面しいものはそんないないよ。私が思うにお前もそう対した代わらないよ」




 『うるせ~! 藪医者! あんたは嫌いだ!』




 マイネンスさん茶化されたデウシーさんはそういって先程と同じように瞳と瞳孔ごと白く濁って動きが止まった人形の状態になってしまう。




 「あらあら、両方とも閉じこもってしまったか。今は両方とも裏に引きこもっているのだよ、リョウジ。この状態がそうだから覚えておきなさいね」




 「はあ、この状態では俺。あっ、私の話している事は聞えているのですか?」




 「嗚呼、きちんと聞えているわよ。だから悪口言ったら後で仕返しされちゃうよ!」




 この人の仕返しなんか目も当てられないよね?


 あの竜巻を打ち消したように遥か彼方まで飛ばされそう。そう考えると背筋が寒くなってくる俺であった。





 後編へつづく

次話は2/9の日曜日の昼頃に投稿する予定です。

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