<閑話2-1> 「王子と救国の勇者 (前編)」
最新の本文修正日は2014年12月4日です。
物語は唐突に始まる。
追いかけられるアウタルス王子と衛士ゾンディウムは森の中を馬に跨りながら駆け抜ける。
☆ ☆ ☆
「大尉? いきなり始まって、俺には分らないのですが‥‥‥」
俺はジョルジョネ大尉に進められた本を読んで、大尉に文句を言っていた。何時もの仕事後の質問時間が終わって、俺が書いた本を読んでみてくれとジョルジョネ大尉から渡されたからだ。
題名は「王子と救国の勇者」という。なんか上中下の三部作の内の中巻らしい。上巻は無いのかと聞いてみると「前に君に話したじゃないか」と、言われてしまい困惑してしまう。
次第に消された記憶の一部じゃなかったと思い出す。上巻の話が気になるが読んでいるうちに思い出すかもしれない。それに分厚いものじゃないし挿絵が所々に書いてあって文字も大きい、どうやら絵本の原稿のようだ。
その絵本の原稿のような本を時を忘れて読む俺であった。
☆ ☆ ☆
何故アウタルス王子と衛士ゾンディウムは追われていたのかは時を遡る。
王子は王族の習慣で15歳で成人を迎えて、王国内を視察する為の旅に出る所から始まる。旅に出て直ぐに兄の第一王子からの刺客に襲われるが、アウタルス王子の機転でその追っ手を撒く事に成功する。
しかし、その追っ手を撒いたと思われていたが大森林の手前でそれが無駄であったと思い知る。何処でどう嗅ぎつけたのか分らないが、大森林の手前で追っ手の刺客達に待ち伏せを食らったようだと、それに気付いた衛士ゾンディウムであった。
その大森林に向うこの道を三ヶ月程行けばゾンディウムの父親である森人の集落に着けるはずであった。しかし、怪しげな集団が大森林の入り口付近で野営の焚き火のお陰でいち早くゾンディウムは気付く事が出来る。
彼は念の為に大森林の入り口付近の様子を覗く為、腹ばいになりながら草叢に身を隠し辺りの様子を窺う。
辺りの様子を窺っていたゾンディウムは焚き火の周りにいる数人の他に、その数人を囲むように身を隠している人物や森の入り口の付近に身を隠す人物達を発見する。
全部で20人程居るではないかとゾンディウムは舌打ちしてしまう。「さすがに王子を守って1対20では部が悪すぎる」と、内心呟く彼は静かにその場を腹ばいで後ずさる。そして、腰を落としながらその場を離れると、アウタルス王子が待っている場所まで周りに気付かれないように疾走する。
「どうだった、ゾンディ?」
「はい、王子。多分奴らは私の出生を知ってここで待ち伏せしたのだと思います。多分他の道も押さえられていると思います。それに木を切らなければ森人も手を出さないと思っているのでしょう」
「そうか、じゃあ援軍でも呼ぼうか?」
「はあ? 王子、何を言っているのですか? この大陸に王子の味方は私だけですよ?」
「それは分っているけど‥‥‥。
彼らはどう見ても王都の殺し屋じゃないの?」
「それはそうですが‥‥‥。見た事がある人物が焚き火に照らされていましたから間違いないと思います。多分やつらは近衛崩れか、衛士崩れですよ。それにきっと、罠が待ち構えていると思います。
森の入り口に態々焚き火して待ち伏せしているのがその証拠です。見つけてくれと言っているよなものです。多分森の中にも別働隊がいると思われます。
暢気に道を通り抜けようとすると入り口の奴らは多分素通りさせてくれるはずです。そして、逃げ道を塞いでおいてから、森の中にいる別働隊と挟み撃ちにという算段のはずです。
問題はどれだけの人数が森の中に入っているかですが、それを確かめるにはあの道を行くか森の中を通り抜けるしかありません。そうすると森人と遭遇する確立が上がって厄介な事になりかねませんよ?」
「それでいいのでは?
だって親父さんに会いに行くのだから、早い方が良いよね?
それとも森の中で森人と出会うと何かまずい事があるのかな?
君の親父さんにゾンディだと証明するような物はあるよね?」
「はあ、無くはないですけど、私は氏族名は与えられていませんからね。果たして分ってもらえるかどうか」
「ああ、やっぱり森の中を派手に動き回っていこうよ。きっと奴らが気が付いて探しに来るよ。その後は分るよね、ゾンディ?」
「はあ、森人と衝突させる気ですね。でもそんな事すると禍根が残りますよ」
「大森林で行方不明になる事なんか少ない事ではないよ。待ち伏せしている奴らが無事だと良いけどね。大人数で森に入って占拠していたら、嫌でも森人に見つかるよ。だから見つかり易いように少し騒動を起せば、近くの森人が駆けつけて直ぐ事が収まると思うけどな~。」
ゾンディウムは我が主君ながら恐ろしい事を考えると思っていた。
「目的の為なら手段を選ばない冷徹さもあるが、自分に対しての配慮も忘れない。その難しい判断を意図も簡単に出す」
改めて主人のこういった一面を見て驚くゾンディウムであった。
「後は、援軍である森人がどういう間隔で森を巡回しているかだが‥‥‥。そういえば、森人ってさ、夜もあんまり寝ないよね?」
「はあ、そうです。寝ても精々一つ時ぐらいですよ?
それに夜は夜行性の獲物が活動するので、狩りは夜が多いです」
「じゃあ、森を行こう。奴らが網を張っている外を抜けて、やつらが俺達を追って森の奥に行くようにしよう」
「王子?! そちらは奴等が居ますよ?」
「仕様がないな~、作戦を教えるから耳を貸して、ゾンディ」
そういって、アウタルス王子はゾンディウムに耳打ちする。その彼は納得したしたような、しないような表情をして首を傾げながら森に入って行く。
ゾンディウムは王子の事が心配であったが、王子の作戦通りに事を運ぶ必要があると自分に言い聞かせる。
そんなゾンディウムとは対照的に当の王子は刺客が集まる野営地の方にゆっくり近付いて行くのであった。
□ □ □
一方、大森林に続く道の脇で野営をしている集団は交代で周囲を警戒している人員が配置されていた。今いるのは焚き火の周りに連絡番で一人しか居ないようだ。しかし、その連絡番を守るように草叢に隠れる人陰が見える。
更には森の入り口付近にも隠れて様子を窺う人影があり、今か今かとアウタルス王子達が来るのを待ち構えている。その中の頭目であるガイセウスはある人物からこの仕事内容を請け負った内の一人であった。
今回の報酬はやけに気前が良かったとそのガイセウスは少し前の事を思い出していた。
「傭兵だけでは食ってはいけない世知辛い世の中である。王都に偶々奴隷を運ぶ仕事が一段落して酒場で一杯引っ掛けていた時であった。
ある高貴な方の仕事で金払いが良い仕事があると言われた俺は、最初は訝しんだが話を聞くだけで金貨1枚も出してくれた。その内、仲間を集めれば一人頭金貨1枚も出すというではないか。
俺には前金で金貨5枚、仕事終了時に金貨10枚もくれるというのでついその話に乗ってしまった。しかし、いざその相手を襲ったのはいいが、馬車の中にいた人物は違うと同行した依頼人の代理人とかいっていた奴はこの俺に教えてくれた。
まあ、楽な仕事ではないと思ったが、その代理人は難なく次の移動先を探ってきた。そこで今の大森林前の森の入り口付近に網を張っているのだが、中々相手は現れない。もうここで3日程になる。
俺が代理人に他の道を行ったのではないかと尋ねたが、他の場所にも俺らと同じような人員を配置しているといっていた為、仕方なくここで網を張っていた。
3日も経つとどうしても緊張の糸が切れて、集中力が落ちてくる。そういえば、目的の人物は2人で一人は少年でもう一人は手練で、剣術が出来る奴と言っていた」
そんな少し前の事を思い出していたガイセウスは周囲を見回し考える。
「態と焚き火の前には一人しか置いていない。それにひっかるとは思っていないがしないよりはましだと考えて、森の入り口で待っているが‥‥‥。ひょっとして昼間に抜けるつもりなのか?
それに森の中は昼間ならまだしも夜の真っ暗な中を抜けるのは不可能に近いし、魔獣も出るといわれている。そんな中を森人族なんかに鉢合わせしたら、ただでは済むまい。
その事に付いては代理人から言われなくても傭兵連中は皆解っている。あれに出くわしたら尻尾を巻いて逃げろとも言っているから心配ないだろう。森人の機嫌を損ねて無事にいた者の話は聞かない」
ガイセウスがそんな事を考えていると、彼の視線の先にあるものが入ってくる。それは森の中に松明かなんかの明かりが見えたのだ。その明かりが見えたかと思うと同時に仲間の声まで聞いいてしまう彼であった。思わず彼は舌打ちして「何処の馬鹿が森の中で松明を焚いたのか」と、言葉を吐き捨てる。
すると、何処かで「手配者が森の中に居るぞ!!」と、いう声をガイセウスは聞いてしまう。その声の聞えた方向に視線を移す彼は、その声に隠れていた仲間がまた駆け出して馬に跨ってしまう状況を見てしまう。
「まあ、確かに逸る気持ちがあったのかもしれない」とガイセウスは自分も馬に跨り考える。
「もう少し早くこんな事があればもっと慎重になって、様子を窺っていたと思う。しかし、包囲の一角が崩れてしまっては仕様がない」
彼がそんな事を考えていると、仲間の何人かが馬に跨って森の中に続く道を駆けて行ってしまう。
ガイセウスは仕方なく合図の笛を吹く。
「これで森の中の連中の耳に聞えているはずだ」
そんな事を呟いたガイセウスは馬の手綱を引いて、先走った仲間を馬に跨りながら追いかける。結局、集まったのは18頭に跨った傭兵達であった。若干細長くなった隊列であったが明かりの元に馬を駆る彼であった。彼は野営地の焚き火の所に万が一を考えて2人ほど残していた。
ガイセウスがようやく先頭に追いつき、視線に松明がはっきりと見えてくる。彼の目にはどうやら松明を焚いて馬に跨り駆けている様に映っていた。松明の高さがそれぐらいの高さにあって、凄い速さで動いていたからであった。
もう少し行けば待ち伏せしている代理人が率いる連中がいるはずだと、思った彼は「代理人共が今頃手薬煉引いて待っているだろう」と呟く。
そう思っていた彼であったが、彼の視線からふっと松明の明かりが消えてしまう。彼は馬の速度を落として用心しながら近付いて行くと、待ち伏せしていた仲間も彼と同じ様に松明を目撃して集まったようで、その集団と鉢合わせになり慌てて彼は合い言葉を吐く。
お互いの合言葉を言い合って初めて味方と認識されたようだ。しかし、声を掛け合う仲間の声に御互い松明を持っていたと思われる人物や馬は見ていないと彼の耳に聞えてくる。
彼は一体どういう事なのか分らなくなり代理人に尋ねる。しかし、代理人もどういう事なのか分らないと返答してくるだけであった。そんな状況に彼を含め皆が不振に思っていると、野営地からと思われる方向から松明を持って馬に跨り駆けて来る人物が大声で叫びながら近付いてくる。
「大変ですお頭!! 食料と天幕や装備が燃やされています。相棒は今戦っています応援を頼みます!!」
その言葉に皆がいきり立ち、その者の松明を奪って考え無しに野営地の方向に走り出してしまう。代理人や別働隊の仲間も釣られて馬を駆る。疲れの山場で誰も疑う事はしなかった。
しかし、ガイセウスは違った。「あの箱馬車の時もそうでなかったか」と、皆に流されずに一人残っていたのであった。彼は「ここでもしかしたら奴らがこの道を走りぬける」と、考えていた。
彼が野営地に向って行く皆の様子を眺めていると、ふと人の気配がして横に振り向く。すると、他の仲間達と違って一人だけここに残っているようで、自分と同じように周りを見ている人物を彼は発見してしまう。
彼は「自分と同じように考えたらしい」と、その時は思っていた。しかし、暗い中も薄っすらと見える姿かたちや服装に「そういえばこんな奴居たかな?」と不審に思ってしまうガイセウスであった。その彼は首を傾げながら、真っ暗闇の中でも暗闇になれた目でその人物を確認する。
「おい、お前。名はなんと言う?」
「やだな~、偶に勘が鋭い人族っているよね~」
その人物がそんな事を言ったかと思うと、ガイセウスの後頭部に急に衝撃が走る。そして、彼は馬から落馬して気を失ってしまうのであった。
□ □ □
ガイセウスが気を失って代わりに馬に跨ったのはゾンディウムであった。
「ゾンディ、さすがだね~。俺ではこう上手くいかないよ。じゃあ、夜目が効く君の先導で急ごう。多分、この騒動で森人も近寄ってくるよ。俺らの目の前に現れるかもね」
「はあ、こんな簡単に上手くいくとは思っていませんでしたよ。まあ、こいつは気が付いたようですが止めを刺しますか?」
「そんな事より茂みに放り込んで馬を奪っていこうよ。そろそろ騙されたのを気が付いて追ってくるよ?」
そういってンディウムは倒れた男を縛って猿轡をする。そして、茂みに隠すと換わりに乗ってきた馬を連れてくる。急いでそれに跨りたがり、奪った馬と王子の馬の手綱を縛りゾンディウムが先導して手綱を頼りに王子は後に着いて行く。
少し早走りだがこの暗闇なのにゾンディウムは昼間の如く馬を駆って行く。時折後ろを振り向く彼の視線に、次第に多数の松明が右往左往してこちらの方を追いかけてくる様子が見て取れた。その様子をアウタルス王子も見ていた様で、王子はその様子がおかしくて腹を抱えて笑い出だす。
「やっと気が付いたようだよ~。まさか松明だけが道を飛んでいたとは思っていなかったようだね~。こんな簡単な陽動に引っかかるなんて、兄様も大した部下を持っていないようだね。『アウメネエ』が言っていたように早くに王国に危機が来るかもしれない。あんな無能な兄様の下で、たかが私一人も捕まえられないようだとそうなる‥‥‥。
後は森人が現れてくれると、言い訳しやすいのだけどね」
後半は何を言っていたのか聞えなかったゾンディウムであったが、森人と出会った王子がどんな事を話すのか興味が沸いてきて思わず聞き耳を立ててしまう。
すると、後ろを振り返ったゾンディウムの視線に、後ろの追っ手が無我夢中で松明を持って追いかけてくる景色が見て取れた。彼が慌てて馬の速度を上げると、王子は驚いたようにカラカラと笑う。
暫く馬を駆っていたゾンディウムだが「どうやら王子の目的のものが到着したらしい」呟いてしまう。
彼はそれを確認すると馬を下りて、父親から教えられた森人の挨拶をする。左手を胸に当てて敵意がないように示して次に言葉で話す。
「森に調和を敵には死を。我々は森に調和を求める者です。敵意はありません。後ろの集団は知りませんが‥‥‥」
「ふん、人族の癖に我々の挨拶を知っているのか! しかし、ここは大森林!!
人族が足を踏み入れる場所ではないぞ!! 早々に立去るがよい!!
それに後ろの奴らはその挨拶に免じて追い払ってやろう!!」
「ありがとうございます。私はここに足を踏み入れる身分ではないのですが我が父にどうしても会いたくなりまして。その、母の遺品を渡したくてどうかここを通してくれる事をお許しください」
「ふむ、父だと? 氏族名はなんという?」
「はあ、幼き日に教えられたので確かではないのですが、それに私には氏族名を許されなかったのでここで話してもよろしいのでしょうか?」
「うむ、そうか。では数日の滞在を許そう。あやつらは排除してしまっても構わないかね? おぬしらがここを出て行く時に待ち伏せをすると思うが」
その言葉にゾンディウムが返事に困っていると、主人であるアウタルス王子が口を開く。
「私達はこの森を血で汚す為に来た訳では有りません。それに無駄な血を流しても御互い寝覚めが悪いと思いませんか?」
その後半のふざけた態度で話した王子を見てゾンディウムは冷や汗をかいていた。しかし、姿を現した森人の男は高笑いをして話し出しす。
「はっ!! 気に入った。無駄な血は流したくないか。その言葉を信じよう。それで、そなたは何を望む?」
「いえ、私は友達のゾンディウムに付き合っただけですよ。それに、森人と呼ばれている人達が本当に恐ろしい人達なのか確かめに来ました。貴方の、その態度を見て安心しました。なんか仲良くやっていけそうで、なかなか冗談が分って貰える人達なんですね」
「そうか、先ずはこの先の集落に案内しよう。そして、集落の長老にそなた、ゾンディウムと言ったか。その父親の名を言うがよい。では、付いて来て貰おう」
姿を表した森人はそういって道を先導する。王子は馬の手綱を取りその手綱をゾンディウムが引く。手綱を挽いた彼が後ろを振り向くとさっきまでの統制が取れていた松明の灯りが動き出して、右往左往したかと思うと突然灯りが全て消えてしまう。穏便にかは分らないが追い払ってくれたようであったとゾンディウムは胸を撫で下ろす。
王子達は暫く歩いたがどれだけ歩いたかは分らない。
次第に空の方が薄っすらと明るくなりだした頃に、大木の木々の下に藁葺きの集落が見えてくる。王子達を先導した森人に馬を集落の側に繋ぐ様にいわれて、立ち木に手綱を結ぶゾンディウムは周りを見回し警戒をする。
そんな事をお構い無しでアウタルス王子はづかづかと集落に入って行く。その様子に慌てて後を付いて行くゾンディウムはここが父の育った場所かと感無量になって涙を流してしまう。彼はもう少しで父親に会えるのかと思うと自然に涙が出てきたようであった。
王子達が集落の奥に足を進めると、一軒の藁葺き屋根の建物の中に案内される。建物の中に皆が入ると、王子達を案内した森人は年老いた長老らしい老人の後ろに立って腕組をする。
それを見てゾンディウムは跪く、そして、先程した挨拶を長老にやってみせる。
「ほう、お前の父親はなかなか教育が行き届いていたようだ。それで、父親の名はなんという?」
「はい、幼少の頃に一度聞いただけなのですが、確かエルソレだかエルソルだった気がします。確か30年ほど前に私の母と知り合ったといっていましたが」
「今、なんと言った? ‥‥‥。その名前はもしかして、イルソルではないか?」
頷くゾンディウムを見た長老は最初穏やかであったが驚いて声を荒げる。
「イルソルだと!? それは守護氏族に名を連ねる者の氏族名じゃぞ!!
そして、そなたの父の名は?」
「はあ、ゾングラムといいます」
「そうか。では、ワシでは分らない。ここから馬で三ヶ月程奥地に行くと聖地の近くにイルソルの集落があるはずじゃ。そこに行けば行方が分るはずだが‥‥‥」
そういって黙り込む長老は腕を組んで更に考えこむ。
「じゃが、おぬしらだけではたどり着けるかどうか‥‥‥。馬でいけるが、案内がいるな」
「私が案内しますよ。その奥の人族を私は気に入りましたから、ついでにそこの半人も連れて行きましょう」
そういったのは王子達をこの集落に案内した森人であった。ゾンディウムはその森人を見る。暗がりでは歳は分らなかったが、建物の中の焚き火に照らされた顔は青年というにはちょっと歳をとった中年とはいえない姿でガッシリとした体格をした森人であった。背中には立派な長剣を背負い腰には4本の片手剣を挿している。鎧には細長い棒状の金属が無数に指してある姿であった。
「ああ、そうか。名前を言っていなかったな。俺の名前はイナゲヘア・ランドウフムだ。本来は20氏族様にお目通りが出来る身分ではないが、良かろうよ長老? イルソルの血の繋がりを持つ者を案内するのだから」
「仕方があるまい! じゃあ、道中気をつけていけよ!」
そうして大森林の奥地へと進むアウタルス王子と衛士ゾンディウム、それに道案内をしてくれる森人のランドウフムであった。
次話へつづく
次話は来年の1/4土曜日の昼頃に予約投稿する予定です。




