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奴隷から始まる異世界旅行記  作者: 三之山勝
《 第2章 年季奴隷が前進すると地雷踏む 》
57/229

<2-25> 「増える年季奴隷  (後編)」

最新の本文修正日は2014年12月3日です。

 酒盛りの後、記憶が無くなり指揮車の中で目を覚ました俺ですが、中途半端な時間に目を覚ました為に野営地内を徘徊して、またもやクワビムさんに追っかけられる。


 しかし、その後の騒動でクワビムさんとの距離がなんだか少し縮まった感じがして嬉しくなる。



 早朝の訓練では新たに合流した年季奴隷達との行軍訓練を見ることが出来た。その後のジョルジョネ大尉の挨拶で、俺は久しぶりに建築現場の朝礼の雰囲気を味わう事が出来る。


 しかし、余りにも久々だった為100名以上の男共の衆目に耐える事が出来ず緊張してしまい、自己紹介で何を言ったか記憶になくなる始末であった。「あれって、毎日やらないと駄目だよね?」と、思う俺であった。






 指揮車の中で俺の家族の事を聞いてきたジョルジョネ大尉であったが、いつの間にか政治体制の話になり考え込む大尉を見て俺は反省してしまう。


 そんな大尉を見て、俺は話をはぐらかそうとして違う話に持っていく為に必死に考える。ふと、ある事が思い浮かんでその事を聞く事にする。


 「話は変わりますが、結局何名が合流したのですか? マイネンス医務長補佐とユロジェン少尉は分っていますが、後は年季奴隷の方々ですよね?」




 「へっ? あ、ああ、そうだ。年季奴隷は三十名、医務官一名、尉官一名、後は護衛分隊の入れ替えと、増員で結局十二名が十八名かな。馬車は二頭立て式荷馬車二台かな。後は騎馬が六頭、あれ八頭だったかな?。ちょっと待ってくれ‥‥‥」




 そういって後部座席に行ってがさごそと、羊皮紙を漁って目的の羊皮紙を持って来る。それを俺に見せてくれた。


 表を見ていくと順番に書いてある。




一、二頭立て式特別仕様指揮用馬車乙型  二台 定員各 八名、 小計 七名


二、二頭立て式特別仕様荷馬車甲型     六台 定員各十五名、小計九十名


三、二頭立て式特別仕様荷馬車乙型     一台 定員各十五名、小計十五名


四、二頭立て式特別仕様荷馬車丙型      二台 定員各 八名、小計十六名


五、二頭立て式料理荷馬車乙型         一台 定員各 三名、小計  三名


六、二頭立て式工作荷馬車乙型         一台 定員各 三名、小計  三名


七、軍用騎馬                   十一頭           小計十一名 


八、軍用特殊騎馬                  三頭           小計  三名 


九、分乗護衛隊員                                小計  四名


十、奴隷旅団所属中隊所属員数                      合計百五二名




 こういう風に書いてある。


 152人もいるのか~、結構大所帯だよね? 


 大尉専用の御者2名以外の御者は年季奴隷の持ち回りと言っていたからこんなものか。それで気になることが出てくる。


 聖獣も騎馬になるのはいいとして、増えてるがその前に同じに馬車で定員が少ない荷馬車に目が行ってしまい思わず大尉に聞いてみる。


 「大尉? この荷馬車丙型ってなんで普通の荷馬車より人数が少ないのでしょうね? ひょっとして軍機ですか?」




 「ああ、軍機ではないが、まだ知らなくても良いだろう。その内、機会がある時に見るといい」




 そんな大尉の言葉に首をかしげながらも考える。多分、この前の馬車町で気になった馬車の事かな? あの二台は普通の荷馬車と違っていたし、多分あれであろう。


 「あ、でも、俺にこれを見せても良かったのですか? 軍機ですよね?」




 「これぐらいを見せてもどうって事は無い。君が見せてくれといえば合流前にも見せてやったぞ? 君は興味なかったようで聞かなかったよね?」




 大尉は呆れた顔をして腕を組む‥‥‥。そういえばそうだ。まあ、今更感があったが、奴隷旅団所属中隊の全容がやっと分ったからいいかな。


 「これだけ人が居ると日々の食料の世話だけでも大変ですよね? 物資の殆どは魔技箱で送るとしても、相当な量ですよね?」




 「その計算を君にやって貰っているではないか。必要物資や重量表などだ。あれをやって貰わないと部隊が動かなくなる。だからこれからも頼むぞ、リョウジ!!


 これから、町や村に寄って仕事をする機会が増えてくる。君はその仕事も覚えないといけないからやることが多くなる。だから、また寝込むことがないように日々の健康にも気を使ってくれ」




 「はあ、分りました。あっ、この荷馬車で十五人だけの所がありますが、これは女性年季奴隷ですよね? 食事を作る人は増えなかったのですね」




 「ああ、ギムネーヤ料理長の腕なら二百名ぐらいは朝めし前だと思うぞ。今の料理荷馬車だと魔素道具の焜炉がついているからな。


 三百年程昔だと、一々かまどを野営地に作っていたからな。あれは大変だったと思う。料理もだが薪や燃料費が馬鹿にならないからな。伐採の殆どを燃料に使っていた。


 一般住宅も薪を使っていたが魔素道具焜炉が普及すると共に煙突のある家が減って行ったそうだ」




 「えっ? じゃあ暖房も魔素道具を使っているのですか?」




 「ああ、そうだ。今は薪で暖を取るのは金持ちか、貴族ぐらいじゃないかな?


 その貴族も質素倹約が美徳とされる風潮が最近あってな。昔は豪勢な木造の屋敷を競ったっと聞いたぞ。石造りは誰でも作れるからな」




 ああ、やっぱり価値観が違う。そういえばヨーロッパも石造りが多かったけど、日本は木造が多かった。日本は地震が多かったから直ぐ立て直せる木造が便利だったはず。それ以外にも事情があるが、最近は違うか‥‥‥。建設現場見てみたい。




 「さて、今日はこのぐらいにするか。今日は馬車村に着くからな」




 そういって馬の休憩の合図を出したジョルジョネ大尉はイソイソと俺がやった計算書の束を纏め始める。


 その頃になると寝ていた彼女らも目を覚まして、欠伸をしながら何かの書類を捲っている。馬車が止まると俺は指揮車から降りて、プイホンさんの手伝いをする為に一号馬車に向う。


 しかし、いつもなら2台前に自分の馬車があるのだが、今日はその間にもう一台入っている。その馬車を横目に一番前の自分の馬車まで歩いて行くと一番前にプイホンさんがいる。


 何時ものようにプイホンさんの手伝いをして馬の水やり台を運ぶのを手伝う。そういえば馬車が2台増えたから間に一台多かったのかと思い出す。


 あっ、そういえば聖獣が増えているという事は森人族の人も増えたのか? 聞いておけばよかった。まあ、その内会えるか‥‥‥。獣僕は猫系がいいな。



 そんな事を考えるが、今はプイホンさんの魔素術の見学をする。今日もいとも簡単に水を出している。あまり、じ~っと見ていた為、プイホンさんは慌てて自分の肉球を隠す。いやいや、その肉球も可愛いけど目的はそれではないですと、思わず言葉に出そうになる。


 「プイホンさん、違いますよ。貴方が見事に水を出すのでそれを観察していただけですよ」




 「そうなのか?! おいら兄ちゃんのが出てきたかと思ったぞ!」




 その肉球も目当てですがとは言えない、さすが感が鋭いプイホンさんだ。そんなやり取りの後、出発の合図がしたので水やり台を仕舞い馬車の荷台に乗る。荷台の自分の席に座る前にパンを一気に食べ水を飲む。


 パンを飲み込んだ後、次の馬車村にはどんな所かと考え外を見る。ふと、プイホンさんが気になり、横を見ると俺があげた紙に真っ黒になるぐらい文字を書いて練習をしているではないか。頑張り屋さんのプイホンさんは紙の裏にも小さく文字を書いている。


 「プイホンさん紙はまだありますよ。そんなに真っ黒に書いてもわからなくなるでしょ? そうだ、ついでに計算の問題でもやってみる?」




 「へっ? おいらに算術を教えてくれるのかい?」




 「うん、数字は読めるよね? 因みに九九はまだだよね?」




 「うん、数字は読めるよ! 九九も練習しているよ!!」




 「へぇ~。じゃあ、一日五問位からやってみる? 開いた所は文字の練習をすれば良い」




 「うん」と、言って目を輝かせるプイホンさんは俺を尊敬の目で見ているのだろうか? それは分らないが一先ず道具袋から陰干しした方の紙を出す。若干夜露に濡れた為波打っていたが、書けない事は無い。


 そこに簡単な一桁から2桁の足し算と引き算、最後に九九を書く。一応、プイホンさんが読めるか確認してみると理解できるようなのでこの翻訳首輪に感謝する。


 それで、最初に解き方の例を書いておく。小学校で習った縦計算でやるように解く物だとプイホンさんに教えておけば桁数が増えても理解出切ると思ったからだ。



 その下に新たな問題を書いてプイホンさんに渡す。彼が九九をマスターしたら割り算に挑戦したいと思う。はっきり言ってこちらの算術の教え方が分らなかったから小学校で習った俺流で良いだろう。5年も一緒にこれから過ごすのだから。



 書いたものを渡して、最初に説明する。プイホンさんはなんで横に書いたものを縦にするのか不思議がっていたが、こういうものだと教え込む。


 その方が桁の考え方が分りやすいって言うか、俺が習ったのはこの方法だからだったとはいえない。


 どうせ、九九は勇者が教えたのだから計算方法ぐらい俺流で良いだろう。算盤も教えて良いのだが、彼の指ではちょっとやりにくいかもしれない。指に生えた毛が算盤の珠に引っかかって弾きにくそうだからだ。


 それに一気に何でも教えても多分プイホンさんは嫌いになるかもしれない。徐々に、少ない問題を解かせて習慣にさせれば、自然に二桁の暗算ぐらいできるかもしれない。


 プイホンさんはこの他にも仕事を覚えないといけないしね。我ながら良い考えだと思う。計算が出来るネコさんですよ?! 俺が仕込みましたって将来は自慢しよ~。



 そんな計画を胸に秘めて彼に計算の仕方をゆっくり教えていく。まだ、考えながら指で計算しているが、その内そんな事をしなくても計算が出来ると気が付く事を待とう。


 二桁の計算はまだ早かったのか一生懸命考えている。まだ村には着かないし、明日の俺の仕事が終わってから答えを教えるといって、ゆっくり考える時間をプイホンさんに与える。


 そんな事をしていたので、あっという間に馬車村に着いてしまう。計算の他にも文字の練習をするので新たに紙を5枚ほど渡す。それにエンピッツをもう一本渡す。すると、プイホンさんはなんだか申し訳ないような顔をして話し出す。




 「なんかおいら貰ってばかりだよ。いいのか? こんなに貰って?」




 「何を言っているのですか? プイホンさんは俺に仕事や色々な事を教えてくれたじゃないですか。それに、プイをご馳走してくれるじゃないですか?


 お互い様ですよ。俺はこんな事でプイホンさんに恩返しするしか出来ないですよ」


 そういうと、理解してくれたのか。頷いて紙とエンピッツを貰ってくれる。「ああ、後は思いっきりモフモフさせてくれるだけで良いのですが!!」と、は言えなかった。まだその時じゃないと自分に言い聞かせる。



 道具袋と着替え、それに洗濯物を持って馬車を降りる。皆も同じようなものを持って降りるのだが、30人程増えただけで建物に入る時間が掛かるとは思っていなかった。


 部屋に入ってみると、何時もの感じの部屋で3段ベット上に自分の私物を置く。すぐ着替えを持って急いで風呂に入りに行く。


 俺は焦っていた。確か今日はウドンを作ってくれるという日だ。最悪人数が増えてギムネーヤ料理長が作る暇が無い場合は自分で何が何でも作って今日はウドンを食ってやると思っていた。


 そういう事なのでプイホンさんのアワアワタイムの事などすっかり忘れてしまい浴室に入る。急いで体を洗い湯船につかると、カラスの行水宜しく慌てて着替え洗濯物を袋につめて、フロントに預ける。手続きをして出来上がりを確認すると、朝食までには部屋に届けてくれると確認が取れた。



 後は食堂に行って、ウドンだけである。食堂は結構混んでいて、彼女らの様子をチラ見しながら確認する。すると、まだ粉のままで練ってはいなさそうであった。


 俺はこっそり厨房の隅に置いてあった材料一式を食堂の端に運んで粉を練り始める。比率を思い出して容器を拝借する。


 容器の比率で塩を水に溶かして粉に混ぜる。やり方はこの間の紙に書いてあったので、既にマスターしたと自分では思っていた。


 嗚呼、粉を練るというのは凄く疲れるよね~‥‥‥。練り始めてから後悔する俺であった。多分一時間以上格闘したと思う。自分の体重を掛けて手の平で押していく。


 何処かで聞いた事があるが本来ならば厚手のビニール袋に入れて体重を掛けて踏むらしいという事を思い出す。しかし、ここは異世界、そんな物は無い。


 だまが無くなるまで練り上げると腱鞘炎になるかと思った。後は書かれた紙の内容では少し寝かせて、平らに広げきるだけである。はあ、待遠しい。ついうろうろしてしまい、落ち着きが無くて若干周囲から白い目で見られてしまう。



 厨房は相変わらず急がしそうで、汁を作ろうかと思った俺は躊躇する。仕方がないので、まるめた生地を器に入れてお盆で蓋をしたものをじっと眺めて待つ事にする。


 どれだけ時間が経ったか分らないが、徐々に食堂が空いて来る。俺のお腹もそろそろ限界だ。お盆を取って生地を摘む。これで良いかは分らないが待ちきれないので生地を伸ばしてみる。


 麺棒のような物は厨房の壁に掛けてあった物を拝借してきた。綺麗な白い棒だったから大丈夫よね? もうそんなことは言ってられなかった。


 生地を伸ばしたら多分プロは四角く伸ばすのだろうと思うが、俺は素人、そんな器用なことは出来ない。ある程度伸ばして、折りたたむ。


 それに自分の小刀を持っ来る。この小刀は何でも良く切れて、いう事無しの業物だ。水で洗ってから木の板を当てて生地を切る。


 まあ多少はばらばらだがそれはしょうがない。結局、5人前位の量になってしまう。それをお盆に載せて厨房に行くとギムネーヤ料理長がニヤニヤしながらお湯を炊いていてくれた。


 そして、俺の切ったウドンを見て、「ふ~ん」と、言ってお湯の横の鍋を指差す。横を見ると黒い汁が暖めてあるではないか。匂いを嗅ぐと鰹節の匂いがして食欲をそそる。



 本来ならば薬味なんかも欲しいのだが贅沢は言っていられない。早速ウドンを茹でる。もうお盆のウドンを全部投入してしまう。茹で上がりを見ながら鍋を見る。入れたうどんが鍋の水中を宙返りしていて美味そうに見える。


 それを菜箸みたいなもので掴み触っては鍋に戻し‥‥‥。あ~、傍から見たら少し落ち着けと突込みが入りそうだ。やっと良い感じだと自分では思って、ざるのような物で鍋の中のウドンを取り出す。


 そこで迷いが生じてしまう。水で洗うかそのまま釜揚げで頂くかである。こんな所で迷ってしまい、本当にあほな俺だが一刻も早く食したいので調理台に出してあったどんぶりのような陶器の器にウドンを入れていく。



 お玉のような道具で先程の汁をウドンが入ったうつわに入れる。ようやくウドンにありつく俺は周りの衆目に気が付き顔が赤くなる。女性陣が呆れた表情で俺の仕草を見ていたからだ。


 俺は自分の分を調理代に置いて、残りの器に汁を入れる。そして、最初にギムネーヤ料理長に勧める。あとは皆さんで試食してくださいと言って、やっと自分の分を食べ始める。お世辞にも店で出せる物とはいえないがそれなりに歯ごたえがあって上手かった。



 すると、皆さんは、結構気に入ってくれたようだった。そこで、俺は冷凍庫の事を思い出す。



 「ギムネーヤ料理長? 茹でたウドンを冷凍して、使う時に湯通しすると素早く料理に使えると思えるのですが?」



 彼女は少し考え出して腕を組む。




 「そうだね~、長くは冷凍できないけどそれなら暇を見て造り置きできるわね。ちょっとやってみるよ」




 「それならば、造り置き出来るし。なんだったら魔技箱で送れないのでしょうか?」




 「ああ、リョウジは知らないのだったわね。朝晩食べる()()

ィ《・》()()は町や村のポディラム屋で焼いたものを奴隷組合に納品して奴隷旅団所属中隊に送ってもらっていてね。そのウドンをこねてくれる所から探さないといけないから無理なんだよ。


 それと、この宿泊所は何時もは一人か二人しかいなくてね。大人数の時っていうか、奴隷旅団所属中隊が宿泊する時はこうやってあたいらが作っているからね。多分魔技箱で送って貰うのは無理だよ。南部に行けばウドンやソバを納品してくれる所は見つかると思うけどね」




 へっ? ()()()()()? なんだっけかな? ああ、思い出したパンは確かそんな変な名前だった。



 「はあ、そうなんですか。じゃあ冷凍した物の結果次第ですね~‥‥‥。じゃあ、乾燥させたウドンのような物ってないのでしょうか?」




 「ああ、あれかい。あれは駄目だよ。ウドンと同じ時間がかかって、皆に出すのには時間がかかるよ。十名や二十名ぐらいなら良いけどね。一気に百五十名分となると、時間がね~」




 「そうですか。時間の問題ですか。確かにそうですね。もっと大きな焜炉で大きな鍋で水を煮ないと百五十名分となると上手くいかないですよね?


 そうなると何時もの食事になってしまうのですね」




 「そうだね~。そうなっちまうわね」




 「凍らせたウドンだけでも送られてくれればその問題は解決しますね。と、いう事は南部に行くまでお預けか‥‥‥」


 そう考えて、残りのウドンをすする。


 「その乾燥させた物を使った料理って結構種類があるのですか?」




 「ああ、あるよ。南の寒い地方に行くと必然的に暖かい料理に混ぜたり、汁に浸したりしてね。名前も数え切れないぐらいあるよ。北の方は気温が高いからどうしても乾燥したポディラムを使う料理になっちまうね。


 うちらは冷蔵庫があるから、ある程度造り置き出来るけど。一般の家庭には無いからね。どうしてもポディラムかゴダ芋を蒸かしたものに汁物の料理になっちまうね」




 「なるほど。じゃあ冷蔵庫が普及したら料理の幅も広がりますね」


 俺がそういうと彼女は頷く。残りのウドンを平らげて、物欲しそうな顔をしていると、ギムネーヤ料理長が自分で打ったウドンを俺に見せる。


 そして、ここにいる皆の分を茹で始める。皆は順番に丼をだして、ウドンを入れて貰い、汁を入れて薬味なのか緑の野菜と肉を煮たものを乗せていく。最後に俺の分を作ってくれる。


 ああ、道理で道具や材料が身近に有った訳だ。あれは彼女が作った後の残りだったとようやく俺は理解できる。まあ、そんな事はどうでも良い、頂けるものは頂きたい。



 ありがたく頂くと、さすが料理長。歯応えがあり均一なウドンであった。肉も野菜も汁に合っていて店で出せる味であった。ウドンを2杯食べたため結構腹がきつくなる。


 俺は自分がこねた所の掃除と後片付けを始めるとカルマイネさんがご丁寧に何時もに薬を出してくれる。せめてウドンを食う前に出して欲しかったが、文句を言える俺ではない。ありがたく頂戴してお腹がこなれてくれるまで片付けと掃除をする。



 掃除をしていると、彼女達の遅い夕食は終わり、朝飯の仕込を始めるようであった。後片付けの皿洗いや、ゴダ芋の皮を剥く人、それにスープの材料をきざむ人など手際よく準備をしていた。


 結構時間が立ってしまい薬を飲み干すと、お腹がはちきれそうになる。ギムネーヤ料理長にお礼を言って食堂を去る。それにしても男性の年季奴隷も結構大変だけど、女性の年季奴隷も大変だよね。


 部屋に戻ると消灯の時間が過ぎていたのか真っ暗になっていた。手探りでベットに上がり寝床に着く。今日は良い夢が見れそうだと、満足して眠りに就く。




 朝起きると、珍しくあの変な夢は見なかった。首を傾げるが今までの夢は何であったのだろうか。まあ、うなされずに起きた事を感謝しよう。


 急いで支度をして外の広場に向う。皆さんは既に集まっていて集団での訓練をしていた。俺は端に置いてあった何時もの道具を手に取り素振りを始める。


 あ~、何時もこんな感じならこの大陸の旅も楽なのだけど。今までが波乱万丈すぎたよね? 何回死にかけたことか、当分はあんな事はいらないですよと、独り言を言う。



 訓練が終わり、道具を仕舞うのを手伝う。朝食を食べ終わると、また青汁を飲まされる。これもそろそろいらないように思えるのだが、何時まで飲めば良いのだ?


 しかし、ミリクナ医務長にそんなことをいっても許してくれないよね?


 荷物を取りに部屋に戻ると、床に俺の名前が書いてある洗濯袋が置いてあった。中に居た人達も洗濯袋を持って外に出る。なんと、プイホンさんも洗濯袋を持っているではないか。ああ、袋を肩に担いだ姿も可愛いねと心の中で囁いてしまう。あのチョッキとパンツ兼ズボン? 短パンなんかが入っていると思う。



 プイホンさんでも結構着替えているのだと変に感心してしまったが、多分ゴナベル奴隷長に着替えさせられているのだよね?


 そんな考えが浮かんでくる。俺は慌てて、自分が最後だった事に気付き、荷物を持って外に駆け出す。




 こうして、新たな一日が始まる風景を眺める俺であった。




 次話へつづく

次話は明日12/29の夕方に予約投稿します。

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