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奴隷から始まる異世界旅行記  作者: 三之山勝
《 第2章 年季奴隷が前進すると地雷踏む 》
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<2-21> 「なぜか審査員な年季奴隷  (後編)」

最新の本文修正日は2014年11月30日です。

 何か良く分らずにアミュネス少尉とユロジェン少尉の料理対決の審査員に選ばれた俺ですが、余計な事を言って後悔はしてませんよ‥‥‥。嘘です、結果次第では後悔する事になるかもです。


 しかし、そんな事よりも目の前で起きた材料に掛かっていたシーツが退かされた時、皆のどよめきの理由が分らないでいる。まったく意味が分らない。


 意味が分らない事はもう一つある。魔素道具の石臼の使い方が分らなくて手作業でおよそ30kgもの小麦を引いた為、疲れ果てて地面に寝転び女性年季奴隷に笑われた様子が夢に見た様子と重なるが何処か違うことに気付く。


 まあ、どこがと言われても困るが何となく違う気がして心のどこかに引っかかってしまう。それも二人の少尉の料理対決が始まって、次第に忘れ去ってしまう俺であった。






 料理対決の素材のベールがはがされて、皆のどよめきが沸き俺一人ぽかんとしている状況の中、アミュネス少尉とユロジェン少尉は必死になって材料を取り分けている。


 テーブル三つ分の上に乗っかっている材料はどれも見た事があるものばかりで、これと言って皆が騒ぐ物が分らない。根菜類に葉物、魚は無かったが肉の塊があるだけで‥‥‥。あっ、あれは‥‥‥。ひょっとして皆が騒いでいたのはニワ亀の事かもしれない。


 1匹を半分に割ったように捌かれている。卵や、粉ものもあった。そうか、あのニワ亀はめったに食べられないというから皆のどよめきが有ったのかもしれない。



 ふと、テーブルの端の方を見ると小さな木の樽に入った何かが視界に入る。良く見ると「ヒシオ」と「麦味噌」と書いてある様に見えたのは錯覚であろうか?


 あああああ、味噌があるよ!! と、いう事は「ヒシオ」は醤油? 


 あうあう、なんてことだ。ウドンの汁には最適なものを見つけてしまう。しかもこんな所で。後は鰹節だが‥‥‥。近くに行かないと良く分からない。対戦の後に見に行こうか?



 俺は対戦そっちのけで材料一つ一つ気になって、それでどころでは無くなってしまう。あれ? あの白い粒粒はひょっとして米か? 米なのか?


 ああ、この対戦終わったら銀シャリに卵と醤油をかけて、後は大根のような根菜に味噌入れて味噌汁作って食べてやる!! 俺は視界に入った材料の事だけが頭から離れなくなってしまう。



 もうなんか彼女達の対戦はどうでも良くなっていて、彼女達が何を作っているのかは不明である。つい、材料の所まで足を進めてしまい見入ってしまう。


 まあ、皆さんは彼女達の対戦に夢中で俺のことは視界に入っていなかったようでジョルジョネ大尉やミンハンス大尉も何も言ってこなかった。



 材料が置いてあるテーブルに着いて一つ一つ材料を確かめる。ヒシオをちょっと指に垂らして舐める。ああ、醤油の濃い奴だ。味噌は麦粒が分かる物で確かに麦味噌だった。


 こ、こ、米~と、歩みを進めると。非常に残念な事にジャポニカ米ではなく、米粒が細長いインディカ米のようである。しかし、精米はされているようで若干黄色がかっていたが気にはしない。



 思い出せー!! 俺!!


 インディカ米は確か、間違って安売りで買った事を!!


 現場に来ていた東南アジアの作業員に食べ方を聞いたじゃないか~~!


 うう、どうやったか思い出せ俺!!



 あっ、思い出した。確かご飯を炊くというよりは茹でるのが正解だったような。そうだ、茹でて芯が残るぐらいでお湯を捨てて少し蒸せば良いはず。


 しかし、インディカ米は卵賭けご飯と相性はどうなのだろうか‥‥‥。いや、この際それはどうでもいい。あとは味噌汁の具だ! 二人の少尉の対戦の事などはすっかり忘れ味噌汁の具を必死に探す。


 芋でも良いし、このたまねぎのような野菜でも良い。あっ、大根があるぞ。大根の味噌汁にしよう。あ、後はだしだ。えーと、鰹節~~‥‥‥。無かった。そこにあったのは小魚の干した物だけであった。しかし、それを煮干の代わりに出来るかもしれない。



 実家の味噌汁は煮干をミルで粉末にして使っていた事を思い出す。まあ小さく千切って入れればいいだろう。この際は贅沢はいえない。ある程度めぼしをつけて自分の席に着く。


 いよいよ終盤らしい。審査員席の上に置いてあった砂時計のようなものが4個あった物の内3個が伏せられていた。順番に立てては伏せておいて時間を計っていたらしい。残るは後一つ、という事は後30分弱であろう。


 二人は小皿にスープ? それか汁か分らないものを取って味見をしている。そして、最終的な味を決めたらしい。



 皿に5人分の汁なのか、それらしいものを入れて審査員五人のテーブルの上に置いて行く。はっきり二人のスープの色は分かれていた。アミュネス少尉は白系のスープ、ユロジェン少尉は赤茶系のスープである。それぞれ具材も違っていて、どれも匂いは美味しそうである。


 皆がスープにスプーンをつけて口に入れるのを確認してから俺も口をつける。



 アミュネス少尉のスープはまあ、あっさりしていて胃にやさしいと思う。ミンハンス大尉とその隣の料理長は美味しそうにというか、しんみりした表情になって味わって食べている。しかし、ユロジェン少尉の料理には余り手をつけようとしていない。一口食べてやめたようだ。



 逆に、こちら側のジョルジョネ大尉とギムネーヤ料理長はアミュネス少尉のスープにはまあまあねと言った表情で特に何も言っていなかったが、ユロジェン少尉のスープには舌鼓を打っていた。ああ、二つの意見に分かれてしまう。想定通り‥‥‥。でもこれは非常に困る想定だ。



 俺は必死にどちらが美味しいか考える。しかし、二つの料理の違和感を感じてしまい、念のため料理の材料をもう一度確認しに行く。そして、ある結論に達してしまい非常に困惑してしまうが、この状況を打破するにはこれしかないと思いながらミンハンス大尉から順に料理の評定していくのを待つ。




 「俺はアミュネス少尉のこの胃に優しい料理にする。実になんと言うか胃に染み渡るような料理であった」




 隣の料理長も同じような事を言っていた。そうすると勝ち誇ったような顔をしたアミュネス少尉は悔しがるユロジェン少尉を見下す表情で見る。次にジョルジョネ大尉が口を開く。




 「私はこのユロジェン少尉の腹にズシンと来る料理を押します!! あー、隣の料理長には失礼かもしれないが美味しかった」




 「あたしも、この良く煮込んだ料理は美味しかったと思うよ。ジョルジョネ大尉と同じだねー」




 そういい終わると皆の歓声がピークを迎える。次は誰を押すのか気になるようで俺が発言する頃には皆が静まり返る。


 嗚呼、非常にやりづらい。それにこれから発表する言葉に聴衆がどう反応するかが気がかりになってきて額に汗が浮かぶ。俺が少し躊躇しているとミンハンス大尉が俺を促するので仕方なく重い口をあける。


 「えー、最初に今回の料理対決の勝負内容を確認したいと思います。ミンハンス大尉は胃に優しい料理と言ったはずなので、ユロジェン少尉の料理は当てはまるか疑問です。


 それにこの短時間でこの肉がここまで柔らかくなったのにも疑問が残ります。ギムネーヤ料理長? この肉は一時も経たない時間でこんなに柔らかくなるものでしょうか?」




 「そういえばそうだね? 色々と柔らかくする方法は有るけど最低二つ時は煮ないといけないような‥‥‥」




 俺に問われたギムネーヤ料理長がそう言い終わらない内にユロジェン少尉の顔が青くなる。っと、いう事は何か不正をしていたのだろう。アミュネス少尉が勝ち誇った顔をするが彼女にも俺は意見する。



 「えー、最後にアミュネス少尉の料理の事ですが、確かに趣旨に則った通りに間違いはないのですが、あの机に乗った材料の他に使って良いのは水と調味料だったはずですよね? ミンハンス大尉」



 彼は頷く。すると、ギムネーヤ料理長が気付いたようだ。俺は構わずにその事について口を開く。



 「あー、その。このアミュネス少尉の汁物の中に入ったこの野菜のような薬のような物はなんでしょうね?」




 俺の疑問に思っていた事を言い終わってからアミュネス少尉を見ると、明らかに動揺しだすではないか。ビンゴである。彼女は薬草をつかったのである。薬草は調味料ではない。しかもあのテーブルの上には乗っかっていない物である。



 「以上の結論からこの料理対決は無効か、引き分けとするのが良いかと思いますがどうでしょうか皆さん?」



 そういうと、聴衆がどよめく。




 「なんだと?! じゃあ賭けは不成立か?」




 そんな声がちらほら聞えてくる。そんな中、心なしかニコニコしたミンハンス大尉は裁定を下す為に口を開いた。




 「それじゃー、引き分けで後日、そうだな王都で再戦だなこりゃ?! めでたしめでたし~」




 そういう様に話を纏めるつもりだったのでしょうと突っ込みたくなるが我慢する。俺はこの勝負より早く米の飯が食いたい!! そんな事を考えていた為、突然始まった観衆の声に驚いてしまう。


 いつのまにか舞台は観衆の後ろの草原の方に行ってしまい。彼女ら、アミュネス少尉とユロジェン少尉がそれぞれ長いこん棒と木刀を持って対峙しているではないか。


 ジョルジョネ大尉は頭を抱えて顔を手で覆い始める。




 「この際やってしまえ~!!」




 などと、ミンハンス大尉は聴衆に混じって野次を飛ばしているではないか。



 呆れて二人の料理長は二人でお互いの情報交換を始める。主にどんな料理があるとか、あっちの地方であれが上手かったとかそういう事である。始まった物は仕様がない。暫くそちらの方に皆の視線が向っている内に、俺は己の食欲を満たす為に動く。



 先ずは鍋を見つけて米を入れる。水瓶から水を汲んで鍋に入れるとサッと洗い、新しい水を満たして焜炉にかけて米を煮る。


 次は空の鍋に水を入れて煮干のような小魚の干し物を入れる。次に大根のような根菜をそこにあった包丁のような刃物で皮を剥いて切り刻む。俺はあまり上手くないので適当に銀杏切りにする。


 ふと、赤い物を見つけたのでついでに人参? これも銀杏切りにして入れる。焜炉のスイッチを入れ、鍋を見ながらお玉のような道具を持ってきて灰汁を取る準備をする。



 徐に卵を持ってきて、小鉢のような陶器に割って開けてみる。それを料理談義するギムネーヤ料理長の見せて聞いてみる。


 「あの~、これって生で食べられますか?」




 「へぇっ? 生で食べるのかい? よした方が良いけど‥‥‥。あ、これなら大丈夫だと思うよ。直ぐに食べれば多分大丈夫」




 お礼を言って調理場に戻る。アミュネス少尉とユロジェン少尉の試合は一進一退で中々勝負が付かないようで、何回か聴衆の沸く声に驚いて彼女らの方を見るが未だ決着がつかないようだ。確かジョルジョネ大尉は互いの力は拮抗しているとか、していないとか言っていたよね?



 そんな事を考え焜炉のほうに視線を戻すと、米の方の鍋が沸騰してきたようでグツグツいい出す。弱火にしてかき混ぜて様子を見ながら味噌汁の方の灰汁を採る。大根が透明になってきたようだ。もう少しかな? これも弱火にする。


 米の方が気になり米をお玉で掬って見て様子を見る。芯が残って少し硬いように感じるがこれぐらいだったと思う。鍋の火を止めてお湯を他の空いた鍋に移し変える為に蓋で抑えながら、そこにあった前掛けを使って火傷しないよう慎重にお湯を捨てる。お湯が無くなったようなので蓋をして少し蒸す。


 次に味噌汁の方に火を止めて、麦味噌を溶いていく少なめにして味を見ながら味噌を溶く。ちょっと入れすぎたかな? と、思ったがこれで良いだろう。



 小鉢にヒシオを入れてくると、先程の割った卵にいれてかき混ぜる。ご飯の様子を見ると丁度良い塩梅のようで指で潰してみると良い感じである。


 ああ、二人の決闘はまだ続いている。歓声が止まない。彼女達の勝敗の行方も気にはしていたが今はそれどころではない。



 俺はご飯と味噌汁を盛って審査員席に座る。ああ、至極の時を向え、先ずは両手を合わせて頂きますと一言いい、といた卵を熱々のご飯にかける。スプーンで混ぜ混ぜしてスプーンですくった黄金色のご飯を口に運ぶ。嗚呼~、ここまで生きていてよかった!! と、思える瞬間であった。


 兎に角美味しくて、直ぐに二杯目に手をつける。同じように卵を溶いてヒシオを入れる。あっという間に二杯を完食してしまう。味噌汁も二杯もおかわりしてしまった。



 それを見ていた二人の料理長も俺の食べている物に興味が沸いたようで、俺が作った和食を食べ始める。




 「へぇー、麦味噌ってこういう風につかうのかい? あたしらはこれを肉につけて食べていたよ。美味しい汁だね?」




 「そうなんですか? それもありだと思います。この麦味噌って高い物なんですか?」




 「そうでもないけど、魔技箱で送ると味が落ちちゃってねー。主に作ってるのは南の寒い地方が多いと聞いているわねー。そのヒシオもそうだよ。暖かい地方は保存が利かないって言っていたねー」




 「え? でも。冷蔵庫があるから良いのでは?」




 「ああ、あれはうちらだけの装備だから他の部隊にはまだないよ。まあ、あれは二、三日で使い切ってしまう量だよ」




 「そうですか。ああ、では南に行く楽しみが出来ました」




 「そうかい売っている所を通る時に教えてあげるよリョウジ」




 「はい、ぜひお願いします。しかし、ウドンにはあのヒシオが重要でして、そのなんとか分けて貰えないでしょうか?」



 すると、隣の料理長がこの美味しい味噌汁の造り方を教えてくれればヒシオをあの樽毎くれると約束してくれる。俺は、早速作り方を伝授してヒシオ樽を抱えて目の前に持って来てしまう。


 そんなやり取りをしている間もアミュネス少尉とユロジェン少尉の戦いは続いていた。



 ジョルジョネ大尉は俺達が美味そうに米の飯と味噌汁を食べていたので、自分でよそってきて同じように座って食べ始める。




 「お、うめぇ~なこれ!! リョウジが作ったのか? この少し塩辛い汁はこの白い物に合うな!」




 瞬く間に、どんぶり飯と味噌汁を2杯平らげる。そして、徐に立ち上がり俺にことづけを残す。




 「ああ、あいつら勝負付かないから俺は仕事してくる。そろそろ、研究者共が来る頃だ。まあ、内の先生も居るし、あっちの先生も中々優秀だと聞いているから心配ないだろう」




 そういってジョルジョネ大尉は自分の指揮車の方に歩いて行ってしまう。残った料理長達も後片付けを始めて、俺が作った物の残りは向うの女性年季奴隷達に見つかって根こそぎ持って行かれてしまい美味しそうに皆で食べていた。嗚呼、美味しく食べてくれたのでそれはいいのだが‥‥‥。当分、あの卵飯は食えないのかもしれない。



 さて、俺はヒシオ樽をギムネーヤ料理長に預けて、片付けの手伝いをする。そして、料理対決で使われた料理馬車は元あった場所に戻される。っと、いうか余りにアミュネス少尉とユロジェン少尉の力が拮抗していて勝負が付かなく、皆が呆れて会場の片付けを始めてしまったのだ。


 ミンハンス大尉もジョルジョネ大尉と同じく研究者の受け入れの為の段取りを始めたようだ。手下の男性年季奴隷の偉そうな人に次々命令を出していく。



 結局残ったのは俺と右にはミリクナ医務長。反対側には向うの医務長? その医務長と思える人物が、白衣を着ていたからそうだと思う。ミリクナ医務長とは違い少し年配のようで、歳は20代後半かな? 金髪で肩まで長いセミロング? 瞳はグレーでこれもヨーロッパ人顔である。彫りは深い。丸い眼鏡のようなものを掛けていて一見医者らしい姿である。ミリクナ医務長はその場に座ってボーッと二人の対戦を見ている。



 アミュネス少尉が長いコン棒を真ん中に持ち左右に攻防を仕掛けたり、端に持ち替えたかと思うと長いリーチを生かして足を払ったりする。


 対するユロジェン少尉は二刀流のようで両手に木刀を持ってアミュネス少尉の攻防を防いだり逆に逆襲を掛けている。器用に両手の攻防を仕掛けていて一見同じ方向の攻撃を仕掛けたかと思うとまったく違う攻撃を仕掛けて左右を自在に使い分けて攻撃している。


 しかし、いい加減欠伸が出てくる。ミリクナ医務長の真似をして、ボーッとしながら彼女らの魔素の動きを探査する。



 おお!! 凄いよ俺!!


 なんていうか攻撃するタイミングが分るというか、力の流れが何となく見えてくる。しかし、見えてくるだけであれを俺が防げるかと聞かれれば当然答えは否である。



 余り力強く打ち合いをしていた為か分らないが、彼女達より木製の武具の方が先に音を上げたようだ。勢い良く打ち付けたそれぞれの木製武器が見事に粉砕してしまった。


 彼女らは肩で息をしながら折れた武具を投げ捨てると、今度は取っ組み合いの戦いを始めだした。交互に馬乗りになりながら拳を打ち付けるがどれも決定的なものにはなってはいなかった。どれも微妙に避けあい当たっていない。フラフラになりながらも攻防は続く。まあ、良くこんな戦いをやるもんだと逆に感心してしまう。


 「そろそろ、やめませんかー?」


 つい声を掛けてしまう俺だが、いい加減飽きてしまったからだとはいえない。




 「はあ、はあ、はあ‥‥‥。誰のお陰でこうなったと思いますの?!」




 そんな言葉を言い放ったのはアミュネス少尉であった。そして、俺の方にやって来て俺を殴りつけて来るではないか!!


 慌てて立ち上がろうとした俺の背中にはユロジェン少尉が俺を芳賀締めにして抑えてくる。


 今までの憂さ晴らすように俺は殴られ、俺は最後に鳩尾に拳を当てられうずくまる。そんな俺の事を他所に彼女らは何か盛上ったようだ




 「良い拳でしたわ!! アミュネス少尉!!」




 「あなたこそ、見事な羽交い絞めでしたわ!!」




 「そろそろお腹が空きましたわね。じゃあ、今度はお酒を飲みながらどちらが酔いつぶれるか勝負いたしましょう!」




 「いいですわ!! その勝負受けましたわ! さあ、行きましょうアミュネスお姉さま!」




 意味が分らない。何故に俺が殴られるの?


 勝手に盛上った彼女達は肩を組んで料理馬車の方に行ってしまう。絶対、普段のプイホンさんと仲が良い俺に対しての恨みも入っているよね?


 俺は何発か殴られた痛みを堪えながら起き上がると、ミリクナ医務長に傷の様子を診て貰う。少し彼女に手当てをして貰うと、初めてやって貰った時のように痛みが無くなって行く。


 ふと、俺がどうしてこんな事になったのかという疑問より、この傷を癒す力のほうに興味が沸いてくる。彼女は左手を痛む所にかざして癒したからだ。ひょっとして、これも魔素術なのか?


 「これって、いったいなんですか」


 つい、ミリクナ医務長に聞いてしまう。すると、後ろにいた向うの医務長? その金髪お姉さんが教えてくれる。




 「それは木属性もくぞくせいの魔素術よ!」




 ようやく、木属性の魔素術がなんだか分った俺であった。





 次話へつづく

次話は明日12/22の夕方に投稿する予定です。

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