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奴隷から始まる異世界旅行記  作者: 三之山勝
《 第2章 年季奴隷が前進すると地雷踏む 》
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<2-14> 「懐疑で会議で懐疑?  (前編)」

最新の本文修正日は2014年11月19日です。

 俺が寝ていた時にクワビムさんの「アワアワタイム」があった事なんて想像もしなかった俺ですが、事前に教えてくれれば見に行ったのに‥‥‥。嘘です、見に行ったらきっと嫌われるよね?


 朝になり明るい所で陸ハトゥーの大きさに改めて驚嘆する。この数時間前に倒れた巨大な陸ハトゥーも食えるのかと思って、まじまじと見ていた俺は色々考える。


 「こいつは焼いたらどんな味がするのか?」や「それになんで内蔵に手を付けていないのか?」などと、新たに疑問が浮かび深く考える。


 そんな事を考えていた為か、自分の足元がおろそかになって落とし穴のような物に後ろから落ちてしまう。まるでスローモージョンのように景色が流れて行く。あ~、こんなシーンをどこかで見たような‥‥‥。そんな状態に陥る俺であった。






 地面に開いた穴に足を取られて、見事に斜めの穴に転がって最後まで行くかと思われたが、何処かで見た景色とは違い半回転しただけでずるずるそのまま背中から滑り落ちると、やがて止まって困惑する俺であった。


 穴の大きさは直径1m前後結構勾配がきついが上れない角度や深さでは無い。一体誰の仕業かわからないが、開口部には手すりと蓋をしないと労働安全衛生法基準違反だぞ?!


 そんな事を叫んでみてもここにはそんなものを監理する監督署すらない。さて、どうしたものかと考えて頭を下げて頭の先を覗き見ると、下の方もなんだか明るいではないか。


 お、遺跡かなんかの穴なのかと好奇心が沸き起こり、つい下の穴の光が漏れる出口の方まで上向きからうつ伏せになり腹ばいで降りてしまう。



 穴の底に着くと何かの闘技場のような円形で広さは端まで50m位だろうか。その向こうにもここと同じ1mぐらいの穴が見える。何の変哲もない穴で高さは5階建てぐらいで、上まで20mぐらいであろうか。



 そんな穴の様子を窺っていた俺だが、ふと空になにかパタパタと羽ばたくものを見つけてしまう。あれ、ここって鳥はいないって言っていたよね?


 そんな事を呟き首を傾げながら今度はそちらの方に興味が沸いてきて、降りてきた穴を今度は膝を突きながら登って行く。


 ようやく外に出た頃には汗だくになり、尚且つ泥だらけになっていた。パタパタしていたものはまだ空中を漂っていて、まるで誰かを探しているようだ。



 そいつを追掛けて行くとジョルジョネ大尉がいる指揮車に向っていくではないか。視線でそれを追って行くと指揮車の覗き窓に入っていってしまう。


 何だあれ? 首を傾げながら周囲を見ると2台の指揮車以外他の馬車は何処かに行っていなくなっているではないか。


 あれー、なんだ? 次々と疑問が沸いてきて俺の頭は混乱する。すると、先程のパタパタ飛んでいたものと同じ様なものが今度は隣の指揮車に向って来て、同じように指揮車の覗き窓から入って行く。



 不思議な光景を連続して見るのはこれが初めてではないが、これって伝書鳩的な魔素術なのかと、最終的に自分で納得する答えが出てくる。


 それはヒラヒラするものが薄っすらと黄緑色に光っていて、魔素陣が発動する時の光に似ている感じに思えたのが自分で納得する一因である。


 すると、行き成りジョルジョネ大尉とミリクナ医務長が同時に指揮車から出てくる。



 そんな二人は真っ黒になった俺の姿を見て、二人同時に俺を見て驚く表情をする。そして、同じように笑い出す二人であった。


 「ひどいですよ~。誰が造った落とし穴か知りませんが床の開口部には手すりをつけて誰かが落ちないようにするものですよ?」


 何か議論の論点がづれている事に最後まで話してから気付く。




 「まったく仕様が無い人ですねー、リョウジさんは。馬車の影で服を脱いでください。それと貴方の頭の上に水球みずたまを出しますからそれで体の土を流してください」




 「えー?! 今度は何をするのですか? ‥‥‥。そんな目をしないでください。分りましたから、言う通りにしますから、そのごみを見るような目で見るのは勘弁してください」


 ああ、何か恐ろしい目つきで見られて馬車の車輪に脱いだ服を置く。そして、指揮車の陰のほうに行って待っていると、俺の頭上に巨大な水球が浮かび上がって今にも落ちてきそうで恐怖する。


 しかし、シャワーのように徐々に水が落ちてくるではないか、その様子に安心して水に手を触れるが水は冷たくない。


 それでもお湯ではないので体をその温度に慣らして体を洗い始める。頭皮まで土が入っていてゴシゴシ洗うとジャリジャリいって指にまとわりつく。上から順に足先まで洗い流すと頭上の水球は消えてなくなり地面に落ちて貯まったはずの水溜りまでなくなってしまう。


 まったくもって不思議な現象を体験してしまい、高度な魔素術だとこうなるのか? そんな事にまたもや疑問が浮かんでくる。



 ミリクナ医務長のほうも気になり指揮車の陰から俺の服の様子を見て、また驚いてしまう。先程と同じような大きな水球の中に俺の着ていた服が入っていて、くるくる回転している。まるで空中洗濯機のようで見る見るうちに水が汚れて行く。


 それが段々しぼんで行き、そのしぼんだ水玉から俺の服が取り出されると、何時の間にか新しい綺麗な水玉が浮かんでいる。その新しい綺麗な水球に俺の服を入れて同じ事を3回ほど繰り替えして行わる。


 最期に綺麗な水球の中にくるくると洗い物が回っていたが、やがて同じように水球が縮んで行くと、中から濡れた俺の服が取り出される。


 そこからもまた驚かされてしまう。濡れていた服が徐々に水分を失っていくではないか。水蒸気になって行くのではなく自然に水分だけが抜けていくようだ。



 そんな様子を眺めていると、先程まで濡れていた俺の体の水滴や濡れていた髪が乾いている事に気付く。チョー便利!! 俺もその技を教えて欲しいくらいだ。


 すると、ミリクナ医務長は服をばたばたと払うと乾ききった先程まで泥だらけだったジンベが綺麗になって、彼女の手から投げ返される。俺がそれを受け取るとミリクナ医務長に促される。




 「さっさとジンベを着なさい。私は男の裸を見て喜ぶ趣味は無いのよ?!」




 少し顔が赤くなったミリクナ医務長の顔がちらりと見えて「なんだこのもそれなりの歳なんだな」と、変に感心してしまう。すぐさま支度をして彼らの前に姿を出すと、ジョルジョネ大尉が口を開く。




 「あー、これから、あれの始末を盛大に行おうとしたのだけど。ちょっと予定が狂ってな、俺の上司がここに来るそうだ。それで君に会って話をしたいそうだ。受けてくれるかな?」




 何時ものようにいやらしい顔をする大尉にまたかとため息が出る。


 「はあ、俺に選択する権利はないと思いますけど」




 「偶々近くにいてな今からだと半日程したらこちらに着くと思う。会ってくれるとありがたい。って、言うか君の為というか‥‥‥」




 分りきった事を態々聞いてくるこのおっさんに答えるのはもう何度目であろうか‥‥‥。あれ、そんな事があったかな? ひょっと消されたかな?


 そんな事を考えていたが最後の俺の為という言葉が何か引っかかるが仕方がない。


 「はいはい、分りました会わせて下さい。これで良いですか大尉?」




 「じゃあ一端ここを離れて朝食でも頂こう。先に頂いてくるけどミリクナ医務長はどうしますか?」




 「そうですね、私は、またあの穴に落ちるお間抜けさんが出ないように見張ってますわ」




 「じゃあ、代わりの者を寄越しますのでそれまでお願いします」




 そういってジョルジョネ大尉は俺の肩を右手で押して指揮車のほうに連れて行こうとする。何か釈然としないが仕方なく指揮車に歩みを進めて大尉と共に乗り込んだ。


 指揮車に乗り込み席に着くと、馬車は動いてガタガタゆれながら暫く走る。すると、また大尉は重苦しそうに口を開いてちょっとため息をする。




 「あー、君に対する重要機密開示の命令が届いた。今迄隠していた事は殆ど開示してよくなった。しかし、それに伴って守秘義務が重くのしかかってくるけど聞いてみる?」




 またもやあのいやらしい顔つきで大尉は俺を見る。困ったおやじだが‥‥‥。守秘義務に引っかかってしまう。


 「はあ? 何を言っているのか良くわからないのですが。最後の重くのしかかる守秘義務って守らなかったらこれの事ですか」


 そういって自分の首を右手でチョップして斬首の仕草をすると。大尉はわずかに頷く。その仕草を見て俺は顔が青くなる。


 「いやー、今までの通りでいいです。ぽろっとしゃべっちゃうかもしれませんし。都合の悪い事はこの前のようにすっきり消してくれると心の負担が減って精神上良いのですが」




 「やはり、何があったか理解してたか‥‥‥」




 「いやいや、具体的に何を消されたかまでは分りませんよ?!


 それに気付いたのはちょっと腑に落ちないって言うか、記憶の断片から推察しただけで。その具体的なものは無いですよ大尉!!」




 「そうなの? なんだー、そうなのか?


 安心したよー‥‥‥。その件はすまないと思っている。以後は無いようにしたいと思っているから安心して欲しい」




 なんか急にまじめになったジョルジョネ大尉の目は何時もと違い、真に正しい事を話しているように見えたのは本人には言えない事だ。でも「無いようにしたい」って、話していたのは少し引っかかるがそれが正直なところであろう。


 「でも大尉、今更消された部分を聞くような野暮な事はしませんから安心してください。ああ、内容はそちらで判断してください。


 誰にだって。あっ、この場合は王国ですが。その秘密っていうか伝えたくない秘密は何処にでもありますからね。でも、知ってしまった事には極力話さないよう努力はします。


 ああ、でも。俺って拷問とかには弱いのでこの前のように掴まった時は勘弁してくださいよ? 絶えられる自信は微塵もありません。そんな弱い俺ですから」


 最後に話した事には明確な返事が無かったというかあからさまに呆れた顔を見せられる。これだけヘタレ度を上げておけば重要機密なんかは話してこないよね?


 自分の逃げ道は作っておかないと後々困る。あの建築現場監督時代の様に‥‥‥。ここに来て死にそうになった事が沢山あったが、あっちでも有った嫌な日々を思い出して思わず身震いしてしまう。



 そんな事を考えていると、移動した野営地に着いたようで、降りると同じような配置になった野営地が広がっていた。先程の場所とは違い地面には草が生い茂っていて何人かの年季奴隷の人達が草刈をしていた。


 仮設の食堂周りは先に草刈が終わっていたようでテーブルが出してあった。配膳の所に行って大尉の分と俺の分の食事をお盆に載せて貰う。


 すると、大尉は普段から皆と同じ物を食べているらしく、それぞれのお盆には同じ物が載せられる。ただ違うのは俺のには朝の青汁入りの木製ジョッキがあるという事だけだ。



 二つのお盆を持って行こうとすると、後ろから俺の心の癒し係のプイホンさんが声を掛けてくる。




 「あ、兄ちゃん元気になったのか? 隊長さんの分はおいらが持っていくよ」




 「あ、ありがとうプイホンさん。助かるよー」


 そういって一緒に歩いて指揮車まで行く。指揮車付いて扉をノックをして中に入れて貰う。すると、中からアミュネス少尉が出てきてすれ違いざまにプイホンさんを見て、次に俺の顔を見る。そして、確かに舌打ちして睨まれました。ああ、もうなんかね。俺が悪い訳じゃないのに舌打ちされて睨まれましたよ。


 すれ違いざまにそんな事があったので指揮車の中に入って、ため息をついてテーブルに着く。プイホンさんは大尉の分の朝食をテーブルに置いた後、直ぐに外に出ないのかと彼を見ると、何時ものように撫でて視線を大尉にまで送っているではないか。大尉は別に嫌がることなく撫でると「ご苦労さん」と、気軽に話す。


 プイホンさんは嬉しそうに尻尾を立てて外に出て行ってしまう。朝食を食べ終わる頃に指揮車の扉をノックする音がして、大尉が立ち上がり扉を開けると中に大きな箱を抱えたミリクナ医務長が入ってくる。


 その箱は見覚えがある事に俺は気付く。あの魔素力測定器である。ああ、また計るのかと俺は歯牙にもかけなかったが、ジョルジョネ大尉は少し驚いた表情をしてミリクナ医務長に質す。




 「医務長? 何だね急に。あ、何か‥‥‥」




 何故か大尉は急に押し黙ってしまい、それを見た俺は不振顔になってしまう。




 「なんでもないですよー、リョウジさん。定期健診ですからそこに座って大人しくしてくださいねー」




 ミリクナ医務長はそういって後部座席を指す。俺は大人しく後部座席に座ると言われるままに左腕を上げて、ミリクナ医務長のなすがままにする。彼女は何時ものように手馴れたように器用に配線を着けて行く。


 最後に配線の付いた帽子を被り「さあ、やってみろ」と、いう様に俺を促すので仕方なく魔素術の動作をする。しかし、開始早々に測定器からブザーのような音が鳴る。まだ、左手を上に上げて魔素を集める動作しかしてないのにである。なんかのリミッターが働いたのかと首を傾げるが‥‥‥。




 「あ、間違ったわ。摘みを合わせ間違えたわ‥‥‥」




 ミリクナ医務長はそういって、慌てて調整をやり直し始める。俺はため息をして、調整が終わるのを待つ。


 彼女が何をそんなに慌てている理由が分らないがイソイソと準備をするミリクナ医務長は、今度はバッチリよという様な表情をして、俺に魔素術の動作をするようにと促する。



 言われた通りに魔素術の動作をするのだが、今度は向こう側がため息を付く。何度か動作をするのだがその度にため息をするではないか。それも二人が息を合わせた様にである。



 「あのー、そろそろよろしいでしょうか? 何時もの雰囲気で逆に俺は安心したのですが、そんなに急激に魔素力って変わる物なのですか?」




 「ああ、言われてみればそうだよな! 一月位で急激に変わったなんて聞かないよな?!


 そうだ、そうだ! そうなんだよなー。こうなったら長期戦だー!」




 急に何かに納得したように大尉が叫びだす。しかし、ミリクナ医務長は違ったようで、何かブツブツ言って考え込む。そして、何かが引っかかっているような感じに一人納得すると、眉間にしわを寄せながら俺の配線を外して行く。


 配線を外し終わると、徐にミリクナ医務長はニコっと微笑みながら俺の胸の中心に指をトントンと突っついて何か言ったように感じるが聞き取れなかった。


 しかし、俺はその仕草を見て青くなる。なんて分りやすい俺なんだと内心自分に毒づく。その俺の表情を見透かしたように、彼女は追い討ちをかけてくる。




 「リョウジさんのお守りって、何か大きくなったわよね? 最初に見かけた時の袋より大きくなったように感じたわ! 大尉は見たことありますか?」




 「ああ、何日前だったか忘れたが見せて貰ったぞ。確か、これぐらいの魔素結晶の欠片で、売ったら銀十枚位って教えた記憶が有るが」




 大尉がそんな事をミリクナ医務長に教えると、悪魔が微笑むようなそら恐ろしい笑みで俺の顔を見る為に振り返ったミリクナ医務長に俺は恐怖する。




 「へぇー、そうなんだー。私も見たいなー。見せてくれるよね? リョウジさん?」




 そういって俺に近寄ってくる彼女に対して俺はなすすべがない。思わず言葉にならない声を発してしまう。


 「ひゃぁ~。あ、あ、あの。その、なんていうか。その‥‥‥」


 俺がそんな奇声を上げると近寄ったミリクナ医務長は素早く革紐を引張り、俺の懐の革袋を取り出す。そのミリクナ医務長の目は鋭くて、俺は思わず硬直してしまう。


 とうとう尋問が始まったようだ。袋を出したミリクナ医務長は中の物を出してため息を付いた。




 「大尉が見たのって、こんな石ころの魔素結晶の欠片ですか?」




 「はあっ? 何で石ころなんて入れているんだ?


 俺が見たのは赤くて綺麗な魔素結晶の欠片だったが‥‥‥。なんじゃこりゃ、何で革袋に穴が開いているんだ?」




 一斉に二人して俺の目を見ると俺は言い訳を考える。しかし、良いアイディアが浮かんでこないって言うか、この状況で言い訳できるほど肝が据わっていないと言った方が正解だ。額に汗が浮かんでくる。


 あー、このまま気を失って倒れたい。しかし、肝心な時に都合よく気を失う事が出来るはずもなかった。




 「さて、何があったか教えてくれるかな? リョウジさん?」




 口調はやさしいが目は笑っていないミリクナ医務長が更に俺に詰め寄る。




 「あ、あの、その。万が一、分っても。そ、そ、その俺をか、かい、解剖するとか無いですよね?」





 「はあ? 何でそんな事をしないといけないの?


 切開は大変な事で王都の大先生か学院の大先生しか出来ないわよ。私はそんなことやった事ないし、それに王国は貴方に危害を与えるつもりは無いって大尉から聞いたはずでわ?


 あっ‥‥‥。何でもないわ。そう、王国は貴方に危害を与えてくる物を排除して、当面は貴方の保護と護衛に徹する事になってますよね、ジョルジョネ大尉?」




 何かを思い出したように一瞬固まったミリクナ医務長は思い出したように話したが‥‥‥。そうですよ?! 貴方が多分その記憶を消したからですよと、突っ込みたいが、昨夜の戦闘力を見た後ではもうドジッ白衣のミリクナさんとは突っ込めない。今は白衣の悪魔に見える。そんな彼女に文句を言える俺ではない。すると、突然大尉が叫ぶ。




 「あああああ、そうの通りだとも!! 君を守る為に俺達がいるんだぞ!! だから安心して何があったか話して欲しい」




 ああ、またあのにやけた顔で話し出す大尉の顔を見るとその顔は僅かに引きつっている。



 段々追い詰められていく俺であったが、観念して事情を話し始める。



 「十四日か十五日前に熱病で倒れてから確か、岩猪の解体だったかで野営した夜の日ですよ。その夜中に急に胸のここの部分が熱くなって目が覚めましてね。


 最初は誰かが焼き鏝汚を当てたのかと思いましたよ。月明かりで照らすとあの魔素結晶の欠片ってやつが私の胸にめり込んでいきまして。


 その、なんていうか最後にはその魔素結晶の欠片が奥に入っていきまして。それと同時に皮が治ってしまいましてね。


 その後は熱病が良くなってきた感じになりまして、体調が良くなったのでこれで良いかな思いまして。


 その、ミリクナ医務長に話すと胸を抉られて、取り出されるかと思って話していませんでした」


 正直に話し終わり、俺は彼女に怒鳴られる覚悟をして、目を瞑ってしまう。しかし、怒号や罵倒は聞えてこないで、代わりに二人分のため息が聞えてくる。




 「「なんだ、そんな事を隠していたのか?」」




 二人はため息混じりにハモッてそんな事を言ってくる。


 あれ? 何そのリアクション。


 えっ? こっちじゃよくあることなのか?


 え~~~~、今迄悩んだ俺が馬鹿だったのか?


 何が何だか良く分らなくなる俺であった。




 中編へつづく

次話は12/8の夜に投稿します。

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